しかしブラマジとトリッキーさんが過労死しそうだ……。
追記:デュエルの途中で間抜けすぎるミスをしていました。申し訳ありませんでした、頭の中だけでデュエルを組み立ててた故のミスです。少し無理やりですが辻褄の合うように変更しておきました。ご指摘くださった方、ありがとうございました。
「デュエル!」
「俺の先行だぁドロォォ!」
あの胸くそ悪いチンピラの先行でデュエルは始まった。ドローと言いつつも、引いてるのはゆまだけど。
「俺は手札から、《強欲な壺》を発動! 二枚ドローだ」
『なにっ!?』
「どうしたコナミ。普通のプレイングじゃないか」
『いや、今の時代、壺は禁止カードなんだ……それを使いやがるなんて』
「なに…? おい貴様、そのカードは禁止カードのはずだぜ!」
強欲な壺をサラッと流すアテムだが、あのアドバンテージの塊みたいなカードは禁止カードだ。そのことを教えてやると、アテムが場に出てる壺を指さす。
「ハッ、誰がルールなんて守るかよ! 勝てばいいんだよ勝てば!」
「貴様……デュエリストとしての誇りすらないのか!」
「そんなもんねぇよ! さらに《天使の施し》発動! 三枚引いて二枚捨てるぜ……」
『あのカードも、今じゃ禁止カードだ……』
間違いない、奴のデッキは禁止カードで溢れてる。これはアテムと言えど、苦戦するか……?
「《コマンド・ナイト》を召喚! さらに永続魔法《一族の結束》を2枚発動、これで俺の墓地は戦士族だけだから、《コマンド・ナイト》の攻撃力は合計2000アップだ!」
《コマンド・ナイト》ATK:3200
チンピラの指示に合わせて、ゆまがカードをディスクにセットしていく。
天使の施しで戦士族を捨てていたおかげで一ターン目から結束も使われてる…元が低ステータスの《コマンド・ナイト》が最上級モンスターを超える攻撃力、やっぱり《一族の結束》は強いな。
「さらに二枚伏せ、ターンエンドだ」
(くっくっく、俺の伏せは《魔宮の賄賂》に《次元幽閉》……防御は完璧だ)
何とも腹の立つニヤニヤとした顔をしながら、チンピラがエンドを宣言する。
次はアテムのターン。震えて怯えてるゆまのためにも、早く決着を着けたいな。
「オレのターン、ドロー! 《熟練の黒魔術師》を攻撃表示で召喚! さらに、手札を1枚捨てて、《死者への手向け》を発動! これで貴様の《コマンド・ナイト》を墓地に送るぜ! さらに魔法カードを発動したことで、魔力カウンターが一つ増えるぜ!」
「ちっ……リバースカードをオープンだ、《魔宮の賄賂》!そのカードの発動を無効にする!」
場に出てきたおっさんからアテムの場のミイラへと何かが渡され、アテムのカードは破壊された。あれは……《死者蘇生》か、確かにあの魔法には賄賂だな。
さらに賄賂の効果でアテムがカードを1枚ドローする。
残念ながら発動を向こうにされたからカウンターは乗らないが。
「ふっ、やはり防御カードだったか。さらに魔法カード、《大嵐》! これでお互いの魔法・罠は全て吹き飛ぶぜ! そしてさらにマジックカード《地割れ》を発動、《コマンド・ナイト》は破壊する!」
「なにっ!?」
場をおそう巨大な嵐が、アテムとチンピラのカードを吹き飛ばした。尤も、伏せのないアテムには被害はないが。
そして相手の破壊されたのは……なるほど、《次元幽閉》か。さっきの《魔宮の賄賂》と合わせて防御策は完璧だとでも思ってニヤニヤしてたのか。
そして起きる地割れ。その中から伸びてきた手がコマンドナイトを引っ張り込んだ。
「そして、これでカウンターが2つ乗る」
《熟練の黒魔術師》魔力カウンター:2
あと一つカウンターが乗れば、《ブラック・マジシャン》を呼べるな……。
「マジックカード発動、《増援》。これにより、レベル4以下の戦士族、《翻弄するエルフの剣士》を手札に加える」
よし、これで3つのった。アテムのエースが呼べる!
《熟練の黒魔術師》魔力カウンター:3
「ここで魔力カウンターの三つ乗った《熟練の黒魔術師》を墓地へ! 効果により、手札・デッキ・墓地から《ブラック・マジシャン》を特殊召喚する! 現れろ……《ブラック・マジシャン》!」
フィールドにいた《熟練の黒魔術師》が光に包まれる。
そして光が晴れると、そこにいたのはアテムのエースモンスター、《ブラック・マジシャン》。
「ちぃっ、2500はくらうしかないか……」
(だが俺の手札には《サンダー・ボルト》がある…これでとりあえずあいつの場はガラ空きにしてやる)
「はん、2500じゃすまないぜ? お前のライフは、このターンでゼロだ!」
おいおいアテム。お前はもう通常召喚もしてるし手札にはエルフと謎のカード……それじゃライフはゼロにできないぜー?(フラグ建設)
「《翻弄するエルフの剣士》を墓地に送り、《THE・トリッキー》を特殊召喚!」
『フラグ回収ってか』
「な、なんだと……!?」
《THE・トリッキー》ATK:2000
これで合計4500、奴のライフを超えたな。
「ぐっ……くっ……」
「覚悟しろ……トリッキーでダイレクトアタックだ!」
「ぐふっ!」
トリッキーが見事にゆまを避けるようにマジックででてきたトランプをチンピラに当てる。
チンピラLP:4000→2000
「とどめだ……《ブラック・マジシャン》!!」
アテムの命を受けて、飛び上がる《ブラック・マジシャン》。ゆまへのダメージを与えないために杖で直接チンピラを殴るようだな。
「ブラック・マジック!!」
『ただし物理……』
「ぎゃふっ!!」
チンピラLP:2000→0
ブラックマジシャンの攻撃を受けてチンピラのライフがゼロになる。
というか……あれは痛そうだ、頭に杖がバコンだからな。
何はともあれ、これで終わりだな……ゆまも助かるし。
「さあ、約束通りゆまは返してもらうぜ!」
「………ハッ、誰がそんな約束守るかよ!」
『あいつ!』
チンピラが、ゆまの首にナイフを突き立てる。
くそっ、あいつ負けたくせにゆまを解放しない気か!?
「どういうつもりだ貴様! デュエリストともあろう奴が、約束を破る気か!」
「ふん、俺は端からそんな約束守る気はないぜ! おら、さっさとさっきのカードを渡せ……そしたらこの嬢ちゃんは放してやるよ」
チッ、クソ野郎が……端っからカードが目的か。
だがゆまの命には代えられない……。
『アテム、カードをあいつに』
「だがこのカードは……」
『ゆまの命には代えられないだろ……渡すしかない』
『……ハッ!』
「なっ!?」
アテムが胸ポケットにしまったさっきのカードを取り出す。
しかし突然、チンピラの持つナイフがどこかへと吹き飛んだ。
今のは……魔力弾を誰かが飛ばしたのか?
だが、今しかチャンスはない!
『アテム! 俺と代わってくれ!』
「ああ!」
俺の言葉に呼応するかのようにキランと輝く千年パズル。
アテムが返事をするころには、既に俺が表に戻っていた。
「伏せろゆまぁ!」
戻ったかどうかなんて気にする前に、俺は駆け出す。
ナイフが拾われる前に、かつ腕力でゆまの首を絞められる前に、驚いて力の抜けた今の──あのチンピラを蹴り飛ばす!
「は、はい!」
ゆまがしゃがんだのを確認して俺は走りながら飛び上がる。
「おらぁぁぁ!!」
「ぐふぉぉ!!」
ものの見事にスピードに乗ったドロップキックがチンピラの顔面にめり込む。
その衝撃にチンピラは後ろへと吹き飛ぶ。
「っし、これで大丈夫だろ」
そして俺は着地。ゆまがちゃんと俺の言葉に反応してくれて助かった、下手すりゃ一緒に蹴り飛ばすところだったし……まあそんなへまはしないが。
「ぐっ……ぐふっ……」
チンピラの方はと言えば、見事にのびてる。
とりあえずこいつの方は……
「アテム、後は任せた」
『ああ、任せてくれ。ゆまの受けた恐怖と痛みを、あいつにも味わってもらう』
精霊状態ではあるが、アテムがチンピラへと近づいていく。
どんな罰ゲームをするのか……結構キレてるからな、ヤバい罰ゲームになりそうだ。
「っと、ゆま大丈夫……じゃないなこれ」
「……」
ゆまはと言うと、恐怖から解放された安心からか気を失っていた。
……仕方ない、さっきの公園のベンチに横にさせに行くか。D・ホイールも気になるし。
「ちょっと我慢してくれよー……」
ゆまの首と足の下から腕を回す。そして持ち上げて抱っこする。
つまりはお姫様抱っこだ。
おんぶしようにも、倒れてた体制的に厳しかったし……しょうがない。
「こいつ軽いな……女の子ってこんなもんなのか?」
「……」
アテムにチンピラは任せ、俺はさっきいた公園へと戻る。
俺の後ろからは、『罰ゲーム、ヘイト・バスター!』と言うアテムの声が聞こえてきた。
その罰ゲームの内容は……男からしたら最大の痛みであろうとだけ言っておく、何ならこの言葉にするだけでもキュッと痛むぐらいの……。
ということで、今回はTHE説明死というデュエルになりました。もっと長いデュエルを描くのはもう少し先になりそうです……ここまで、デュエルが少なく短く申し訳ないです。
そしてゆまへのフラグが建築中です。タッグフォースで言うところのハート1イベント中ですね。
また感想にて指摘があったのですが、十代たちGX組と同世代のゆまがこの時代にも登場していますが、この作品内ではGXの時代にはゆまなどタッグフォースキャラは存在しないという扱いになります。両方に存在させると年齢的に矛盾が起きるので。
なので、遊星たちが生まれた前後にタッグフォースキャラも生まれてきているという認識でお願いします。