ある東方Vocalアレンジを元に作成しました。
その曲を聞きながら読んでいただけると幸いです。
曲名は「At least one word」です。
霊夢さん、魔理沙さん、妖夢ちゃんがいなくなってから
もう1周間。やっぱり誰も霊夢さんたちのことを覚えていないみたい。
私は自分の殻に閉じこもり、誰とも話をしなくなっていた。
早苗)…………。
クラスメイト)ねーねーとうふうやさん?
早苗)…………?
クラスメイト)とうふうやさん?
早苗)……ぇ?
クラスメイト)んもう!もういい!
早苗)……………。
霊夢さんがいないこの世界なんて…。
誰もわかってくれない…。
霊夢さんのことを知らない人の助けなんて必要ない、
これで、いいんだ...。
??)ねぇ。
早苗)……。
??)ねえってば!
早苗)………。
??)“東風谷早苗”ちゃん!
早苗)は、はい。
??)あなた、うちの部に来ない?
早苗)……あなたは…?
燕)あ、わたし?私の名前は神崎燕(かんざき つばめ)、美術部の部長よ、よろしくね。
早苗)は、はぁ。
燕)で、美術部、興味ない?
早苗)……ない、です。
燕)ふっ、あははは!
早苗)な、なんで笑うんですか。
燕)いや、面白い子だなと思って。
早苗)はぁ…?
燕)じゃあ放課後、美術室に来てね。
早苗)え?あ、ちょっと…。
行ってしまった。
なぜ断ったのに笑われたんだろう。
美術、少し興味はあったが人に関わりたくなかったから断った。
誘われたんだし、行かないと失礼、かな…。
放課後
ガラガラガラ
燕)あ、早苗ちゃん!やっぱり来てくれたんだ!
早苗)…はい。
燕)まあゆっくりしていってよ。
早苗)いえ、ちゃんと断ろうと思ってきただけなので。
燕)えー、でも興味あるでしょ?美術。
早苗)ない…です。
燕)ほんとにー?
早苗)……すこし。
燕)やっぱりあるんだ。絵、描こうよ!一緒に!
早苗)…いいんですか?
燕)いいよ、部員私一人だし。
早苗)え…?
燕)実はね、私が色々やらかしちゃってみんなやめちゃったのよ。
早苗)いろいろ…?
燕)えーっとね…誰にも言わないでね?
早苗)…はい。
燕)私実はヤクザの娘なんだよね。
で、そのことが美術部のみんなにバレてみんな私の事怖がって
やめちゃったんだよね。
早苗)それだけでみんなやめちゃうんですか?
燕)まあ部活中に遊んでるような部員しかいなかったから、
キレたら怖いとでも思ったんじゃないかな。
早苗)ひどい…。
燕)おかげで噂が広がってクラスの中でも私一人浮いちゃってね。
だからクラスで一人浮いてる子を見つけたらこの部に誘おうと決めてたの。
早苗)そうなんですか。
燕)あ、私怒っても全然怖くないから安心してね。
早苗)はい。
燕)で、早苗ちゃんのこと、聞いてもいい?
早苗)…ズルいですね。
燕)へ?
早苗)先に自分の弱いところを話して人の弱いところを聞き出そうとするの。
燕)あ、いやそんなつもりは全然ないよ!?
早苗)…いいです。話します。
話した。
霊夢さんたちのこと。
燕)へ~、そんなことがあったんだ。
早苗)はい。
燕)それを全部一人で抱え込んでたんだ…。
早苗)はい…。
燕)自分がおかしいと思っちゃうかもしれないけど、
確かに霊夢ちゃんたちはここにいたんだってことを
ちゃんと覚えていてあげないとね。
早苗)はい。
燕)なんか私の話よりずっと深刻だったね、ごめんね。
早苗)なんで謝るんですか、ちゃんと聞いてくれてありがとうございました。
燕)いえいえ、これで早苗ちゃんもうちの部員だね!
早苗)…はい。
燕)え、いいの!?
早苗)ご迷惑でなければ。
燕)やった!これで廃部取り消せる!
早苗)良かったですね。
燕)うん!
こうして私は神崎燕さんに出会い、美術部に入った。
時々私の霊夢さんへの感情が爆発し、泣き出しちゃう時もあったけど
燕さんはちゃんと向き合って、慰めてくれた。
しばらくしたある日 幻想郷
紫)そろそろ頃合いかしらね。守矢神社まるごとと神様を連れてくるとなると
結構時間がかかるものね。
紫)あとは東風谷早苗だけかしらね。
外の世界
紫)東風谷早苗、さんね?
早苗)…あなたは?
紫)私は八雲紫。
早苗)何の用ですか?
紫)あなた、霊夢に会いたくはないかしら?
早苗)え…!?
早苗)会えるんですか!?
紫)ええ、会えるわよ。
早苗)どこにいるんですか!?
紫)そうね、ここではない別の何処か、とだけ
言っておきましょうか。
早苗)どういう、こと?
紫)あなたも霊夢と同じ所へ来て欲しいの。
早苗)え、え?
紫)そのためにあなたには神様になってもらうわ。
早苗)え?
紫)正確には現人神、かしらね。
早苗)はぁ…。
紫)あなたには素質があるの。
神様になるだけの、ね。
早苗)どういうこと…?
紫)霊夢たちがいなくなってみんな霊夢たちのこと忘れていたのに
あなただけ覚えてたわよね?
早苗)はい。
紫)それがあなたが神様になれるだけの素質ってことかしら。
簡単に言うとあなたは普通の人とは違うことをした。
つまり奇跡を起こしたってこと、だからあなたは神様になれる、ってことね。
早苗)奇跡、ですか…。
紫)ええ、それと霊夢と同じでこちら側には帰ってこれないし
こちらの人はみんなあなたのことを忘れるわ。
早苗)そんな。じゃあ燕さんは…。
早苗)……もう少し、3月まで待ってもらえませんか?
紫)何かあるの?
早苗)卒業式、卒業式があるんです。
紫)………。そうね、いいわ、待ってあげる。
早苗)よかった。
紫)お友達にちゃんとお別れすることね。
……霊夢さんに会える…!!
……………でも、燕さんは。
早苗)……。
燕)どうかしたの?
早苗)あ、えっと、な、なんでもないです。
燕)何か悩みごとがあるのね、言ってみ?
早苗)…燕さんには敵わないですね。実は私、神様になるんです。
燕)へ?
早苗)神様になるんですよ。
燕)そうなんだ~。ってえ!?
早苗)神様になったら霊夢さんと同じ所へ
行けるらしいんです。
燕)そう、よかったじゃない!
早苗)でも…こっちにはもう戻ってこれないし、
こっちの人は私のこと忘れちゃうみたいで…。
燕)ああ……。
…私は大丈夫だよ?もうすぐ卒業だし、
これからは一人でもやっていけるって!
早苗)で、でも…。
燕)ずっと会いたかったんでしょ?会いに行きなよ!
早苗)…本当にいいんですか?
燕)いいよ。良かったね!私も自分のことのように
嬉しいよ。
早苗)はい。ありがとうございます。
そして
卒業式当日
早苗)卒業おめでとうございます、燕さん。
燕)ありがとう。
早苗)私、燕さんに出会えて本当に良かったです。
燕)私も早苗に出会えてよかったよ。
早苗)ほんとに、ほんどに゛よがっだでずぅ゛
燕)ふふっ、ほんとに泣き虫だね、早苗は。
早苗)ぞん゛な゛ごどい゛っだでぇ゛、エグッ
燕)おー、よしよし。
早苗)わ゛だじ、がみ゛ざま゛な゛の゛に゛、
な゛みだがどまらないよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛。
燕)だらしない神様ね、本当に。
早苗)ずびばぜん゛、
エグッ
燕)あ、そろそろ時間よ?
早苗)ふぇ?あぁ。
燕)さ、行って。
早苗)つ、づばべざぁぁぁぁあん゛!!
ズズズッ
燕)あーほら汚い、ほらティッシュ。
ズビビー
早苗)あ、あの゛、つばめざん!
燕)なぁに?早苗ちゃん?
早苗)えっと、えぁ。
燕)さ、早苗!?
早苗の体が消えかかってきている
早苗)つばめさん、最後にいいたいことがあるん゛でず。
燕)うん。
早苗)いろいろ、ありました、けど、いままで、本当に、ほんっっとうに――――
消える瞬間、早苗は何かを言いかけていた
声は届かなかったが確かに聞こえた。
「ありがとう」と。
幻想郷 妖怪の山
早苗)ん、ここ、は、守矢神社?
???)そうだよ、早苗。
早苗)あなた方、は?
諏訪子)私は洩矢諏訪子、早苗のご先祖様だよ。
あと、神様です。それとこっちは
神奈子)八坂神奈子、諏訪子といっしょで私も神様だよ。
早苗)ご先祖様がなぜここに?
諏訪子)それは 私が聞きたいことなんだけど?
早苗)え…?
諏訪子)この神社は神奈子と私がいた時代から飛ばしてきたみたいだから
子孫である 早苗がいることの方が不思議なんだけど。
早苗)そうなんですか…だから私のいた守矢神社とは
少し雰囲気が違うんですね…。
諏訪子)ということはなんでここへ来たのか わからないんだね。
早苗)あ、確か八雲紫って人に神様になれって言われて
ここへ連れて来られたんですけど...
諏訪子)そうなんだ。
神奈子)早苗は 私ら二人じゃ 信仰を集めるのにも限度があると思ったから
きてもらったんだよ。
早苗)へ、へぇ…
諏訪子)そうなんだ。
神奈子)…とりあえず、掃除、しようか。
諏訪子)そうだね。
早苗)そうですね。
ここへ来た時から何か心にぽっかり穴が空いているような
感じがしたんだけど これって一体なんなんだろう…?
早苗)………。
諏訪子)どうしたの?早苗。
神奈子)泣いているのかい?
早苗)え?
なんでだろう、なんで私、泣いてるんだろう。
何か、何か大切なことを 忘れてる気がする…。
早苗)……何でも、ないですよ!
諏訪子)そう?何かあるなら相談してね。
神奈子)私らは家族なんだからね。
諏訪子)え?そうなの?
神奈子)そうだろう?
諏訪子)う-ん、まあ、そうだね。
早苗)ありがとうございます。
私はこれでいいんだよね? 燕さん…
霊夢さん…
あれ?霊夢、さん…?
霊夢さんって誰、だっけ…?
ここまで見て下さり有り難うございます。