NARUTO 狐狸忍法帖   作:黒羆屋

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原作第2部の導入部分です。


第2部 第1章 風影奪還編
第33話


 第2部 プロローグ

 

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 本編

 

 真っ向から振り下ろされた忍び刀を、棒手裏剣を仕込んだ右の籠手の回し受けで弾き、そのまんま山賊の懐に入り込み、僕はその鳩尾を寸鉄を握りこんだ左の正拳で撃ち抜いた。

 声もなく倒れる山賊さん。

 周りを見てみると、10人ほどの山賊が倒れている。

 全員死んでおらず、生け捕り、という任務は無難にクリアーできそうだ。

「よし、全員集合」

 そう言うのは僕たちの担当上忍である「メイキョウ」上忍。

 なんでも暗部にいたはたけカカシ上忍も知らない方だそうで、元5代目火影の懐刀ともっぱらの噂です。

 で、()()の僕のチームメイトなんですけど、

 まずお1人目。

「こちらも片付きましたよ、問題はないでしょう」

 そう言ってくるのはドス・キヌタさん。

 元・音隠れの里の人で、この人独自の血継限界、「響遁」の使い手です。

 顔の右側に大きな傷があり、右目も義眼でして、その義眼には中で音が鳴る仕組み、いわゆるオルゴールボールのような忍具が入ってます。

 右の大きな義手はこれもまた忍具で、ドスさんの得意技「響遁・響鳴穿」を増幅するための共鳴器でして、飾りのように首周りについているファーのような素材もチャクラを流すと硬化して共鳴器になる代物です。

 キヌタさんは音を増幅したり、打ち消したりすることが得意なんです。

 で、当初はそれだけだったんですけど、しばらくしてからもの凄い必殺技、というんでしょうか、を使うようになりました。

 響遁でチャクラ刀を強化すると、岩とか固い物がすっぱり切れるようになりました。

 僕の前世の記憶らしいものを引っ張って来たんですけれど、「高周波振動」というものらしいですね。

 そう言う事が出来るのが分かったので、現在キヌタさんは月光ハヤテ上忍に剣術を教わっているとの事です。

 問題があるとすれば、右腕が義手なんで、今のところ五遁をふくむ忍術の大半が使用できない事でしょうか。

 響遁の特化型です。

 それを何とかするために、傀儡術を応用したチャクラでのバイパス技術を修行中なのですが、これがなかなか難しいようで、普通の暮らしは送るのに十分なんですけど、印を結んで忍術を行使するところまではいってないんですよね。

 残念です。

 でも、うちの班では正面にも出れて、後方からの攻撃、支援も出来る遊撃さんです。

 

「この程度、ちゃっちゃと片付けて帰ろうぜ、明後日用事あんだからよ」

「全くだ、さっさと帰って休もうぜ」

 だらっとした物言いはやはり元・音隠れの里所属の宿儺左近・右近の御兄弟。

 この人たちもやはり血継限界の「双魔の攻」を使う人たちです。

 本来2人いるのを、装備ごと兄弟で融合、1人になっているのですね。

 なんでも最初の頃は大蛇丸さんから与えられた「呪印」というブースターで無理やり奥義を使っていたらしいですが、それをやると人格に大きなダメージが入るんだそうで、里の上から使用禁止のお達しがあったそうで大分弱体化したそうです。

 でも、そこから修行によって血継限界をある程度自由に使えるようになったんだそうで、通常のパンチに、兄弟の腕力2人分を乗せるとか、跳躍の時に2倍の筋力で飛べるとか、そういう変則的な事が出来るのだそうで。

 なんか凄いですよね。

 忍術に関しても、兄弟合わせると五遁の術全部を使用できるようで、腕が4本、さらに口も2つある訳でして、色々と応用のきく、強力な人です。

 それから呪印の影響らしいのですが、体が膨大な量のチャクラの使用に耐えられるようになっているそうで、ゆくゆくはかなり高度な忍術を行使できる、との事。

 全くうらやましい。

 それはさておき、なんかだらっとした物言いをしてますが、僕は知ってます。

 明後日は土曜日。

 忍術学校で特別講習があるんですよね。

 講師は我らがうみのイルカ先生。

 左近さんたちもイルカ先生が気に入っているらしい。

 2人して「多由也がイルカ先生のためにクッキー焼いてた」とかいろいろ教えてくれる。

 

 で、最後は僕、茶釜ブンブク。

 この2年半ほどで急速に大きく…なりませんでした。

 大体サクラ姉ちゃん(150cm)とほぼおんなじくらい…です…。

 うそです、見栄張りました。

 ほんのちょっと小さいです。

 ほんとにねえ、背が伸びない。

 なんか切実な唄がありましたよねえ、

 金もいらなきゃ女もいらぬ、あたしゃも少し背が欲しい~っ♪…って。

 ほんとーに切実です。

 で、立ち位置的にはなんて言うんでしょうか、見事に便利屋です。

 忍術は日ごろの努力が実ったのか、土遁と水遁はそれぞれ1m程度の土流壁、水弾を使用可能になりました。

 まあ、これも数発でチャクラ切れになるんですけどね。

 あとは風遁が少々。

 風弾レベルはかなりしんどいんですが、大気中の気流の流れを若干調整する程度の事は楽にできるようになりました。

 なぜか口寄せに関しては器物の口寄せと狸の口寄せに関しては非常に高い適性があるそうで、チャクラの消費がかなり抑えられているとの事でした。

 幻術は実用レベルになりましたが、不意を突くための小技が大概です。

 五感全部に効果のあるような術なんてとてもとても。

 体術に関しては、なかなかのものであると、ガイ先生からもお墨付きをもらいました。

 もっとも、未だに手裏剣の投擲はあまりうまくないです。

 辛うじて実用レベル、というところです。

 例の「布槍術」の精度が上がったくらいでしょうか。

 変化に関してはみんなも驚く出来栄えです。

 そう言えば、獣遁を修めたせいか、文福狸との人格統合が進んだせいか、野生の狸に命令が出来るようになってきました。

 結構便利です。

 防御に関しては回し受け、化勁などの受け流しの技を覚えました。

 これに、うちの血継限界の忍術である「金遁・部分什器変化」を使いますと、腕の攻撃を受ける部分だけ金属にして受ける、とかが出来るんですよ。

 意外な強さです。

 もっとも、火影さまに見せたところ、「昔から使うものがいる」と言われました。

 ご先祖さんとも考えている事がおんなじようで。

 攻撃に関してはちっと不安な感じです。

 記憶の中から掘り出したものは大概他の人たちがモノにしていきましたし。

 ロック・リーさんの「木の葉颪・破城」とか、日向ネジさんの「八卦双掌・桜花」とか。

 後はある程度僕もモノにできたのが「しんいはっきょくなんちゃら」とか言う奴でしょうか。

 とはいえ、この拳法のしゃれになんない技の数々をモノにしていったのが次郎坊さん。

 もともと似たような術理の格闘術を身に付けていたためでしょうか、あっという間に僕を追い抜いて行っちゃいました。

 本人いわく、「呪印を使わなくなっても『状態1』の時より威力がある」との事です。

 確かそれって、チョウジさんが「ホウレン丸」食べての力比べで五分だったって話のあれですよね。

 シャレにならないなあ。

 単純火力なら上忍の上に食い込むんじゃないかしらん。

 結局僕の役に立ったのは打撃技よりも「擒拿(きんな)」という立ち技からの関節技です。

 あ、そうそう、最近僕は「お兄ちゃん」になりました!

 妹が生まれまして、6ヶ月です、名前は「フク」ちゃんです。

 もうおっとうが大喜びで。

 誰だこの人ってくらいにデレっぷり。

 おっかあが、

「娘だから、将来は誰のお嫁さんになるのかしらね、その頃までにカカシちゃん独身かしら」

 とか言ったら、その日にえらいことになりました。

 …何が起きたかは聞かないでください。

 

 ちなみに、最初からこのチームだった訳じゃありませんでした。

 一応、最初は卒業が一緒だった同期の子たちと組んでたんですよ。

 でも、ある程度Dランク任務をこなした後、Cランクの任務を受けた時です。

 盗賊との戦闘がありまして、1人どうしても戦いが出来なかったんですよね。

 人を殺す、それが無理、それは当たり前のことです。

 いくら忍術学校を出たからと言って人殺しが出来るか、って言えば出来ない人の方が多いのでしょう。

 いままではそれを無理に経験させて馴らしていったんでしょうけど、今の火影さまの方針として、今年から下忍の下の見習い資格を作って、低レベルの任務をそちらに任せることで任務のすそ野を広げる狙いのようですから。

 今年はちっと人が減るかもしれませんが、あと数年かすると、まるでRPGの冒険者ギルドみたいになってくるんだろうなあ、とか楽しみに思ってみたり。

 話がそれました。

 で、1人は見習い資格で止めて、うちの手伝いをしながらD級、C級の内危険のないものをこなしていくんだそうです。

 もう1人は元々医療忍者を目指していた子で、戦いよりも医療の現場に行きたいとのことでした。

 元々が前線で闘う技術の高い一族の子だったんで、親御さんの反対もあったのですが、僕とメイキョウ先生の説得により最終的には認めてくれました。

 真面目な話、医療忍者って普通の忍よりも価値が高いんです。

 医療忍者が1人増えるのは「木の葉医療忍軍デスマーチ」を間近で見たものとしては大歓迎なんですよ。

 なので結構頑張っちゃいました。

 その後に上層部での話し合いで僕とキヌタさん、で後は時々元・音の四人衆の人たちが入れ替わりにはなるものの、大体は左近さん、右近さんの実質4人1組(フォーマンセル)での任務となっています。

 

 さて、僕たちの担当上忍、メイキョウ先生ですが。

 みなさん曰く、「格好以外は地味」だそうで。

 まあ確かに外見はなかなか凄いよね。

 額には木の葉の額当て、で、左目に眼帯、顔の下半分には鬼みたいな牙の生えた面頬で、人相は全く見えない。

 忍び装束は全くのスタンダード。

 上忍ともなると、色々自分が使いやすいようにいじるもんなんだけど、メイキョウ先生は全くそう言うところがない。

 腰には小太刀レベルの短い忍刀。

 ホルダーには使いやすい十字手裏剣。

 五遁の触媒を持っている。

 そんな感じ。

 格好、というか首から下は地味、だと思う。

 で、戦い方を見た感想は、僕曰く堅実、左近さん曰く地味、という事。

 五遁に関しては炎弾、水弾レベルの最も弱いものしか使っていない。

 とはいえ、その威力は一段上のレベル。

 幻術は相手の気をそらすちょっとしたもののみ。

 それが相手を確実に追い詰める。

 体術はとてつもなく早い動き、というのではないが、するりするりと相手の認識外に入りこむ能力が高い。

 気が付くとどこにいるか分からない。

 そんな恐ろしさがある動き。

 まさしく体術のみの「瞬身」だ。

 格闘術の古い言葉で言うところの「縮地」という技術。

 それだけで上忍の「瞬身」とタメを張る動きをするのだから恐れ入る。

 手裏剣術も非常に高レベルにある。

 左近さんたちは地味だというけど、僕にとっては極上の見本が来たようなものだ。

 マイト・ガイ先生が「豪拳」なら、メイキョウ先生は「静拳」という感じだろうか。

 もしかしたらメイキョウ先生も保有チャクラの少なさに泣いた人なのかもしれない。

 それが、今や元5代目火影の懐刀と言われるまでに強くなった、という事なんだろう。

 凄いよね。

 是非とも見習わないと。

 

 さっきからも言ってるけど、元5代目火影さま。

 志村ダンゾウさまはつい先日6代目火影さまにその地位をお譲りして火影の地位を退位なさった。

 また普通の年寄りに戻るだけだ、と言ってらしたけれど、まあ、また「根」のお頭に戻るのだろう。

 ちなみに僕もあと数年修行を続けて実力を磨いたら「暗部」に入る事になっている。

 まあ、その頃でも実力は推して知るべしだと思っているから、どっちかって言うと裏っ側の事務方、という感じになるんだろうけど。

 そこいら辺の話も、暗部のフーさんとトルネさんから教わっている。

 あ、無論「舌禍根絶の印」は受けてますよ、機密事項を知る訳ですから。

 これでも僕は忍です。

 必要な事ですからね。

 別におかしい事じゃないと思いますから。

 実際、日向ネジさんも「日向の呪印」を受けているからこそ、最前線で戦えるわけだし。

 さて、6代目火影さまを継いだのは千手綱手姫さま。

 いまだに独身でらっしゃるし、綺麗でいらっしゃるので「姫」って呼んでも良いよね。

 ちなみに本人に言ったら「やめ!」と言われました、解せぬ。

 ダンゾウさまが引退する、と宣言した今から約1年前かな、そのころから綱手さまは火影候補としてダンゾウ様についてお仕事を学ばれていました。

 ダンゾウさまの行幸にはいっつも一緒に付いていらしたし。

 ちなみに、体調が良くなって退院なされた元3代目火影・猿飛ヒルゼンさまも一緒にいらしている事もあり、なかなか壮観な感じでした。

 いま、顔岩の所には以前からつくられていた綱手さまの顔が、ダンゾウさまの顔の隣にどん! と鎮座しましています。

 とはいえ、良い事ばかりが起きているわけではありません。

 最近、ヒルゼンさまの具合が良くないようで。

 70歳を過ぎてらして、火影としての激務、3年前の「木の葉崩し」の激闘がその寿命を大きく削ってしまったようなのです。

 猿飛アスマ上忍とか、猿飛木の葉丸くんとかが心配そうに言ってました。

 その関係で、アスマ上忍は夕日紅上忍、キバさんたちの担当上忍だった方ですね、と恋人同士だったそうですが、しばらく前に正式に結婚なさいました。

 紅上忍はいまだ引退できていないそうですが、子どもが出来たら産休を取る、との事でした。

 子持ち上忍かあ、ちゃんと育児手当出るのかしらん。

 忍に対する補償制度は5代目さまが設定はしたものの、動かす前に引退なさったので6代目さまが実際に動かしていくことになるのですよ。

 まあ、綱手さまならそこいらはきちんとしてくれるでしょう。

 で、僕は定期的にヒルゼンさまの所にお伺いすることになってます。

 ダンゾウさまからもお願いされてますし。

 お話し相手を務めつつ、ヒルゼンさまのライフワークである考古学の論文のまとめをお手伝いする感じです。

 最近は文福狸に表に出てもらわなくても彼の記憶を呼び出す事が出来るので、文福さんになる事はあんまり多くありません。

 とはいえ、文福さんの方がヒルゼンさまが話しやすい場合もあるので、その時々で変えてます。

 …そういえば、最近ですが、文福さん以外の記憶が混じりこんでいるような気がしてなりません。

 どこかで読んだ文献が記憶の統合でごっちゃになっている可能性があるみたいです。

 これがいわゆる二次元脳、という奴なんでしょうか。

 …多分違います。

 

 木の葉隠れの里が5代目火影・志村ダンゾウさまの代で変化があったように、他の里にも変化があったようです。

 砂隠れの里では、木の葉隠れ式の忍術学校が本格的に指導しました。

 見習い制度も取り入れて、現在かなりの人数が入学しているようです。

 時々僕も特別講師としてお手伝いしたりしてます。

 なんでも少数部族やあまり経済的に余裕のない一族の三男坊とかが入学して、手に職、という感じで忍になろうとする場合も多いとか。

 なんか、木の葉隠れの里の忍術学校よりもさらに冒険者ギルドみたいになってますね。

 忍術に才能が低かったとしても体術ならば伸ばしうるわけですし、万一忍になれなかったとしても修行の結果手に入れた身体能力はいろいろな面で生かせるでしょうしね。

 見習いでもDランクの仕事が出来れば1回につき1日くらいは生活できるお金になりますし。

 僕は特急便がわりによく砂隠れの里まで行くことが多いです。

 大体月に1週間くらいは砂隠れで暮らしているんじゃないでしょうか。

 おかげで執政区画のあたりにお部屋を貰ってしまいました。

 なんか、顔見知りがものすごく多くなってしまっています。

 我愛羅さんは最初に会ったときからもの凄く辺りが柔らかくなりました。

 時々、テマリさんやカンクロウさんたちと一緒にお食事を頂いていたりします。

 守鶴さんは相変わらずです。

 今までも何回か化け狸と一緒に宴会をしました。

 なんか、その度に僕への里の人たちからの視線が強くなるのは何なんでしょうかね。

 カンクロウさんは、我愛羅さんの護衛、テマリさんがいない時の外交特使と大忙しのようです。

 たまにマイト・ガイ上忍が来たときは僕と一緒にガイさんにしごかれてひーこら言ってます。

 修行と言えば、ガイさんの修行に我愛羅さんも参加しています。

 どうやら我愛羅さん、口には出しませんがリーさんが目標らしいです。

 …恐ろしい。

 ガイさん曰く、カンクロウさんも我愛羅さんも筋は良いらしいです。

 …僕ですか?

 ええっとですね、僕は平均的に強いそうです。

 特化した部分がない、ということらしいです。

 つまり、「地味」って事ですね。

 まあ頑張ってじわじわと強くなる事にしますとも、ええ。

 テマリさんは外交特使として他の里や大名の元へと足を延ばしています。

 おそらく里で一番忙しいんじゃないでしょうか。

 今、砂隠れの里がやっていることは風の国の事業としても収益の見込めるもののようでして、砂隠れの里と風の国の都とを行ったり来たりしているそうです。

 僕と会うと、「あんたの飛行忍術がうらやましい」とか言われますが、そう言われてもねえ…。

 きっと、今よりも大きな扇子を使えば飛行できるんじゃないでしょうか。

 あ、そうですかだめですか。

 

 砂隠れの里の忍術学校改革は順調に進んでいまして、これがモデルケースとしてうまくいったらば、次は霧隠れの里に売り込むという話が出ております。

 霧隠れの里ではクーデターが成功し、穏健派が政権を取ったとの事。

 あそこは血継限界の一族に厳しかったらしいのですが、今回水影さまになったのは妙齢の女性だそうです。

 で、霧隠れの里も実のところ砂隠れの里に近いところがあるのですよ。

 つまり、海というフロンティア。

 水上、水中に適応した忍術、人がいる霧隠れの里は海上貿易、冒険の起点ともなれる所なわけです。

 わくわくしません? まだ見ぬ島、大陸、そしてそこにあるだろう浪漫!

 やっぱりジ○ンプだったら、ねえ! 目指せ「偉大なる航路」っしょ!!

 目指せ宝島!

 やっぱり船長は片足のナイスガイだよね!

 …失礼、テンションが上がりすぎました。

 とにかく、砂隠れの里が西方との交易路になりうるなら、霧隠れは南方との交易ルートを開拓しうるわけです。

 そうなるとやっぱり水遁の使い手、とか、海に関する口寄せのできる術者なんかが強いんではないか、と。

 そういった人たちを多く育てる事が出来るのなら、霧隠れの里、ひいては忍五大国を含めるこの近辺の国々への利益になるんじゃないか、と思う訳ですよ。

 ってな事を5代目さまに行ったら、

「同盟がなされたら派遣する。

 プレゼンをしてくるように」

 とのお達しがありました。

 …あっちで手伝ってくれる人いるかな…。

 そういえば、雲隠れの里ではウチとそう変わらない学校制度があるらしいですね。

 一部はうちより優れた所があるとか。

 ちょっと興味あります。

 向こうではキラー・ビーさんと仲良くなれましたし。

 …雲隠れって聞くと、なんかこう何かがキュッと縮む気がするのはなんでだろう。

 地震雷火事親父って言葉がありますが、あれの親父って「大山父(おおやまじ)」つまり台風の事なんですよ。

 なにが悲しゅうて本物の雷親父に会わなきゃなんないんですか!

 もうほんとに勘弁して下さい…。

 岩隠れの里はまだ行った事がないんですよね。

 あそことは前の大戦でかなりこじれたらしいですから。

 でも行ってみたいなあ。

 あの辺りは「岩雨」っていう瓦礫が風で飛ばされてくるちょっと危ない自然現象があるんで、飛んで行くのがちょっと大変なんですよ。

 風が強いんで気流が読み辛いし、岩雨のせいで結構高高度を飛ばないといけないのでなおさらですね。

 今度は強硬偵察用の変化も考えた方がいいかもしんない。

 

 

 

 6代目火影・千手綱手への火影の執務の一切の引き継ぎが終わり、元5代目火影・志村ダンゾウは一息をついていた。

 余りにも濃厚な3年だった。

 今まで求めても手に入らなかった火影の座。

 それはあまりにも過酷なものであった。

 とにかく「根」として培ってきた外交法が軒並み使用できない。

 とにかく綺麗にいかねばならない。

 その上で、火影という名を守らねばならないという重圧。

 ダンゾウのような影を仕切れるものがいなかったのがより負担を増やす要因でもあった。

 しかし、山中フーと油女トルネはよくやってくれた。

「根」の存在を周囲に知らしめることなく、休眠させていてくれた。

 彼らの働きにいつかは報いねばなるまい。

 ダンゾウはそう考えている。

 ダンゾウは忘れている。

 かつてのダンゾウはそのような考え方をしない。

 手下(てか)を人として扱う事をしなかった。

 それは火影としての経験なのか、それとも誰かの影響なのか…。

 

「…いつまでそうしている。

 出てきたらどうだ?」

 ダンゾウは闇に声をかけた。

 ぬるり。

 闇の中からそう音がしそうな雰囲気を持った男がにじみ出る。

 年齢不詳のその男、大蛇丸がダンゾウの前に現れた。

「お久しぶり、ダンゾウ。

 ずいぶん疲れてるじゃない?」

 大蛇丸は元5代目火影にそう軽口を叩く。

「ふん、貴様が里抜けをせず、おとなしく『根』の後継になっておればこのような事にはならなんだ」

 対するダンゾウは硬い。

 いや、これがダンゾウの素であった。

 大蛇丸はのうのうとダンゾウの前にある椅子にすわり、グラスを取り出して酒を注いだ。

「…誰も貴様に飲ませるなぞとは言っておらんが…」

「何をせせこましい事を、元5代目火影の名が泣くわよ…」

 しばらく差し向かいで酒を飲む2人。

 ダンゾウの酒が切れると、瓶を持ち、ダンゾウに酒を注ぐ大蛇丸。

「…殊勝なことだ、貴様がそんな事をするとはな」

「…そうね、『後継』というものを持つと、いろいろと、ね」

「で、今日は何用だ?」

 いきなり要点に切り込むダンゾウ。

「2つ。

 1つは先生の容体よ」

「分かっているだろうに。

 そう長くはない」

 ダンゾウは表情を変えずに言う。

 だからと言ってダンゾウがヒルゼンをどうでもいい、そう思っているわけではないだろう。

 大蛇丸がどう言おうと自来也や綱手を無視できないように。

「長くともあと半年。

 明日に容体が急変してもおかしくはない」

 ダンゾウの言葉にふうっと溜め息をつく大蛇丸。

 愛憎まじりあう心中が吐き出させたものか。

「ではこちらにももらおうか。

 なにが出せる?」

 ダンゾウがそう問いかける。

 大蛇丸に交渉のカードを切れ、そう言ってきているのだ。

「…『暁』の情報」

「! ほう…」

 ダンゾウがピクリと瞼を動かした。

 ダンゾウとて「暁」関係のルートは持っている。

 しかし、これはとかく使いづらい。

 下手に使うと簡単にラインが切れる可能性があった。

 ダンゾウの持っているルートでは手に入らない、かつて暁にいた大蛇丸だからこそ入手できる情報、確かにそれは貴重だ。

「話してみろ…」

「『暁』が尾獣狩りに動いている」

「!」

「把握している限りでは五尾が堕ちたのが確認できているわ」

 岩隠れの里の情報は、かつての忍界大戦の影響により、他の里よりは入手し辛くなっていた。

「そうそう、滝隠れの里の七尾も狙われたそうだけど、『守護神』によって撃退されたそうよ、楽しいわねえ…」

 そう言うと、大蛇丸はくすくすと笑った。

 大蛇丸は暁に屈折した感情を持っている。

 暁の失敗は彼にとって愉悦なのだろう。

 それも、

「アナタの所の子狸、彼が関わっていたのでしょう?」

 未熟な下忍の作品で、である。

「あれの力、だけではあるまい

 貴様が切り捨てた手駒、有効に使わせてもらっているぞ」

 ダンゾウの舌鋒が大蛇丸に襲いかかる。

「そ、廃品回収御苦労さま。

 おかげでワタシは最高の()()を手に入れる事が出来たのだから」

 ダンゾウは意外に思った。

 うちはサスケは大蛇丸にとって次世代の器でしかないと思っていたのだが。

 素材、か。

 こ奴もどこか変わったのだろうか。

「情報提供、感謝する。

 そろそろ帰ったらどうだ?」

「何言ってるの?

 もう1つあるって言ったでしょ?」

 ダンゾウは黙って先を促す。

「しばらくあなたの後継を借りたいのよ」

 大蛇丸の言葉は、ダンゾウをして予想外の事であった。

「…あれからは情報を引き出せんぞ」

「あらやだ、あれ(舌禍根絶の印)付けてるの、あの子!?

 てっきり…」

「違うな」

「は?」

「アレは望んで印を受けた。

 秘密保持には必要だろう、とな」

「…末恐ろしい子ね、なおさら興味がわいたわ…」

「そういう奴は多いな」

「気の毒な事…」

 その日、夜遅くまで妖怪2匹の会談は続いた…。




ドス・キヌタ君の右手が義手になってますが、原作では確か生身の腕なはずです。
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