【主人公】戦場駆動【喋らない】 外伝   作:アルファるふぁ/保利滝良

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今回は、推奨BGMがあります

HIBRIA の、welcome to the horor show です タナトスがブースター起動した時に流し始めると盛り上がります

かけなくても問題ありません それでは、コラボ後編、ごゆっくりどうぞ


屑鉄の少女 後編

タナトスの頭に、パワードールのバズーカが直撃する 爆発がその横っ面を叩いた 激しい音が鳴り、激しい煙が上る

ユリンは瞬間的に確信した 統合政府軍はこの黒い正体不明機を敵だと認識したのだと アンタレスディザスターと一緒にいたからだろう、ロケット砲やらバズーカやらがタナトスごとアンタレスを葬ろうと殺到する 反対方向からはなんとキキョウシステム機フレスヴェルグの反応も幾つかある

攻撃を見るに、60は下らない数のパワードールが来ているのだろう ユリンはため息をついた

「パワードールの攻撃で足を止めて、キキョウシステムでトドメ・・・確実に殺しに来てるわね・・・」

冗談じゃない、と思った

勝てる可能性は薄いだろう 仮に今からリョウトのセラフィムが援護に来ても、あの数ではやはり危険だ

ユリンは隣を向いた 今頼れるのは、見ず知らずのコイツしかいない さもなくば、殺されるだけだ

拡声器を起動して、叫ぶ

「そこの黒いの!」

バズーカの爆煙が晴れ、死神の顔が無傷のまま表れる ユリンは再び驚いた パワードールのバズーカでは大したダメージにはならないらしい 期待が高まる

「死にたくなかったら私に協力しなさい!貴方は正面、私が後ろから来るのを撃退するわ!」

死神はゆったりとした動きでアンタレスを無言で睨み付ける アンタレスディザスターも、カメラアイをタナトスに向ける 数秒の間 互いが互いを睨み付けた

 

 

 

もしタナトスがユリンの敵なら、恐らくこの状況ではユリンの最期は決していた

しかし運命はこの二人を、一時の戦友として引き合わせた

 

 

 

タナトスがユリンの指示した方向を向く

両手の武器を正面に向け、死神は魂を刈る準備を始めた

機体のエンジン音が一際大きくなる

それは、言うなればレース前のアイドリング

 

アンタレスディザスターが主人の命ずるままに機体を動かす

ユリンの目が金色に光り、その『能力』が発動する

空間が歪む 障壁がアンタレスを覆う

彼女を守る盾が、他でもない彼女自身により創られる

 

たった一瞬だけ、死神と少女が互いの背中を預けた

 

タナトスがブースターを起動した 文字通りのロケットスタート

加速する先、敵機が見えた

「奴だ!総員、撃てーッ!」

無数のサジタリウスが攻撃を始めた

攻撃が着弾する前に、死神が急上昇 地と平行に飛んでいたパワードールの弾がタナトスに避けられ、明後日の方へ飛ぶ

「よ、避けた!」

「な、何だアイツ!?飛んでやがる!」

空中から死神が急降下する 脚の裏を真下のパワードールに向け、一気にブースターを噴射して加速

ストンピングを打ち込む

「うわあああああッ!!」

母なる大地と死神の足にサンドされ、若き命が派手に潰れた もう片方の足は隣にいた仲間もペシャンコにしている

80ものパワードールが隊列を組めば、その中心に敵が飛び込んだときに撃ち合いで同士討ちが起こってしまう しかし、パワードールはほぼ平面にしか動かないため大軍の中心に敵が来ることは無かった

だが今、パワードールとは明らかに違う何者かが、それをやってのけた

「う、撃て!撃て!」

「今撃ったら仲間に当たる!」

「ならどうしろってんだぁ!」

フレンドリーファイアを恐れ、統合政府軍の攻撃が一瞬止まる

そんなチャンスを死神が見逃すわけはない

左手のガトリングを連射し、そのままゆっくりと銃口を別の方へ向ける

鋼鉄の流星群が無数のサジタリウスを襲う 直撃を食らった機体は紙屑の如くボロボロになり、パイロットと共に機能を停止していく

この時点で統合政府のパワードールは半分倒されている

「ば、化け物・・・ぶえっ」

さらに、近くのサジタリウスが死神に蹴り飛ばされる とてつもない遠心力と質量を伴い放たれた爪先を、戦車砲も耐えられない機体が防げるはずもない あまりの威力に、機体が半分に裂ける

そのままタナトスはブースターを再び吹かし、空を飛ぶ 同士討ちの危険が無くなり、パワードールは死神を倒すべく火器を打ち込む 

「逃がすな!撃て撃て!!」

「ふざけるなよデカブツッ!」

ロケットとバズーカが同時に頭部に当たり、タナトスが一瞬動きを止める

「あ、当たった!」

「やったか!?」

爆発を食らいヒビが入った頭部をパージし、死神はバズーカを地に向けた

死神の素顔、ドクロの頭が晒される

パワードールのものなどとは比べ物にならない口径のバズーカから放たれるのは、やはりパワードールのそれとは比べ物にならないサイズの榴弾

爆風ですらサジタリウスを粉砕するには充分すぎた

爆風の半径にいるパワードールが文字通り消滅していく

この時点で、統合政府軍は撤退を始めた 撤退の合図の信号弾を見た機体が我先にとスラスターを起動して逃げ出そうとする

しかし、タナトスもその全身のスラスターを起動した 逃げ出すためではない、追いかけ追い込み追撃するためにだ

ジェット機と見間違うスピードのタナトスが、逃げるサジタリウス部隊の頭上を飛び越し、進路上に着地する

タナトスが着地した地点の地面から土煙が上がる 少しだけ土煙に隠れた死神の、ドクロのカメラアイから出る光が、サジタリウスのパイロットの恐怖を煽る

「う、うわあああああ!」

「た、助けてくれぇ!」

「ひいいいいいいいッ!」

「ぎゃああああああ来るなあああ!」

タナトスがブースターとスラスターを使い、凄まじいまでの速さでパワードールに突撃する

無論、両手の武器を乱射しながら

 

 

統合政府軍のパワードール部隊80機は全滅した

奇しくも、それはユリンが一度の戦闘で相手にした最大数だった

 

 

 

撃墜されたフレスヴェルグの中から、パワードールが現れる 両手のブレードを展開し、アンタレスディザスターに突貫する

一機をすれ違い様に切り捨て、ユリンは叫ぶ

「後・・・5機ッ!」

しかしフレスヴェルグのパワードールはアンタレスを囲む 動きを止め、前後左右の攻撃に備えるユリン

背中をとられるのは、接近戦では致命的である

背後からブレードを振りかぶり、フレスヴェルグのパワードールはアンタレスに飛び掛かる

気付いたユリンが振り向いた瞬間、バズーカがその飛び掛かった敵を砕く

反応の遅れたもう一機もついでにガトリングを食らう

無人機の障壁は、不意打ちでは発動しない

撃たれた方向には、いつの間にか骸骨頭になった正体不明機がいた

フレスヴェルグがそれを凝視した瞬間、ユリンは横にブレードを振る

一気に、残りの3機が真っ二つになり、さらにユリンの能力で紙のごとく潰された

 

「クソッ!作戦は失敗か!」

「し、司令官!セラフィムが接近しております!お逃げください!」

「な、何!?足止めが全滅したのか!?」

この言葉を最後に、キキョウシステムにより、この作戦を指揮した司令官は死亡した

 

ブレードを振り抜いた姿勢のまま、アンタレスディザスターは止まった

機体から体を出し、ユリンはその生身を死神に晒す

タナトスは、やはり無言でアンタレスとユリンを見下ろす

また、互いが互いを睨み合う

数瞬の後、タナトスの背後にあの枠が現れる

ユリンが驚愕する間もなく、枠の中にタナトスが吸い込まれる

そして枠は眩い光を放ちながら消え、そこには初めから何もないかのような静寂が残った

「一体・・・何だったの・・・?」

ユリンが呟いた時、彼女は何かを見つけた

「な、何あれ!?」

それは、タナトスの頭部装甲だった

死神の仮面が、あの光景を現実だと、無言の内に語っていた

「ユリン、帰るぞ!」

通信機から、リョウトの声が響く

「・・・わかったわ、リョウト アンタレスディザスター、帰還する」

首を傾げながら、ユリンとアンタレスディザスターは、帰路についた 

「本当に、何だったのかな・・・?」

タナトスの頭部がその後この世界でどうなったのか

それは神のみぞ知る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良かったですよー、一時はどうなることかと・・・」

「奥さんとしちゃ、亭主が消えると困るもんな」

「ラドリーッ!!!」

「うひぃ、怖い怖い」

ピラミッドの中に再びタナトスが現れたのは、彼が消えてから10分も経たない頃だった

輸送機の中に収容されたタナトス

そのパイロットは、あるメールを受け取った

差出人、『フルハウス団ハートグループ代表 フランシスカ・ディバイング』

件名、『寝返りのお誘い』

 

 

to be contued…





いかがでしたか?
今回の話で興味をもったら、是非水底のオッツダルヴァさんの作品もご覧ください!

最初は、水底さんからコラボを持ち掛けられて、屑鉄の少女をよく閲覧していた私は舞い上がるように喜びました この場を借りて感謝します!水底さん、ありがとうございました!

もしも、もしもですが、「俺もアルファるふぁの作品とコラボしたい」という方がいらっしゃったら、活動報告にてお待ちしております どしどし声をお掛け下さい!

それでは、閲覧いただきありがとうございました
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