【主人公】戦場駆動【喋らない】 外伝 作:アルファるふぁ/保利滝良
今回、死神くんが大虐殺でハッスルハッスル!
「作戦内容を説明します」
ミシェル・レイクの美しい声が、通信機から聞こえる
「例の『枠』にて異世界の探索、及び異世界で有益な物を見付け回収することが目的となります」
彼女がオペレートしているということは、つまり大陸最強の傭兵がアップを始めたと言うことである 無論、その傭兵にはセットでその傭兵の乗機が必ず付いてくる
「向こう側から戦闘を仕掛けてきた場合は、やむを得ませんが迎撃してください」
二度目の異世界旅行 タナトスの装備も万全だ
最初からコトを構えるつもりは毛頭無いが、ホーネットクルーは現在の最高の状態でタナトスを見送ることにした
前回はいきなり攻撃を受けたのだ 今回はそうではないと誰が言えようか
やはり人類の本質は争いなのか
「タナトス、出撃お願いします!」
輸送機ホーネットのハッチが開く
そこから現れた一機の人型機動兵器 それこそが、この大陸最強の機体
その威風堂々たる禍々しい姿を満月に晒しながら、死神は飛び立った
その行く先は偽ピラミッド 異世界の扉がある不思議な場所だ
推進力を巧みに操り、黒い巨人は空を飛ぶ
あっという間に目標地点へたどり着き、そのままピラミッドにぽっかりと空いた大穴へと滑り込む
タナトスが入っても尚余裕のあるピラミッド内部 そこには、絵画の枠を大きくしたような物があった 大口を開けた極彩色の渦を囲うそれは、信じがたいことに異世界の扉である
これをくぐれば、そこは見も知らぬ異界の地
タナトスは寸分の迷いもなく、その枠に突入した
「必ず・・・帰ってきて・・・」
オペレーターの声は、確かにコクピットに響いていた
タナトスは気が付けば見知らぬ場所にいた
そこがピラミッド内部などではないことは一瞬でわかった
散乱する瓦礫 どす黒い血溜まり そこかしこから上がる火の手と煙
あの、生き物の気配など微塵も感じさせない遺跡然とした偽ピラミッドとは似ても似つかない戦場
これが、死神の傭兵が訪れた異世界の地域だった
そして、タナトスの足下には戦車があった
正確には、タナトスの重量により潰れた戦車が
そう、タナトスに踏み潰された戦車があった
この世界全体ではわからないが、この場では人型戦闘ロボットは存在しないようだ 主力は戦車と歩兵 見た目はタナトスの相手にならないように見える
仲間を踏み潰されたからか、周りに点在した戦車部隊から砲弾のシャワーがタナトスに降り注いだ
やはりそこまで強力な戦力ではないようだ その攻撃は装甲を文字通り削りこそすれ、まったくダメージらしいダメージは与えることはない
しかし装甲を削られていることは事実 突き刺さった砲弾が溶けて装甲に引っ付いている
やらなければやられるのだ、どんな世界でも
左手のガトリングが一瞬空回る 次の一瞬後にはそこから弾丸が飽き飽きするほど吐き出される
この世界の者達が、別の世界から訪れた死神との誤解を解くこともなく、戦闘に突入した
その戦車部隊が本来戦っていた相手もまた、タナトスに襲い掛かろうとしていた