ラブライブ! ~閃く鬼と九人の歌姫~   作:ブレイアッ

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ー告ー

『お気に入り10件』
お気に入りして下さった方々に感謝です

かなりの遅筆になりますが今後ともよろしくお願いします


二之巻 知らぬ陰

「私、小泉花陽は親友の凜ちゃんと一緒に行った山で不思議な男の人に出会いました。その人の名はセンキ。

突然怪物たちに襲われた私達を助けてくれて逃げている時に私は怪物の攻撃を受けてしまいます。また怪物に挟まれて絶体絶命! ってなったときに私の前に現れたのは…………鬼でした。

今、私の目の前には、鬼がいます」

 

 

 

本編

 

「鬼か!」

「ん、鬼だ」

 

花陽の前に立つ人の形をした鬼と名乗る人物はまさに異形の姿をしていた。

青とも緑ともとれる色の体にのっぺらぼうのような黒い顔に暗い青の隈取り、ギターの弦のようなものを模した斜め掛けの装具と手首と足首にもそれと似たようなものをまとい、腰には褌のようなものを巻き、右腰には三本の針に似た棒を、後ろ側にもそれを大きくしたようなものが二本ついている

 

「……………」

 

鬼は花陽をちらと見、目の前の姫に向かって走る。その速さは花陽の目では追いきれないほどで、走り出してから姫を蹴り飛ばすまで一秒と経たなかった

 

「鬼闘術……鬼爪!」

 

姫を蹴り上げだ鬼は右手の甲から三本の長い爪を生やし、落下してくる姫の体を貫いた!

抵抗する間も与えない鬼の速攻は一分と経たずに姫を爆散させた

鬼はその場から後ろへ跳躍。花陽を飛び越えて後ろにいる童子の前に着地した

 

「ッ!」

 

鬼が後ろにつけている大きな針に似たものを逆手に抜くとその針の長さが二倍近く伸びる。鬼はそのまま後ろの方向に針を振り、鬼の後ろに立つ童子の体を貫いた!

腹を貫かれた童子は白い血のような液体を吹き出しながら後退する。鬼は止めとばかりに右腰の童子の腹に突き刺さっているものより小さい針を抜き、童子に投擲。童子は爆散した

僅か二分にも満たない戦闘は鬼の圧倒的勝利で終わった

 

「…………………」

 

姫と童子を倒した鬼は無言のまま花陽の元に歩み寄る

次は自分が殺られるかもしれない。そんな恐怖が花陽を襲う

 

「いや……………」

 

ピタリと動きを止め、困ったように頭をかく鬼。どこに口があるのかわからないがはぁ~とため息を一つ。すると鬼の顔面部分が光り、そこには………

 

「センキ………さん?」

「おう、恐がらせたみたいだな。大丈夫か?」

 

鬼の身体のまま、顔だけが人間のものへと変わったセンキがいた

 

「立てるか?」

「ごめんなさい…立てないです」

「そっか。じゃあ……」

 

センキは花陽の前にしゃがむ

 

「え………?」

「わからないか? おぶってやるよ」

 

 

「おーい! かよちーーん!」

「センキくーん! いるかーー!」

 

 

「凜ちゃんの声だ」

「明日夢さんも一緒か。ちょうど良かった。ちょっと急ぐぞ」

「はい」

 

花陽はセンキの背中に乗り、首に腕をまわす。センキの身体は大きく、不思議な安心感があった

 

「しっかり掴まったな?」

「はい」

「よし、行くぞ」

「きゃっ」

 

センキが立ち上がると視線が地面から二メートル近く離れる

 

「少し走るから、しっかりつかまってね」

「? はい」

 

何故二度も同じことを聞くのか、そんな疑問はすぐに消えた

一度しゃがみこみ、そこからの跳躍。そこからは木の上を飛び移りながらの移動。遊園地のジェットコースターなど比較にならないような上がり下がりに、目が回る。

 

「ようこそ」

 

揺れが収まり、目を開けるとそこには大きめのテントが二つ、白いフォールディングテーブルに折り畳み式のキャンプ用のイス、コッド(ベッド)等が設置され、テーブルの上にはギターケースと赤、緑、青といった色のテープが貼られたケースが4つ程置いてあるキャンプサイトに来ていた

 

「ちょっと待っててね、今から着替えるから。あ、そこに座って待ってて」

 

そう言ってセンキは張ってあるテントの一つの中に入っていった

 

/〇\●/〇\

 

「お、やっぱりいた」

「かよちん!」

 

しばらくすると二十代前半の眼鏡をかけた男性と凛がキャンプサイトに来た

 

「かよちん………だっけ? 怪我、見せてくれる?」

「はい…………えっと」

「あ、ごめんごめん。僕の名前は安達明日夢。西木野総合病院で医者をやってるんだ。今日は仕事は休みでセンキくんの手伝いをしてる」

 

眼鏡をかけた二十代前半の男性、明日夢は花陽の足を診ながら言う

 

「あの………かよちんの足は大丈夫ですか?」

「んーそうだねぇ……童子と姫にやられた傷より山の斜面を転がった時の打撲傷とかのほうが大きいみたいだし、大丈夫そうかな。念のために消毒とか固定とかしておくね。他に痛いところか調子の悪いところとか無い?」

「えっと、大丈夫です」

 

ちょっと待っててねと明日夢はセンキが入った方のテントに向かう

 

「あれ? 明日夢さん、早くないですか?」

「これでも鍛えてるから。あ、そこの治療キット取ってくれるかな?」

「あ、着替え終わりましたし、このまま持っていきますよ」

「そう? 悪いね」

 

そんなやりとりのあとテントの中からプラスチックの箱を片手に持ったセンキが出てくる

 

「無事にたどり着けたみたいだね。凜ちゃん」

「はっはい」

 

「その子ね、泥だらけで泣きながらここまで来たんだよ。かよちんが食べられちゃう!って、いい友達を持ったね」

「えへへ」

 

自慢の親友を褒められて少し嬉しくなる花陽、当の凛は少し照れたのか顔を赤くして頬をかく。改めて見てみれば手袋や着ている服のあちこちに付いているうえに、少し目が赤くなっているような気もする

 

「これでよしっと」

 

治療が終わったのか明日夢は親指で鼻を擦った

 

「一、二週間くらい歩きにくいと思うけど走ったり無茶な運動をしなければすぐに治ると思うよ」

「ありがとうございます」

「どういたしまして。あ、仕事で診た訳じゃないからお金はいらないからね」

「はい、ありがとうございます」

 

テーピングで固定された足を動かしながら礼を言う花陽に「お礼ばっかりだね」と明日夢は呟いた

 

「今日は二人とも泊まるよね?」

「「えっ?」」

 

テントの中からガスコンロを取り出しながら言ったセンキの言葉に花陽と凛の二人は固まる

 

「そうだね、もうすぐ日も暮れるし、何よりその足じゃ今から下山は無理だしね」

「でも、お母さんとお父さんに何て言ったら……」

「親御さんには僕から連絡しておくよ。二人とも名前と家の電話番号を教えてくれる?」

「でも……」

「大丈夫。患者とその付添人に手を出すようなことはしないし、センキもそんなことを出来るようなタマじゃないからね」

「のうぇっ! 明日夢さん!」

「ほら、否定してない」

「ぷっ、くすくす」

「の、のうぇって……センキさん、いきなり変なこと、言わないでほしいにゃ」

 

/〇\●/〇\

 

それから二人の自宅に電話したのだが、なんと二人の家族のうち誰かが必ず明日夢医師にお世話になっている事が判明、トントン拍子で真冬のキャンプが決定した

 

「いや~まさか明日夢さんの顔が広いのは知ってたけど、まさかこんなことがあるとは思って無かったよ」

「まぁ、自分でもびっくりしてる」

 

そんな会話をしながら夕食の準備をする男性二名

 

「ご飯そろそろです」

「了解。こっちも後二分くらいだし、そろそろコッフェル出しといて」

「オッケー了解合点承知だぁ!」

「それ、日菜佳さんの真似?」

「似てないでしょ」

「すごく」

 

楽しげな会話をしながら夕食の準備を進める二人を見ながら凛と花陽はどうしたら良いのかわからずオロオロしていた。というのも、明日夢に座って待ってていいからと言われたのだが、男二人に料理を任せっきりにして自分たちは何もしていないということに罪悪感にも似た気持ちがモヤモヤと二人の心に渦巻く

 

「あ、あのっ!」

「ん? どうしたの、花陽ちゃん」

「えっと……私達にも何かお手伝いさせてください!」

「凛からもお願いするにゃー!」

「んー………二人はお客人だし、手伝いをしてもらうのは…………」

 

センキは二人の目を見る

 

(こりゃ断るのも悪いかな)

 

「それじゃあ、コッフェルを出すのと配膳の準備を手伝ってもらえるかな」

「「はいっ!」」

 

凛と花陽の声が冬の寒空に響いた

 

 

/〇\●/〇\

 

 

夕食はカレーとポタージュ。と言ってもどちらもレトルトのものでご飯を炊いてお湯を沸かしただけの簡単なものだ

それでも寒い夜空の下で食べる温かいご飯は冷えた体を温めてくれた

食事も終わり、太陽の代わりにランタンの灯りが夜のキャンプサイトを照らす

 

「さてと、そろそろ落ち着いてきたかな?」

「あ……はい」

 

青いテープが貼られた黒いケースから銀色のCDのようなディスクを取りだし、左手首につけているリストバンドの裏側につけて細かく回しながらセンキが言う

 

「今日はいろいろあって大変だったでしょ。そっちのテントに予備の寝袋を用意してるからもう寝てきたら?」

「え……でも、いいんですか?」

「にゃ~」

「ん、凜ちゃんも眠そうだしね。あ、靴は中に入れといてね、濡れると困るし」

「じゃあ、おやすみなさい」

「おやすみにゃ~」

「ん、おやすみなさい」

 

そう言って二人はイスから立ち上がり、テントの中へと入っていった

少しの間布が擦れる音がテントの中からしていたが、センキが今やっている作業が終わる頃には規則的な寝息がテントの中から聞こえるようになっていた

 

「二人とも、もう寝ちゃいましたかね?」

「たぶんね、やっぱり疲れてたんだと思うよ。あ、ココアいる?」

「いただきます」

「了解」

 

明日夢から湯気が立ち上るコップを受け取り、飲む

 

「ふぅ、温かい」

「センキくんもお疲れ様。凜ちゃんから童子と姫に襲われたって聞いたんだけど大丈夫だった?」

「ぶっちゃけかなりツライです。童子と姫は倒せたんですけどね」

「なるほどね。それで、魔化魍のほうは?」

「童子と姫のあの必死に餌を確保しようとする行動から考えるとまだそれほど大きくはなってないんじゃないですかね? たぶん自力で人間を補食する力も無いと思います」

 

空になったコップをテーブルに置き、立ち上がる

ディスクの入った三つのケースのふたを開け、テーブルの上に並べる

 

「よし! 寝る前の一仕事、皆、頼んだよ」

 

センキは左手首につけている鬼の顔がついたリストバンドに取り付けられている鎖を下に引く。するとカバーが開いて青色の小さな弦が現れ、これを爪弾いた

 

ジャイィィン

 

すると、ケースの中に入っていた銀色のディスクに赤、青、緑と色がつき、ひとりでに飛び出しながらその形変える

赤いディスクは鳥の形を模したアカネタカに、青いディスクは狼の形を模したルリオオカミに、緑色のディスクは猿の形を模したリョクオオザルへと変形した

 

「いってらっしゃい」

 

ピィー

ガゥゥゥン

オウオウ

 

「夜明け前には帰って来るのでそれまで寝ましょうか」

「そうだね。じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」

 

そうして二人は花陽たちが眠っている方とは違うテントの中へと消えていった

 

 

○川岸●

 

ー 草木も眠る丑三つ時 ー

 

それは魔の時間

 

真冬の夜空から照らされる月明かりの下、大きな陰がゆっくりと動き出す

 

ギィ………ギィ………

 

陰の出す不気味な音は、まるで餌を求める雛鳥の鳴き声のよう

 

ギィ………ギィ………ギィ………

 

やがて陰は月明かりから逃げるかのように闇の中に消えていった

それを見つめる小さな影が一つ。それはセンキが放ったルリオオカミだった

 

ガゥ ガゥ

 

ルリオオカミの頭が回転する。陰の存在を己の主人に知らせる為に………




○今回のポイント解説●

・安達明日夢

原作『仮面ライダー響鬼』の主人公

医大を首席で卒業後、伊達という医者とともに海外を飛び回りながら医学についてさらに勉強していた
現在は西木野総合病院の医師として活躍中。センキともう一人の鬼の主治医をしている
同僚からは『医術の鬼』と呼ばれている
趣味はドラム演奏とアウトドア

・ディスクアニマル

鬼をサポートする式神で、録音や録画の機能をもつ。普段は直径125㎜ほどのディスクだが、起動すると変形してタカ等の生物の形をとる
今回登場したタカやオオカミ、サルだけでなく、カニやカエル、ヘビ等様々な種類がある。この作品ではオリジナルディスクアニマルも登場させる予定
三年前から改良型のディスクアニマルが大量生産可能になり、大規模な機種交換がなされている
下の文での旧式とは響鬼本編の時に活躍していたディスクアニマルのことをさす

・アカネタカ(改)

ディスク時 直径125㎜(共通)
アニマル時 全高115㎜  翼長230㎜
重さ 40グラム
最大飛行速度 260キロ
最大稼働時間 55時間
最大録音可能容量 60時間

旧式よりも軽量化がなされ、飛行速度の上昇だけでなく、稼働時間、録音容量の上昇にも成功した。翼の部分を旧式とは違う素材に変えたことにより、羽音がより小さくなっている

・ルリオオカミ(改)

ディスク時 直径125㎜(共通)
アニマル時 全高 90㎜ 全長 190㎜
重さ 55グラム
最大稼働時間 150時間
最大走行速度 時速110キロ
最大録音可能容量 130時間
最大録音可能容量 50時間

旧式よりも重くなり、稼働時間が大幅に伸びた。その他の機能もより上昇し、旧式には無かった録画機能が追加された

・リョクオオザル(改)

ディスク時 直径125㎜(共通)
アニマル時 全高 115㎜ 全長 95㎜
重さ 70グラム
最大稼働時間 100時間
最大走行速度 時速70キロ
最大録画可能容量 30時間

旧式よりも重くなり、現在使用されているディスクアニマルの内で一番重いが、その分パワーが強化され、約2トンのものなら持ち上げることができる
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