問題児たちが異世界から来るそうですよ?箱庭超コラボ〜Chaos〜   作:エステバリス

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茶番に尺とったので人物紹介一人残してゴー!

スポーツあるあるをスポーツねーよと共に織り混ぜたそんなお話です。




十五限目 何故か跳躍力だけが頭一つ飛び抜けたニートがいる

 

 

スポーツ。それは己の身体能力を試す、本番。そしてその身体能力を測るスポーツテスト。

 

それはある者にとっては授業免除という楽園の一日であり、ある者にとっては自分のポンコツっぷりが露呈する楽園追放な一日である。

 

まずは、与えられた者と与えられざる者達に視点を当ててみよう。

 

◆◇◆

 

side †与えられし者、B†(バカor文武両道)

 

「うぉー、あっちーな」

 

「今年は特に暑いって聞くからなー。何故か周りの温度が下がる吹雪の周りが逆に人で暑くなってしまうくらいだ」

 

ぐっ、ぐっ、……と軽いストレッチをしながら皐と命が互いに喋り合う。互いになにかと『和』の雰囲気を持つもの同士、意外とウマは合うようだ。

 

「そっかー。俺は美少女達に集まられたいからある意味吹雪が羨ましーぜ、ちくせう」

 

「よーし御説教タイムだ懲りないヤツめ☆」

 

……こういうのは別なのだが。

 

そしてその端ではまた別のグループが……

 

「うわー、暑い。暑すぎて鼻血出ちまいそうだ」

 

「輸血パックは持っとけよ修也。鼻血で貧血になって死ぬとか笑えねぇぞ」

 

「確かにそれは笑えん……まぁそれを差し引いても血は常備してるから、吹雪の近くにいりゃあ危険度は減る」

 

一方こちらは修也と吹雪。因みに修也はさっき言った吹雪に集まってくるヤツらの常連だ。

 

「ホント嫌になるよなぁこの体質。親父の方から受け継いだらしいんだけど、親父も爺さんから受け継いでまたその爺さんも……とかいうタチの悪い遺伝だぜ」

 

「うわ、笑えねぇ。それあと何億年とすると地球人類全員貧血になりそうな勢いだな」

 

はははは。と他愛のない世間話に華を咲かせる与えられし者達。勿論こんな会話ができるのは余裕があるからだ。そしてここで視点を移してみよう。

 

side †与えられざる者、B†(ポンコツor文オンリー)

 

「………」

 

「………」

 

「スポーツテストなんて滅べばいいんだ」

 

「できないことを強要してなんになるっていうんだ僕は見世物なんかじゃない歌を届けるエンターテイナーだ決して見世物じゃないCD歌手はPV撮影するくらいしか運動する機会がないからむしろそんなことするのは逆に無駄になるんだだから早くこれをこの世から無くしてしまうんだ」

 

呉羽と奏……半リア充とリア充が受けた嫉妬の理由が今、なんとなくわかった瞬間であった。

 

◆◇◆

 

sjde |†与えられし者、G†

 

「スポーツテスト……か。ここに来る前は結構ある方って自信あったんだけどなぁ……頭おかしい人らばっかだから普通なんじゃないかって思えるようになったな」

 

「嘘です!ここに嘘つきがいます!せんせー!ここに嘘つきいざちーがいます!」

 

「……ツッコまねーぞ、俺は」

 

問題児以上の問題児(頭おかしい人筆頭)とお守り約その2。その1が忙しかったり性別の違いで相手にできない場合に押しつ……与えられた名誉ある称号である。

 

「なんだっけいざちー、中学の時は色んなこと部活から引っ張りだこだったんだっけ?」

 

「んー、まぁ。でもこんな性格だし夏凜のアホが問題起こしがちだったからな……どれもすぐに辞めちまったよ」

 

「そっかー。確か二人とも同じ孤児院出身なんだっけ」

 

「あぁ。呉羽はガキの頃夏凜が持ってきて暫く三人でいて……中学に上がる頃アイツが九州辺りに引っ越してったんだよ……てか、お前も世界一周なんてメチャクチャなことするからにはそれなりにあるだろ」

 

「まぁね!持久力はそれなりに。言葉通じない国に行きまくった精神力も折り紙つきだよ?」

 

どーよ、最強っしょ?と最早見慣れたナイムネ張り。男女別々の場所からスタートなのでロリコンが見ていなかったのが幸いか。

 

「あーすごいすごい、すごいわー」

 

そしてもうこれの相手は疲れたし適当に誉めちぎっとけば大人しくなるか、図に乗ってなにかやらかすと知っている夜子はそれを期待してパチパチと感情の籠ってない拍手を喝采。

 

「ほほほほ!よいではないかよいではないか!こうべをあげい!」

 

「ははー」

 

実にてっきとうな返答。しかし鈴蘭はすごく満足している。いいのかそれで。

 

そして一方。

 

side |†与えられざる者、G†

 

「おうふ……ない、これはない」

 

日比野 花音は絶句していた。別に運動ができないというわけではない。だが好きか嫌いかと問われればぶっちゃけ嫌いだ。

 

なぜ運動能力をテストしなければならないのか。それをして学校側に特があるのか、その他もろもろ……

 

要するに動きたくない。働きたくないのだ。

 

「世の中には何故か跳躍力だけが頭一つ飛び抜けたニートがいるらしいけど、あり得ないねそれは。ラノベ読みてぇ」

 

突き詰めればこれなのだ。学校にいたくねぇ的なニート思考。もう彼氏がいなければ学校なんて来ねぇよとでも言わんばかり。

 

「……うん!サボろうかな!」

 

5分後、真琴センセに誘拐されたのは秘密だ。

 

◆◇◆

 

第一競技、握力検査

 

「いきなり地味だなオイ。小説的にいいの?」

 

「いきなりメタ発言はNGだよ」

 

なんかもう好き勝手言ってるけどスポーツテストなんだから仕方ない。

 

「だってさ……競技立案、会長だろ?」

 

「まぁ……なにもないわけがないけ―――」

 

ドォン、

 

何故か計測器が爆発した。

 

「「いやなんでだよ!?」」

 

立月と凍夜、思わずの同時ツッコミ。その瞬間突如聞こえるクックックッ、という笑い声。

 

「早速犠牲者が出てしまったなァ……」

 

「こ、この声は……!?」

 

「会長か!?」

 

「否!俺は謎の男、ジンジャーマスク1号!スポーツテストとタカをくくって人の話を聞かなかった貴様らに改めて内容を説明してやる!」

 

確かに話しは聞かなかった。握力測定なんて握って終了なのだから、ある意味当たり前ではある。

 

だが、しかし、なんで爆発?みたいな疑問が消えない。

 

「いいか!この競技は生徒会長の用意した神社製握力測定機を使う!これは神社ネットワークによって調査した貴様らの現時点での最高記録を叩き出すための装置が用意されている!つまり……」

 

「今の爆発はその期待に応えられなかった者の末路……と!?」

 

「その通り……貴様ら、ド○フみたいなアフロになりたくなれば全力で引き金を引け!例え相手が幼女だろうが容赦はしない!」

 

「貴様!幼女を愚弄するか1号!」

 

「俺に逆らうヤツはまとめて爆発四散だ4号」

 

「アバーッ!サヨナラ!」

 

あわれ4号=サンは爆発四散!ショッギョムッジョ!

 

この会長のことだからなにかしでかすと思っていたが、まさかここまでやってくるとは。予想外なんてレベルじゃない。

 

「ぐっ……かいちょ、ジンジャーマスク1号!4号の味方をするつもりは断じて、一切ないがその行いが横暴だということには賛成させてもらうぞ!いくらなんでも爆発四散はやりすぎじゃあないのか!?」

 

「黙れ!こうなったのも全て貴様ら生徒がちゃんとスポーツテストを受けないから、学園長から直々に『好き勝手やってよいぞ』との太鼓判を推されているんだ!お前ら、わりと会長って大変なんだぞ!」

 

最早正体を隠すことすらしないジンジャーマスク1号。それでもなおこんなことをされて黙ってはいられない凍夜はまだなおと訴えかける。

 

「だったら!副会長と会計はどうした!?」

 

「副会長……ふはは、それはもしや、2号のことか?生憎だったな、副会長とやらは既に我が軍門に下っている!会計とやらも昨日の夜から拘束済み……色々と言われても困る故、な」

 

魔王だ。コイツ本物の魔王だ。なんか口調も魔王っぽいし、魔王に違いない。

 

「そして……天城 凍夜!貴様はこの学園の生徒の長たる我に逆らった!その罰は与えねばならん……が、我も魔王ではあるが鬼ではない。貴様にはこの握力測定のノルマ、通常の三倍に設定してくれる!」

 

「なんっ……だと……!?」

 

絶句。通常の三倍といえば普通にやってはどうあってもたどり着けない境地の代名詞のようなもの。デブリを蹴って推進力を三倍にするように、握力を三倍にするなど人力では不可能だ。

 

だが、しかし、果たしてこの横暴を許していいのか?

 

凍夜は激怒した。必ず、かの邪知暴謔の会長を除かねばならないと決意した。

 

凍夜には生徒会はわからぬ。凍夜は一般生徒である。楽しく毎日を過ごしていた。けれども邪悪(いたずらごころ)に対しては人一倍敏感であった。

 

「……やってやる!覚悟しろよジンジャーマスク1号!」

 

「さぁこい!我は逃げも隠れもせぬ!」

 

「うおおおおおおおおおおお―――――」

 

◆◇◆

 

チュドーン、見事な爆音が一つ鳴った頃、運動場ではなんかもっと爆発していた。

 

「はいはいほらほらー、走んないと死ぬぞー」

 

この目が明らかに死んでる大人と子供の中間くらいの容姿をした、至って普通っぽい人は神代 白蛇。桃水原学園の生徒指導部兼メンタルカウンセラーだ。

 

ぶっちゃけた話、彼はほとんどなにもかも、話術を除いてだいたい全部が平均以下しかこなせない。彼より頭の悪い生徒なんて正直いない。

 

そんな彼がこの学園で職員としてやっていける理由は、前述した話術にある。

 

無自覚に、かつ的確にグッサグサと言われたくないことを言って、また無自覚に落ち込んだ生徒を再起させる言葉を言い放つ。学園長が、桃水原の姉妹校に所属してきた高校生の彼の資質を見抜いて是非卒業後職員に、とスカウトしたのだ。

 

自分のダメダメっぷりを自覚している白蛇はこの申し出をちょっと悩みつつも二つ返事で了承した。兄が猛反発したが、がんばってどうにかした。

 

が、当の本人はどこをどう見初められてスカウトされたのか全然わかってないので仕事はダラッダラだ。だというのにかなりの人数の生徒に信頼されているのは一重に彼の話術があってのことだろう。

 

そんな彼がなぜ、黒いジンジャーマスクの服を着ているのか。それは一時間前に遡る。

 

※以下、回想

 

「……お、いたいた。よーしよし……にゃーこ、お前は素直でいいなぁ。ほれ、餌だぞー」

 

ニャー。

 

「この学園に住んで7年か……にゃーこもすっかり爺さんだなぁ」

 

ニャー。

 

「ははは、こいつぅ♪」

 

「ニャー」

 

「え、なんだっ……―――……て?」

 

「…………ハロー、神代先生」

 

「―――……寺西か、どうした。あと神代は厨二臭ェから白蛇先生と呼べと……」

 

「頼み、あるんすけど……頼まれてくれますよね。ジンジャーマスク5号さん♪」

 

※回想終了

 

というわけなのだ。要するに、弱みを握られてしまった。いかに話術に優れた白蛇であれ、あちらが逆転の可能性をぶっ潰すカードを持っていては元も子もない。

 

「風の方の、風圧上げてくれい」

 

「はいよー」

 

マスクの額の方に3、と書かれたジンジャーマスクが白蛇、もとい5号の指示で風圧を上げる。それだけで地雷源を突っ走ってる生徒の7割は爆発四散した。

 

「地雷源50メートル走……寺西、あいや、1号もエグいのを思い付くもんだなぁ」

 

「それがアイツのアイデンティティみたいなもんっすからねぇ……あ、せんせ、5号。右サイドからどさくさに逃げようとしてるのがいる」

 

「はいよ、起爆っと」

 

最早これはスポーツではない、蹂躙だ。走らされ、握っている者達は口々にそう言っては、憐れにも爆散していった。

 

◆◇◆

 

学園の、ある一室。

 

「……はい、そういう手筈でお願いします。……そうです。珠にはアレに泡を吹いて貰わなければ……最早あれは圧政だ」

 

『だろうな。外の光景を見るだけでわかる。では、決行は?』

 

「こちらの準備が整い次第……ええ。そうですね。オペレーション・メテオ発動の時は……もうすぐそこです」

 

『悟られないように、な。少なくともこちらが気付かれなければ勝機が消えるわけではない、気楽にするといい』

 

「ええ……お気遣い、ありがとうございます」

 

to be continued…

 

 






新規人物

ジンジャーマスク
登場作品 オリジナル?
原作者 強いて言うなら五人。
謎の五人集。ジンジャーマスク、いったい何者なんだ……
実は2号からは1号が様々な手段を駆使して手にした精鋭達で、その都合上信頼関係はほぼ皆無だが、その分個人の能力がそれぞれ飛び抜けているぞ。

神代 白蛇(しんだい びゃくだ)
登場作品 劣等生と問題児(特典シリーズは平行世界の同一人物)
作者様 オシロイバナ(旧 江宮 香)
ザ☆平凡以下。一般的になんでも普通よりタチが悪いほぼなにもできない人。ただしその話術は目を張るものがあり、それだけで箱庭を生き抜くある意味タフガイ。
が、故にほぼそれ頼みなため、強行手段とかされるとその時点でもう無理ゲー。本人も超めんどくさい性格をしている、と主人公じゃなかったらもうコイツどうすんの?ばりに嫌われそうなタイプ。
よく平行世界に同姓同名がいるが、神代 白蛇として共通しているのは「妙なところの人から人望があること」「ザ☆劣等生」「口達者」。


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