遊戯王ARCーV アイズの名を持つ龍の主   作:青眼

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秋人「読者の皆。あけましておめでとうございます。【遊戯王ARC-Ⅴ アイズの名を持つ龍の主】の主人公、桐原秋人です」
「同じく、そのヒロイン(予定)の星野春菜です」

作者のアオメです。いや~最初はどうなることやらと思っていたこの作品も、こうして新年を迎えることができました!これもひとえに、読者の皆様の応援があったからです!!

秋人「さて、感謝の言葉も言ったし、そろそろ本編を開始するか」
春菜「そうですね。それではアオメさん。それから秋人君。一緒に言いましょう!!」

「「「あけましておめでとうございます!!これからも【アイズの名を持つ龍の主】をよろしくお願いします!!!」」」







第2章 『舞網チャンピオンシップ』編
29話 開幕! 舞網チャンピオンシップ!!


side秋人---start

 

「……こんなところか」

 

目の前に置かれている40枚ピッタリのカードの束、デッキをシャッフルし、5枚のカード捲る。捲ったカードを確認し、これくらいだろうと結論付け、それを元に戻す。そしてエクストラデッキに置かれている15枚のカードの中から、1枚を取り出す。

 

「『No.95 ギャラクシーアイズ・ダークマター・ドラゴン』、か……」

 

つい先日、赤馬の依頼で次元を超えた先にあった世界。【幻想郷】と呼ばれるその世界で手に入れたこのカード。効果も強力で、何より出しやすいのでデッキに入れている。だが、心のどこかで、このカードを使うのを躊躇っている自分がいる。

 

(考えていても仕方ないか……)

 

カードをデッキに戻し、愛用している黒のロングコートを着て、ポケットにデュエルディスクを、腰のホルダーにデッキを収納してカーテンを開く。空は快晴で、今から行われる大会(・・)に相応しい天候と言えるだろう。最も、それが普通の大会であるならの話だが。

 

「……キサラ」

《…はい。お呼びですか?秋人》

 

俺が名前を呼ぶと、半透明の姿で1人の少女が現れる。彼女の名前はキサラ。俺のデッキのエースモンスターの1体、『青眼の(ブルーアイズ・)白龍(ホワイト・ドラゴン)』の精霊である。

 

「今回の大会……一体どうなると思う?」

 

ここまでは俺の記憶している【遊戯王ARC-Ⅴ】だった。だが、俺の持つ、所謂【原作知識】は今日の夜までしか知らない。俺という異端者(イレギュラー)が現れたため、ここから先の展開が全く読めないのだ。

 

《…私には何とも言えません。ですが、これだけは言えます。秋人は絶対に負けません。どのような状況でも"諦めない〟のが貴方の長所。その気合さえあれば、大抵のことは何とかなるでしょう》

 

少し眉を寄せながら言うキサラに、そうだな、と俺は言う。確かにそうだ。俺は絶対に最後まで諦めたりはしない。だってそれは――――

 

「――――秋人」

 

一瞬、脳裏に1人の少女の姿がと声が聞こえた気がした。俺は、頭を軽く振ってそれを記憶の隅へと追いやる。

 

「…そろそろ行くか。まずは赤馬のとこに行かないとな」

 

そう言うとキサラはすっ、と姿を消す。俺はそれを見送りながら部屋を出る。そして、窓から見えるドームを睨んだ。ここから先に広がる激闘を、頭で想像しながら――――

 

 

 

 

 

 

 

時間が少し流れる。今日この町、舞網市で行われる大規模な大会、赤馬が社長を務める【LDS(レオ・デュエル・スクール)】主催の、【舞網チャンピオンシップ】が開催される。参加資格は2つあり、1つは公式戦を50戦し、かつ勝率を6割以上キープすること。もう1つは公式戦を6連勝するという、2つ共厳しい条件だ。だが、その厳しい条件をクリアした人物が、このドームに集まりつつあった。

 

(それにしても遅いな……)

 

ドームの入り口で俺は人と待ち合わせていた。赤馬とのミーティングを済ませた後、俺はある人を呼び出して、こうして待っているのである。誘った俺が言うのもあれだが、待ち合わせに遅れる方が悪いと思うのだが、どうだろうか?待ち合わせていた時間から10分以上が過ぎ、ドームの中に入ろうとした時、ようやくそいつは現れた。

 

「悪い秋人!少し遅れた!」

「遅れた、じゃないだろ。全く……一体どこで道草を食ってた?」

 

俺がそう問いかけると、あはははと、俺を待たせた少年、遊矢は乾いた笑みを浮かべる。

 

「少し気合を入れなおしててさ。本当にゴメンな」

「悪いと思ってんなら良いけどよ……これが柊だったらハリセンが飛んでくるぞ?」

「な、何でそこで柚子の名前が出て来るんだよ!?」

 

柚子の名前を出したら、遊矢が目に見えて脅え始める。それに苦笑しながら俺は用件を言う。

 

「で、俺がお前を呼び出した用件だが……実はこいつをお前に渡そうと思ってな」

 

そう言って俺は、コートのポケットから2枚のカードを取り出す。カードの名前は、『竜脈の魔術師』と、『竜穴の魔術師』。俺が赤馬から貰ったペンデュラムカードである。

 

「な、俺の知らないペンデュラムカード!?秋人、お前このカードどこで手に入れたんだ!?」

「赤馬が作った。けどまぁ、俺のデッキだと出す機会が殆どないからな。お前に渡すことにした。ほら、お前の方が相性良いだろ?」

 

ほれ、とカードを差し出すと、遊矢は両手を振って断った。

 

「いやいいよ!それに、赤馬零児が渡したってことは、それなりに秋人にはペンデュラムの素質があったってことだろ?だったらお前が持っていた方が……」

「さっきも言ったろ?俺にはこのカード達を使う機会がない。ぶっちゃけ、このカードを抜いて、サポートカードを入れた方がデッキとして安定するからな」

 

遊矢の言うことに正論で返すと、未だにだけど……遊矢は悩む。それにはぁ、と溜め息をつきながら俺は言った。

 

「だったらあれだ、以前お前の家に止めて貰ったことがあったろ?それのお礼だと思ってくれ。それでも困るって言うなら……俺との友情の証とでも思ってくれ」

 

どこぞのベクター(顔芸)のセリフを吐きながら、俺は強引に遊矢にカードを持たせる。それに今度は遊矢が苦笑した。

 

「…分かった。じゃあこのカードはありがたく貰うよ」

「ああそうしてくれ。使わない奴が持ってるより、使える奴が持ってる方が有意義だからな。用件はそれだけだ」

 

それじゃあな。俺はそう言って先にドームのエントランスに入ろうとする。すると、遊矢が俺の名前を呼んだ。

 

「秋人!!」

「―――ん?」

「絶対に勝ち残れよ!そして、あの時みたいに楽しいデュエルをしよう!」

 

手を振ってそう言う遊矢。それに、俺も親指を立てて応えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

それからまた時間が過ぎる。といっても、この間で起こった出来事は全て原作どおりだったので、要所要所だけ箇条書きで説明するとしよう。

 

①:大会始まり、遊矢がアドリブでスピーチ。(赤馬が無言の拍手)

②:権現坂と暗黒寺(?)とかいう『バーバリアン』デッキ使いがデュエル。結果は権現坂が最後のターンで『スサノ―O』をシンクロ召喚して、逆転勝利。

③:柊と光津とのデュエル。素良から教わった融合召喚で『マイスタリン・シューベルト』や、『ブルーム・ディーヴァ』を召喚して逆転勝利。

④:遊矢VS(ネオ・ニュー・)沢渡さんのデュエル。『妖仙獣』特有のサーチ、ダイレクト、バウンスで追い詰められるが、遊矢が『妖仙獣』の弱点を付いて逆転。だが、沢渡さんも負けずにペンデュラム召喚を行い、最終的には、観客を大いに沸かせた素晴らしいデュエルとなった。

⑤:俺のデュエル中←今ここ!!

 

とまぁこんな感じである。で、今の状況だが―――――

 

秋人 LP3500

場:銀河眼の(ギャラクシーアイズ・)光子竜(フォトン・ドラゴン)(ATK3000)

  No.107 銀河眼の(ギャラクシーアイズ・)時空竜(タキオン・ドラゴン)(ATK3000 ORU×1)

  聖刻神龍エネアード(ATK3000 ORU×1)

魔法・罠:0

手札:2

P(ペンデュラム)ゾーン:無し

 

モブ男 LP1400

場:CH(コミックヒーロ)キングアーサー(ATK2400 ORU×2)

魔法・罠:0

手札:3

Pゾーン:無し

 

とまぁ、こんな感じである。伏せカードは『エネアード』で破壊し尽くしたし、『キングアーサー』の効果は『タキオン』で無効にした。これでもう何も怖くない!

 

「さぁ、これでフィニッシュだ。まずは『エネアード』で『キングアーサー』を攻撃!」

 

『エネアード』から鋭い熱線が放たれ、『キングアーサー』を体に風穴を開ける。自分のエースモンスターがやられたが、対戦相手は必死にフィールド内を走る。

 

「くっ!!だが、アクションカードをゲットできれば……!!」

モブ男 LP1400→800

 

必死にアクションカードを捜し求める男。それに、俺は無常にも、男の進む道に『フォトン・ドラゴン』を、その後ろに『タキオン・ドラゴン』を向かわせ、挟み撃ちにする。

 

「悪いな……これで幕引きだ」

 

俺がそう言うと、2体の竜からブレスが放たれ、男のライフを静かに削り取った。

 

モブ男 LP800→0

 

 

 

 

 

 

「ふぅ…これで、俺も1回戦突破、か」

 

デュエルを終え、赤馬のいる集中監視室へ入る。部屋の中は沢山のモニターがあり、その中では、今現在行われているデュエルの映像や、舞網市内の監視カメラの映像。中には召喚反応エネルギーのグラフなど、様々な物が表示されている。俺がそれに目が行っていると、赤馬の側近、中島さんが声をかけてくる。

 

「桐原か。さっきのデュエル中々に見ごたえがあったぞ」

「そりゃどうも。で、どうだ赤馬?あいつに動きはあったか?」

 

部屋の中央で椅子に座る赤馬に声をかけると、いや、といってモニターを切り替える。そこには、青い髪をした幼い少年が映っていた。

 

「まだ彼に動きは無い。だが、その尻尾も必ずここで暴かれるだろう。【エクシーズ次元】の生き残りがいると知れれば、本性を現すはずだ」

「ああ。それは間違いない。だが……」

 

俺はふと思い返していた。あの時、遊矢に2枚の『魔術師』カードを渡す前のミーティングのことを。それに感付いたのか、赤馬は余裕そうに言う。

 

「私が言えたことではないが、彼もその覚悟(・・)があって発言したのだと思う。それに黒咲は同意し、【レジスタンス】のリーダーである、ユートも賛成した。そして、それは君も同じのはずではないのか?」

「分かってる。そんなのは分かってる!でも……それでも!!」

「でももかももない。君は君の仲間を信じろ。そう簡単に彼はやられはしないさ」

 

赤馬はそれきり口を開かず、モニターの方を凝視していた。どうしたものかと俺が悩んでいると、デュエルディスクに着信が入る。名前には春菜の名が表示されていた。

 

「春菜か?どうした、何かあったか?」

[いえ、別段これといった用はないんですが……よかったら、これから一緒に観戦しませんか?偶然であった柚子ちゃんたちに誘われたので]

 

どうやら柊たちと会って、これから始まるデュエルを一緒に観戦しようという話らしい。断る理由がなかった俺は、それに2つ返事で応える。

 

「分かった。場所はどこだ?」

[エントランスで待ってます。そこから一緒に柚子ちゃんたちの所に行きましょう。待ってますね]

「ああ。それじゃ、また後で」

 

通話を終了し、俺は部屋を出る。少し部屋の中が暗かったため、照明に目をやられ面倒だな、と呟きながら俺は春菜のもとに向かった。

 

side秋人---end

 

 

 

 

 

 

 

side襲雷---start

 

「………………………」

 

俺は今、控え室に無言で立っている。俺はこういった大規模な大会や、絶対に負けられない戦いがある時、必ずこうやって意識を整えている。これをやると、自然とプレイミスが少なくなったり、思考が冴えたりするのだ。等と考えていると、ディスクからアラームが鳴る。事前に設定していたそれは、俺のデュエルに10分前に起動した。

俺はそれを停止させ、お気に入りの赤いフード付きのコートを着て、部屋を出る。すると、そこには見知った人物がいた。

 

「ユートじゃねぇか。どうした?何か用か?」

 

俺がそう問いかけると、ユートは少し呆れながら口を開いた。

 

「まぁな。……本当にいいのか?」

「またそれか?いい加減しつこいぞ?男に二言はねぇ。それに、一度言ったら俺は必ずやり遂げる。というか。やり遂げれることしか言わねぇよ」

 

そう言って俺はユートの隣を通り過ぎる。そのままデュエル場に向かおうとすると、ユートが俺の名前を呼んだ。

 

「襲雷!!」

「――――ん?」

「絶対に……絶対に勝てよ!!」

 

俺の目を見て、ユートが真剣な眼差しでそう言う。それに俺は少し呆れながらああ、応じる。

 

「んじゃ、ちょっと勝って来るわ」

 

そう言って俺はデュエル場を目指す。そして、俺は今回の対戦相手のことを考えながら。意識をデュエリストの、【レジスタンス】のデュエリストのそれに切り替える。

 

(絶対に勝ってやるさ。俺たちはもう、誰1人欠けることなくあいつらを、【アカデミア】を叩き潰すんだからな………!!)

 

side 襲雷---end

 

 

 

 

 

 

 

side 秋人---start

 

「秋人君おそ~い!!」

「悪い悪い。少し売店でいろいろ買っててさ」

「全く…子供じゃないんだからそんなの買ってこなくてもいいのに……」

「そう言ってやるなよ柚子。ほら秋人、こっち空いてるぞ」

 

サンキュ、と俺は遊矢に礼を言いながら隣の席に座らせてもらう。そして、後ろの席にタツヤたちに売店で買ってきたポップコーンやらを渡す。

 

「ほらよ。秋人お兄さんからの差し入れだ。ありがた~く食べろよ?」

「わーーい!ありがとう秋人お兄ちゃん!」

「差し入れくれるなんて、流石だぜ!し~びれる~~!!」

「ありがと秋人お兄ちゃん!大好きだよ!!」

 

素直に感想を送る子供たちを見て、内心で買ってきて良かったと俺は思った。というかヤバイ。アユちゃんが可愛すぎるんだが。物凄く頭を撫でたくなる衝動に駆られるんだが!!

 

「あ・き・とく~ん?ちょ~~っと後でO☆HA☆NA☆SHIしましょうね~~?」

「何故に!?解せぬ……」

 

急に笑いながら話しかけてきた春菜のセリフに俺は反応する。春菜の笑みは表情だけは笑っているんだが……あれだ。目が笑ってない。

 

「相変わらずみたいね……」

「あ、あははは……お、それより、そろそろデュエルが始まるみたいだぜ!!」

 

遊矢がそう言うと、黒いオーラを放っていた春菜がデュエル場の方へと視線を向ける。そこには、2人のデュエリストが立っていた。それをきっかけに、今大会の実況をやっているニコ・スマイリーが口を開く。

 

[観客の皆様!!大変長らくお待たせいたしました!!これより舞網チャンピオンシップ1回戦、第三試合を開始いたします!!]

 

その一言が火種となり、観客に来ている人たちが一気に声高に歓声を上げる。それを見て満足しながらニコは続ける。

 

[まずは対戦するデュエリストの紹介です!まずは紫雲院素良選手!先ほどのペンデュラム召喚対決で更に人気となった、榊遊矢選手と同じ【遊勝塾】所属のデュエリストで、今大会の参加条件である公式戦を6連勝するという、ハードな条件を強力な融合召喚で軽々とクリアした猛者の1人だ!!」

「みんな~~!!今日はよろしくね~~!!」

 

紹介を受けた紫雲院がこちらに手を振ってくる。それに黄色い歓声が聞こえ始め、近くに座っている柚子は呆れていた。

 

[対するは【LDS】所属のデュエリスト木原襲雷選手!こちら紫雲院選手と同じく、公式戦を6連勝した強者の1人だ!エクシーズ召喚を巧みに扱い、対戦したデュエリストの殆どをワンショットキルしているぞ!!]

 

ニコの顔が映っているモニターに、襲雷のデュエルの映像が流れる。『ノヴァ』を使ってワンキルしたり、『サイバー・ドラゴン』を複数召喚して『リミッター解除』して終わらせたりと、中々にエグイことをしていた。

 

「やっぱり機械族は強力ね……『リミッター解除』は本当に怖いわ」

「柚子が言うなよ。『オネスト』使ってくるくせに」

「……遊矢も大概だと思うけどな」

 

俺たちが互いに感想を言っていると、春菜に表情が少し曇っていることに俺は気づいた。

 

「どうした春菜?具合でも悪いのか?」

「いえ、そういうのじゃないんですが……襲雷、大丈夫ですよね?」

 

どうやら襲雷のことを心配していたらしい。俺もさっき赤馬に励まされた身なので、同じことを考えていたことに苦笑する。

 

「大丈夫だ。それに、実は俺、昨日襲雷と一緒にデッキ構築したんだよ」

「えっ!?」

 

本当のことである。昨日、俺がデッキを組んでいる時に襲雷がやってきて、一緒にデッキを組んでくれと頼まれたのである。……まぁ、まさか、デッキをあっちの方にするとは思わなかったが。

 

「それを踏まえた上であえて言うぞ。襲雷が負ける可能性は……限りなく0だ」

「…絶対に負けない、って言えないんですか?」

「ばっか、それは死亡フラグだろうが。そんな簡単にフラグは作るものじゃないぞ?」

 

というか、この世界だと普通にそれがまかり通るから困る。ユートの時しかり、天子の時しかり。何故か『アルティメット』を召喚したら負けるからな。

 

[それでは、まずはアクションフィールドの選択です!!今回選ばれたフィールドは~~~!!!『未来都市―ハートランド』だ!!]

 

ニコの放送に俺と春菜は互いに目を疑った。だが、2人の間に出現した巨大なカードには、確かに『未来都市―ハートランド』と書かれている。

 

[それでは行きましょう!アクションフィールドON!フィールド魔法『未来都市―ハートランド』発動!!]

 

ニコの宣言と同時に、リアルソリッドヴィジョンを投影するプロジェクターが作動する。2人のデュエリストのいる舞台を中心にフィールドが展開され、一瞬にして中心にして近未来に存在しそうな世界が出現する。

 

「秋人君!これって……!!」

「……おそらく赤馬の仕業だな。全く、余計なことをしやがる」

 

恐らくやる気を更に高めるためにしたのだろうが……そんなことをしなくても、今の襲雷は十分殺る気に満ちている。失敗はしないと思う。そう思いながら俺は視線を襲雷の方に向けるのであった。

 

side 秋人---end

 

 

 

 

 

 

 

side 襲雷---start

 

(『未来都市―ハートランド』、か……)

 

かつての故郷が、質量を持ったソリッドヴィジョンで出現する様を目の当たりして、俺は呆然としていた。出現した町に当然人はいないが、その世界は、間違いなく俺やユートたちが暮らしてきた平和な【ハートランド】その物だった。こんなに綺麗で美しい町が、この後、あんな荒野しかない世界に変わってしまったことに、俺はとても悲しく思った。

 

「あれ?どうしたの君?何か凄く辛そうな表情だけど。大丈夫?僕とデュエルできる?」

 

対戦相手―――紫雲院素良が俺に声をかけてくる。それに俺は無性に腹が立った。向こうは自分の正体を知らないとはいえ、恐らく素で俺のことを心配してくれているのだ。そんな感情を持っている人間が、何故、あのようなことをしたのか。それが俺を無性に苛立たせる。

 

「…俺の心配より、自分の心配でもしとけ」

「でも、それでもし途中でデュエルが終わったらつまんないじゃん。どうせ僕が勝つんだけどね」

 

懐から飴を取り出し、口の中に入れる紫雲院。その小馬鹿にした態度が更に俺を苛立たせる。

 

「うるせぇよ。だがこれだけは言っておく。俺はテメェを叩き潰す。だから、出し惜しみなんてすんじゃねぇぞ。……一瞬で終わるからな」

「…へぇ」

 

俺がそこまで言って、ようやく紫雲院は表情を変えた。その顔は、今まで見たことのある、獲物を狩る者の顔つきだった。

 

[さぁそれでは参りましょう!!戦いに集いしデュエリスト達が!!]

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!!」

「…見よ。これぞデュエルの最強進化系」

「「「アクショ~~~~ン!!!」」」

 

「「決闘(デュエル)!!!」」

 

木原 襲雷 LP4000

紫雲院 素良 LP4000

 

俺にとって絶対に負けられないデュエルが始まる。今回の先行は……俺か。

 

「先行を貰う。俺は手札から『サイバー・ドラゴン・コア』を攻撃表示で通常召喚する」

 

ディスクにカードを置くと、体の細い『サイバー・ドラゴン』が出現する。

 

サイバー・ドラゴン・コア/光属性/☆2/機械族/ATK400 DEF1500

 

「召喚に成功したこの瞬間、『サイバー・ドラゴン・コア』の特殊能力を発動する。デッキから『サイバー』、または『サイバネティック』カードを手札に加えることが出来る。俺はこの効果でデッキから『サイバー・ネットワーク』を手札に加える」

襲雷 手札4→5

 

デッキからキーカードを手札に加え、手札とこの状況に最も適した判断を行う。デュエルもまだ序盤。余り動いて息切れを起こすのは厄介なので、必要最低限のことだけを行う。

 

「カードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

襲雷 手札5→3

 

襲雷 LP4000

場:サイバー・ドラゴン・コア(ATK400)

魔法・罠:2

手札:3

Pゾーン:無し

 

「それじゃ行くよ!僕のターン!ドロー!」

素良 手札5→6

 

元気良くカードを引く紫雲院。その楽しそうな表情に歓声が沸く。

 

「へへっ、こんなに大勢の人が見ている中でデュエルするのは初めてだ!せっかくだし、今日は少し奮発していくよ!僕は手札から永続魔法、『トイポット』を発動!!」

素良 手札6→5

 

紫雲院がディスクにカードを置くと、人の形をしたガチャポンが出現する。

 

「このカードはね、手札を1枚墓地に送ることでカードを1枚ドローするんだ。そして、引いたカードが『ファーニマル』モンスターだったら、手札から特殊召喚できるんだ!僕は手札の『ファーニマル・ウィング』を墓地に送って、『トイポット』の効果を発動!カードを1枚ドローするよ!」

 

紫雲院がカードを引くと、ガチャポンもそれに連動して動き、ガチャが回り始める。そして、その中から1つのカプセルが飛び出す。

 

「引いたカードは『ファーニマル・オウル』!『トイポット』の効果で特殊召喚!」

素良 手札5→4

 

カプセルが開き、中から可愛らしい梟が飛び出す。その姿に幼い子供たちが歓声を上げた。

 

ファーニマル・オウル/地属性/☆2/天使族/ATK1000 DEF1000

 

「手札からの特殊召喚に成功したこの時、『ファーニマル・オウル』の効果を発動!デッキから『融合』のカードを手札に加えることが出来る!」

素良 手札4→5

 

(―――きたか……!!)

 

奴が今、手札に加えたカードを俺は睨みつける。そのカードにやられて行った仲間たちのことも思い出す。

 

「さぁ行くよ!僕は手札から魔法カード『融合』を発動!このカードの効果で、僕はフィールドの『ファーニマル・オウル』と、手札の『エッジインプ・シザー』を融合!悪魔の爪よ! 煉獄の眼よ!神秘の渦でと1つとなりて、新たな力と姿を見せよ!」

紫雲院 手札5→3

 

2体モンスターが、様々な色が混ざった渦に飲み込まれ、やがて1つのモンスターへと姿を変えた。

 

「融合召喚!!現れ出ちゃえ!全てを噛み千切る孤高の獣!『デストーイ・シザー・ウルフ』!!」

 

デストーイ・シザー・ウルフ/闇属性/☆6/悪魔族/ATK2000 DEF1500

 

「『デストーイ・シザー・ウルフ』は融合素材に使用したモンスターの数だけ攻撃できる!バトルだ!行け!『デストーイ・シザー・ウルフ』!『サイバー・ドラゴン・コア』を攻撃!」

 

『シザー・ウルフ』が遠吠えと共に俺の元へと。『コア』を破壊しようと迫る。それを見ながら、俺は冷静に伏せカードを発動させる。

 

「リバースカードダブルオープン。『ネットワーク』は自分の場に『サイバー・ドラゴン』が存在する時のみ発動でき、効果を発動したターンは攻撃することはできない。『コア』は、自身の効果により、『サイバー・ドラゴン』として扱うことができる。よって、俺はその効果により、デッキから光属性・機械族モンスター、『プロト・サイバー・ドラゴン』を除外する」

 

俺の発動させたカードから紫色の裂け目が開き、『プロト・サイバー・ドラゴン』の姿を飲み込んでいった。

 

「そして、『アタック・リフレクター・ユニット』は、自分の場の『サイバー・ドラゴン』をリリースすることで、デッキから『サイバー・バリア・ドラゴン』を特殊召喚できる」

 

俺がそう言うと、『コア』の姿が霧散し、それが新たな姿で守備表示で再生される。

 

サイバー・バリア・ドラゴン/光属性/☆6/機械族/ATK800 DEF2800

 

「え~?守備力2800~?『デストーイ・シザー・ウルフ』じゃ倒せないよ~~」

 

物凄く残念そうに言う紫雲院。それを見て俺はあえて何も反応を起こさない。それにぷうっ、と頬を膨らませて続ける。

 

「仕方ないなぁ。僕はカードを1枚伏せて、ターンエンドだよ」

紫雲院 手札3→2

 

 

素良 LP4000

場:デストーイ・シザー・ウルフ(ATK2000)

魔法・罠:1

    トイポット

手札:3

Pゾーン:無し

 

 

「俺のターン!ドロー!この瞬間、『サイバー・ネットワーク』の新たな効果が発動する。発動してから3ターン目のスタンバイフェイズを迎えた時、このカードを破壊する!」

襲雷 手札3→4

 

サイバー・ネットワーク

0ターン目→1ターン目

 

俺がカードを引くと、いつの間にか紫雲院が『シザー・ウルフ』に乗って、フィールド内を

走り回っていた。俺はそれを見て、アクションカードが狙いだということに気づく。そうはさせないとプレイを続けようとしたが、そこで紫雲院に声をかけられた。

 

「ねぇ!襲雷って言ったっけ?」

「……なんか用か?」

「いやね、僕がせっかく融合召喚を決めたのに何にも驚かないし、それどころか黙々とデュエルをしてるからさ。つまんないな~って思ったんだ」

 

飴を舐めながらそう言う紫雲院。それに、と言葉を紡いだ。

 

「やっぱりさ、デュエルは最高のショーだと思うんだよ!だからさ!今度は僕に魅せてよ!君のデュエルをさ!!」

 

その言葉を聞いた時、俺は一瞬頭から湯気が出そうなほどの怒りに駆られた。だが、それをギリギリの所で踏み止まり、冷静に口を開く。

 

「最高のショー、か。確かにそうだな。デュエルは楽しいものだ。俺の生まれ育った故郷も、デュエルで人が笑顔だった」

 

目を閉じ、俺は思い出す。【アカデミア】からの侵略がなかった頃の【ハートランド】のことを。ユートや隼たちと一緒に過ごしたあの日々のことを。

 

「誰もが笑顔だった。大人も子供もデュエルをすればすぐに友になれた。普通に学校に通い、普通に毎日を過ごしていた。………あの日までは」

「……?何言ってるの君?」

 

俺の言っていることを理解できないように首を傾げる紫雲院。それを無視して俺は続ける。

 

「俺たちはあの時。あの日。為す術もなく敗北した。突然現れた奴らの強襲により、沢山の犠牲者が出た。友を失った奴がいた。愛する人を失った奴がいた。そして……たった1人の家族を失った奴もいた」

「あのさぁ。さっきから何を言って」

「俺は手札から、2枚目の『サイバー・ドラゴン・コア』を召喚!」

襲雷 手札4→3

 

紫雲院が何かを言おうとしたが、俺はカードを宣言してそれを遮る。

 

サイバー・ドラゴン・コア/光属性/☆2/機械族/ATK400 DEF1500

 

「その効果により、デッキから『サイバー・リペア・プラント』を手札に加える!更に手札から魔法カード、『機械複製術』を発動!攻撃力400の『コア』を対象に発動し、デッキから『サイバー・ドラゴン』を2体、攻撃表示で特殊召喚する!!」

 

発動されたカードから、勢い良く2体の機械竜が咆哮と共に飛び出す。その瞳には、僅かだが怒りが宿っているように感じた。

 

サイバー・ドラゴン/光属性/☆5/機械族/ATK2100 DEF1600

 

「仲間を、家族を失った時。俺たちは思い知った。生き残るためなら、手段を選んではならない。相手を、奴らを叩き潰さなければ俺たちに平穏は訪れないのだと!!」

 

俺は声高に叫んだ。この思いが届くのはきっと、ユートや赤馬たちだけだろう。でも、たとえそれでもいい。俺は言いたかったのだ。今の俺の思いを。熱意を!!

 

「レベル5のモンスターが一気に2体!くっ!!」

 

『サイバー・ドラゴン』の姿を見た紫雲院が、再び『シザー・ウルフ』に跨ってフィールドを走り回る。俺はそれを見ながら高らかに宣言する。

 

「俺は、レベル5の『サイバー・ドラゴン』2体でオーバーレイ!!」

 

俺の指示を受けた2体の機械竜が姿を変え、俺の目の前の出現した黒い穴に飛び込んでいく。

 

「機光竜は常に進化し続ける!その一端を見るがいい!!エクシーズ召喚!現れろォ!」

 

エクストラデッキから飛び出したカードを勢い良く叩きつける。それをディスクが読み込むと同時に、黒い穴が爆発し、中から紅い光を纏った竜が現れる。

 

「ランク5!『サイバー・ドラゴン・ノヴァ』!!」

 

サイバー・ドラゴン・ノヴァ/光属性/★5/機械族/ATK2100 DEF1600

 

「いくぞ!バトルだ!『サイバー・ドラゴン・ノヴァ』で、『デストーイ・シザー・ウルフ』を攻撃!」

 

『ノヴァ』の口から、身に纏うオーラと同じ紅い熱線が放たれる。それを見ながら紫雲院は地面に合ったカードを拾い、発動させる。

 

「間に合った!アクションマジック『エクストリーム・ソード』発動!モンスター1体の攻撃力を1000ポイントアップさせる!!」

 

デストーイ・シザー・ウルフ

ATK2000→3000

 

紫雲院が発動させたカードにより、『シザー・ウルフ』の攻撃力が『ノヴァ』を上回り、熱線を回避して『ノヴァ』を破壊しようと近づいてくる。

 

「これで君の『ノヴァ』は返り討ちだよ!」

「甘い!『ノヴァ』の効果発動!このカードが戦闘を行う時、自分の場・手札の『サイバー・ドラゴン』を除外することで、その攻撃力をエンドフェイズまで2100ポイントアップする!『コア』除外し、その攻撃力を2100アップさせる!!」

 

『コア』の姿が消え去り、それと同時に『ノヴァ』の攻撃力を急激に上昇させた。

 

サイバー・ドラゴン・ノヴァ

ATK2100→4200

 

「な、攻撃力4200!?」

「『ノヴァ』よ、哀れな玩具を迎え討て!エボリューション・ノヴァ・ストリーム!!」

 

飛びついてきた『シザー・ウルフ』の攻撃を回避し、カウンターで至近距離から熱線をぶつけられ、『シザー・ウルフ』は跡形もなく消滅した。

 

「クッ!僕の『シザー・ウルフ』が!」

素良 LP4000→2900

 

「まだだ!『バリア・ドラゴン』で追撃する!」

 

『バリア・ドラゴン』の襟首から、衝撃波が発生し、紫雲院の体を少し吹っ飛ばした。

 

「くぅぅっ!?」

素良 LP2900→2100

 

「そして俺はメインフェイズ2に入り、カードを1枚セット。そして手札から魔法カード『タイムカプセル』を発動する!デッキからカードを1枚選択し、それを2ターンの間、このカードに封印する!」

襲雷 手札3→1

 

新たにカードが1枚伏せられ、その隣に正体不明な棺桶が出現し、カードを1枚中に入れると地中深くに消えていった。

 

「俺はこれでターンエンドだ。・・・…かかってこいよ。全力で来い。その上でお前の全てを否定してやる!!」

 

襲雷 LP4000

場:サイバー・ドラゴン・ノヴァ(ATK2100 ORU×2)

  サイバー・バリア・ドラゴン(ATK800)

魔法・罠:1

タイムカプセル(0ターン目)

     サイバー・ネットワーク(1ターン目)

手札:1

Pゾーン:無し

 

 

「へへっ。面白いじゃん。だったら僕も……少しだけ、本気出しちゃおっかな~?」

 

そう言って紫雲院は笑う。それは、さっきまでのデュエルを楽しむ笑顔ではなく、獲物を狩る狩人のそれだった。    

 

 




素良「やぁ皆!紫雲院素良だよ!今回は僕がキーカードの紹介をするね!それじゃ早速行くよ!今回のキーカードはこれ!『デストーイ・シザー・ウルフ』!!」

デストーイ・シザー・ウルフ/闇属性/☆6/悪魔族/ATK2000
「エッジインプ・シザー」+「ファーニマル」モンスター1体以上
このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ特殊召喚できる。(1):このカードは、このカードの融合素材としたモンスターの数まで1度のバトルフェイズ中に攻撃できる。

素良「融合素材にした数だけ連続で攻撃できる強力なモンスターだよ!でも、その効果の割には攻撃力が2000と少ないんだけどね。けど、攻撃力を1000下げるだけで直接攻撃が可能になる、『流星の弓―シール』とか、攻撃力をアップさせるカード。『デストーイ』なら『シザー・タイガー』とかいろいろあるから、色んなカードを試して欲しいな!あ、でもエクシーズと混ぜるのは駄目だからね!!」

素良「さて、ようやく本編が再開されるね。これからのデュエルが楽しみだよ!誤字・脱字の指摘、それから感想・評価も待ってるからね!!それじゃ、次はお待ちかねの次回予告だよ!」




~~~次回予告~~~

素良「あはははは!!いいね!君とのデュエルは楽しいよ!ここまで楽しいのは久しぶりだ!だけど、それももうすぐ終わっちゃうけどね。ここから、僕もマジで本気出しちゃうから!!」
襲雷「言ってろよ。だけどな…俺たちはもう負けられないんだよ。だから…どんなことをしても!テメェはここでぶっ潰す!!」

次回、『遊戯王ARC-Ⅴ アイズの名を持つ龍の主』
【襲雷の覚悟 "終焉〟の名を持つ機光龍!!】


襲雷「見せてやるよ……こいつが俺の、全力だ!!!」
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