遊戯王ARCーV アイズの名を持つ龍の主   作:青眼

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今回で舞網チャンピオンシップ編も、バトルロイヤル編に突入です!長かった!1年も掛かってしまいました!(苦笑)ですが、話の展開的にこれからが本番。『アイズの名を持つ龍の主』をこれからもよろしくお願いします!





37話 それぞれの闘い

俺があの日、真紅に声をかけた次の日。俺は余ったカードが入ったカードバッグを彼女にプレゼントした。といっても、渡したのは箱の中に入っていた40枚のカードだけだ。融合デッキ……今で言うエクストラデッキのカードも渡そうとしたが、流石に悪いと断られた。

 

あの頃から俺は『ブルーアイズ』を愛用していた。そして、あいつは自分の名前が入ったカード、『レッドアイズ』を好んで使っていた。攻撃力の差をいろんなカードを使って打ち破られた事もあれば、逆に圧倒的な火力で殲滅した事もあった。二人で一緒に大会に出て、その決勝戦で闘った時は鳥肌が立った物だ。だが…まぁあれだ。本当にギリギリだったけどな。俺達はまだ子供だ。だから、持ってるカードパワーが違いすぎたこともあったから仕方が無いのだが……。

 

だからだろうか。よく似た境遇。そして対を為す2体のドラゴンを使う俺達は、大会でも公認カップルみたいな扱いをされていた。それが少し恥ずかしいと思った事もあったが、真紅が喜んでいたし、何より俺も嬉しかったから良しとしていた。

 

 

 

 

 

………そんな時だった。あんな事がが起こってしまったのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side秋人---start

 

「おい赤馬。土産だ」

 

LDSの社長室に入るなり、俺は肩に担いだセレナをソファに投げ飛ばす。そのせいで呻き声を上げるが、さっきのデュエルで気力を消耗したせいか、目は覚まさなかった。

 

「……彼女は?」

「【アカデミア】の奴らの一人だと言っていた。勝鬨のデュエルをした後に襲われてなァ。ま、返り討ちにしてやったがなァ」

 

扉の近くの壁に凭れ掛かって赤馬に視線を投げる。バリアンの、カオスの力を得て投げた俺の視線は、とても冷たい物の筈だ。だが、それを真正面から受け止め、その上で奴も視線を投げてきた。内に秘めた闘志が視線に浮かび上がっている。

 

「……桐原。お前は一体、何者なんだ?」

 

社長室の椅子から立ち上がり、デュエルディスクを起動させて身構える。デュエルの準備は整っている。俺もそれに応じてディスクを取り出せば、デュエルが始まる。俺の手に入れた新しい力であれ(・・)をすれば、文字通り命懸けのデュエルが始まる。だが……

 

「おいおい。物騒なモンは仕舞えよ。少なくとも、敵じゃねェぞ?」

「下らない問答をするつもりはない。ハッキリと答えろ。お前は、何者だ」

 

赤馬から、答えなければ問答無用でデュエルを行うという意思がはっきりと伝わる。それを見て少し苦笑いをしながら、俺は扉に手をかけてこう言う。俺が何者かだと?分かりきっているじゃないか。

 

「俺は………誰でもない(・・・・・)者だよ」

 

意味ありげなセリフを赤馬に送りながら、俺は社長室を出る。明日から始まる大会に備えて、デッキを調整する必要があるから。早々に部屋を出ようとした俺に、赤馬が待て、と低い声で動き止めさせる。

 

「何だ?質問には答えたぞ。とっとと帰らせろ。これでも忙しいンだよ」

「分かっている。だが、先に伝えておく事がある。先ほど、紫雲院素良がスタンダード次元から脱走した。……これが何を意味するか、分かるな?」

 

さっきの闘志の篭った視線とは裏腹に、試す様な視線を俺に飛ばして来る。それを見た俺ははっ、と笑い飛ばして部屋から出る。

 

(紫雲院が融合次元に帰ったと言う事は、融合次元の雑魚共(オベリスクフォース)がやって来るって事か………面白ェ、精々俺を楽しませてくれよ……!)

 

これから始まる死闘に心を躍らせながら、俺はLDSを後にする。明日から始まる、舞網チャンピオンシップ第三回戦に備えるために。

 

side秋人---end

 

 

 

 

 

 

sideセレナ---start

 

「っ……ううん。ここは………?」

 

頭から奔る痛みに苛まれながら、私はゆっくりと起き上がる。すぐにバレットの名前を呼ぶが、反応がない。おかしいと思ってすぐに辺りを見渡すと、どこか清潔な部屋のベッドで私は寝かされていた。

 

「確か……私はあのエクシーズ次元の男とデュエルをして……!!」

 

そこまでしてようやく思い出した。そう。私とバレットはあのエクシーズ召喚を使う男とデュエルをして、最初こそ圧倒していたが、返しのターンで瞬殺されたのだ。

 

「……くそ!!」

 

近くの机に放置されていた私のデッキと、デュエルディスクを仕舞って部屋を出る。部屋の時計を見ると、まだ時針は6を示している。部屋を出て気配を探るが、下から何かが動いていること以外分からない。少なくともこの階に人はいないようだ。ならば、今のうちに脱出するに限る。部屋を出て近くの階段を使って下り、一階に着いたと同時に私は上ってきた誰かとぶつかった。

 

「…っ、大丈夫か!?」

 

階段を下りていた私は躓くだけで済むが、ぶつかった男はそう言う訳にもいかない。だが、私が心配した男は華麗に受身を取って、自分の受けるダメージを無かった事にしていた。

 

「すまない。そっちは大丈夫だったか……」

 

男が私を見るなり口を開いて驚いていた。私には何故男が絶句しているのか分からず、首を傾げる。その後、男が意味も分からず涙を流す。

 

「る、る、るーーー」

「……る?」

「瑠璃ーーーーーー!!!」

 

男が涙を流しながら私に抱きついてきた。いくら【アカデミア】で育てられたデュエル戦士である私だとしても、突然の奇行に驚いてひっ、と情けない声を出してしまう。だが、男の奇行は風のように滑らかに前にやってきた男が入ってくる事で防がれた。

 

「落ち着け隼!!」

「ぐゥ!?」

 

黒色の髪をした少年のパンチが、抱きついてきた不審者の腹に突き刺さる。不審者は痛みに耐えかね、腹部を手で押さえている。それを見た紫色の少年がため息を吐いていた。

 

「俺の連れがすまないことをした。大丈夫か?」

「あ、ああ。それより、その男の方こそ大丈夫なのか?凄く痛そうだが……」

「いつもの事だ。君が心配することではない」

 

床で悶絶している不審者の体を、少年が肩で担ぐ。ぶつかった私にも非があるので、私は空いている方の肩を貸す。それを見た少年がありがとう、と優しい顔で言われ、どこかむず痒いなったのは秘密だ。

私が寝かされていた部屋を見て薄々感づいてはいたが、どうやらこの建物は病院のようだ。受付を待つ椅子に不審者を放置し、私達は近くの席に座る。

 

「自己紹介がまだだったな、俺はユート。さっきの不審者っぽい男は黒咲隼。俺達の仲間だ」

「セレナだ。他に言うことはない」

 

助けてくれた男に言うセリフではないとは思ったが、もし目の前の男がエクシーズ次元の生き残りだとしたら、私がどこから来たのかを知れば、すぐにデュエルを仕掛けてくるかもしれない。いつもなら真正面から受けて立つのだが、何故か、今は闘う気にはなれなかった。

 

「……ああ。言ってなかったな。俺達は、君が融合次元からやってきているのを知っている。勿論、君がデュエルで敗北した事もな」

「!? 何故私の事を知っている!?そもそも、貴様は一体……!?」

 

男の発言に驚きを隠さずに私は叫ぶ。それを聞いた男が、どこか困った様な顔をしながらも、私の質問に応じた。

 

「俺は……俺達は、君達【アカデミア】が滅ぼしたエクシーズ次元の生き残り。【レジスタンス】だ」

 

男の口から言われたその言葉は、初対面のはずなのに、私の心の中にすぅ、と入り込んでいった。

 

sideセレナ---end

 

 

 

 

 

 

sideユート---start

 

「………という訳だ」

「そ、んな。馬鹿な……!!」

 

互いに自己紹介を済ませた後、俺をここに行くように命じた赤馬零児の命令で、目の前にいる瑠璃や柚子に良く似た少女、セレナに【アカデミア】がエクシーズ次元にしたきた事の数々を説明した。それを聞いた少女の顔が、絶望したかのように目を丸くした。

 

「私達が、エクシーズ次元の人々を狩りのように、ハンティングゲームのように襲い掛かっていた、だと?」

「ああ。バトルロイヤルルールで一人に対し多数で襲い掛かるのは常識だ。基本的に俺達は一対三で襲い掛かられた。それだけではない。デュエルができない一般人でさえ、奴らは“ゲーム”だと言って狩ってきていた」

 

途中から復活した隼も、一緒になって説明してくれている。誇り高き【アカデミア】のデュエリストがそんな事をする筈がない、と虚ろな目で呟いていた。……どうやら、彼女は何も知らなかった様だ。

 

「そこで、俺達は【アカデミア】に対抗するために【レジスタンス】を作った。そしてこの世界、スタンダード次元にいる【アカデミア】の親玉、赤馬零王の息子、赤馬零児と会いに来たんだ。そして俺達は、彼が父親と相対している事を知った」

「俺達【レジスタンス】と、赤馬零児が選抜したデュエリストを合併し、新しい反【アカデミア】組織。【Lance (ランス・)Defense (ディフェンス・)Soldiers(ソルジャーズ)】。通称【ランサーズ】を結成しようと考えている」

 

ここで俺達は、赤馬との計画の事をセレナに話す。するとセレナははっ、と顔を上げてこちらを見ている。それを見た俺は一度隼の顔を見て、頷いてから話す。

 

「セレナと言ったな。今の君の反応を見る限り、君は【アカデミア】の実情を知らなかったんだろう?ならば、良かったらでいい。君の力を貸してくれないだろうか?」

 

頭を下げて俺は頼み込んだ。これは彼女にとって苦渋の選択だと思う。【アカデミア】の実情を知らずに闘ってきていた彼女は無罪に等しい。だからと言って、彼女が何の関係が無いと言う訳でもない。それに、彼女は瑠璃とよく似た顔をしている。理由は分からないが、【アカデミア】が彼女達を狙っているのは確かだ。ならば、どのみち襲われるのは自然の摂理だろう。

 

「……私は、【アカデミア】のデュエル戦士だ」

「ああ。分かっている」

「……ならば、私は闘わなくてはならない。私の知る【アカデミア】は、誇り高いデュエリストが大勢いるのだから」

 

その眼に強い闘志を秘め、セレナがこちらの提案に賛同する。その事に礼を言い、手を差し出す。

 

「これからよろしく頼む。セレナ」

「こちらこそ、だ。それよりユート。良かったらなのだが……」

 

セレナが言い辛そうにこちらに視線を送ってくる。それを見て俺はどうした、セレナに言葉を送る。

 

「良かったらデュエルしてくれないか?昨日、あの『RUM(ランクアップマジック)』?とかいうカードを使うデュエリストと闘ったのだが、ワンショットキルされて……」

「貴様!使った男の事を覚えているか!?」

 

セレナが思い出した様に言った事に、隼が胸元を掴んで食って掛かる。それに驚きながらも、セレナは隼の質問に答える。

 

「た、確か秋人と言っていた。『No.(ナンバーズ)』を呼ばれるエクシーズモンスターを使っていた」

 

秋人の名前を聞いた瞬間、隼が歯をギリッ、と噛み締めて悔しがっていた。いや、あれは悔しがると言うより、後悔していると言うべきだろうか。

 

「何かあったのか?あの男と一体何の関係が……?」

「あいつの名前は桐原秋人。俺達【レジスタンス】の仲間の一人だった(・・・)

「だった?今は違うのか?」

 

セレナの最もな発言に俺は顔を顰める。あいつは、秋人は……

 

「お前をデュエルで倒してから、一切連絡が取れていない。……まぁ、明日の三回戦には参加するだろうから、その時に会えばいいだけだがな」

 

あの隼が困ったように笑顔を浮かべて、セレナに言っていた。そうだ、明日の舞網チャンピオンシップ。秋人も必ず来る筈だ。あいつも、デュエリストの一人なのだから……

 

sideユート---end

 

 

 

 

 

 

 

side秋人---start

 

「……さァ、クライマックスだ」

 

目の前のテーブルに広がる自分のデッキを見て俺は呟く。その肩に頭を乗せて寝ているキサラを呼びかけて起こし、カードを仕舞う。寝ぼけて欠伸をしているキサラに苦笑する。

 

「ふぁ~~~あ。あ、秋人?おはようございます」

「おう。昨日は悪かったな。デッキの調整に付き合ってもらってよ」

 

相手がいなかったとはいえ、キサラに付き合ってもらったおかげで、デッキも十二分に強化する事ができた。このデッキに加え、新しく手に入れたバリアンの力。これだけの力があれば、もう誰にも負ける事は無い。そして、誰も傷つける必要も無くなる。

 

「いえいえ。問題ないですよ。だって、私はこの世界に来る前から秋人と一緒にいるんです。貴方が望むなら、世界を敵にまわしたって構わないですよ?」

「本当にやりそうだからそういう事は言うなァ……」

 

ヤンデレヒロインが言いそうなセリフを言うキサラに苦笑しつつ、俺はデュエルディスクを起動させる。

 

「さて、行くか」

「ええ。我らの力、貴方と共に!」

 

ディスクに『ブルーアイズ』のカードをセットし、実体化した『ブルーアイズ』の背に乗って移動する。目的地は、舞網チャンピオンシップの会場だ。

 

「今更だが、この格好でかつこんな登場したら目立たないか?」

《大丈夫ですよ。だって登場時にキングは一人!この俺だ!とか言っている人に比べればましなほうですって!》

 

あの勝鬨戦の服とは違い、新しく黒コートを着た俺は、精霊状態で宙に浮いているキサラと会話する。そうこうしている内に、会場の上空にまで飛ぶと、ある程度高度を下げてから『ブルーアイズ』から飛び降り、華麗に空中で回転しながら着地する。

 

[おわぁぁ!?な、なんと桐原選手!!空から一気に現れたぁ!?]

 

実況のニコが俺の登場の仕方に驚くが、俺はそれを無視してこの会場に集まった参加者達を見据える。主人公の遊矢にヒロインの柚子。彼らの友人である権現坂。そして【レジスタンス】から参戦している襲雷と隼。そしてここまで勝ち抜いてきたデュエリスト達。これからこいつらとデュエルするのだと思うと、全身に震えが奔って仕方がない。勿論、勝つのは俺だがな。

 

[さ、さて!桐原選手がようやく登場したため、舞網チャンピオンシップ第三回戦のルールを説明します!]

 

実況役のニコには悪いが、長くなりそうだからルール説明は割愛する。

 

 

1.第三回戦から、トーナメント方式からバトルロイヤル方式へと変更する。

2.舞網市全域にアクションフィールドを展開し、舞網市を舞台にアクションデュエルを行う。

3.今回のアクションデュエルを行う為には、舞網市のいたる所に設置されたペンデュラムカードを2枚入手してからとする。

4.デュエルを行う前に、互いの拾ったアクションカードを何枚賭けるかを決め、デュエルの敗者は、勝者にその枚数分ペンデュラムカードを渡す。

5.制限時間は、アクションフィールドが展開してから24時間とする。

 

ようは初代【遊戯王】のバトルシティみたいなものだ。あの時はパズルカードという、決勝戦の舞台を探すためだったが、今回はただ単にペンデュラムカードを多く持った者が勝者になるようだ。それに、入手したペンデュラムカードは必ずしもデッキに入れる必要は無いようなので、俺にとって有利になるものばかりだ。

 

[それでは行きますよ!アクションフィールドON!フィールド魔法『ワンダーカルテット』発☆動!!」

 

ニコの宣言と同時に、映し出された画面から4つのフィールドが展開される。多くの遺跡が展開されている古代遺跡フィールド。地面の一部が活火山のマグマに変化した火山フィールド。氷河期の様な時代へと変化した氷山フィールド。鬱蒼とした森林へと変貌したジャングルフィールド。4つのフィールドへと変化した。

 

[それでは参りましょう!戦いの殿堂に集いし決闘者(デュエリスト)が!!]

「「「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!!」」」

「「「フィールド内を駆け巡る!!」」」

 

ニコのセリフがきっかけとなり、この場に集まった決闘者が恒例のセリフを言い出す。それを見て少し苦笑するが、いつもの事なので無視する。

 

「「「見よ!これぞ!!」」」

「「「決闘(デュエル)の最強進化系!!!」」」

「「「アクション~~~ン!!」」」

 

「「「決闘(デュエル)!!」」」

 

デュエル開始の合図がされると同時に、町中にアクションカードがばら撒かれる。それと同時に、大会に参加したデュエリストが町に向かって走り出す。そんな時だった。後ろから誰かの視線を感じた。振り返ってみれば隼が猛禽の様な視線を視線を。襲雷は何か思いつめた様な視線を送ってくる。それを見て俺は胸が痛んだ。だが、これから先の展開を俺なりに考えた結果、それらを無視して走り出す。心から、あいつらの事を思って。

 

side秋人---end

 

 

 

 

 

 

side黒咲---start

 

(秋人……お前は一体何を考えている)

 

秋人に視線を送る。だが、あいつは一瞬それを見ただけで走り去った。あのデュエル。勝鬨勇雄とのデュエル以降、あいつは【レジスタンス】と一切連絡を取り合っていない。そのせいで春菜は思い悩み、ユートに至っては最近ぼーっとしている事が多くなって、料理で包丁を使っている時に指を切ったくらいだ。

 

「………どうしてあいつは……」

「考えても仕方ないって隼。とりあえずは大会に参加して、【ランサーズ】に相応しい奴を探そうぜ。それに秋人の事は、大会でデュエルでもしたら分かるって!」

 

考えていた俺の肩を、襲雷が叩いて元気付けてくる。その事に少し苦笑しながらも、俺は返事を返す。

 

「んじゃ、最初の予定通り、別行動で【ランサーズ】に相応しい奴を探すか!」

「ああ。何かあったらデュエルディスクで連絡をするぞ」

「おう。んじゃまた後でな!」

 

会場を出た俺達は、第三回戦が始まる前に赤馬零児に指示された通り、分かれて行動を開始する。襲雷は氷山エリアに、俺は逆方向にある火山エリアに向かう。ビルの間や岩陰に隠されたペンデュラムカードを回収しつつ辺りを見渡す。どうやら、ここには俺以外の決闘者はいないようだ。

 

「あ、黒咲!こんにちは!」

「る!……柊柚子か。何故ここに?」

 

3枚目のペンデュラムカードを拾った時、妹の瑠璃に良く似た少女。柊柚子が俺の近くに寄り添ってきた。妹に良く似た少女だから、一瞬、瑠璃の名前を呼びそうになるが、頭を振って余計な事を頭から振り払う。

 

「遊矢とは最後にデュエルするって決めてるから、互いに分かれてカードを探す事にしてるの。ただ、今の所1枚しかペンデュラムカードが揃わなくて……」

「ふむ……ならばこれをやろう」

 

柚子の発言を聞いた俺は、先ほど手に入れた3枚目のペンデュラムカードを柚子に渡す。それを見た柚子が予想通り貰えないと言い出したが、俺が既に2枚のペンデュラムカードを揃えている事を伝えると、少し苦笑して了承する。

 

「それじゃ、早速デュエルしましょうよ!以前はタッグデュエルだったけど、シングルはまだだもの!」

「いいだろう。賭けるペンデュラムカードは1枚でいいな?」

「ええ!行くわよ!」

 

ディスクを構えた柚子を見て、俺もディスクを装着して起動させる。

 

「「決闘(デュエル)!!」」

 

こうして、火山エリア初のデュエルが幕を開ける事となった。幻想の音姫と反逆の隼が対峙する事となった。妹に良く似た少女とデュエルする事に、心なしか嬉しく思いながら。俺は5枚のカードをドローするのだった。

 

side黒咲---end

 

 

 

 

 

 

 

side襲雷---start

 

「え~~と……お、あったあった」

 

氷の中に閉ざされたペンデュラムカードを見て、少し苦笑しながらもカードを回収する。これで2枚のペンデュラムカードが揃った事で、デュエルする権利を得た訳だ。後は対戦相手を探すだけだが……。どうも相手が見つからないな。

 

「まぁ相手はその内見つかるだろ。けど、デュエルしないと【ランサーズ】の選抜ができないしな……」

 

どうした物かと頭を悩ませているところだった。近くから何か古臭い足音が聞こえてきた。音がした方に首を向けると、白い学ランに鉢巻をした、熱血漢という言葉が実体化したような男が近づいてくる。

 

「そこの御仁。ペンデュラムカードを2枚揃えているか?」

「おう。そう言うって事は……お前もか?」

 

勿論、そう言って漢は2枚のペンデュラムカードを見せる。それを見て俺は笑みを浮かべてデュエルディスクを構える。

 

「んじゃ始めようぜ!俺は木原襲雷!よろしくな!」

「うむ。俺は権現坂昇。では、行くぞ!!」

 

互いにデュエルディスクを構え、互いにデュエル、と高らかに宣言する。機械の龍と機械の武士。どこか似ているモンスターを使う2人の男のデュエルが、今始まる。

 

side襲雷---end

 

 

 

 

 

 

 

side秋人---start

 

 

「こいつで4枚目か……。いい加減、ペンデュラムカードを集めるだけの作業には飽きてきたぞ……」

 

雰囲気が好きだった古代遺跡エリアで、俺は落ちていたペンデュラムカードを拾い集める作業を繰り返していた。この第三回戦に参加している決闘者が十数人とはいえ、ここまで出会わなければいい加減いらついてくる。だが、どうやらこの不毛な時間は、終わるようだ。

 

「……はっ、出て来いよ。そこまで敵意を剥き出しにしてンだ。()りたいんだろ?さっさと出てきなァ!」

 

デュエルディスクを起動させ、敵意を流している方を睨みつける。どうやら、それで敵さんも観念したようで、遺跡の影から2人の男が現れる。

 

「お前が桐原秋人だな!ここで会ったが百年目!」

「我らが友、勝鬨勇雄の仇!討たせてもらう!」

 

中国武人の様な服装をした2人の男が、仲間の敵を討つという気持ちで溢れ返っている男達を見て、俺は笑った。ただ単純に気持ちが良かった。この敵意が。俺を何が何でも叩き潰そうと言う殺意が。

 

「さァ……かかって来いよ雑魚共ォ!!」

「「「決闘(デュエル)!!!」」」

 

2対1。傍見れば圧倒的に不利と判断するだろう。だが、俺にはそれが調度良かった。シングルデュエルだと、一瞬で終わるからな。さァ……

 

「楽しいデュエルを始めようぜェ?」

 

三日月の様の口を開き、狂気じみた笑みを浮かべる。このデュエル、俺を楽しませてくれよ?

 

side秋人---end

 

 

 

 

 

 

side赤馬---start

 

3つの場所で、同時に行われるデュエル。どれも【レジスタンス】の決闘者が行っている。その中でも私が最も注視しているのは、やはり桐原のデュエルだろう。第二回戦で見せたあの『CNo.(カオスナンバーズ)』と呼ばれたカード。あのカードは今まで見てきたどのデュエルでも異質だ。それこそ、榊遊矢がペンデュラム召喚を創り出した(・・・・・)時と同じ様に。

 

「……何者でもない、か」

 

先日。【アカデミア】の決闘者。セレナを連れてきた時に彼が言った言葉。それが私の頭の中を占めている。何者でもない(・・・・・・)。あの言葉の意味をそのまま受け取るのであれば、彼はこの世界、いやどの次元に属さないという意味になる。それは、余りにも突拍子が無さ過ぎる。

確かに、赤馬零王が拠点としている融合次元。ユーゴと呼ばれる決闘者がやってきたというシンクロ次元。黒咲達【レジスタンス】の故郷であるエクシーズ次元。そして、我々のいるスタンダード次元。確認されているだけで4つの次元が存在しているのだ。ならば、どの次元にも属さない世界があってもおかしくはない。

 

「……だが、あの『No.(ナンバーズ)』と呼ばれるカード達の召喚反応数値は…」

 

あの勝鬨戦で召喚した『CNo.107 超銀河眼の(ネオギャラクシーアイズ・)時空龍(タキオン・ドラゴン)』のカード。あの時の召喚反応の数値は、今までのどのデュエルでも高いエクシーズ召喚の反応数理をたたき出していた。おかげで、観測機の一部が破壊されたほどだ。

 

「お前は一体、何者なのだ。桐原秋人……」

 

モニターの向こうで、笑っている桐原を無言で睨みつける。それが通じたのかは分からないが、秋人がより一層笑みを浮かべながら、デュエルを開始するのだった。




誤字・脱字していたら、報告をお願いします。



~~~次回予告~~~


春菜「はぁ……秋人君。一体どうしているんでしょうか?」
ユート「それを考えたところで、仕方がないだろう。それより、ずっと考えてばかりだと気が沈むだけだぞ。暇なら、デッキ調整の相手をしてくれないか?」
春菜「……いいですよ。ですが、やるからには負けないですよ!」

次回、【遊戯王ARC-Ⅴ アイズの名を持つ龍の主】
『幻影と星の戦士たち』

ユート「行くぞ春菜!これが俺の新しい切り札だ!」
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