ハイニュー
『………』
ハイニューはただ一人フィリアンノ城の窓から明るく晴れた空を見上げる。そして彼は静かに自分の手を見る。その手は自らの血液であるオイルで少々汚れていた状態であった。そして宿敵が言った言葉を思い返す
『私は純粋に完全な状態の貴様と決着をつけたいからな…』
ハイニュー
『(ヤツはフロニャ人抹殺とか言っていたが……なぜあの時手を抜いたのだ…)』
そう、彼が違和感と感じたのはあの時なぜもっとファンネルを使わなかっただ。あの時ファンネルをかなり使用していればカイザーやゲッターなどのロボット軍以外は抹殺できたはずなのだ。
ハイニュー
『(ヤツはまだ迷いを捨てきれてないというのか…?)』
――コンコン、カチャ
エクレ
「ハイニュー、そこにいたのか」
ハイニュー
『…エクレか…』
エクレ
「問題の武器のデータってやつを今クスィーが解析してリコが作っている…」
ハイニュー
『そうか……』
エクレ
「……どうした?」
ハイニュー
『いや…なんでもない』
エクレ
「あのナイチンゲールとかいう輩が気になるのか?」
ハイニュー
『………ヤツは…』
エクレ
「え?」
ハイニュー
『ヤツは…ナイチンゲールはおそらく迷っている…』
エクレ
「迷っている…?」
ハイニュー
『あの時、ヤツはファンネルをもっと多用していればミルヒやレオ、クーベルも殺せたはずだ…』
エクレ
「あいつが…迷うなどと…」
ハイニュー
『分かる…あの男は迷いを捨てきれないヤツだからな…』
エクレ
「…………」
するとハイニューはくるりと向きを変え、歩き出した
ハイニュー
『…倉庫へ行ってみる…』
そう言い捨て、そのまま歩き去ってしまう。エクレはその後を追おうとはしなかった
――格納庫
格納庫の中ではクスィー、そしてリコ率いるビスコッティ国立研究学院が溶接する器具を使ってある鎧のようなものを制作していた。それはナイチンゲールがハイニューに手渡したディスクに存在していた強化武装の設計図だった
リコ
「それにしても大丈夫でありますかね…」
クスィー
『何がですか?』
リコは頭に被ったヘルメットをくいっと上げる
リコ
「わざわざ敵が易々と武器の設計図を渡すとは思えないでありますよ。もしかしてこっそり自爆プログラムが仕込まれてたりして…」
『…あの男がそうセコい手を使うかよ』
クスィーとリコは声に反応して後ろを見た。そこには腕を組んだ真ゲッター1の姿があった
クスィー
『真ゲッター…』
真ゲッター1
『ヤツは恐らくマジでハイニューとケリをつけようとしている…』
リコ
『「のう…ハイニュー様とあのナイチンゲールとやらはいつからライバルに…?」
真ゲッター1
『…まだハイニューが15のガキだった頃からだ……』
リコ
「そ…そんな昔からでありますか?」
真ゲッター1
『あぁ…』
『やぁ、作業はどうだい?』
ハイニューは倉庫の壁にもたれかけながら作業を覗く
リコ
「ハイニュー様、どうやらあの強化装備は凄まじい高火力、高い機動性、そして厚い追加装甲……まさに着用する者を要塞と化すとんでもないシロモノであります…」
ハイニュー
『そうか……』
リコ
「それともう一つの武装が確認されたのであります」
ハイニュー
『もう一つの…?』
クスィー
『はい。それがこれです……』
クスィーが一枚の紙をハイニューに差し出し、その紙を眺めると思わず凝視する
ハイニュー
『こいつは…!!』
そこに書かれたのは背の丈の何倍の大きさの大砲だった
ハイニュー
『ハイパーメガバズーカランチャー…』
そう、かつてハイニューと共に戦場で活躍した対要塞用ビーム兵器だ
リコ
『はいぱーめがばずーか…?なんでありますか?』
クスィー
『兄さん専用の対要塞用ビーム兵器です。最大出力で撃てば町一つを灰にできる威力はありますけど…』
リコ
『おぉ……すごい威力でありますなぁ…』
クスィー
『ただ砲身が大きいせいで取り回しが難しく、撃つ際には使用者からエネルギーを供給、チャージしなければなりません。まさに諸刃の剣といった武器ですかね…』
ハイニュー
『それで、こいつの完成は…?』
クスー
『今のところ追加武装と共になんとか制作していますが…そちらの方が時間がかかってしまうんです…何しろ資源が…』
ハイニュー
『そうか…しばらく完成したこいつを見るのはお預けといったところか……』
そう言って彼は腕を組んで作業風景を眺める
だが。その場を上空から眺めるイレギュラーがいた。そう、あしゅら男爵だ。
あしゅら男爵
「えぇい、ハイニューの追加武装なぞ完成させてなるものか!行けい!機械獣ベロドK8!!」
あしゅらは杖を天空に翳した。すると地面が割れ始め、地割れからまるで巨大なダンプカーの姿をした機械獣が現れる。
「グオオオォォォォォン!!」
ベロドK8は雄叫びをあげる
ハイニュー
『今の声…』
クスィー
『えぇ…』
真ゲッター1
『来やがったな…敵さんが』
ハイニュー
『ヤツめ、このタイミングを見計らって…!』
クスィー
『リコさん!後はお願いします!』
真ゲッター1
『野郎、バラバラにしてやる!!』
クスィーと真ゲッター1は鳴き声が響いた方向へ飛んでいった。
ハイニュー
『ならば俺も…』
「待て!」
ハイニューも飛び立とうとした時、突然の声で遮られてしまう。彼が視線を向けるとそこにはエクレが腕を組んだまま真剣な眼差しでハイニューを見つめていた
ハイニュー
『…怪我人は黙って寝ていろ…だろ?分かったよ』
だがハイニューの答えは見事に裏切られる事になった
エクレ
「私も連れていけ!」
リコ
「エクレ!無茶であります!相手は紋章砲すら効かない…魔物とは訳が違うでありますよ!」
ハイニュー
『……いいのか?』
リコ
「えぇ!?ハイニュー様まで!?」
エクレ
「ふん、お前はいくら注意しても勝手に外に出ていくのはもう承知の上さ。だからここはどうせなら一緒に戦った方がいいと思ってな」
ハイニュー
『…ふっ、後悔したって知らんぞ』
エクレ
「私はビスコッティの親衛隊隊長だぞ。あまり見くびってはこまるな」
エクレはイタズラそうに笑いながら言う。するとハイニューはテクテクとエクレの横を通りすぎる
ハイニュー
『乗れ』
背中の羽のようなフィンファンネルラックを広げながら言う。
するとエクレは明るい表情を浮かべ、背中に乗り、おぶられる状態に
エクレ
「いくぞ!後余り私の尻を触るなよ!」
ハイニュー
『分かってる。振り落とされるなよ!!』
ハイニューは背中のブースターを吹かし、空高く舞い上がった
リコ
「エクレ…」
そう空を見上げるリコ。彼女は見たのだ。
いつもより尻尾を振りまくっているエクレの姿を…
そしてリコも決心がついたのか作業を続けるべく倉庫の中へと入っていった
つづく
いやぁ。エクレが物凄く空気だから活躍させないと思って…
ちなみに今回出てきた機械獣はオリジナルの機械獣です。