彼は上空から一部始終を見ていた。
「トリルラン卿が・・・死んだ・・・?
あんなに小さなカタフラクトにやられて・・・?」
彼の名はスレイン・トロイヤード。
火星に住む地球人だった。
(いや、まだ死んだとは限らない、一度降りて確認しなければ・・・)
スレインはスカイキャリアの高度を下げ、真っ二つになったニロケラスのそばに降り立った。
(この巨体をあんな小さな刀で真っ二つに・・・
しかも完全無欠のバリアを貫通して・・・)
「いったい・・・何者なんだ・・・?」
織斑一夏がもといた場所から飛び立ち、埠頭に向かおうとした時、
地上に、正確には先ほど倒したニロケラスのそばに、熱源体を感知した。
「あれは・・・?」
(紫ダンゴムシの操縦者か?)
一夏は目標を補足するために、ハイパーセンサーで拡大表示した。
(操縦者にしては若いな・・・でも・・・)
表示されたのは金髪碧眼の自分と同い年くらいの少年だった。
「セラムさん、すいません。
地上に逃げ遅れた人がいるみたいなんです、
少し地上に降りてもかまいませんか?」
「えぇ、大丈夫ですよ。
一夏さんはおやさしいんですね」
「え?」
唐突に言われたので、うまく反応できなかった。
「だって、見ず知らずの人を助けようとするなんて、
普通の人にはできませんよ?」
「そんなことないですよ。
守れるものは全部守る。
それが俺の信条ですからね」
すべて失ってから遅いから、というのは言わないでおく。
「それじゃあ高度さげますよ」
(みんな今頃どうしてるかな?)
「!!?」
(なんでこんなところにあのカタフラクトが!?)
突然空から降り立った白い機体に驚きを隠せないスレイン。
「自分も殺される」と反射的に身構える。
そんな緊張とは裏腹に、
「おーい、そこの人!!大丈夫かー?」
間の抜けた声が聞こえた。
(は?)
(この男は自分を心配してやってきたのか?
僕は火星側の人間で、敵なんだぞ?
この男は何を考えている!?)
そう考えるうちに一夏は地上に到着した。
「ふぅ、大丈夫か?」
一夏は流れるような動作でISの展開を解除する。
すると、
「んな!?
地球にはそんな技術があるのか!?」
スレインが驚いた。
それは初見でISの解除を見せつけられたら誰でも驚く。
が、
「ん?地球?」
スレインの驚き方は少し違った。
『地球には』
確かにそう言っていた。
「あれ?おまえは火星の出なのか?」
そのセリフを聞いた後にスレインは激しく後悔する。
(地球人としてやり過ごせたかもしれなかったのに・・・
失念していたか・・・)
(というかこの男はこの服で火星側の人間だと判断できなかったのか!?)
ただ次のセリフは予想どころか、夢にも思っていなかった。
「スレイン・・・?、もしかしてスレインですか!?」
「まさか・・・!姫殿下!!?」
その声をスレインずっと待っていたのだった。
「姫殿下なのですか!?」
「えぇ、スレイン。久ぶりですね!」
そういいながらセラムは自分にかかっている光学迷彩を解く。
一夏もいるが、アセイラムが信頼に足る人物だと判断したのだろう。
そのこともあって一夏は一人だけ置いてけぼりを食らっていた。
状況が読めない。
「あ、紹介がまだでしたね。こちらはスレイン。
火星で地球のことについて教えてくれた友人です」
「友人なんてとんでもない、
・・・紹介に預かった、スレイン・トロイヤードです。
姫様を助けて下さり、ありがとうございます」
「スレインさん、そんな硬くならないで下さいよ。
・・・って言ってる俺も硬くなっちゃってるな!
俺は織斑一夏。気軽に一夏って呼んでくれよ!男同士、仲良くしようぜ!」
ちょっと前に案内してくれた人もそうだったけど、久々に男を見た気がする。
ずっと女ばっかりのところで暮らしてたからなぁ・・・。
「わかった。じゃあ僕のこともスレインって呼んでくれ」
「おう!」
「気が合うようでよかったです!」
(と丸く収まったところで・・・
ってさっきから気になっていることが・・・)
「ところで、姫様っていうのは?」
「あぁ、申し遅れました。
私の本名はアセイラム・ヴァース・アリューシアです。
改めてよろしくお願いします。」
「へぇー、アセイラムさんっていうのか改めてよろ「ちょっと待て一夏」ん?なんだ?」
「お前、姫様に対して無礼だと思わないのか・・・?」
「そうそう、お前たちの言ってる姫様っていうのがいまいち理解できないんだよ。
姫様だけじゃあどこの姫様かわからないだろ?
あだ名っていう落ちもありそうだったし・・・」
「・・・もしかして一夏、アセイラム姫殿下のことを知らないのか?」
「おう、知らないぞ!」
「「「・・・・」」」
「あれ、なんか俺変なこと言ったか?」
場の空気が凍ったのを感じた一夏は小首を傾げる。
すると三人は三者三様の反応をする。
「姫様を知らない・・・?これだから劣等民族は・・・・!」
「一夏・・・姫様を知らないのは、世界中探してもお前ぐらいだよ・・・」
「まぁ、知らない方もいるのではないかとは思ってましたから」
ちなみに上からエデルリッゾ、スレイン、アセイラム姫の順だ。
「いいか?一夏、アセイラム姫は火星の、ヴァ―ス帝国の第一皇女だ。
これくらいは常識のはずだと思うんだが・・・」
「ゑ?そうなのか!?」
「「はぁ・・・・」」
スレインとエデルリッゾが二人してため息をつく
一夏が異常に慌てふためく様子を見ると
ほんとに素で知らないようだ。
「え、えっとアセイラム姫・・・?」
一夏が声をかける。
それも震える声で。
「はい、何でしょう?」
そして一夏は・・・
「今まで数々のご無礼をどうぞお許しください」
インフィニット・ストラトスの世界を含めた自分の人生初の土下座をした。
「え!?そんないきなり!?
か、顔をあげ・・・じゃなくて体を起こしてしっかり顔を上げてください!!」
「え?許してくれるんですか・・・?」
「もちろんですよ!」
「いやあ、アセイラム姫がやさしい人で良かったぁ。
これが千冬姉とかだったら平気で俺のこと吹っ飛ばしてたよ、うん」
どんな環境にいたんだ、
という突っ込みは誰もしなかった。
「まぁいいや。とりあえずこっからフェリー埠頭の方面に行けば
民間人とかと合流できるはずだから、行こうぜ!」
「「「はい(あぁ)!」」」
一夏は三人を抱えて白式で空を駆ける。
同刻フェリー埠頭にて
界塚伊奈帆は何の滞りもなく埠頭にたどり着くことができた。
(白い天使・・・か・・・)
ユキ姉と鞠戸大尉が言ってたほぼ人間サイズのカタフラクト。
特殊なバリアを貫通する攻撃、圧倒的機動力、
(火星のカタクラフトか?)
でも彼のおかげで伊奈帆たちはフェリーおよび揚陸艇に間に合って、
すべてがスムーズな流れになっていた。
感謝はしているが、
どうもそのカタクラフトが気にかかる。
(一体何者なんだ・・・?)
同刻ザーツバルム卿の揚陸城にて。
彼、ザーツバルム卿は新たな戦力に期待していた。
「一日で爵位をものにするとは、とんでもない猛者だな。
篠ノ之箒
貴様の機体と手腕に期待しているぞ」
呼ばれたのは、一夏の探す仲間の一人である篠ノ之箒その人であった。
「はい、ザーツバルム卿。必ずやヴァ―スのために手柄を立ててみせます」
(待っていろ一夏、今からお前を探し出して見せるからな・・・)
物語が、さらに動き出す。
ここで箒を投入してみました。
追ってISキャラは追加していきます。
誤字、訂正、おかしな表現などあればよろしくお願いします。
では!