東方化猫記   作:Mia・Sim

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第四話〜猫はスペルカードを使えるか〜

 

 

紅魔館を出た後、猫ーヴァロヴェンヌはぶらぶら彷徨っていた。

でも、それには明確な目的があった。

 

「…で、さっきからそこで覗いてる人、何が用ですか。」

 

「…ばれた?気配は隠してたのに…」

 

「妖気垂れ流しだわ。もちょっとコツを掴みなさいコツを。こんな感じに。」

 

瞬時に妖気を隠す。600年は軽く妖気を隠していたのでこのくらいは朝飯前だ。

 

「…自己紹介がまだだったわね。私の名前は八雲 紫よ。『境界を操る程度の能力』を持っているわ。」

 

 

「私の名前は百鬼七異形・ヴァロヴェンヌ。『陰と陽を操る程度の能力』を持っているわ。」

 

 

〜数分後〜

 

「で、スペルカードってのを教えに来たと…大体わかったわ。」

 

「とりあえず博麗神社まで行きましょう。私の"スキマ"を使えば一瞬だわ。」

 

「ええ。」

 

 

 

「で、これが博麗神社ね。立派でかっこいいわねえ。とりあえず諭吉さん二枚ほどいれときましょーか。」

 

「諭吉さん二枚⁉︎」

 

「…彼女がこの博麗神社の巫女、博麗霊夢よ。見ての通り守銭奴なの。」

 

「…紫と…あとは誰?」

 

「百鬼七異形・ヴァロヴェンヌというわ。早速だけどヴァロヴェンヌにスペルカードを教えてあげて欲しいの。」

 

「強くなければ、スペルカードは使えないわ。この人は本当に強いのか試させてもらうわよ」

 

紫から簡潔にスペルカードルールを教えてもらうと、ヴァロヴェンヌは霊夢の目の前に立った。

 

「どうぞ。スペルカードとやらはどんな物かわからないから打って来てくださいな。」

 

「じゃあ遠慮なく行かせてもらうわよ」

 

ー霊符 「夢想封印」

 

 

無数の光弾がヴァロヴェンヌを襲うが、

 

「光の塊ねぇ…私の敵じゃないわ」

 

扇子を振って追尾性能のある夢想封印を軽くいなしていく。

 

「とりあえず今のスペルカードと同等の威力の技でも放っとくわ…

 

…物や思ふと人のとふまで。」

 

霊夢の足元の影がめくれ上がる。

すすすとヴァロヴェンヌのそばに移動した影の霊夢は、ヴァロヴェンヌが扇子を打つ音と共に動いた。

 

影でできたお祓い棒を振るって霊夢に迫る。霊夢も応戦するが、自分と同等、いやそれ以上の実力をもつ影に苦戦している。

 

「…もういいわよ、お下がりなさいな。」

 

「…!」

 

ヴァロヴェンヌの声に反応して影は消えた。

 

「…スペルカードの材料をあげるわ、その代わり…」

 

「?」

 

「貴方の能力を教えて。」

 

「『陰と陽を操る程度の能力』よ。」

 

「…ふーん。はい、これがスペルカードの材料となる紙よ。あと、少しお願いしたいことがあるのだけれど。」

 

「なにかしら?」

 

「裏山の鬼を静めて欲しいの」

 

「…いいわよ、その代わり美味しいお酒を頂戴な」

 

「中にあるわ、ご自由にどうぞ」

 

「よっ…と、じゃあちょっと鬼と酒盛りでもしてくるわ」

 

 

***

 

樽から汲んだ酒"七艶感麗"をぐいーっと杯から一気に飲み干し、影で作った瓢箪に詰め、一通り呑んでいると、何処からかゴクリと言う生唾を飲み込む音がした。

 

「…(おいでなすったかな)」ぐいーっ

 

気配からして二人いる様だ。

 

「…だぁぁーっ‼︎まだるっこしい‼︎その酒おくれよ!」

 

「…人から物をもらう前に、名乗るのが筋ってもんじゃないの?」

 

「む、それもそうだな。私の名前は伊吹 萃香だ、そっちは星熊 勇儀。どっちも鬼だ。あんたは?」

 

「私の名前は百鬼七異形・ヴァロヴェンヌ。齢600年の化猫よ」

 

「いやー、うまそうな酒の匂いがしたもんだから来てみれば鬼の中で伝説んなってる酒、七艶感麗に出会えるとは。」

 

「うまそうー…呑んでいいか?」

 

「いいわよ、どうせ貰い物だし。それより、なんで二人はここに居たのよ」

 

「酒が尽きたから酒造を探してたんだけど、なぜかここに迷い込んだ」

 

「ふーん…ねぇ、貴方達の能力は何なの?」

 

「私は密と疎を操る程度の能力、勇儀は怪力乱神を持つ程度の能力だ。ヴァロンは?というか長いから名前略していいか?」

 

「いいわよ、別に。私は陰と陽を操る程度の能力よ。酒造を探してるならいい所を知ってるわよ」

 

「本当か⁉︎連れてってくれよ!」

 

「いいわよ。ところでそこにいる闇は何?」

 

「ん?ああルーミアじゃないかー?」

 

「ばれたのかー」

 

「なんだこれつまみうめぇぇ」

 

「戦いたいのだー、誰か戦っておくれー」

 

「…私でよければ相手くらいには」

 

「じゃあ遠慮なく行かせてもらうよー」

 

「…作ったスペルカードの威力も試したいし、いいわよ、枚数は3、自機数も3でいいわよね?」

 

「いいぞー、始めるぞ!」

 

***

 

無数の弾幕をすいすいとよけていくヴァロヴェンヌだが、以前スペルカードを発動しない。

 

「来ないならこちらからいくぞ!」

 

-闇符「ディマーケイション」

 

「ではこちらもいくわよ」

 

-埋葬「黒棺は灯火を消す」

(詳細はあとがきで)

 

どちらも高密度のスペルカードだが、明らかにヴァロヴェンヌの方が密度が高い。

 

「…当たったわね、これで貴方の自機は2ね」

 

「ぬぬーっ…これならどーだ‼︎」

 

-月符「ムーンライトレイ」

 

ビームが二本発射され、ヴァロヴェンヌにも少し当たったが、ヴァロヴェンヌは扇子を二本広げるとぼそりと言った。

 

「…別当、散り花の価値もあらず」

 

大きな桜の形の弾幕が分散し、意思を持っているかのようにルーミアを襲う。

 

これでルーミアの自機は1、ヴァロヴェンヌの自機は2だ。

 

「最後はこれで決めるわ」

 

-禁忌「地球上での王様ゲーム」

 

赤黒い禍々しい色のレーザーが放たれた。

 

「ひゃー、強いなぁ…じゃあ私はこれでおいとまするぞー」

 

 

 

「…ヴァロン、あんたこんなに強かったとはね…一回殴り合いしてくれないかい?」

 

「また後でね?今日は疲れたのよ…」

 

 




埋葬「黒棺は灯火を消す」
妖力でできた縄付きの槍を無数に飛ばして相手を襲う技、動体視力がよほど良くないと避けることは無理

禁忌「地球上での王様ゲーム」
ヴァロヴェンヌの現時点での最強クラスのスペルカード。体に残っている妖力を全て使って太いレーザーを打つ。状況に応じて上から打ったり目の前に打ったりするので避けるのは難しい。

あぁ、そうそう、「別当、散り花の価値もあらず」がなぜ弾幕に変化しているかというと、作者の気まぐれです。
ちなみに別当とはべとう、と読み、平安時代の役人が手紙(位の高い人当て)などで使った丁寧言葉です。
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