東方化猫記 作:Mia・Sim
目的地に着いた猫、ヴァロヴェンヌはこきこきと首を鳴らし、準備体操をし始めた。
「…さーってと、はじめますか!」
今は夜。陰と陽を操れるヴァロヴェンヌだが何をするつもりなのだろうか。
まず、手を影にかざして操りはじめる。そして扇子を広げ、舞い踊る。
本人が言うには踊った方が陰と陽を上手く操れるらしい。
月光をも操り、影と混ぜていく。
光と影は対の存在であるからこそ、混ぜると自分が操らなくとも形状を保つのだという。
ぐわんぐわんと影が形をなしていく。
一夜経った時、底には黒々とした館がそびえ立っていた。
「ふふーん、なかなか上出来じゃないかしらね?さて、最後の仕上げと行きますか。」
朝日がさしたその時、朝日の最初の一筋の光で、黒々とした館に装飾を施し始める。
***
すっかり朝になった頃、そこには白い装飾が施され、中もすっかりと綺麗になった館がそびえ立っていた。
「…この館が、私の住処になるのよね…なんだか勿体無いわね(笑)」
「おーいヴァロン、酒盛りしようz…なんだこれ!?」
「あら、勇儀じゃない。これは私が作ったのよ。影と光でできているの。」
「お前これを一晩で作ったのか?凄いな…名前は決めてあるのか?」
「名前?そうねぇ…陰陽館(おんみょうかん)なんてどうかしら?」
「おんみょうかん…かっこいいな!ところで殴り合いはいつしてくれるんだ?」
「私は殴り合いなんて合わないからこんなのを作ってみたわ。」
勇儀の影がめくれ上がると形をなし、影の勇儀ができた。
「『自分』と殴り合いをしたらどうかしら?これなら互角だし、この影を操るのは私だから実質私と殴り合いをしている様なものでしょう?」
「そうか、じゃあいくぞ!」
〜一時間後〜
「「あーっはっはっはっは!」」
何があった。と言いたいところだが以前殴り合いは続いている。
影は勇儀の影ということもあって殴り合いが楽しいらしく、ただただ笑いながら殴り合うだけとなった。
ごろごろと猫笑をしながら観戦をしているヴァロヴェンヌだが、山から殴り合いの余波が溢れ始めているのに気づいているのか結界を張ってある。
やがて、ぱちんという音が鳴り響き、殴り合いの終わりを告げた。
「さーさ、遊び(本気の殴り合い)は終わり!私は今から麓の村に出るの。酒盛りの為のお酒を買ってこなくちゃね。さあ影達、お手伝いをお願いね?」
ぱちんと指をならすと茂みの影がめくれ上がり、みるみるうちに人型になった。
「さーさ、お酒を買いに行きましょう。後は酒の肴の材料になる肉ね」
「じゃー私は待ってるぞー、久々に疲れた。」
***
「妖怪がおりてきたぞ!かこめー!」
「ここであったが百年目だ!覚悟しろ!」
「…はあ…やっぱり余波は溢れてたかぁ…」
「地震を起こしやがって!覚悟しろこの悪妖怪め!」
「……私はお酒を買いに来ただけなのに…しょうがないわ、齢600年の化猫の力、少しだけ見せてあげるわ。」
ヴァロヴェンヌが扇子を振り上げると、太陽の光が遮断された。
いや、違う。太陽の光が全てヴァロヴェンヌへと降り注いでいるのだ。
「貴方達は私を敵に回したことをきっと後悔する…」
メキメキという音とともにヴァロヴェンヌの体が変異していく。
ザクッという音とともに地に足をつけたのは、巨大な猫又だった。
に"ぎゃぁぁぁぁぉぉぉぉん‼︎
「「「ひっ…うわぁぁあー!」」」
村人達が恐れをなして逃げていく。
すぐに人間体に戻ったヴァロヴェンヌはこきこきと首を鳴らし、
「…だから言わんこっちゃないのよ」
と言ってから、酒を手にして何事もなかったかのように去って行った。
影でできたお付きの奴は某フルーツライダーの松ぼっくりトルーパーだと思ってください