少し隣の異世界で   作:狐のテイル

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——それは、いつもと違う朝だった…と思う。根拠は無いけど。

—キャラ紹介—

・ユウキ アオイ
・結城 葵
・女性
・18歳
・162cm
・黒髪に赤メッシュ
・肩ほどまで伸ばしている(右に比べて左の方が長い)
・瞳は生まれつき赤
・スタイル良し
・V系ファッションとV系バンドが好き
・アニメもゲームも好き
・普段は大人しいが、キレると怖い



第01話 始まりの瞬間

 いつも通りだと思い込んでいたけど、どうも今日はいつもと違っていた。

久々の長期休暇の第一日目を満喫すべく規9時に飛び起きたつもりが昼過ぎ。いつも通りの時間に寝たのに。

予約してた筈のCDとゲームソフトが何かの手違いで在庫切れ。大手の店なのに。

行きつけの喫茶店が行列も行列で芋荒い状態!隠れた名店と称しても過言ではない店だったのに。

 

「不幸だ…」

 

 なんて、思わず不幸体質のツンツン頭みたいな台詞を吐いてしまう。きっと時をかけた少女だって、こんな気分だったに違いない。今日は最高についてる日なのに…なんてね。

 あー、最悪。視界がぼやけてきた…心なしかふらふらするし、気分も悪くなってきたし、誰も彼もが敵に見えてきた…。

 

「どいつもこいつもイチャつきやがってからに…うっ…!」

 

 口に手で押さえて内蔵から込み上げてくるものを押さえ込み、何か無いかと辺を見渡す。

あった…少し小洒落てこじんまりしている喫茶店が一軒。

藁をもすがる思いで喫茶店へ駆け寄りドアノブに手をかけた途端、不思議とすっと吐き気と眩暈が収まった気がした。

 

「せっかくだし、時間もあるし、時間潰しちゃおっかな?」

 

 ドアを開けるとともにカランカランとベルが鳴り、店のマスターがこちらを見る。

 

「いらっしゃい。お好きな席へどうぞ」

 

 20代後半くらいだろうか。マスターは爽やかな好青年のような笑顔で接客した。

 

「あ、はい…お邪魔します」

 

 思わず萎縮してしまった私は彼の居るカウンターから少し離れたよく陽のあたる窓際の席に腰掛けた。

 

「はぁ…なんなんだ今日は…私がナニをしたんだ…」

 

 頭を抱えていると、コーヒー特有の香りが私の鼻腔をくすぐる。

匂いにつられて顔を上げると、マスターが私の前にコーヒーを置いてくれた。

 

「あの!まだ頼んでませんけど…」

 

「いいのいいの。お嬢さん、具合悪そうだしこれ飲んで落ち着いて。僕からのサービスだよ」

 

「あ、ありがとうございます…。えっと…ホットサンド…注文していいですか…?」

 

「ホットサンドお一つですね?かしこまりました。少々お待ちください」

 

 まったりとコーヒーを楽しみながら運ばれてきたホットサンドに舌鼓を打ち、何も考える事無くただただ外を眺めていた。

気がつけば三杯もコーヒーを飲んでいt自分に驚きつつも荷物をまとめ、お会計を頼んだ。

これだけ飲み食いしていて600円とは安すぎるとマスターに言うと、コーヒーはサービスだからとしか言わなかった。

 店から出ようとした瞬間、マスターが呼び止めた。

 

「危ない危ない…これ、お嬢ちゃんのだろう?忘れ物だよ」

 

 と、冷たく光る銀色の鍵のような物がついたペンダントを持ってきてくれた。

 

「んん?こんなの持ってないはずなんだけど…」

 

「そうかい?でも、今日はお嬢ちゃんしか来てないし、昨日は無かったんだけども…せっかくだし貰って行ってよ。僕には必要ないし、誰かのだとしてももう持ち主は来れないと思うからね」

 

「なんだか、なにからなにまでお世話になりっぱなしですいません…また来ますんで、その時は頼ませてもらいますね!」

 

「気にしなくても良いのに。ま、ご縁があったらまたおいで」

 

 そう言い残して店を後にし、ペンダントを首にかけて帰路についた。

 暖かい陽射しに包まれながらぼーっと道を歩いていると、どこからか悲鳴が鳴り響いた。

 耳に障る様な高音とゴムが焼ける様な異臭に目を向けると——。

 

「——っ?!」

 

 ——大型トラックが眼前に迫り、私は宙へ飛ばされた。

 全身に奔る痛みはすでに脳のキャパシティを超えており、身体は他人の物に成り果てたようだった。

 

 ——あぁ、ゲームとCD…残念だなぁ…。

 

 ゆっくりと進む時の中、走馬灯が頭の中を駆け巡った。

 

 ——あのコーヒー、また飲みたかったなぁ…。

 

 瞼を閉じ、重力に身を任せ、アスファルトに接触。そのままの力で地面に飲み込まれ、そのまま意識が途切れた。

 

 

———

 

——

 

 

 

「はっ?!はぁ…はぁ…はぁ…」

 

 反射的に身体を起こす。

 

「えっ…病室…?」

 

 状況が飲み込めない。店を出た後、トラックに弾かれたまま…。

 

「あら、気分はどう?違和感は?」

 

「…大丈夫です。」

 

「そうでしょうね…だってあなた、完治してるもの」

 

 腰まで伸びた深紅の髪に深紅の瞳。凛としていて誰も寄せ付けない様な雰囲気の少女が立っていた。年齢は同じくらいに見える。

 

「見つけた時は血だらけで複雑骨折、全身打撲…数時間では今の医学でも治らないわ」

 

「でも!トラックに轢かれたんですよ?!轢かれたはずなんです!轢かれた…」

 

 あの時の音と匂い、情景が鮮明に頭をよぎり、胃の中の物がこみ上げそうになる。

 

「なるほど、最後に事故にあったのね」

 

 カツカツと歩きながら、私が寝ているベッドの横にある椅子に腰掛ける。

 

「最後にって言いました……?」

 

「えぇ、言ったわ。最後にって」

 

「私、やっぱり死んじゃったんだ……」

 

 身体の力が抜け、ベッドに沈みこむ。

 

「確かにアナタの存在を知る者が一人もいない上、アナタの知らない世界に来たと言う事は死と同意義でしょうね。

この世界が天国か地獄か、はたまた煉獄かはアナタ次第だけれども」

 

 話が見えないし着いていけない。

女性が淡々と並べていく言葉には凄みがある。けど着いていけない。

結局、生きてるのは確かだけど、この世界に私を知ってる人が居なければ、私が知ってる世界じゃない……と。

 

「――異世界に来たってこと……?まさか……ねぇ……」

 

「残念ながら私もその結論に行き着いたわ。正確に言うならば、異世界から来たという形だけどね。」

 

 女性が私のカバンに入っている財布から免許証と学生証を取り出し、目の前に出してくる。

 

「ここに書いてある住所はこの日本……いや、世界には存在しない。

さらに言うなら、アナタが卒業した高校は存在しないし、この電話番号の形式は既に廃止されているモノよ。この免許証に使われているICチップも例外なくね……」

 

 説明を終え、免許証と学生証を掛け布団に置いて再び椅子に腰掛けた。

 

「えっ……じゃあ明日からどうすれば良いの……ひょっとしてお金も使えないんじゃ……ホントどうしよう……」

 

「それは、現実逃避?」

 

「それ以前に身の安全を保証できなきゃ逃げようにも逃げれないじゃん!住所がないなら戸籍だってないんでしょ……どうすんだよ……」

 

「アナタの戸籍は私が作ってあげるわ。住居も資金もアナタに分けてあげる。今は黙って受け入れてくれないかしら……?アナタのために……」

 

「……あれ、本当に異世界なんですか?さっきこの日本って言ったよね?日本なら誰かに電話――」

 

「残念だけど、ポケットに入っていた携帯端末にはネットワークに接続できないと出てたわ」

 

 ベッドから飛び上がり、机に置かれていた携帯を手にとってロック画面を開く。

ディスプレイ下部にはネットワークに接続できないと表示されていた。

どのアプリケーションも反応せず、ネットワークエラーが表示されるだけ。

 

「これはひどい」

 

「君が出現した場所から最も近い大病院に運ばせてもらったわ。もちろん窓から見える通り街中だから、通信端末は普通に使える」

 

「でも私の使えてないじゃん!天下のLTEどこ行った……Wi-Fiも……」

 

 淡い期待を胸に本体を上下に振るも、例のごとくネットワークエラーが出ていた。

 

「何なのそれ……。で、結論は出た?私は着いて来てもらうのが一番良いと思うのだけど?

ま、とりあえず荷物はまとめてもらっていいかしら」

 

 言われるがまま鞄の中に財布やら携帯やらを入れ、ハンガーにかかっているカーディガンを羽織る。

 

「大丈夫?それじゃあ行きましょうか」

 

「え?ちょっと待って!」

 

 病室の出口へ向かう女性を呼び止めようとした瞬間、ガラリとドアが開けられた。

 

「また捨て猫を拾ったんですか…Dr.ルキ?いい加減何でもかんでも拾うのは辞めてくれませんかねぇ…」

 

 落胆の声を上げながら部屋に入って来る初老の男性を見た女性…ルキは少し身構えた。

 

「私の数少ない趣味をこれ以上減らさないでくれるかしら…」

 

「捨て猫に関してスルーかよ。何で初対面のオッサンに捨て猫とか言われなきゃいけないんだよ…」

 

「ほう…君が新しい捨て猫か。随分個性的だな…」

 

「あぁ?」

 

 私 の にらみつける!

 

「君には解らないだろうが、これ以上彼女の時間を取られるのは困るんだよ…」

 

 効果がないようだ!

 

「拒否する場合は実力行使ですが、構いませんね?」

 

 オッサンが手を挙げると灰色のパワードスーツを着た人(武装済み)が5人程病室に入ってきた。手に持った機関銃の銃口は全て私に向けられている。

 

「おいちょっと待てって。何で私なんだよ、意味わかんねぇ——」

 

 ルキは私の袖を掴み、窓の方へ連れようと引っ張った。

 

「あなたは早く逃げなさい!」

 

「逃げろっつっても飛び降りたら死ぬだろ!」

 

「銃殺されるより生還率は高いわよ?!」

 

「どっこいどっこいだr——」

 

 バン!と室内にこだまする銃声。発砲したのはオッサンで、かなり不機嫌な顔をしていらっしゃった。

 

「いい加減にしろ小娘!何処の誰かもわからんガキがなんて口きいてるんだ?!」

 

「この世界の住民はどいつもこいつも話を遮りやがって…彼女が誰かなんて知る訳無いだろうが!」

 

 ルキは肩を落とし、頭を抱えていた。そんなことをつゆ知らず激昂するオッサン。

 

「な、なにぃ…?!」

 

「I don't wanna become the fuckin garbage like you ! 」

 

「貴様…諸君、発砲!」

 

 消音機によって抑えられた無数の発砲音と同時に放たれる無数の弾丸。

 私の身体を貫かんと肌に触れた瞬間反射され、パワードスーツに向かって撃ち返された。

 ざわめく室内。ため息をつくルキ。

 

「すげぇ…っ…!」

 

 これまで味わった事が無い程の激痛が右腕に奔った瞬間、指の一本一本から肘まで青い結晶に覆われた。

クリスタルで出来た彫刻の様な腕は淡く輝いていた。

 

「これならやれるか…覚悟は良いかァ!」

 

 更に鋭く青く輝きを増した右腕を横に薙ぎ払うと、腕と同じ軌道をなぞる様に地面から鋭い結晶が勢いよく飛び出してパワードスーツを拘束。機能が停止したかのごとく動きが止まり、アイカメラのライトが消灯した。

 





はい、どうも皆様はじめまして。狐のテイルでございます!
初投稿で至らぬところがございますが、楽しんで頂ければ幸いです!
色んなネタをちりばめたので、「これは…!」と三者三様に拾って頂ければと思います!

私の趣味全回な内容ですが、しばしお付き合い願います!
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