東京喰種√S   作:torachin

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第2章 エピローグ2

「……………………」

 

「……………………」

 

「お兄ちゃん」

 

「何、ヒナミちゃん?」

 

ヒナミちゃんは僕の耳元でひそひそと話す。

 

「何で、お姉ちゃんもお兄ちゃんも黙ってるの?」

 

「……大学の合格発表で緊張しているんだよ。それに僕、トーカちゃんを怒らせちゃったから」

 

トーカちゃんの顔はとても不安そうだ。だけど、僕がトーカちゃんを見ているのに気づくと黙ってそっぽを向かれる。その顔を見るからに不機嫌そうでまだ怒ってるみたいだ。

 

 

「こんな感じでトーカちゃんを祝う祝う事できるかなぁ……」

 

 

 

 

そして掲示板の前に着いた。既にたくさんの人たちがいる。本来は前までいかないと見えないんだけど……

 

「じゃ、ヒナミちゃんお願い」

 

「うん」

 

僕たちにはヒナミちゃんがいる。僕はヒナミちゃんを担いであげる。もちろんこの状態で『そ〜れ飛行機』なんて遊んであげる訳じゃない。ヒナミちゃんの視力を生かして掲示板の番号を調べてもらう。当然、バレない様にサングラスをかけている。

 

「…………」

 

「…………」

 

僕とトーカちゃんの間に緊張が走る。そして、ヒナミちゃんは何も言わずにずっと険しい顔で掲示板を見つめていた。視線は左端から右へと移動していく。

 

 

 

「あ……あった! あったよ! お姉ちゃん!!!」

 

「「!!!」」

 

わざわざ前に行かないためにヒナミちゃんを呼んだというのに、本当かどうか確かめずにはいられなくて人混みを避けて、ヒナミちゃんが指差した方に向かう。そこにはトーカちゃんの受験番号が記載されていた……

 

「やった……やったやった!!!」

 

トーカちゃんは嬉しそうにガッツポーズをしている。

 

(良かったね、トーカちゃん)

 

僕はヒナミちゃんに耳元で話しかける。

 

「じゃあ、後はお願い、ヒナミちゃん」

 

「え? お兄ちゃんは?」

 

「……僕は先に帰ってるよ。四方さん達に報告しないと行けないし」

 

「でも、お姉ちゃんに……」

 

「トーカちゃん、まだ僕に怒ってるだろうから……」

 

と言った瞬間、ヒナミちゃんは僕を引っぱり人混みから脱出した。

 

「ひ、ヒナミちゃん?」

 

「本当にお姉ちゃんが帰ってほしいって考えてると思う?」

 

「!」

 

ヒナミちゃんは真剣に僕に問いかけてくる。

 

「お姉ちゃん、確かに怒ってるかもしれないけど、このままお兄ちゃんが帰ると多分、傷つくよ」

 

「…………」

 

「四方さん達にはヒナミが伝えるから、ね?」

 

「うん……じゃあお願いしていいかな?」

 

「うん!」

 

そしてヒナミちゃんは『:re』に走っていった。

 

(ありがとう、ヒナミちゃん)

 

もしかしたら僕よりしっかりしてるんじゃないかと思って、思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 

「何1人で笑ってんのよアンタ」

 

「!」

 

いつの間にかトーカちゃんが後ろにいた。さっきまでの笑顔はどこかにいったのか、またいつものクールなトーカちゃんに戻ってる。

 

「合格おめでとう、トーカちゃん」

 

「……何で祝ってくれるの?」

 

「…………え?」

 

トーカちゃんは少し戸惑った様子で聞いてきた。僕はその状況に少し混乱してしまう。

 

「さっきまでしつこく怒っていた私に何で祝ってくれるの?」

 

「……あの、勝手に解釈していたら悪いんだけど……友達って……トーカちゃんと僕っていつもそんな感じじゃない?」

 

「! そうね……そんな感じだっけ、いつも」

 

何かを懐かしむ様な感じでトーカちゃんはぽつりと呟いた。僕もトーカちゃんとの色々な思い出を懐かしんでみる。たくさん笑って、たくさん怒られて、たくさん謝って……

 

「トーカちゃん、ゴメンね。いつも無茶ばっかりして」

 

僕は何度目か分からない『ゴメンね』をトーカちゃんに言った。

 

「……これで最後にしてね」

 

トーカちゃんもようやく僕に笑顔を向けて、許してくれた。

 

「じゃ! アンタに合格祝いで何か奢ってもらおうかな」

 

「えっ!?」

 

「色々、行きたい所もあるし」

 

「はぁ……(苦笑) ……うん、行こうか! 財布の許す限り」

 

 

 

 

 

「………………」

 

(どうしてこうなった?)

 

亜門鋼太郎はベッドで冷や汗をかいている。何故なら、今彼の目の前には『有馬貴将(特等捜査官)』と『和修吉時(喰種対策局 局長)』がいるからだ。

 

「そう、緊張しないでくれ亜門くん。今日は有馬くんが君に話があるだけだから」

 

(だから緊張するんですよ!)

 

「亜門、君の活躍は聞いたよ。君が今までどういう状況だったのかもね……」

 

亜門は黙っておくことしか出来ない。

 

「君の腕のことも。そして君が『喰種捜査官としてこの腕でどうやっていく』と言っているのもね」

 

「……片腕が無くては喰種とも渡り合えないかもしれませんし…………」

 

「『喰種捜査官は手足をもがれても戦え』、だったね」

 

「! ……はい」

 

「でも、たしかにその腕では喰種と戦う上で不便だ。そこでだ、アラタを………………………」

 

「!?」

 

 

 

 

 

 

 

「ふ〜、たくさん買ったなぁ」

 

「そうだね」

 

そのうちの10個くらいがぬいぐるみというのには驚かされたけど……

 

「ねぇ、少し寄っていきたい場所があるんだけど……」

 

「?」

 

 

 

 

「うわぁ、綺麗だね」

 

「でしょ、私のお気に入りの場所」

 

夜の景色がとても綺麗に見えるマンションの屋上からの眺め……壁を駆け上ったから不法侵入になっちゃうのかな?

 

「ここ、ヒナミにも見せたし、店長にも紹介したんだ」

 

「へぇ……」

 

「アンタもいつか連れてこようって考えてた」

 

……トーカちゃんは夜空をずっと眺めている。

 

「ヒナミも四方さんも今はいないけど古間さんも入見さんも店長もついでにクソ錦も……カネキも私にとって大切な人」

 

「………………」

 

「でも、アンタは他の人とは違う。何でもそつなくこなせるからいざというとき頼りになるし、優しいし……」

 

「!」

 

僕、トーカちゃんにそう思われていたんだ。なんだか嬉しくなってしまう。

 

「私はアンタのこと怒ったりとかしてしまうけど、なんだかんだで頼りにしてんのよ」

 

(心の支え……か)

 

前から僕は気になってた。僕は皆のことをどう思ってるんだろうって。

 

「トーカちゃん、最初に君に出会った時、僕の口に人肉を無理矢理つめこんできたよね」

 

「なっ! まぁ……懐かしいな」

 

「いつも僕は君に怒られてばっかりだった」

 

「それはアンタが無茶したりへまするから……!」

 

「だけど、そんなことを思い出すたびに、理不尽に怒られたりする度に、不思議と僕はそれをトーカちゃんらしいと思えるんだ」

 

「!」

 

 

 

 

「僕にとってトーカちゃんは大切な……特別な人だ。まるで家族みたいに思えた。僕はトーカちゃんが……好きなのかもしれない」

 

 

「!!!」




亜門さんのエピローグはここまで! 次回の登場までお待ちください!

カネキはどうなるのか!?


それにしても、掲示板で合格発表って昔ながらって感じになるんですかね? 東大は今もやってるとかやってないとか……
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