「ここがドイツか……」
亜門は初めてのドイツに感銘を受け、周りを見渡していた。その隣には、
「うわっ、綺麗な場所だ」
と、新しいパートナー『桐ヶ谷 和人』がいて、同じくドイツの景色に感動していた。
「その……桐ヶ谷もドイツは初めてか?」
「あっ、ええ。というか、外国に行く事自体……」
「そうか、CCGに入る前は?」
「……えっと、まぁ色々と」
その表情は笑顔、といっても苦笑だった。この時点で亜門はいくつか気づいていた。
まず、彼には人には知られたくない辛い過去がある事。
そして、彼は他人と関わるのが苦手だと言う事。
(アキラとは違う意味で心を開いてくれないな。さて、どうしたものか……)
*
「本当にこんな所に?」
僕たちは今、地図に従ってギリギリ人が通れそうな裏道を体をよじらせて通っていた。
「うん、そのはずなんだけど」
ドイツに着いてすぐに僕たちは『例の場所』へと向かっていた。月山さんはしばらくドイツに残るようでいつの間にかホテルへと向かってしまった。その時、何故か僕の事を心配そうな表情で何度も見つめていたけど……
(あれは一体?)
「! ここだ」
と、考えているうちに例の場所に着いた。そこには下水道へとつながるはしごがある。それはどう見ても手作りで今にも壊れそうだ。
「ゲェ……ここかよ」
トーカちゃんが言うことも分かる。何故なら既にそこは悪臭で満ちているからだ。確かにこんな所、誰も近づかないだろうけど、
「行くしかないね」
と、先に僕ははしごを使って降りていく。もしも下に厄介な奴がいたら排除しないと……と懸念していたが幸い人の気配はしない。
「うぅ……」
トーカちゃんは鼻をつまみながらはしごに足を掛けた。ゆっくりと一段ずつ……
バキッ!
「えっ!? うわぁ!」
「トーカちゃん!?」
その時、はしごがとうとう壊れてトーカちゃんが落ちてきた。慌てて赫子を出してトーカちゃんを間一髪で受け止めて抱きかかえた。
「あっぶないなぁ」
はしごは水にぷかぷかと浮かんでいる。あのまま落ちていたら、トーカちゃんもあそこに……
「臭そうとか考えたろ」
「…………」
トーカちゃん、僕相手には読心術が使えるらしいです。
「……まぁ、ありがと」
「どういたしまして」
それからトーカちゃんをおろして周りを見渡してみると
「!」
色の違う不自然な壁がすぐ近くにある。ゆっくりと近づくと何かが動いている音がする。それに触れてみると
「「!?」」
壁は柔らかくなり、色は真っ赤に染まり、裂けて、奥へと続く道が現れた。その壁の見た目は何処からどう見ても赫子だった。
「これが……」
「うん、クインケ開発に関わったドイツの技術……」
(嘉納の屋敷を思い出すな)
と、一歩踏み込んだ瞬間
「! トーカちゃん後ろ!!」
「は……? ! チッ!」
後ろから誰かが襲ってきた。トーカちゃんは赫子で射撃するけど避けられる。僕も隙を見つけて赫子で叩き付けようとするけど
「!?」
空中で急に加速した。トーカちゃんはさらに攻撃を仕掛けるけど、相手の動きは速くて当たらない。
「羽赫か……なら」
そこで4本の鱗赫で片方の道を塞いで、さらにそのまま前へと突撃する。
「!?」
相手は慌ててバックするが、
「トーカちゃん、今」
「うっせぇ、分かってるつー……」
トーカちゃんはその隙に相手の背中に回り込み、羽赫の高速スピードで、
「の!」
蹴り飛ばし、さらに壁に叩き付けた。
「ぐはっ!」
そのまま、声からして男である襲撃者は倒れた。多分、最後の一撃で腕を折ったな。これで抵抗は出来ないだろう。
「さて、それではお聞きしますが……何で僕たちを…………」
「Mob stop(モブ、やめろ)」
「「!」」
すると建物の奥から誰かがやって来た。トーカちゃんは警戒し赫子をもう一度出現させたが、それを制する。
何故なら、この声は僕の知っている人だからだ。
「カネキくん、来てもらってから早々、迷惑かけてゴメンね。彼も悪気は無かったんだ」
そして顔がハッキリと分かる所まで彼は近づいてきた。
「喰種組織《Analyse》へようこそ、カネキくんと綺麗なお嬢さん」
『この男:『神山 透』、SSレート・?赫、日本で活動していた喰種』