「…………アキラに什造か。懐かしいなぁ。それに」
「ウマそうな匂い!」
「随分、様子が変わりましたねぇ、政道? あなたも人間、やめたですか?」
「お前も髪を染めて……真面目っぽくなったじゃねえか。マトモな人間らしくなったな」
滝澤の髪は白く染まり、さらには隻眼で、面影はほとんど無くなってしまっていた。
「人間は捨てたんじゃない、生まれ変わったんだ。この世界の住人になるべくな」
「………………」
「ちょっと前まではさんざん俺を馬鹿にしてくれたよなぁ、アキラ? 今はどっちの方が上だ? 当然、俺だ!」
什造は『13's ジェイソン』を構え、滝澤へと対抗する……が、
「……真戸さん?」
「…………………………」
*
(この捜査官どこかで…………)
「うおおおおおおお!!」
亜門の『ドウジマ・改』は凄まじい勢いで董香を襲うが、董香も羽赫を利用した爆発的なスピードで逃げる。クインケ本体を避けても、周りから出てくる赫子が不規則かつ対象を狙う厄介なクインケだった。
「そこどけよ!」
「そうもいかん。俺が真戸さんの元パートナーで、貴様がラビットなら!!」
(! 前に殺した捜査官といた……あの時は箱を持っていなかったけど…………)
(このままじゃ……)
「らしくないねぇ!!」
「「!?」」
そこへ現れたのは、おなじみのマスクをつけた月山だった。
「美食屋!?」 (ラビットの他に何故、日本の喰種が?)
「つき……てめぇが何でここに!?」
「何を idiot(バカなことを)、君たちが苦戦している事を知っていて、助けに行かないわけないじゃないか。それより早くここを出てカネキくんを助けに行かないとッ!」
(どうせ、カネキを助けるついでに私を助けようとしてるくせに)
「……2人なら使わざるを得んな」
亜門の右腕が防護服を破って露出される。その腕は什造の様な機械仕掛けの義手ではなかった。
「なっ……」
「どう見ても人間の腕じゃないね」
バキキキキ
『甲赫/アラタ revison』
(篠原さん、あなたの意志は俺が引き継ぎますッ)
「赫子の腕……」
「人間が喰種の武器を手に入れる……マズイかもね」
「何が?」
「クインケは赫子の形を一定に保つ事で、人間が自在にかつ長期間使う事ができる。その分、赫包が持つRc値によって強くも弱くもなる。どんなに強い喰種でもその値によってはクインケが弱くなってしまう。でも、彼は違う。赫包の一部を体に内蔵している、つまり『赫子そのものを腕に取り付けている』。喰種の強さ=クインケと考えた方がいい」
亜門はクラを収納し、『ドウジマ・改』を左手に持ち替えて突っ込んだ。
(まずはラビットから)
董香をドウジマで牽制し、遠ざける。だが、その隙に月山が横から攻撃を仕掛けた。
「がら空きだね」
「!」
月山が赫子で攻撃しようとした時、亜門は右腕を構えた。が、
「おーっと、その右腕で何かしてくるのは知ってるよ」
月山は赫子を最大限強化し、防御姿勢を取る。甲赫の防御を破るのは容易くない。
(よしっ! ナイス月山! この隙にウチが……)
「それが…………」
亜門の右腕の装甲の隙間が緋色に灯り、煙を発し、Rc細胞が噴出され……
「「!?」」
「どうしたぁぁああああ!!!!!」
何かが爆発したかの様な轟音を轟かせながら、月山に強烈な一撃を与えた。しかも月山の赫子は一瞬で砕かれてしまった。
数十メートル先の壁まで吹き飛ばされてしまう月山。
「ウソ……だろ」
亜門は地行博士から移植を受けた後の説明を思い返していた。
『君の右肩には小さいがアラタの赫包が移植されている。君の意志に応え、右腕はアラタの一部と化す。その防御力が高いのはもちろん、生み出すエネルギーは『アラタ・弐<Proto>』と同等だ。つまり君の右腕は……』
『赫者の右腕だ』
亜門の右眼は少し違うが、赫眼となっていた。
(これがアラタ……眼帯の時と同じ力。体への負担はあるがまだまだいけるな)
「おい、しっかりしやがれ!」
「……霧嶋さん、今のうちに逃げよう」
「はぁ!?」
「あの右腕とやり合うには、堅い赫子がないと無理だ。少し体制を立て直そう」
「でも、カネキが」
「分かってる。だからこそ体制を立て直してから、助けに行くんだよ。君も僕が来る前に、猛スピードで動きすぎてスタミナ切れでしょ」
「!」
「それに大丈夫だよ、カネキくんは…………」
*
『強いから』
「これが親父の最高傑作? 笑えないギャグだ」
カネキはカネキ(改)によって全身血だらけで首を絞められて気絶していた。
が、カネキの体の一部が不気味に変化し始めていた。そして……あの人の声が…………
『…………カネキくん』
(本物を超える強さ、数分の間に何が起きた? そしてカネキに変化が!?)
次回は、カネキvsカネキ(真)の省略された場面を。そして………