東京喰種√S   作:torachin

5 / 39
景虎

「ありがとうございました!」

 

トーカちゃんが精算を済ましたお客さんを笑顔で送り届ける。懐かしいな、この感じ……

 

そう、今日は『あんていく』に代わって出来た喫茶店『:re』の開店日。にも関わらず足を運んでくれるお客さんが多く、忙しくて大変だ。だけど、そのぶんやり甲斐があって楽しい。

 

四方さんはずっとカウンターでコーヒーや料理を作ってる。その顔はいつも通りポーカーフェイス……なのだが時折見せるその顔はいつもと比べて嬉しそうだ。

 

「カネキ、早く運んで!」

 

「あっ、ゴメン!」

 

 

 

「あんた全然駄目。お客さんへの気配り、スピード……全部駄目ッ!」

 

「うっ、ごめんなさい……」

 

今まで休んでいたツケが回ってきたのか、コーヒーを運ぶテーブルを間違えたり、テーブルを拭く時間が長かったり……皆の足を引っ張ってしまった。

 

「これから慣れていけば良い」

 

四方さんが優しくフォローしてくれる……が、

 

「四方さん、甘やかさないでください! カネキ、今から練習するぞ」

 

トーカちゃんが僕に優しくしてくれるはずなど無かった。

 

「えっ!? トーカちゃん、受験勉強は……」

 

「今度、アンタに全部教えてもらうから良い!」

 

と、トーカちゃんにテーブルの方へ無理矢理引っ張られていく時だった。

 

 

「ほー、ええ店やないか」

 

 

「「!」」

 

見慣れない僕と同い年くらいの男性が『CLOSE』と掛けられた看板を無視して入ってきた。目つき、態度は悪そうだけど、スーツなどを着て見た目はお坊ちゃんといった感じだ。

 

そして……染み付いた血の匂い。この人は喰種か。

 

「お前は……」

 

「久しぶりやな、ヨモ」

 

四方さんの知り合い? 彼は一体?

 

「あの、お店はもう閉まってるんですけど」

 

そこでトーカちゃんは話に割り込んできた。彼を店から追い出したいようだけど……僕の練習を邪魔されたくないらしい。

 

「まぁ、固いこと言うなや。わいは少し話をしにきただけや」

 

「いや、でも……」

 

と、トーカちゃんが困惑した様子で話を進めようとしたときだった。空気が一変した。背筋が凍り付くほどの威圧感を僕らを襲う。その威圧感は目の前にある男によって発せられたものだった。

 

「うるさい女やな……」

 

苛立った様子で彼はトーカちゃんの胸ぐらを掴み壁に叩き付けた。

 

「うっ!」

 

「ちょっと話するだけ言うとるやろ」

 

その光景を見て、当然、僕は冷静でいられなかった。静かに彼の後ろに回り込む。

 

「あの……」

 

「あ? なん……!?」

 

僕は躊躇せず彼の顔面めがけて蹴りを放った。だけど、当たる寸前の所でかわされる。この喰種、かなりの反応速度だ。相当の手練れだとすぐにわかる。

 

「ゲホッ! ゲホッ!」

 

トーカちゃんはようやく解放されて地面に倒れ込んだ。

 

「何や、お前?」

 

怒りに満ちたのか彼は赫眼でこちらを睨みつけ、僕に詰め寄ってきた。僕も負けじと前に一歩進み、睨み返す。

 

「トーカちゃんに手を出すな」

 

僕と彼の間で睨み合いが続く。

 

(どうする? 赫子で押さえつけるか? それとも……)

 

と、考えていると……

 

「虎、その辺にしておけ。研、お前も殺気を押さえろ」

 

四方さんは慌てる様子もなく、僕たちを制した。

 

「四方さん!?」

 

「チッ、まぁヨモが言うならしゃあないなぁ」

 

彼も四方さんの一言で落ち着きを取り戻した。四方さんは僕とトーカちゃんを見て話し始める。

 

「コイツは『桐生 景虎』。芳村さんの知り合いだ」

 

四方さんの……知り合い?

 

「そーゆことや。よろしくな……えーっと?」

 

「カネキです」

 

景虎が伸ばしてきた手を僕は握り返した。が、僕と景虎との間の空気は変わらない。彼の目から好意というものは一切感じられない。トーカちゃんも彼を快く思ってないみたいで睨みつけている。

 

「ところでヨモ、功善はどこや?」

 

 

「!?」

 

 

(功善!? 何でこの人が店長のあの名前を知ってるんだ!?)

 

 

「芳村さんならもういない」

 

「は? どこや?」

 

2人は淡々とした様子で話し続ける。

 

「隻眼の梟にさらわれたんだ。もうどこにいるか分からない」

 

「梟? アオギリのか……奴らのアジトはようけあるしな。それが本当なら確かにどこにおるかもう分からんなぁ。にしてもあの爺さん、とうとう消えたんか。老いぼれとはいえ梟の名で恐れられとるのに……つまらんなぁ」

 

「!!」

 

店長のことを言いたいだけ言って……!

 

怒りに身を任せて景虎に歩み寄ろうとした時、

 

「研!」

 

「!」

 

また四方さんに止められた。何で四方さんはこの人の肩を……どうしてこの人と知り合いなんだ。

 

「お前ももう帰れ、虎。これ以上、店でやるなら……」

 

「分かった分かった、もう帰るわ」

 

と、景虎は「ほな、また」と言い残してその場を去っていった。

 

 

 

 

景虎……芳村さんのことを知っている謎の男か。




関西弁、下手くそですみません……

こんな感じで物語進んで良いか、感想・活動報告で意見お待ちしています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。