「ありがとうございました!」
トーカちゃんが精算を済ましたお客さんを笑顔で送り届ける。懐かしいな、この感じ……
そう、今日は『あんていく』に代わって出来た喫茶店『:re』の開店日。にも関わらず足を運んでくれるお客さんが多く、忙しくて大変だ。だけど、そのぶんやり甲斐があって楽しい。
四方さんはずっとカウンターでコーヒーや料理を作ってる。その顔はいつも通りポーカーフェイス……なのだが時折見せるその顔はいつもと比べて嬉しそうだ。
「カネキ、早く運んで!」
「あっ、ゴメン!」
*
「あんた全然駄目。お客さんへの気配り、スピード……全部駄目ッ!」
「うっ、ごめんなさい……」
今まで休んでいたツケが回ってきたのか、コーヒーを運ぶテーブルを間違えたり、テーブルを拭く時間が長かったり……皆の足を引っ張ってしまった。
「これから慣れていけば良い」
四方さんが優しくフォローしてくれる……が、
「四方さん、甘やかさないでください! カネキ、今から練習するぞ」
トーカちゃんが僕に優しくしてくれるはずなど無かった。
「えっ!? トーカちゃん、受験勉強は……」
「今度、アンタに全部教えてもらうから良い!」
と、トーカちゃんにテーブルの方へ無理矢理引っ張られていく時だった。
「ほー、ええ店やないか」
「「!」」
見慣れない僕と同い年くらいの男性が『CLOSE』と掛けられた看板を無視して入ってきた。目つき、態度は悪そうだけど、スーツなどを着て見た目はお坊ちゃんといった感じだ。
そして……染み付いた血の匂い。この人は喰種か。
「お前は……」
「久しぶりやな、ヨモ」
四方さんの知り合い? 彼は一体?
「あの、お店はもう閉まってるんですけど」
そこでトーカちゃんは話に割り込んできた。彼を店から追い出したいようだけど……僕の練習を邪魔されたくないらしい。
「まぁ、固いこと言うなや。わいは少し話をしにきただけや」
「いや、でも……」
と、トーカちゃんが困惑した様子で話を進めようとしたときだった。空気が一変した。背筋が凍り付くほどの威圧感を僕らを襲う。その威圧感は目の前にある男によって発せられたものだった。
「うるさい女やな……」
苛立った様子で彼はトーカちゃんの胸ぐらを掴み壁に叩き付けた。
「うっ!」
「ちょっと話するだけ言うとるやろ」
その光景を見て、当然、僕は冷静でいられなかった。静かに彼の後ろに回り込む。
「あの……」
「あ? なん……!?」
僕は躊躇せず彼の顔面めがけて蹴りを放った。だけど、当たる寸前の所でかわされる。この喰種、かなりの反応速度だ。相当の手練れだとすぐにわかる。
「ゲホッ! ゲホッ!」
トーカちゃんはようやく解放されて地面に倒れ込んだ。
「何や、お前?」
怒りに満ちたのか彼は赫眼でこちらを睨みつけ、僕に詰め寄ってきた。僕も負けじと前に一歩進み、睨み返す。
「トーカちゃんに手を出すな」
僕と彼の間で睨み合いが続く。
(どうする? 赫子で押さえつけるか? それとも……)
と、考えていると……
「虎、その辺にしておけ。研、お前も殺気を押さえろ」
四方さんは慌てる様子もなく、僕たちを制した。
「四方さん!?」
「チッ、まぁヨモが言うならしゃあないなぁ」
彼も四方さんの一言で落ち着きを取り戻した。四方さんは僕とトーカちゃんを見て話し始める。
「コイツは『桐生 景虎』。芳村さんの知り合いだ」
四方さんの……知り合い?
「そーゆことや。よろしくな……えーっと?」
「カネキです」
景虎が伸ばしてきた手を僕は握り返した。が、僕と景虎との間の空気は変わらない。彼の目から好意というものは一切感じられない。トーカちゃんも彼を快く思ってないみたいで睨みつけている。
「ところでヨモ、功善はどこや?」
「!?」
(功善!? 何でこの人が店長のあの名前を知ってるんだ!?)
「芳村さんならもういない」
「は? どこや?」
2人は淡々とした様子で話し続ける。
「隻眼の梟にさらわれたんだ。もうどこにいるか分からない」
「梟? アオギリのか……奴らのアジトはようけあるしな。それが本当なら確かにどこにおるかもう分からんなぁ。にしてもあの爺さん、とうとう消えたんか。老いぼれとはいえ梟の名で恐れられとるのに……つまらんなぁ」
「!!」
店長のことを言いたいだけ言って……!
怒りに身を任せて景虎に歩み寄ろうとした時、
「研!」
「!」
また四方さんに止められた。何で四方さんはこの人の肩を……どうしてこの人と知り合いなんだ。
「お前ももう帰れ、虎。これ以上、店でやるなら……」
「分かった分かった、もう帰るわ」
と、景虎は「ほな、また」と言い残してその場を去っていった。
景虎……芳村さんのことを知っている謎の男か。
関西弁、下手くそですみません……
こんな感じで物語進んで良いか、感想・活動報告で意見お待ちしています。