前話の冒頭部分が編集ミスで消えていました。修正しましたので、まだ読まれてない方はそちらからお読みいただけると幸いです。すみませんでした
「……邪魔か。で、俺を排除するんか? 言っておくが、今のお前じゃ無理やで」
景虎は余裕そうに言った。
「悪いがわいは今のお前を過小評価しておるで。同じ『SSレート』とはいえ、お前の場合それは《ムカデ》の力を発揮した場合や。今のお前じゃあせいぜいSレートってとこやろ。わいは違う。わいは《赫者》なんて力使わずにこの力や。お前とは格が違う」
確かにこの人は強い。僕にここまでダメージを与えて、彼はまだ無傷なんだから。けど、
「それがどうかしました?」
「は?」
「確かに今のままでは勝てない。なら、話は簡単ですよね」
僕は景虎を見据えた。
「限界を超えればいい」
今の僕じゃあ、最近食べていない事もありさっきのが限界だ。その限界を超えて、彼に勝つ。
「喰種は種を喰らい生きながらえる。喰えば喰うほど力をつける」
「……! お前、まさか…………」
僕は最後の力を振り絞って、油断していた景虎に飛びかかった。そして、肩に思いっきり噛みつき……彼を喰らった。そしてまた一口、また……もう一度…………
「どけや!!」
が、そこで振り払われてしまう。だけどこれだけ食べれば……傷は回復していき、力が溢れてくる。
「コイツ、やりよった……マジか!?」
僕の腰から赫子が次々と現れる。
「喰った栄養を回復に使って、残りを赫子に全部使い回しよった!!!」
僕は食べて得た栄養をすぐに赫子などに使った。普通の喰種は空腹をさけるために栄養は蓄え続ける。彼らが栄養を多く使うタイミングは傷を回復する時と赫子を使う時だ。
そう、僕は今文字通り、限界を超えた。自分の腰を見てみる。
「20本…といったところか」
自分の赫子の数を確認して、景虎に攻撃を仕掛けた。さすがの景虎も怯んで防御体制に入る。4本の赫子で受け止めようと試みるが……
「無駄だよ」
「ぐっ!」
20という圧倒的な数に押され、地面に叩き付けられた。景虎は怒りの形相でこっちを睨みつけている。
「はっ! 馬鹿が、今ので分かったで、お前に勝つための方法が。確かにお前相手にこの赫子の数では勝てない、なら話は簡単や。その赫子をさっきみたいに剥げばええ」
自然と不気味な笑みが顔に浮かんで景虎を見つめる。
「剥いでみろよ」
中指で人差し指を押す。 パキッ
景虎は赫子を凄まじいスピードで動かし、僕の赫子を剥ごうとする。だけど、僕の赫子は景虎を叩き、殴り、攻撃を防ぐ。
「がああああああ!!!!」
景虎も怒りに任せて奮闘するが、僕に一撃も攻撃を加える事は出来ない。少しずつ赫子を断ち切られていくが、それでも景虎は僕に直接攻撃を浴びせる事は無かった……
「あ…ああ…………………」
5分にも及ぶ戦いの末、景虎は遂に倒れた。骨折や筋肉は断裂していてもはや一歩も動けない状況だろう。
「……止めだ」
と、赫子で彼を串刺しにしようとした時だった。
「おい、あいつ倒れてんぞ!」
「はっ! ざまぁみろ!」
「!」
後ろで急に声がした。振り向くと三人の男がいた。『あいつ』って言ったという事はこの人達も仲間か。どうする?
「お? やる気?」
「来いよ、ガキ」
と、二人がやる気を見せた時だった。
「やめとけ」
初めてもう一人が声を発した。
「コイツ一人で景虎をここまでやったんだ。今戦ったら、俺たちも相当な深手を負う」
「け、けど……」
「分かってる。忠義を尽くす事は大事だ。だが、冷静になれ。コイツを殺るチャンスはいくらでもある」
と、リーダーらしき人は景虎を抱えてこっちを見つめた。そして……
「また会おう、Vに仇なす者よ」
「!!!」
『V』、タタラが言っていた『奴ら』……
『チッ……って事は……本当にリゼは消されたのか。さすがに奴ら手が早いな』
『奴ら』というのは『V』? でも、実際リゼさんを事故に巻き込んだのは…ピエロの男……。
「っ!」
駄目だ。考えれば考えるほど訳が分からなくなる。とりあえず、ここから去ろう。もう白鳩が来てもおかしくない。と、トーカちゃんを抱きかかえて帰ろうとした時だった。
「?」
足下に何か落ちている。拾ってみるとそれはUSBメモリだった。落ちていた場所を考えると景虎の物だ。
(これを見れば『V』のしようとする事が分かるかも)
僕はそれをポケットに入れて、屋上の端まで歩く。そこに倒れているのは鼠マスクの喰種。
(道化師(ピエロ)…か)
*
「あー!! ピーちゃんやられちゃった!」
「どうしたの、ロマ?」
「うう、カネキ様が生きているって聞いてカネキ様の仲間を攫わせたんですけど……」
「攫った仲間から連絡が無い? そりゃそうよ、あなたカネキくん舐めすぎよ。何せ、あの有馬から生きて帰る事が出来たんだから」
「まっ! ピーちゃんの代わりなら他にもいるからいいけど!」
「本当、あなたってヤモリと似て最低(クール)ね。女だけど……」
「まっ! 『最後に笑うのは道化師(ピエロ)』ってことで!」
*
「……ん? ううん…………」
「! トーカちゃん、起きた?」
トーカちゃんを抱えたまま家まで送っていた時、トーカちゃんは目が覚めた。
「カネキ……ってアンタ何してんのよ!」
「え? 鼠マスクの喰種に攫われて気絶していたから、助けに行って……」
「にしても、運び方ってもんがあるでしょ!!」
助けてあげたのに、トーカちゃんは顔を真っ赤にして怒ってる。でも、それでこそトーカちゃんっぽくていいんだけど……
「まぁ、その…ありがと」
「! ……トーカちゃんは僕が守るからね」
「はぁ! ば…バカ! そんな恥ずかしい事、さらっと言うな!」
ま…また怒られちゃった…………
*
「……という事なんですが、このUSBの中を見たいんです」
「あのさ、お前生きてるんだったら仲間に連絡入れるもんじゃねえの? それをお前、急に現れてUSBを調べろってどういう事だ?」
「すみません」
「まっ、久しぶりだな。三ヶ月ぶりって言った所か、カネキ?」
と、西尾先輩は顔をそらして呟いた。今日は何の連絡もなしに西尾先輩の所にやって来て、お願いをしに来たから怒られても当然か。
「で、貸してみろ」
「は…はい」
西尾先輩にUSBを渡すと、それをパソコンに差し込み、パソコンを操作し始める。
「……よっと! おらよ」
「ありがとうございます」
僕はパソコンを受け取り、情報を探っていく。先輩も気になるのか、後ろから覗き込んでいる。内容は新メンバーについて今月の資金…など必要ない情報ばかりだ。
だけど、ファイルの後半にきた時だった。
『……旧メンバーだった功善の生存を直ちに…………』
「…え?」
「え…どうかしたか?」
「功善は…店長の事です」
「はぁ!? あのじいさんの名前があるって事はじいさんは元『V』ってことか?」
芳村さん、あなたは一体……
「! おい、ファイルが!」
「!?」
と、考えている間に何故かファイルの内容が削除され始めていた。
「な…何で!?」
「重要な内容が書かれた物だからな、多分指定のパソン以外で閲覧した場合、自動で削除するように仕組んだんだろう。早く読んでしまえ!」
慌てて再びマウスをスクロールして情報を探るも、目立った事は書かれていない。けど、情報が消される瞬間にそれは目に入った。
『……4月2日にドイツで予定されている嘉納の講演会……』
「で、情報とやらは得られたのか?」
「はい。決定的な」
ドイツで開かれる嘉納の講演会……嘉納と出会える絶好の機会だ。嘉納、あなたに聞きたい事は山ほどある。ドイツで待ってろ……
「あっ、それと西尾先輩」
「あ?」
「新しくお店、始めたんです。『:re』っていう……人手不足なんですよね……(苦笑)また良ければ来てみませんか?」
「…………まぁ、人手不足なら顔出してやっか」
と、面倒くさそうに西尾先輩は呟くも少し嬉しそうにしていた。
「ありがとうございます」
「って、お前何処いくんだ? こっちじゃねえのか?」
「いえ、トーカちゃんの所にいかないと……」
「……ああ、そうか」
「はい」
そう、一週間後に始まるんだ。トーカちゃんの闘い『大学入試』が……
と、ここで景虎編は完結です。
そして、まさかの次回は『センター試験編』!? あっ、誤解の無いように言っておきますが戦闘シーンもあります! そしてそろそろあの人を召還します!