久々の雷人伝(ry
ある日、神々が集まって会議をした。それは、地上を平定すること。
地上にも神がいた。その神はスサノオと言って、天界を騒がし、地上に永久追放された神だ。そのスサノオがヤマタノオロチを倒し、スサノオの息子たちが地上の人々の信仰を集めて国づくりをした後、天照は言った。
「地上は元々我々の土地、一度返してもらおう」
「ここは、私の子供であるアメノオシホミミが収める国だ」
誰が地上に行くか神々は集まって会議をしていた。天照が意見を言うと皆が一斉に頷いた。
勿論、剣二も建御雷として会議に出席していた。
剣二も行ってみたいと思ったが自分が出る幕でも無いと思ったりしているのであえて言わないようにしていた。
こうして、アメノオシホミミが地上を仕切っている大国主に地上を返すよう使者として決まった。
皆、これでうまくいくと思っていたが、実際はそうではなかった。
アメノオシホミミが地上に向かう途中に天の浮き橋といって地上がよく見える場所があった。そこからアメノオシホミミが地上を見てみると、人々は争い、砂埃が待って土煙がもうもうと舞っていた。
「なんと、騒がしい所だ。これは私の手には負えない」
そう言うと、アメノオシホミミは今まで来た道を戻っていった。そして、天照に報告した。
「申し訳ありませぬ、母上様。地上は人々が争い、泣き、騒がしく、私の力では国を収めることができませぬ」
片膝着いて頭を垂れて言った。それを天照は優しく労った。
「そうか、分かった。そなたはよくやってくれた、下がってよろしい」
さて、そうなると次に誰を送るか振り出しに戻った。天照は天の安の河の河原に八百万の神々を集め、どの神を葦原中国に派遣すべきか問うた。
オモイカネと八百万の神々はアメノホヒがいいだろうと相談し、使者として向かわせた。
アメノホヒは無事に地上に降り立ち大国主に出会った。大国主からすれば、折角苦労して国を起こし経営していたのをいきなり奪われるのは気に食わない。そこで、懐柔策を練った。
まず、大国主は丁重におもてなしをし、色々とアメノホヒと話をした。大国主は数々の武勇伝を持っているのでその出来事を面白おかしくアメノホヒに話した。アメノホヒは酒も回って気分も良く楽しみながら話を聞いていた。
そして、大国主は自分の辛いことや悩みを、同情を誘うように話し始めた。アメノホヒはうんうんと頷き相打ちを打ちながら酒を飲み飲み聞いていた。
「国を治めるにはいくら命あっても足りないと思う時があります」
「さようですか、ですが大国主様にはよい息子娘がおるではないですか」
「ははは、いや、ですが家族には離せないこともあるのです。今日が初めてでした、ここまで悩みを打ち明けられたのは。……どうですか、これからも私の悩みを聞いてくれませぬか?」
「大国主様?」
「屋敷も立派なものを用意させましょう。食べ物も海幸山幸の新鮮なものも用意します。女官も用意させます。どうか未熟な私を支えてくださらぬか?」
こういって大国主は両手を着いて頭を下げた。
「ああ、やめてください。あなた様が未熟なら私はなんとなる。……私でよければお力になりますぞ」
「なんと!それは、誠ですか?ああ、ありがたい!よろしくお願いしますぞ!!」――フフフ、計画通り。
こうして、アメノホヒは大国主の臣下となって帰ってこなかった。
アメノホヒが地上に向かって3年が過ぎた。天照はなかなか帰ってこないアメノホヒを諦め次に誰を地上に送るか話し合った。
すると、次に名前が挙がったのはアメノワカヒコという神様。
地上に行ってみると、大国主が美しい娘を連れて出迎えた。娘はシタテルヒメと言って大変美しい人であった。
若いアメノワカヒコは美しいシタテルヒメに一目惚れをしてしまった。しかし、自分は天照の命を受け地上に降り立った身、恋愛などやっている場合ではない。大国主は自分の娘に一目惚れをしたのを知って、シタテルヒメにアメノワカヒコの世話をされた。大国主は地上変換の話をするとお茶を濁して時間を稼ぎ2人が結ばれるのを待った。
ある日、大国主は言った。
「アメノワカヒコ様は、わが娘、シタテルヒメをどう思いでおられるのか?」
「大国主殿、何を言われる」
「失礼だが、あなた様がわが娘のことを気になさっているのは知っている。あなた様ならわが娘を預けても良いと思っております。どうですか、貰ってはくれませぬか?」
「大国主殿……ぜひ、娘さんを私に下さい」
「うむ、その言葉を待っておりました」
「大国主どの、それでは……」
「ふはは、大国主殿と呼ばれるな、親父とでも言ってくれ」
「父上様!これからよろしくお願いします!」
こうしてアメノワカヒコとシタテルヒメは結婚した。天照は8年過ぎてもアメノワカヒコが帰ってこないので、どうなっているか様子見をさせるために雉(きぎし)の鳴女(なきめ)を使者に選んだ。
天照は、鳴女に、葦原中国の荒ぶる神どもを平定せよと言ったのに、何故八年経ても帰らないのかを、アメノワカヒコに聞くように命令した。
鳴女は天より下って、アメノワカヒコの家の木にとまり理由を問うと、天佐具賣(あまのさぐめ)が「この鳥は鳴き声が不吉だから射殺してしまえ」とアメノワカヒコをそそのかした。
そそのかされたアメノワカヒコは弓矢で鳴女を射殺してしまった。鳴女の胸を貫き矢は、天照の下まで届いた。
それを見た天照は神々に血に濡れた矢を見せてから、「アメノワカヒコの勅(みことのり)に別状無くて、悪い神を射た矢が飛んで来たのならこの矢はアメノワカヒコに当たるな。もし天若日子に邪心あれば、この矢に当たれ!」と力強く言って天の浮き橋から矢を投げ飛ばした。
矢は真っ直ぐアメノワカヒコに向かって飛んでいき、頭蓋を打ち抜いた。
葦原中国平定が進まない事が月の都では噂になっていた。神々が集まっていながらうまく進まないことを笑うものがいた。これでは神々のメンツが丸つぶれである。
天照は、切り札として1人の神を神殿に呼んだ。
建御雷(タケミカヅチ)・鍔基剣二である。
「何か用?って聞くまででもないな」
「はい……」
天照はやつれていた。目は赤くして涙の跡があった。今にも引き籠もりそうな雰囲気だ。
「俺が行くか?」
「…………」
――ああ、こりゃ引き籠もり始めてんぞ。
天照が引きこもるたびに岩殿の前で踊る羽目になるアメノウズメに同情しながら、強引に話を進めた。
「俺が行く、俺なら神々相手に勝負できるし負ける気がしない。何か文句言ったら、ぶった切る位造作もない。どうなんだ、うじうじしないでなんか言え」
しばらくして天照は言った。
「ちゃんと帰ってきてくださいよ」
「ああ、大丈夫だ」
「そう言って帰ってこなくて、月夜見から文句言われるのは懲り懲りだから」
「お、おう、絶対に帰ってくる」
――前科持ちですか。
釘を刺されたので意地でも帰ってきてやると心の中で決意をし、返事をした。
「それで、どうすればいいのかな?」
「あなたの部下の天鳥船(アメノトリフネ)と一緒に地上に向かってください」
「分かった、それじゃあ行ってくる」
「気をつけてくださいね」
そう言葉のやりとりをして、剣二は神殿を去った。
――数日後
剣二は地上が見える天の浮き橋まで来ていた。となりには今回の作戦の副官、天鳥船がいる。
「それじゃあ、行くか」
「はっ、建御雷様」
天鳥船は返事をすると宙に身を翻し、大きな船へと変化した。
「ささ、どうぞお乗りください」
「うむ」
船は地上に向かって真っ直ぐ進んで行く。
「天鳥船よ、話がある」
「はっ、なんでございましょう」
「思うに大国主の奴は使者の心を上手く掴み、我々の手を焼いたと思う。それで、俺は大国主の肝っ玉を潰す作戦で行こうと思う。だから、嵐を呼び雷を鳴らし、風で木々を吹き飛ばしそうと思うのだが、どうだろう?」
「それで良いと思います。私は嵐などに負ける体はしておりませぬ。思う存分暴れてください」
「おう、なら派手に往くぞ」
「我々の力思い知らせてやりましょう」
こうしている間に剣二を乗せた船は地上に降り立ち、岸に2人は立った。
「ふむ、地上も変わったものだな、あれほど文明が栄えたというのに今では緑濃い木々が生い茂っている。時とは早く過ぎるものだな」
剣二は始めて永琳と出会った時を思い出していた。天鳥船は地上の頃の剣二を知らない。黙って見守るしかなかった。
「よし」
剣二は手を叩いてニッと笑い。「さて、暴れるぞ」と天鳥船に言った。
「はい!それでは始めましょう」
永琳「剣二がいなくなった」
天鳥船「ところで、八意様には伝えたのですか?」
剣二 「あっ、やっべ忘れった」