東方雷人伝   作:ドディドドン

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絵師さんってスゲェって思う。久しぶりの雷人伝!暇つぶしにどうぞ!

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第七話 我儘なお姫様

「ほら、どうした。何息切らしてんだ」

「ハァ、ハァ、ですが……」

「はい、口答えしない。さっさとかかって来い」

「ゼェ、ゼェ……やあああああ!!」

 ただいま、依姫の剣術指南中の剣二。ただの指南ではなく、依姫が剣二の力を完璧に使役できるように神降ろしをさせて稽古をしていた。

 まだまだ甘い部分があるがそれでも部下たちよりも強い。

 ちょっと甘えん坊な部分があるが……そう思うと永琳も依姫も豊姫も月夜見も周りの女性はどこか剣二に甘えることが多いような気がする。

 彼女たちは剣二を自分の兄のように慕っているからなのだが、そんなこと剣二は知る由もない。

 

「あ~う~、ゼェゼェ、も、もうダメ……ですぅ……」

 尻餅ついて天を仰いでそう言う依姫に苦笑しながら剣二は近づいた。

「まぁ、ここまでやれるようになったのは、すごいと思うから一旦休憩しようか。デザートもあるし、豊姫に見つからないように2人で食べるとするか?」

「はぁ、り、了解です」

 息がさらに荒くなったのは気のせいだろう、剣二はは心の中でそっと呟いた。

 

「おいひぃれすぅ~」

 顔をふにゃふにゃしながら言う依姫に剣二は、やはり豊姫に似てるなぁと思いつつ手元にあるピーチプリンを一口スプーンでとって口へ入れた。

「そうか、それは良かった」

「これは、結構高いのではないのですか?お姉さまが食べたいって言っていました」

「ああ、結構有名らしいな。永琳に頼まれて能力使って何回も買いに言ったことがあってね、それ以来店員さんと仲良くなって、今回特別に作ってもらったんだ。確か、1日に500個限定らしいな。まあ、味わって食えよ」

「んっ、それを早く言って下さい!私半分食べちゃいました!」

「ははは、そいゆうとこは豊姫に似ているな」

「ムッ、お姉さまは食べ物全般に食い意地張ってますが、私は甘くて美味しい物に全力を尽くすのです」

「同じだろ」

 そんなことを言いながら、デザートを片付ける。剣二はすっと立ち上がって、刀を腰に差した。

「さて、今日の最後の仕上げだ。これやったら今日の稽古はおしまい、明日は用があるから来れないけど、まあ、明後日なら稽古つけてやる。」

「解りました、ちなみにその用とはお仕事ですか?」

 依姫の問いかけに対して剣二は顔を引きつらせて言った。

「輝夜の我が儘を聞きに行くんだ」

「お、お疲れ様です」

 二人の間は乾いた笑い声が響いた。

 

 

 

 

 

城の天守閣の部屋ーー

 

 部屋の中では永琳とその教え子の輝夜が剣二の到着を今か今かと待っていた。

 

「はぁ~、遅いわね。ねえ永琳、本当に今日お兄ちゃん来るの?」

「ええ、ちゃんとくるわ。だからそんなにそわそわしない」

「そんなこと言われても、楽しみなの」

「何が?」

「久しぶりじゃない、剣二と会うなんて、昔一緒に遊んだけれども色々なお話聞かせてもらって、そして少しだけど街まで連れてってもらって、あんなに楽しかったのは今まで無かったわ」

 目を輝かせながら言う輝夜、永琳は笑顔だが内心怒っていた。

(私とは行かないのよね、剣二)

 そんなことは知らないで輝夜は嬉しそうに話し続ける。

「今日は一緒にお忍びで街に連れてってもらいたいわね」

 すると永琳の持つ端末にから音が鳴る。

「来たみたいだわ」

 部屋の襖を開けると剣二がいた。

「失礼しまs「けんじぃぃいーーーー!!」ちょっ、突っ込むな!!」

 ぼふっ、と突っ込んで来る輝夜を体で受け止める。

「おいおい、それが客に対する礼儀か?輝夜」

「いいじゃない、私と剣二の仲だし」

「いいか、『親しき仲にも礼儀あり』って言葉があるんだぜ」

「むぅ……いいのいいの、私の方が位が高いんだからね。命令は絶対よ」

「あ、んじゃ面倒だから俺帰るわ」

「ごめんなさい巫山戯すぎました」

「よろしい」

 軽く頭を撫でてやると、だらしなく笑う輝夜になんだか一昔の永琳を思い出す。たまには永琳を構ってやるか、ここ最近一緒にいてやれないし。なんだかんだ言って子供だし――――ついついそんなことを考えてしまう。

「んで、どうするんだ」

「剣二言葉遣いがなってない」

「別にいいだろ、妹分だし」

「んふふ、それじゃあお兄ちゃんにお願いがあるんだけれども……」

「「街に連れてって」」

「どうして解ったの?」

 驚いた顔をしている輝夜に笑いながら言った。

「お前の考えなんざ既にお見通しだ。いいよ、付き合ってやる。その前に永琳に手伝ってもらって着替えてこい」

「うん!」

嬉しそうに部屋の奥に引っ込む輝夜。永琳は剣二の方を見て言った。

「剣二……」

「ああ、解ってるよ。お前も今度2人っきりでデートでもしようか」

「なっ!ち、違うわよ!私が言いたかったのは『輝夜を見逃さないでね』って言おうとしたの!」

「ああ、そうだったの?てっきり焼き餅妬いてたのかと思ってさ」

「妬いてない!で、でもさっきの言ったことは約束よ」

「ああ、約束だ」

 顔を真っ赤にして言う永琳に優しく笑いながら誓う剣二。すると奥から輝夜が呼んできた。

「ねえ~、永琳どうしたの?早く来て~」

「はいはい、今行きますよ。それじゃあ約束よ」

 剣二に釘を指して部屋の奥に向かって行った。

 

 

 

 

 

「やっぱり、この賑わいはいいわね」

「まあな、この中にいるだけで元気が貰えるな」

 洋服に着替えた輝夜と剣二は2人並んで街中を歩いていた。

「ところで、どこか行きたいところはあるのか?」

「うんとねぇ、私っていつも部屋の中にいるから買い物ってしたことがないの。だから、自分で物を買ってみたい」

「そうか、じゃあまずは金が無いと始まらないな」

「けんじぃ~……私、お金がないよ~」

 腕を引っ張って子猫の様に言ってくる輝夜。

「ん?そうか、なら今回は俺からお小遣いやるから、お小遣いを入れる財布をまず買うか」

 そう言って剣二は輝夜の手を取って歩き出した。

(剣二の手って大きくてゴツゴツしてて安心するな)

 剣を振るって生きてきたため手のひらの皮は厚くて硬い。しかし、握ると優しく包み込んでくれる暖かさがある。

 頼りになる手だな――――こうして、自分の我儘に付き合ってくれる剣二に心の中で感謝をする輝夜だった。

 

 

「ん~~~これもいいわね……」

「おい、早く決めろ」

「剣二は黙ってて!」

 五千円札が入った封筒を握り締め輝夜は財布売り場から一向に動かない。

「ここで悩んでいると見れるものが見れなくなるぞ」

「う~それもそうね。ねえ、剣二の財布見せてよ」

「は?」

「いいから、ねえ早く」

「お、おう」

 疑問に思いながら財布を取り出す。

 永琳が買ってくれた物で愛着がある財布だ。チェーンが付いていてベルトに引っ掛けることができる。この財布を見て輝夜は「なかなかカッコイイわね」などと呟いている。

「おい、輝夜。まさかこれが欲しいとか言うんじゃないよな」

「うん、欲しい!」

 目をキラキラしながら言う輝夜に言葉を出せ無くなる剣二。

「可愛いのもいいけどカッコイイのもいいわ。剣二とお揃いだし、いいじゃん。ねぇ、これ買って」

「別に構わないが、お前手に金持っているだろ。会計で買ってこい」

「うん、分った」

 駆け足で会計までいく姿に、微笑を浮かべて剣二は後を追った。

 

「わぁ、綺麗」

「初めてか?ネックレスとか装飾品を見るのは」

「綺麗なのは用意されるけど自分で選ぶことがないからすぐ飽きちゃって……」

「だろうな、金はやったんだ、ゆっくりでいいから好きなの選んで買ってみろ」

「うん、剣二はこんなところに来るの?」

「いいや、部下の父ちゃんが経営しているから来ただけであって商品は買ったことがない」

「んじゃ、永琳に何か買ってあげたら?私も買うけど」

「そうだな……そうするか」

 剣二と輝夜はあれこれと相談しながら、永琳へのプレゼントを買った。

 

 

 2人はお昼を済ましてブラブラと歩いていた。すると輝夜はまた子猫の様に抱きついて言ってきた。

「ねぇ、けんじぃ~」

「ん、どうした?」

「私、見たいものがあるのだけれども」

「何だ?」

「あれ」

 輝夜が指差したのは映画のポスター。

「なんでまた?」

「大きい画面で見てみたい。そもそも映画見たことない」

「そうか……見たいなら見てもいいが、その代わりこれ見たら帰らないといけないぞ」

「もう、そんな時間なの?」

「ああ、どうする?映画観るか、買い物をするか」

「映画を観る」

「よし、なら行くか」

「うん!」

 2人は劇場内へと入って行った。

 ふかふかの椅子に座って待っている輝夜に剣二はポップコーンを買ってきた。

「所でなんの映画なんだ?」

「人類月面移住戦争だって」

(ん!?嫌な予感しかしないな)

 輝夜は手に持ったパンフレットを見せてきた。

『地上から月へ移住するとき、火星人が襲ってきた!!そして巨大隕石の衝突が近づく!剣二は火星人の攻撃から人々を守り、無事月へと移住できるのか!?大好評、雷神シリーズ第3弾!!』

「よし、帰ろう」

「えー!!やだァーー!」

「お前、ちょっ、この映画作ったやつ俺を馬鹿にしているって!!」

「馬鹿にしてないわよ。同姓同名でしょ、気にしちゃだめよ」

「堂々と『雷神シリーズ』と書いてあるのだが……」

「書いてない!!」

 そんなことを言い合っていると会場が暗くなった。

「よし!これから始まるわね。観念しなさい剣二」

「はぁ~、解ったよ。観るから、クソッ」

 席に座り直して腕を組む。するとスクリーンに映像が浮かぶ上がる。

『この映画を鍔基剣二氏に送る』

「ぐっ……」

「剣二!?今の文字何?」

「し、知らん」

 口に含んだコーラを噴出さないように何とかこらえる。

(誰だこんなことをした奴は)

 次にまた文字が浮かび上がる。

『協力:八意研究所』

 ブチーーーン!!

 この時剣二の何かが切れる音がした。怒りが頂点に達した音なのか、はたまた理性が崩壊する音なのかが解らないがただ1つ分かること。

――――永琳を潰す。

 それから剣二はスクリーンを睨めつけながら見ていた。

 

『ふははは、どうした雷神はこんなもんか!』

『ぐっ、喰らえ!瞬間移動切り!』

(なんだよ、今の技。何なのこのストーリー!?何で火星人は俺のこと知っているの?色々ツッコミありすぎだって)

――――そして……

「輝夜寝やがったな」

 右腕に抱きついている輝夜を見て呟いた。輝夜は映画中盤でうとうと船を漕ぎ始め、後半の戦いの時には腕にしがみついていた。

 剣二は映画を観ていて突っ込んでいたので気づくことはなかった。

「そろそろ映画が終わるしな、ちょっと起こすか」

輝夜の頭を軽く叩く。

「むに?」

「もうすぐ終わるみたいだぜ」

「ハッ!はぁ~やっちゃった」

 落胆する輝夜の頭を撫でる。

「まぁ今日は色々あったしな、疲れてたんだろ。また今度連れてってやるからそんな顔すんな」

「うん、ごめんね。折角付き合って貰ったのに寝ちゃって」

「気にするな、誰だって失敗するんだ落ち込むことじゃない」

「うん、そう言ってくれて嬉しい。やっぱり剣二は優しい」

「ふふ、そうか。よし、残りをしっかり観てから帰るとするか」

「うん!」

 そう言って右腕に抱きつく輝夜。

「どうした?」

「別に、何でもな~い」

 何でも無いと言いつつも、抱きしめる力を強くする。なんだかんだ言うがちょっと甘えん坊な一面を持っている輝夜。こういう時は何も言わずにさせるのが良いと判断し剣二は残りの映画を観た。

 

「さて、これで俺の仕事はおしまい。あとはゆっくり休んでくれよ」

「……もう行っちゃうの?ゆっくりお茶でも飲んで行けばいいのに」

 剣二を引き止めようとお茶の誘いをするが剣二はそれを断る。

「それもいいが、俺も書類仕事があるんでね。ここでさよならだ」

「そう…………なら、今度は海に泳ぎに行きたい!」

「う、海!?」

 また、いきなり突拍子もないことを言い出す輝夜。

「何故?」

「だって永琳から聞いたわよ、新しく人口の海水浴場が出来たって、私もそこに行きたい。ねぇいいでしょ」

「あ~あのなぁ、お前の立場理解して言っているのか?」

「うん、でも剣二がいるでしょ。別に私と剣二だけじゃないわよ。永琳と依姫と豊姫も連れて皆で遊びましょ。何、変な奴がいれば剣二がぶっ飛ばしてくれるし、永琳も依姫も強いし心配は無いわね」

「あ~……永琳に相談しておくが、あまり期待はするなよ」

「うん!期待しているわよ」

「はいはい、じゃあ夜更かしするなよ」

「うん!今日はありがと!お休み剣二()()()()()

 笑顔でお礼を言う輝夜が本当の妹のように見えて――――

「どういたしまして、お休み輝夜」

 つい笑顔でそう返してしまう剣二だった。

 




~~その後~~

永琳「けーんーじ、今度私とデートよ」
剣二「解っているからお前ちょっと邪魔。てかベットに入ってくんな」
永琳「いいじゃない、昔一緒に寝たでしょ」
剣二「うっさい、今日は色々あって疲れてんだ休ませろ」
永琳「ふ~ん、じゃあ今夜は寝かせn「うるせえよ!!」……もう剣二の意地悪」
剣二「……お休み」
永琳「一緒に寝ていいの?」
剣二「……ハァ、勝手にしろ」
永琳「やった!ふふ、剣二大好き」
剣二「…………くー」
永琳(寝やがった、勇気振り絞って言ったのに)
剣二(……しまった、プレゼント渡すの忘れてた!)
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