来年こそ行ってやる!
今日は、綿月姉妹と輝夜と永琳で人口海水浴場に行く約束をしていた。
約束と言っても、ただ瞬間移動で連れていけばいいだけの話なので永琳が準備している中剣二は爆睡していた。
枕元には海パンとゴーグルがあり、いつでも泳ぎに行けるようになっていた。
一方の永琳は、やれ日焼け止めだ、やれビキニだと騒いでいた。昼飯は綿月姉妹が用意してくれるので剣二は何も心配する必要はない。ただ、ギリギリまで日頃の疲れを癒すことに集中していた。
「コラー、いつまで寝ているの、起きなさーい!」
しかし、その時間も終わりを告げた。時計を見れば8時半、9時には海水浴場に着くようにするため丁度いい時間だろう。
剣二は急いで着替えて、永琳が用意した短パンとシャツを着込んで部屋から出た。
「ああ、やっと起きたの?早く準備してよね」
「なにもう準備は出来ているさ、さっさと輝夜を拾って豊姫のところに行くぞ」
「ええっ、もういいの?」
「さて、瞬間移動5分前」
「えっ、ちょっ、待って!」
麦わら帽子を冠りクーラーボックスを持って剣二の肩に手を乗せた。
「それじゃあ行くぞ!」
そう言葉を残すと剣二達の姿は消えた。
「よお、おはよう輝夜。準備は出来ているか?」
「うん、バッチシ!今日は泳ぎ方を教えてね、剣二」
「ああ、任せな。それならもう行くぜ」
「海かぁ、楽しみだな~」
輝夜は剣二の手を取ってそう言った。そして、姿を消した。
――集合場所、綿月姉妹の屋敷。
「よお、皆おはよう」
屋敷の庭で永琳と綿月姉妹はクーラーボックスに色々と食べ物や飲み物など詰め込んでいた。一方レイセンは浮き輪などを出していた。
「おはようございます、剣二様。今日はどんな美味しい屋台があるのか楽しみです」
「お前は、食べ物を持っていくのにまだ何か食べる気なのね」
いつもにも増して食欲全開な豊姫に苦笑いで答える。
「だって、よく見てください。この中には大切な何かがないのです!」
そう言ってクーラーボックスを差し出す豊姫。剣二は中にあるものを確かめた。
「えーっと、焼きそば、たこ焼き、フランクフルト、おにぎり、サンドウィッチ、イカリング……どんだけ持っていくんだよ」
「こっちにはビール、コーラ、ジンジャエール、あとお水……飲み物ね」
輝夜と一緒に名前を挙げてみたが、十分すぎる量だ。何が足りないのか考えていると輝夜が言った。
「分った、桃の食べ物料理が無いのが不満なんでしょう?」
「流石姫様!その通りです!」
豊姫が言いたかったのは好物の桃が入ってなかったから屋台で売ってある桃飴を欲しがっていたのだ。
すると、妹の依姫が言ってきた。
「聞いてください剣二様。昨日の夜お姉さまが、神降ろしで剣二様の力を借りて美味しい桃のデザートを作らせようとしたんですよ」
「何でまたそんな無茶ぶりを……」
「だって、剣二様の作る桃のアイス美味しいから……」
「本当に食い物のことになると全力を出すよな、豊姫は」
「そうですね、おかげでお姉さまは体重が……「何か言ったかしら?」なんでもありません」
「太ったのね」
「ぐっ、それは言わない約束ですよ、姫様ぁ」
「何、今日太った分運動するからいいんだよな、豊姫」
「剣二様まで~」
「「「あははははは」」」
そうして準備をしていった。
「あの~剣二様、よろしいですか?」
「ん、どうした、レイセン」
話しかけてきたのは豊姫のペットのレイセン。目は赤い玉兎だ。そのレイセンが涙目で言ってきた。
「浮き輪に空気入れるのを手伝って下さい」
「お、おう」
空気が抜けて潰れた浮き輪を差し出すレイセンに、相変わらず大変なんだなと思いつつすべての浮き輪を能力を使って一瞬で空気を入れてあげた。
「わっ、すごいです」
「ふふ、ありがとう。今日はレイセンも泳ぐのか?」
「はい、思いっきり遊びたいと思います」
「そうか、変な男に捕まるなよ」
「えっ、そんなことは無いですよ。もし捕まったら助けてくださいね」
「ああ、俺がいるから大丈夫だな」
「ですね」
そう言って、お互い笑顔を交わして浮き輪を持って荷物と一緒に置いた。
「さて、準備はいいわね。それじゃあ行きましょうか剣二」
「ん、そうだな。よし、それじゃあ行くぞ」
本日三回目の瞬間移動を行い海へ向かった。
白い砂浜、透き通る青い空。海には色々な人や玉兎が泳いでいたりしている。
「うわーー、きれーい!」
輝夜が目を輝かせていった。生まれて始めて見る海に興奮していた。続いて反応したのが豊姫。
「剣二様、あそこに屋台がっ!」
「オメェ、ちょっと落ち着け」
パラソルを立てて、荷物を置いて休憩場所を作りながら剣二は言った。
「はいはい、食べ物もいいけど皆シャツ脱いで一回泳ぎましょ」
永琳はそう言ってシャツを脱ぎだした。それに続いて他の人も脱ぎ始める。
あらかじめ着替えはしていたのだ。
永琳「よいしょ」タユン
豊姫「ここでいいかしら?」タユン
依姫「そうですね、ここに服は置きましょう」タユン
レイセン「わっ、皆さん準備が早いです」タユン
輝夜「…………クッ」スラリ
「うがあああああああああ!!」
「ちょっと、輝夜!?」
「ええ、そうですよ、どうせ私は揺れませんよーだ!!」
どうやら、自分の胸の大きさに傷ついたようだ。輝夜は頭を抱えて叫んだ。
「姫様?」
「どうして、どうしてなの!?何が悪いの?何で依姫はそんなに大きいのよー!」
「えーっと、それはですね……牛乳が好きだったので……」
「うわーん、剣二お兄ちゃーん」
「めんどくせえな女は、あー、はいはい、こっちおいで」
剣二は優しく輝夜を抱きしめた。
「兄ちゃん、私だけ胸の音が違うわ~」
「あのなぁ、輝夜。胸が小さくたって心がでかけりゃそれでいいんだぜ。だから気にすんな」
「ぐすっ、うん」
「そんじゃあ、泳ぐか」
そう言って剣二は輝夜から離れ服を脱いだ。
そして、鍛え抜かれて引き締まった体を晒す。
その瞬間、時が止まったように静かになった。そして依姫が言った。
「八意様、いいですか」
「何かしら依姫」
「はい、お持ち帰りします」
「ゑ、なんですって?」
「お持ち帰りします」
「お持ち帰り、剣二を?」
「はい、そして私の体を差し上げたいと思います」
「ちょっと、この子何言ってるのかしら!豊姫、ちょっとこの子をおかしくなったわ!」
「ああ、あの体で私の体を滅茶苦茶に……イヤン//」
「駄目だ、姉妹揃って何とかしないと!そうだ、レイセン!レイセンちょっといいかしら!」
「ぐふっ、鼻から愛情が!」
「こいつら男の裸に耐性無いのかよ!」
永琳は思った。
――取り敢えず医者だ、医者を呼べって私だァーー!
剣二の裸でまさかここまでカオスなことになるとは誰が予想しただろうか、剣二は輝夜と一緒に海に行ってしまったし、これでは泳ぐどころでは無い。
結局、剣二が帰ってくるまでこの混乱は続いた。
「おいおい、落ち着いたか?」
「ううっすみません」
謝っているのはレイセン。鼻にティッシュを押し付けている。
暴走した皆を剣二が、布都御魂剣の能力「ありとあらゆるものを納める程度の能力」で気分を落ち着かせお昼休憩をとっていた。
輝夜は泳げるようになって次は水面を走れるように練習する約束を剣二としていた。
「やっぱり、剣二は教え方が上手いね」
「はは、ありがと」
さっき屋台で買ってきたピーチジュースを飲みつつ永琳の様子を眺める。
永琳は剣二の太ももに頭を乗せ横になっていた。
さっきのがよほど疲れたらしい。綿月姉妹は2人とも泳ぎに行った。
「ねぇ、剣二。私、綿月姉妹あの子達があそこまで剣二の体に反応するとは思っていなかったわ」
「俺もだよ、もうちょっと早く来れば良かったな」
「ホントにそうよ。今から一緒に泳ぎに行きましょ」
「そうだね、付き合ってやるよ」
「ん、ありがと」
そう言うと2人は立ち上がって海に向かって歩いた。
向こうからは綿月姉妹が歩いてくる。すれ違いざまに2人に荷物の番を頼んで泳ぎに行った。
「なんだか、夫婦みたいですね。八意様と剣二様」
「当たり前じゃない両想いなんだから、私も欲しいな彼氏」
「お姉さまは好きな人がいるのですか?」
「いるけど相手が八意様じゃ勝てないわ」
「……そうですか」
「そう言う依姫はどうかしら?」
「私もお姉さまと同じです」
肩をすくめて言って続けた。
「ですが、諦めません」
「あら以外ね、私だったら諦めるけど」
「『恋も戦いも最後まで諦めるな』と剣二様は仰っていました。弟子の私があっさりと諦めるわけには行きません」
「ふふ、そうなの。じゃあ私も諦めないで行きましょう」
「諦めていいのですよ、お姉さま」
「いいえ、まだまだ時間はあります。もしかしたらに賭けて見たくなったのよ」
――こうして恋愛の秋へと突入していく2人だった。