俺はこんなの望んでない。《加筆中》   作:赤 有馬

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自動車学校に通うことになりました。



fire3・漢女《オトメ》と謎の女

「よォ、クソガキ。まァここで死んでけや」

 

女性のその言葉と共に銃口がこちらを向き、火を吹く。

拳銃ではありえないようなズドンという重い音が遅れて聞こえ、銃弾がむかってくる。

しかし、あれだな。射線からしてしっかり()たらないようには撃ってる。

一応不殺は考えてるんだな……死ねとか言ってるけど。実弾だけど。動いたらマジで死にそうだけど。

頬を掠めるようにして銃弾は通っていった。

 

ソレをみていて動かなかった俺を、女性は不満そうにしていた。

表情からイラつきが見て取れる。

 

「なんや、動けや。動かん的はツマランぞ」

「……いえ、動かなければ中たらないようにはなってたので」

「ほォ……そうか。次は中てる。死ねや」

 

そう言って再びズドンという音と共に火を吹く銃。

しかし、再び掠めるように中たらない射線。今度は首の右をスレスレ。

避けない。

 

「……見切っとるかァ。やっぱ今年は豊作やな。殺りがいがある」

 

そんなふうに避けずに動かなかった俺を見て、女性はカラカラと楽しそうに笑い、咥えていた煙草を地面に落とし、グリグリと踏み消した。

俺の勘違いかと思っていたが、この煙草といい言葉遣いといい、このありえん銃といい。

恐らく

 

「……蘭豹だよな……」

「あ゛ん?」

「……あ」

「ほォ……。クソガキが知ってたたァ予想してなかったが……。事欠いて蘭豹と呼び捨てか」

 

ッ不味い。原作キャラとの遭遇に思わず考えていたことが口に出た。

 

「……す、すみません」

「許す」

「……はい?」

 

内心かなり冷や汗をかいていた俺だったが、許しは案外あっさりしたものだった。

正直今度こそはナメた真似として弾丸の嵐(致死)に遭うものだと思っていた。

それを蘭豹……先生はニヤリと笑って許してくれた。

なにか裏があるのではないかというほどアッサリに。

 

「二度は言わん。さっき見せた実力の一端と、私を知ってて呼び捨てにした勇気を認めてやる。ただ次はない、わかったかァ」

「……あ、ありがとうございます」

「チッ、興が削げた、帰る。テメェは試験を続けろ、全員()るまで終わらん。バトルロワイヤルや。ウチの生徒になることを期待しとんぞォ」

 

律儀に試験の内容を告げ、蘭豹先生は俺の横をスッと通って背を向けて屋上のから去っていった。

その時の背はとても格好良く、気だるげにひらひらと挙げられた右手が妙に似合っていた。

……漢だ。

 

 

ズドンという音と共に足元に弾痕がのこる。

変なことを考えるのはやめよう、そうしよう。

薄暗い階段がある屋上の開いた扉と鬼の影を見て思った。

 

とりあえず、試験を続けよう。

落ちて実家(地獄)に逆落としは勘弁願いたいから。

 

さて、最後の一人もこっちに向かって来てるようだし待ちますか。

 

紫煙の残り香のする屋上に俺はポツンと残り、最後の敵を待つことにした。

 

 

― × ― × ― × ― × ― × ―

 

 

side蘭豹

 

「もしもし。おう、綴。そこにチャンおるか? ああ、変わらんでええ。二人共聞こえとんな? ん、ちょっとお前らに頼み……いや、依頼やな。ああ、金は後で渡す。依頼内容は神無月 真の調査や。あ? お前らもそっちからみとったろ。奴は絶対カタギちゃうぞ。裏があるはずや。それを洗ってもらいたいんや。ああ、それなりにヤバい山かもしれん。ん、そやな場合によっては貴蘭會(実家)使うことになるわ。あ? 奴が一般だって可能性だ?」

 

 

ない(・・)なァ」

 

 

「背筋が凍るわ。あいつァ……一種の化けモンや。そっちからモニターでみてるだけじゃわからへん。勝てん(・・・)その様子が浮かびもせん。奴は動かなかっただけや。だが、ちゃう、見切ってるなんてもんじゃねェ。撃つ前から視え(・・)とる、そんな感じや。口調はそれらしく一般じゃったがこっちを見る目は殺す時みたいに冷たく、観察をしてるみたいじゃった。最後の一発、あれ見てたやろ? あれ(・・)は中てるつもりじゃった。結果はどうじゃ? 来るのがわかってたかのように足を数センチ動かしただけじゃた。こっちすら見ずにじゃァ。依頼の件、頼んだぞ綴、チャン。」

 

 

「今学年は荒れるぞ」

 

 

 

神無月 真      合格

強襲科S

本人に不明瞭な部分が多いため、要調査。

危険人物である可能性も考慮し、教員は当生徒との接触に要注意を。

 

 

 

真のやる気と裏腹にすでに神無月 真の合格は決まっていた。

Sランクの武偵として。

 

 

― × ― × ― × ― × ― × ―

 

 

「ハハハ、まさか一般出身の君が残るなんてね」

 

蘭豹先生が去ってからしばらくして、こっちに向かって来ていた気配の正体が姿を現した。

それは試験前に「試験であったらよろしく」と話した女の子だった。

すでにやる気なのか、目にはギラギラと、とても強い力を持っていて、姿勢にもなかなか隙は無かった。

そんな彼女が口を開く。

 

「今はとてもイイ感じなんだ()らせてもらうよ」

 

口から出た物騒な言葉。ニヤリと笑っていた。

ソレに見合った感じに場の雰囲気もそういう空気になっていく。

ここで彼女との約束を果たそう。

 

「……やってみろ」

 

自分の口からも出た応戦の言葉。

最後に残った気配がコイツだというなら、原作主人公のキンジはコイツに倒されたのだろう。

原作ではたしか試験のときにHSSになっていた筈だ。

思わぬ強敵の可能性にふつふつと腹の底からナニカを感じる。

俺ってこんなに好戦的な性格だっただろうか?

 

「……()ろうか」

「ああ、こっちは徒手(コレ)でいく。すぐには負けないでね」

 

手にしていた銃をホルスターにしまった彼女はすぐに構えをとった。

なるほど、銃なんか(・・・)ではこっちには意味ない事に気づいてすぐに徒手にしたわけか。

俺の強さに気づいたなら相手も相手で相当な強さなのだろう。

だから、

 

 

 

―――――全力で()

 

 

 

― × ― × ― × ― × ― × ―

 

 

side■ ■ ■

 

さっきの子はとても良かった。

強くて、ロリ、巨乳、金髪、ツインテ、明るく、そして感度良し。

最後に残っていた子だけあってなかなかヤりごたえがあった。

今も興奮が収まらない。ムラムラする。

 

しかし、なぜだろう。あの子を倒して(赤面して気絶した)、もう他に誰も残ってないはずなのに終了の放送がかからない。

……つまり、まだいる(・・)

視えないと言われているチャン先生か、その他の気配を隠すのがうまい先生か……。

生徒はありえない。そんなハイレベルなのは試験前には見当たらなかった。

 

どこだ……。

 

上か。

 

強い気配が一つ、上の階から。

 

位置は……階段、7m。

 

やるか……。

 

残り……3m。

 

7段…6、5、4、3

 

…ッ今!!

 

 

「お盛んやなァ、クソガキ」

「げっ、蘭豹先生」

「その「げっ」ってのはなんじゃ、ああ?」

 

不味い当たりを引いてしまった……。

現状の弾数とかを考えると……このヒトの相手はキツイか?

 

「い、いやそれは……」

「まァいい。遠山(・・)、上行けや上」

「へ?」

「あと一人おる。さっさと終わらせや」

 

さっきの発言になにかしらのアクションがあるものだと思っていたから、とても拍子抜けだ。

結局さっきの発言に何も反応せずに、蘭豹先生はそのまま下の階は行ってしまった。

何か、焦っていたような……。そんな……気がする……。

気のせいか?

何はともあれ、

 

「ふぅ……。助かった。今のこの状態(HSS)でも勝てるか分からないしなぁ……。蘭豹先生と遊べる(・・・)のはもっと先になりそうだなぁ」

 

ポロポロと口から願望が溢れる。

蘭豹先生に言われた通りに、音も立てずに階を上がっていく。

なるほど、確かに気配は小さいけど一人いたな。

あと一人となると、あの子を思い出した。

 

「そういえば彼女は見かけなかったな。美味しそうだから食べようと思って目をつけてたのに。やっぱり一般の子だったからすぐにリタイアしちゃったかな。あー、もったいないなぁ。会ったらprprしてhshsして最後にはホテルまでお付き合いしてもらおうと思ってたのになぁ」

 

思い出したのは試験前に話しかけた綺麗な黒髪の彼女。

試験前は時間が無くて口説けなかったが、もしも試験中に会ったらヨロシクするつもりだった。

しかし、そんな機会には残念ながら恵まれず、良い収穫があったものの、若干残念ではあった。

あまり見ることがない、黒髪、ショート、クール、鋭い目、俺口調の彼女。

手に入れる……いや、メアドすら手にいれることができなかったことが悔やまれた。

 

だが、彼女を使った(・・・)妄想は、HSSを高めていた。

 

そんなことを考えていると、気配のいる屋上の扉の前についていた。

さて、もう終わらせるか。

屋上の扉に手をかけ……

 

「それじゃあ、ご対面といこうか」

 

ギィと鳴く扉を開き目に入ったのは

 

 

 

「ハハハ、まさか一般出身の君が残るなんてね」

 

 

 

さっきまで想っていた彼女だった。

ここに来るまでに彼女()色々な妄想をし、今、本物がここに居る。

ヤバい。理性トぶ。

今、自分のHSSが最大まで発揮されているのがわかる。

鼻血が出そうになるのをグッと堪えて話しかける。

 

「今はとてもイイ感じなんだ()らせてもらうよ」

 

もちろん寝技オンリーで。

時間一杯まで。ギブはさせない。邪魔もさせない、いまなら何が来ても相手できる。

監視カメラもあるけど気にしない。むしろ魅せつけてやる。

きっとアレのレンズの向こう側では綴先生や蘭豹先生も見ているだろう。

それもまた興奮する材料になる。

 

「……やってみろ」

 

私の言葉をどうとったかは知らないけど、コレは許可したとみる。

……彼女の目は鋭い。やる気のようだ。

しかし、こっちは武器は使わない。

寝技オンリーだ。

女の子どうしの闘いに武器は要らない。体一つで落としてみせる!!

 

「……ヤろうか」

 

そうだね、ヤろうか。

興奮も絶頂だ。

 

「ああ、こっちは組付き(コレ)でいく。すぐには負けないでね」

 

押し倒すために構える。

倒した時に傷つけないように、自分が有利なポジションを取るために。

 

 

 

 

ソレを見た彼の口が

 

 

 

―――――全力で征く

 

そう、動いたきがした。

 

 

 

 

 

 




読み返して思った……なにやってんだ俺。

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