俺はこんなの望んでない。《加筆中》   作:赤 有馬

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初めてタグの残酷な描写がまともに使われた気がする。


昼夜逆転を治す方法って無いだろうか。




fire5・最初の依頼

拝啓 前世の両親様

 

学校の試験には無事合格出来ました。

 

合格の通知を頂いた後、蘭豹という先生に、もう寮に入れるのか聞くと可能らしいので、寮に移ることにしました。 残念ながら、あの野郎(父親)の金とはいえ、金に限度が無いという訳ではないから。無駄遣いはできません。

そういうことで、さっきホテルに荷物を取りに行きました。

 

 

ホテルは燃えていました。

 

 

どう見ても燃え具合から、僕の荷物はダメそうです。せっかく節約しようととっておいた金もスーツケースと一緒にあの火の中にあるでしょう。

こんな事態に落ち着いて考えていられる自分が悲しいです。

手持ちには一応数万いれてありますが、そんなに保つわけでもありません。

 

なんで僕はこんな目に合ってるのでしょう。

 

きっと……いや、確実にあの駄神のせいでしょう。

あいつが僕の不幸を見て楽しんでるのでしょう。

 

ご両親様、もしも、僕がこの頭のなかで思っただけのメッセージが届いたとしたら、神に一言言っておいてください。

 

『死ね、馬鹿野郎』

 

と。それが、僕からの唯一の頼みです。

 

それではお元気でお過ごしください。

神に召されることがないように。アイツ絶対碌なことしないから。

 

 

敬具  神田月無 

 

 

  ♢

 

 

ということで、荷物を取りに戻ったホテルは轟々と燃え、黒い煙を吐き出していた。

赤い車、白い車、白黒の車がせわしなく出入りしている。

そんな状況を視、俺は

 

「……本当に嫌になる」

 

割りと慣れた事として落ち着いている自分が嫌になった。

周りで迷惑も考えず大声を上げ、カメラのフラッシュを焚く野次馬たち。

ソレを見ると俺も元はそっち側だったのになぁ……と鬱になる。

 

とりあえず、(ヤド)はあるから、金を何とかしないとな……。

 

 

 

数年で本当にたくましく育った真であった。

 

 

― × ― × ― × ― × ― × ―

 

 

移動によって時は過ぎ、夕暮れ。

 

「……すみません、先生。泊まってたホテルから焼け出されて、金も焼けてしまったので何か依頼(クエスト)を受けさせて欲しいのですが」

「ッハハハハ!! 何や焼け出されたって」

「……放火、ですかねぇ。延焼はしなかったみたいですが、ホテルは跡形ないですね」

 

色々懸かっているため、頭を下げる俺の前で豪快に笑う教師、蘭豹がそこに居た。

 

 

ここは地獄の教務棟(マスターズ)。人外率120%の魔境だ。原作でも回避するべき場所だと言われていたが、今回行かざるをえなかった。

金が無ければ何もできん……訳でもないが辛い。

 

バイトでもして日銭稼ごうかとも思ったが、俺はまだ身分的には中学生。卒業式?向こうに戻るわけ無いだろ。

俺がバイト出来たとしても、する際に色々聞かれるのも面倒くさい。

それだったら地力で持ってるもの使って手っ取り早く稼いだほうがやりやすい。

そう考え、俺の頭では、現時点でそんなことができそうなのは依頼(クエスト)くらいしか思いつかなかった。

裏稼業とかは流石にお断り申し上げる。

 

なので、クエストを受けられるように教師と話をつけようと思ったのだが……。

 

教務棟に着いて、最初に見つけた教師に「……すみません、相談したいことがあるのですが」と声をかけたところ、蘭豹先生の所に案内された。

よりによって何故蘭豹先生なのか。

コレも何かの縁だと思えばいいんだ。

案内してくれた先生が「チッ」と舌打ちしたのはきっと関係無いだろう。

その先生は試験の終わった時のお姫様抱っこの件の時にコッチに下ネタ振ってくるくらいフレンドリーだったし。

 

そんな訳で蘭豹先生に頭を下げる事になってしまったのだ。

 

「ハハハ、そかそか、放火なぁ……。ああ、金なら親に頼めばええんやないか?」

「……今勘当されてるようなものでして、金はもう仕送ってもらえないのですよ……」

「はぁん、なる程なァ……。」

 

蘭豹先生は足を組み、火を付けた煙草を咥え、目を伏せしばらく動かなかった。

やだ………かっこいい………。

 

「ああ、エエやろ、許可しちゃる。ただ、正式に入学は済んでねぇから教務(ウチら)からのクエストのみや。それから……、すまん電話や、席外すわ」

 

煙草を灰皿に押し付け、ケータイを持ち、その場から離れていく蘭豹先生。

……ポケットに片手をつっこみ、去っていく姿は妙に似合っていた。

原作では敬遠されがちだけど、イケメンだな、オイ。

 

ああ、若干失礼なことを考えてたら戻って来た。

 

「なんやその顔。何か失礼な事考えとったやろ」

「……いや、イケメンだなぁって」

 

直後、ズドンという音がし、床に弾痕ができた。

跳弾があらぬ方向に飛んでいき、うめき声が聞こえたが、まぁソレはどうでもいい。

とりあえず

 

「……すみませんでした」

 

腰は直角90度。綺麗な礼の姿勢である。

それにしても発砲に迷いなし。とっても引き金は軽かった。

やっぱり蘭豹は蘭豹だったよ……。

 

煙草の箱を懐から取り出し、火をつける蘭豹先生。

ああ、根性焼きされる、と思ったが

 

「まぁええ、仕事や。行くぞ神無月ィ」

「……え、え?」

 

訳のわからぬまま、首根っこを掴まれ、ズルズルと引きずられる。

 

引きずっていく当の本人はコッチのことなど気にせず、上機嫌にどんどん進んでいく。

もちろん、段差や階段などは気にしない。

掴みから抜けだそうと藻掻いたが歯牙にもかけられなかった。

俺の筋力ステータスではまだ蘭豹先生に勝てないようだ。

 

俺は現状を諦めた。むしろ、少し痛いだけで移動が楽で命に危険もないと。

途中途中ですれ違う教師や生徒の目が冷たかったり、哀れんでいたりと痛かった。

結局教務棟の隣の教師用の駐車場まで引きずられた。

 

そして、黒塗りの如何にも、という車の後部座席に放り込まれた。

 

 

  ♢

 

 

車の後部座席はとってもデンジャーだった。

酒の瓶と缶や火器が座席の下にころがっていた。

仕事用なのか服などもあり、グチャグチャに脱ぎ散らかされていた。その……下着などもそのままになっているのは如何なものかと一男性として思った。

 

服などをどかし、下着などには極力触れないようにして座るスペースを作り、座る。

足元の火器には当たらないように酒瓶の上に足場をとる。

そして安全のためのシートベルトをする暇もなく車が急発進する。

 

結構な速度を出しながら車は走り、目的地であろう場所に向かっていく。

運転をしながら蘭豹先生はコッチを軽く見て言う。

 

「オイ、神無月ィ。依頼受けるにあたって言っとくぞォ。

今回の依頼は『テロリストの制圧』。要人を襲撃してホテル一棟放火したって奴らや。早い話お前の泊まってたホテル焼いた本人共って訳や。それにしてもお前どんだけ金持ってんだァ? あのホテル一泊けっこうお高いやろ?」

「……あはは、安全には気を遣ってまして」

 

こちらに疑わしげな目を送ってくる。

さすが勘がいい、目を付けられたか。

 

「ホゥ、安全なァ……。まあソレは置いとくぞォ。それより何でお前は『テロリスト制圧』に自分が連れて行かれるのか疑問に思わへんのか?」

「……え? いや、これからの為の見学か撃ち漏らしの対処だろうと思いまして」

「そうか、察しがええなァ。大体の奴らは調子に乗ってくるもんだがな」

「……自分の力量を知ってるだけですよ」

「それはエエ事やな。」

 

蘭豹先生はニヤリと漢らしく笑うと、運転に戻った。

そのまま依頼の内容を話す。

 

「潜伏しておるのは南岸倉庫街の西側、情報によるとN-5の倉庫。人数は30程。重火器等の装備はなし、通常火器を全員装備している。逃走する手段の予想としては船、トラック、バイク。すでに港の方は人数が行っている。」

 

「準備はエエか、神無月ィ」

 

 

 

 

 

  

 

          ―――――「殺るぞ、死なすぞ」

 

 

 

 

 

 

 

どうやらテロリスト達は絶対無事では済まされないようだ。

 

 

― × ― × ― × ― × ― × ―

 

 

現場について五分が経過した。

 

冬の夜の倉庫街。人は居ず、閑散として物悲しさを漂わせていた。

そんなことをぶち壊すようにして蘭豹先生は行動した。

 

蘭豹先生は現場に着くなり、件の倉庫の戸を蹴破り、銃をブッパしながら入っていった。

夜目は効くため、何が起こってるかは多少視えたが、相手の方が気の毒だった。

ゲラゲラ笑いながらブッパし、斬馬刀を振り回して地形を変化させる蘭豹先生。

逃げ惑いながらもチャチな拳銃(恐らくコピー品)で反撃しようとしたいテロリスト共。

ボロボロになって動かなくなっていくテロリスト共を見ているとどっちが悪人なんだかわからない。

 

ああ、別に蘭豹先生がとてつもなく暴威を振るっているだけで、俺もサボっている訳ではない。

しっかりと仕事はしている。

 

 

 

  ♢

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は夜。

 

闇を駆ける狩り人たちの時間。

 

獲物は恐慌状態。

 

狩場は鉄の箱並ぶ迷路。

 

暗きに潜みて獲物を狩り喰らう。

 

此処は暗殺者の庭。

 

 

 

―――其の者、狩らせてもらおう

 

 

 

 

 

 

 

 

  ♢

 

 

闇に浮かぶ白き髑髏。

暗い闇の中、宙を跳び追って来る者を見た。

 

せっかくあの場を逃げ出せたというのに。

理不尽なほどの力の嵐から逃れたはずなのに。

 

背後から白き髑髏が追ってくる。

死神というものを幻視した。

我が身を刈り殺そうとしようとしている。

嬲るように煌めく白刃。

 

死にたくない、嫌だ、死にたくない死にたくないッ!!

 

其の者を追い散らすように銃を乱射する。

 

それでも死神に銃なんて意味もなく。

 

 

「……他愛なし」

 

 

嘲嗤うかのように死神が耳元で囁いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腕が痛い、足が痛い、手首が痛い、足首が痛い、膝が痛い、鳩尾が痛い、右肩が痛い、左肩が痛い、首が痛い、身体が痛い、自分が痛い、痛い、痛い、痛い、痛い、痛い。痛い痛い痛い、痛い、痛いイタイイタイ痛い。痛い痛いイタイ。イタイ痛いイタイイタイ、痛い痛い。

何が、イタイあった……。

何痛い痛いをされた……。

イタイいったイタイいどうなっっイタイイタイイタイ!!

アア、アアアアアアアアアァァァァァァァァァ……………………………………

 

……ア?

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ、壊れちまった。ま、死んでねえしセーフだろ。

俺が俺に任せたことだしな。八つ当たり位いいだろ、気の毒とは思ったけどな。

ハッハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

顔をおさえて嬉しそうに嗤う者の横には何かが落ちていた。

 

それはその者が作った一つのオブジェだった。

 

しかし、それはオブジェというには醜悪で、常人ならば目を覆うようなものだった。

 

ただ曲げただけだ。本来とは別のあらぬ方向に。

 

ただそれだけだ。

 

ソレをこの者は相手に理解させずに行った。

 

その者の顔をおさえた手の隙間から白い髑髏が覗いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何処へ行こうというの?」

 

「あなたは」

 

「逃れられない」   「逃れられない」        「逃れられない」 「逃れられない」

  「逃れられない」         「逃れられない」    「逃れられない」

れない」      「逃れられない」   「逃れられない」            「逃れ

 

 

 

 

               「ノガレラレナイ」        

 

 

 

足が竦む。動けない。何も視えない。暗い。今俺は立っているのか。倒れているのか。

暗い。怖い。恐ろしい。この声はなんだ。何処に居る。

俺は何か持っているのか。俺に手はあるのか。足はあるのか。俺は

 

 

 

 

   生きて  いる        のか?

 

 

 

 

 

(ウナ)されてしまって可哀想に。フフフ、仕事なのごめんなさい

ゆっくり、その幻影の中で苦しんで行って頂戴」

 

目を見開き、うわ言をブツブツと虚空に向かって放つ廃人のような男。

 

その側に白い髑髏が佇んでいた。

 

 

 

 

 

  ♢

 

 

 

「……やり過ぎだろ」

 

特にザイードを模した人格以外。

知覚共有で様子を確認したら肝が冷えた。この後の言い訳どーすんだよ。

やっぱりもっと調節が必要なようだ。また暇を見つけて対話を続けるか。

 

まぁ、コレは置いといて。

今回のこの仕事は

 

「……楽な仕事……ってね」

 

 

俺は独り倉庫正面に停めてある車のボンネットの上、月光にナイフを遊ばせていた。

 

 

 

 

 




だいぶ遅れましたね。

申し訳ないですが、新しい生活の始まり時なので次話も遅れそうです。
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