少年は一人、テレビ画面から姉の勇姿を見守っていた。
「織斑千冬、第二回モンド・グロッソ優勝!!」
テレビの音声から優勝を告げるアナウンス、そしてその結果に沸く歓声。
「はは、おめでとう……千冬姉」
称賛するはずの声はどこか冷たく、心が抜け落ちている。
「でも、もし優勝してくれなかったら……俺がここまで……」
ボソボソと話す声は周りに人がいたとしても聞き取りきれないほど小さい。
「はあー、ここ何処だろう。とりあえず試合も終わったし外に出るかな」
少年が今いる場所は暗い使われていなさそうな倉庫だった。
外に出ようと立ち上がったとき、倉庫の入り口が開いた。
「いっくん!!」
その声は焦るように、そして心から心配するような声。
「あ、束さん」
淡々と、やはり声に心が宿っていない。
助けに来た女性の名前は篠ノ之束。天才にして今世界の中心とも呼ばれるIS(インフィニット・ストラトス)の製作者である。そして少年の姉である織斑千冬の親友と呼べる存在……。
「よかった……いっくん……無事だったん……え……」
安堵の言葉は少年の周りに落ちた物体を見て止まってしまう。
「あー、これ……只のごみだから心配しないで。もう動かないしね」
そう言ってごみと呼ぶものを足蹴にする。
ゴロン。
転がったものは殴られ過ぎたためか……原型がほとんど留められていない死体だった。
そして少年の周りにはそんな死体が6体も並んでいる。
目に入ってしまった惨状に未だ声の出ない束。
「そうだ束さん。助けに来てくれたんですよね。ありがとうございます」
いつまでもこの場に似合わない言葉を吐き続ける。
「帰りましょ。俺の家へ……」
初めて笑った少年。その顔に束は言い様の無い恐怖を感じる。
それと同時に自分と親友にとって大事な少年、誰よりも笑顔の似合う少年をこうなってしまうまで助けに来れなかったことに心が押し潰されそうだった。
私が救ってみせる。
そんな使命感が生まれていた。
なにより……こんないっくんをちーちゃん、ほうきちゃんに会わせられない。
「ねー、しばらく私の家で暮らさない?」
意を決して提案してみると
「別にいいですよ」
悩む素振りも見せずノータイムで返してくる。
もう少年にとってどんな事柄もどうでもよくなっていた。
「行こっか」
束にただついていく。
こうして世界最強の姉を持つ少年、織斑一夏はしばらくの間表舞台から姿を消すことになる。
彼が世界に名を知らしめるのはそれから数年先のことだった。
とりあえず勢いで書いてましたがどうだったでしょうか。
スマホで書くのって大変ですね。