インフィニット・ストラトス 最凶の少年   作:しぃー

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一夏のここまでの考え方とか。



織斑一夏という男

 

俺こと織斑一夏は優秀な姉に比べればとても平凡な男だった。

 

学力が悪いわけでもない、剣道の腕もある、要領も程ほどにいい。

 

しかしそんな俺も千冬姉という存在によって褒められることなどはほとんど無い。

 

「お姉さんはもっとできた」

 

「本当に千冬さんの弟なの?」

 

「もっとがんばりなさい」

 

こんなことを言われ続けても千冬姉を嫌いにならなかったのは千冬姉が俺のことを誰よりも思ってくれたからだ。

 

厳しくもあり、よく理不尽に怒る。

 

それでも最後には優しい笑顔や、照れた表情など家族にだけ見せる特別が自分にはあった。

 

自分は必要とされている。

 

両親に捨てられてもその事実が心を支えた。

 

だから、どんな人から誹謗中傷を受けても自分に自信が持てた、自分を肯定できた。

 

 

 

だけど…

 

第2回モンド・グロッソ

 

このとき俺は見捨てられた…

 

 

今までの自分を支えたものが崩れ去った。

 

過去の俺は結局必要とされなかったのだ。

 

 

どす黒い感情が生まれていく。

 

 

 

 

だからさ

 

 

 

こんな世界を

 

 

 

何もかも

 

 

 

壊したくなった

 

 

こうして手始めに近くの生ものをぐちゃぐちゃに壊してみたがさほど高揚を得ることはなかった。

 

 

 

その後束さんと共に過ごしたが、しばらくの間は断片的にしか記憶に残っていない。

 

結局いろいろ壊そうにも自分には力が足りない。

 

自分の無力が気持ち悪い。

 

織斑一夏は必要ない子、存在することにもう意味は無い…こんな思考がぐるぐると回り続けるだけだった。

 

 

 

そんな自分にも転機が訪れたのはISを見たとき。

 

千冬姉の応援で遠くからしか見たこと無かったが、間近で見ると胸が熱くなるのを感じた。

 

ああ…これが使えれば…何もかも壊せるのに。

 

 

束さんの説明を聞きながらそんなことを思っていたけど、まさか本当に操作できるなんて思わなかった。

 

無茶な移動。

 

体への負担は想像以上のなか、痛み、血を見ることで自分の生が実感できる。

 

俺はここに存在するのだと。

 

 

 

それからしばらくはISに没頭した。

 

操作すればするほど、上達を実感できる。

 

 

だから

 

 

 

そろそろISで何かを壊したい。

 

 

 

これだけの物で壊せば俺の世界は変わる。

 

自分の中にある黒く、暗い何かが晴れるのだと。

 

 

 

侵入者は丁度いいタイミングで現れた。

 

壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ

 

一瞬で心を支配する。

 

ISが3体。

 

 

ああ、壊しがいがありそうだ。

 

 

初めの1体は過去の襲撃から束さんしかいないと思ったためか、突然現れたIS機に完全に虚をつかれていた。

 

だから手を折り、足を折り。最後に顔面をブレードで叩きつけた。

 

2体目は実戦が少ないためかボロボロの同僚を見て完全に戦意を損失。

 

だから一緒にボロボロにしてあげた。

 

残りの1体。

 

隙を見せないところを見ると手だれだ。

 

しばらく様子見の攻防が続いていたが、よく練習していた最高速からの直角移動を使いわき腹へ一撃。

 

倒れこんだところを後は斬り続けるだけだった。

 

ああ、簡単だ。

 

俺も笑っている。

 

 

でも

 

 

ただ笑っているだけだ。

 

特に楽しいわけでもない。

 

 

結局

 

俺の世界は

 

「変わらない」

 

どす黒い感情も

 

「晴れない」

 

 

もう八方塞だ。

 

 

そうして考え込んでいたら油断したためか。

 

束さんに怪我を負わせてしまった。

 

 

身近な人が血に塗れる姿を見たこと無いせいか、硬直してしまう。

 

「あのね」

 

辛そうに、しかし真っ直ぐと見た瞳を障害忘れることはないだろう。

 

「いっくんが心の中でどれだけ絶望を味わっているか…本人じゃないし…はっきりとは…分かんない」

 

その通りだ。当たり前のことにただ聞くのみ。

 

「でもさ…自分の体は…もっと大事にしてよ…」

 

えっ、思わず反応してしまう。

 

「いっくんは馬鹿じゃないし…死ぬ気も無いんだろうけどさ…見てると…私が…苦しいよ」

 

涙ぐむ声に心から言っていることが分かる。

 

 

そうか

 

「また前みたいな笑って…見せてよ…、もっと…話そうよ…。このままじゃ、いっくんがどっか行っちゃいそうで…嫌だよ…怖いよ。いっくんがいなくなったらね…私…生きていけないよ」

 

俺は…

 

思わず束さんの手を握っていた。

 

 

壊したかったのは本当だ。

 

いろいろとどうでもよかったのも本当だ。

 

だけど一番は

 

「私には…いっくんが必要なんだ」

 

誰かに必要とされたかった。

 

 

誰からも必要とされていなかったから…こんな世界じゃあ生きるのが辛すぎるから。

 

だから俺は。

 

 

 

 

少しずつではあったが何かが晴れていくように感じた。

 

気絶した束さんを抱きかかえ歩いていく。

 

 

今日からは少し変わった世界が見れる。

 

 

そんな気がした。

 

 




大分ましな一夏になりそうですがまだ束限定です。

また過去の自分を一度自分自身で否定しきってしまったため過去の一夏を知る人物に対する好感は基本的に低い。

束はまあ努力の結果だよな。


正妻…束
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