あの襲撃から数ヶ月。
いつものようにISを操縦しようとする一夏。
しかしその顔には悲しい笑顔が浮かんでいた。
打鉄…お前はもう、俺の動きについてこれないのか…
束に心を開いて以降体に負担の続く無理な稼動は減っていた。
それは束に心配させないため。
一生懸命に涙を堪えている顔。
あんな顔はもう見たくない。
しかしながら常人ではまったく真似出来ないあの動き…負担が残らない程度には続けていた。
そのためか操縦技術は上がり続ける。
無茶な動きはいつしか無茶から無理に変わった。
今日動き出そうとしたとき、打鉄はピクリとも動くことはなかった。
「おつかれ…打鉄」
無理な動きを打鉄は処理しきれず動くことをやめた。
そんな打鉄をしばらくの間撫で続ける。
初めて乗ったIS。
ある意味このISは一夏の心を最初に救った存在。
「ありがとう」
そう言って別れを告げるのだった。
織斑一夏は自分の大切な存在には何よりも優しい。
それが例えISという名の兵器だったとしても。
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「どうしたものかな」
正直1日を束と過ごすかISを操縦していた一夏。
束が研究室にこもりっきりだったためやることが無い。
「とりあえず」
考えきった結果。
「寝よう」
深い眠りに落ちるのだった。
一夏は夢を見る。
ここは…どこだ。
辺りを見ても何も無い。
しかし目の前だけにはどこまで深い闇が存在した。
闇に対して存在というのも変なのかもしれないが、そこには確かな存在感がある。
しばらく眺めていると唐突にその闇は告げた。
「受け取れ、共に死を与えよう」
物騒な言葉。
そして訳が分からない。
しかし一夏は吸い込まれるようにゆっくりと手を伸ばす。
闇はなんの痛み、違和感も無く体の中に入っていった。
「さあ、目を覚ませ。俺が待っている」
辺りに光が差す。
そうして世界が切り替わった。
「いーっくん!起きてー!」
かわいい兎耳が目の前に。
何かいつもよりテンションが高い気がするが気にせず一言。
「おはよう、束さん」
そう言って頭を撫でてあげた。
最近癖になっているのか、よく自然と頭を撫でてしまう。
年上の女性に対していかがなものか、そんなことも思うこともある。
「ふにゃー」
蕩けきる束。
まあこんなかわいい姿が毎回見れるならいいのかな、そう自己完結するのであった。
「まんぞくー…って忘れるところだった!見せたいものがあるから一緒に来て」
「えっ、ちょっと」
よほどのことなのか、一夏が了承する前に手をひっぱって連れて行ってしまった。
暗がりの研究室。
先程まで束がこもっていた部屋だ。
「やっとだよ、ずいぶん待たせちゃってごめんね」
「いや、あやまられてもさっきから何がなんだかわからないよ」
「あ…そうだね。あまりに興奮して暴走しちゃったよー」
右手で頭をこずく束。
そのうっかりした姿もかわいく、思わず抱きしめたくなる一夏であったがなんとか理性が働いた。
そんなことも露知らず束は言葉を続ける。
「とりあえず、見てもらったほうが早いかな」
そう言ってボタンを押すと、ある一点にライトが集中した。
強い光。
しかしその中でも不思議な存在感を放つ吸い込まれるような黒。
「これは…」
珍しく上手く言葉が出ない。
「これはね」
一夏の目が黒のISを認識した。
「いっくんの専用機。名前は」
武装には一本の大鎌。
「グリム・リーパー、だよ」
こうして一夏は専用機を手に入れた。
専用機は悩んだ。
中二っぽい名前とかも。
でもドストレートのほうがわかりやすくていいかなー、てね。