テイルズオブゼスティリア-破壊神の力を持つ流転者- 作:黒乃 柳
半年ぶりに顔を出せました、今回は所謂季節ネタの外伝ものです
深々と降り積もる雪、異世界から現れ今や"黒き勇者"と人々の信頼と地位を得た黒乃勇気は仲間であるスレイとアリーシャ、勇気の世界から迷い込んだ少名針妙丸、天族のライラ、ミクリオ、エドナ、デゼル、ザヴィーダ…——そして
「もう!ユウキ様?お料理なら私に任せて下さいッ!」
「そーそー、ていうかあれだけ動いて未だ動けるとかどんな体力してんのよ…見てるだけでだれる…」
表向きはアリーシャのメイドだが実質彼のメイドであるシエルと数奇な巡り合わせから仲間と成った暗殺者のロゼ、二人に窘められ苦笑いを浮かべる勇気だが其の程度で止まる程彼は脆弱な意思は持ち合わせていない。
「御免ね?でも今日はクリスマスだし、有り合わせのものしか無いけどだからこそ皆には寛いでいて欲しいからさ?」
両手を合わせ謝罪する勇気に二人は呆れ顔だ、無論、彼の人の良さに。
「あンたねェ……はァ…あンたみたいなのが大臣とかなら私みたいな暗殺者は商売上がったりよ、因みにこれ、褒め言葉だから。」
呆れ顔から一変、くすりと笑うのはロゼ、当初は反目し合い険悪な関係ではあったが勇気の行動により貴族は私利私欲に走るのを止め其の財力を持って荒廃した大地を耕し今ではどんなに貧しかろうと衣食住に困る難民は確実に減ってきている。
「逢った時から凄い人でしたけど街の皆はユウキ様の事を"慈愛の賢者様"って呼んでるんですよ?昨日もアリーシャ様から政治の事を相談為されてましたよね?」
あの大襲撃の際、負傷した兵士や住民達に無償で薬を調合するに留まらず寝たきりとなった者の家に足を運ぶ姿勢、戦闘時以外は基本的に穏やかな性格からついた渾名は知っていたが面と言われるとさしもの勇気も気恥ずかしいのか頬をぽりぽりと掻く。
が、そんな3人等どこ吹く風とばかりに半裸の大男が"よっこらせ"と勇気の肩に腕を回す
「いやァ、お兄さん妬けちゃうなぁ〜、こんな可愛こちゃん2人に囲まれて勇者殿はモテモテだね〜?」
「いたッ!?痛たたたッ!?ざ、ザヴィーダ…痛いよ…ッ」
不意を突かれ所謂コブラツイストをキメられタップする勇気を割と素直に解放するザヴィーダ、彼も勇気が本調子ではない事を悟っていた上で荒療治だが休息を取る様仕向けたのである。
「たく、何時もの御前さンなら近付く前に避けただろうに…如何思うよデゼルゥ?」
何時の間にかロゼの背後に立っていたデゼルは腕を組み光を灯さぬ筈の双眸を勇気に対し向けている、彼は彼なり返せぬ借りを感じているのだが其れはまた違う時に語ろう。
「…確かにな、最近の御前は働き過ぎだ…今日の鍛錬にしr「ばっか!何思い出させ様としてんのよ!」…済まん、気にするな。」
ロゼの怒声に帽子を目深に被り直し謝罪を述べるデゼル、其れに対し「うぅん、気にしないで…兎に角、料理は出来たから飾り付けを手伝ってくるね?」と、皆の気遣いが解るからこそ居た堪れなくなりその場を後にしてしまう勇気…残された4人は彼の背を見送る事しか出来なかった。
「…本当ばか、私も恋愛とか疎い方だけど勇気がアリーシャに好きな人を重ねているのは解るよ…。」
「まー…何だろうねェ…良い意味でも悪い意味でも優しいんだろうよ、その辺俺はちょいワルだろ?シエルちゃん?」
「……やめとけ、今の此奴には聞こえちゃいない。」
皆、ブラスター•ハートが見せた記憶の残滓でしか無いが今尚後悔と憎悪、狂おしい迄の愛情と失意…憑魔と成り得る感情を理性で押し留める勇気の苦悩を知る為に暗い表情を為る。
特にシエルは兄妹の様に…否、其れ以上に想っているからこそ一度はリバース化し、そして天族と同等の力を得た経緯がある為心中複雑である。
「……私、お料理を並べますね?折角ユウキ様が作ってくれたんですもの…今日は楽しいパーティーにしましょう?」
そう言って微笑むシエルの眼尻は、涙に濡れていた。
————
———
——
はァ……今日は溜息ばかりだな…
アリーシャの家の中庭で飾り付けに勤しみ溜息を漏らす、…理由はスレイとアリーシャに関係する事だが僕には如何する事も出来無い…。
「…未来を変える為に尽力してきたつもりなんだけどな…彼女の泣き顔は…見たくなッ!?」
ずるッ!
そういった効果音が似合う程の勢いで足場を踏み外した
…頭、ぶつけるなァ…
突拍子も無い事故から死に繋がるのを予感した僕に待ち受けていたのは…浮遊感、重力等存在しないとばかりの無重力を身体で体感していた。
「…全く、死にたいの…あンた?」
聞き慣れた声、見慣れた傘の持主は呆れた様な…少し怒っている様な声とジト眼で僕を見ている。
「……死ぬつもりは無いンだけどね、…ミクリオは?」
「ミボなら白騎士と一緒に中の飾り付けよ…全く面倒此の上ないわね、人間の行事って…」
とさ…っと背中から床に倒れた辺りで金髪の少女、エドナは僕に跨り顔を覗き込む
「…何…?重くはないけど起き上がれないから退いてよ…」
…色々とヤバい、体勢とか…女の子特有の甘い匂いとか……然んな僕の思考を知ってか知らずかエドナは覆い被さる様に僕の上に横たわる。
「………私やあの子に迄隠し事なンて赦さないから、——此の時期なンでしょ、あンたがフラれたのは?」
ドクッン…!
鼓動が速く成るのを感じた、が…直ぐに平静を装う
「…厄介なものだね、主神と陪神の契約ッて…否、プラスター•ハートは心や思考で描いたものを物質化する兵装…見られてもおかしくは無い…か…——何方にしても、エドナには関係な「…くないわよ……き、だから…」…?」
首を傾げる、風が彼女の言葉を邪魔して聞こえなかった。
エドナは今何と言ったのだろうか?
「…関係なくなんかないわよ、お兄ちゃんを救ってくれるンでしょ?——期待してるんだからこんな処で立ち止まりなんて赦さないわ。」
「………僕は…」
…そうだ…喩え…僕の未来視が100%起こりうる事だとしても…抗うと決めた…!
今迄も…此れからも…!!
「……あンたが遣ろうと為る事は何時も優しい"祈り"に満ちていた、なら…あンた一人の力で足りないなら私も手伝うわ…其れがお兄ちゃんを救う事に繋がる筈だから。」
何時の間にか立ち上がっていたエドナはその手を差し伸べる
何でも一人で抱え込むな、と厳しい乍も優しい微笑みを浮かべ…——其の手を取った勇気に最早迷いは無い。
「…ありがと、エドナ」
「………」
静かに微笑むエドナは一言
merry Xmas…だから。
聖夜は二人の距離を近付ける、其れは信頼という名の絆か将又別の類の絆か…その答えはまた何れ。
かれこれ半年ぶりの更新にも拘らず外伝もので済みませんm(__)m
何れ本編と繋がるワードも多々ありますが今は取り敢えず考察程度に留めて頂ければ幸いです。
では、良いクリスマスを!