テイルズオブゼスティリア-破壊神の力を持つ流転者-   作:黒乃 柳

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前回からかなり時間が経ちました…待ってくれていた方が居たとしたら申し訳御座いませんm(_ _)m

三作品同時進行は中々に時間が掛かりますね、手直しは何作品か進めてから時間を貰い直す予定です(苦笑)


旅立ち

試練を受ける旅に出る為の支度と怪我の完治に数日を弄し、勇気は遂に旅立ちの日を迎える

 

「ぐしゅ…っ…ユウキしゃま…アリーシャさま…っ」

 

数日分の保存食と飲み水を入れる為の皮袋、アリーシャとマルトランから路銀を最初は遠慮していたが最終的に渋々乍受け取る勇気を見送るシエルの眼からはぽろぽろと涙が零れ落ちる…そんな彼女を慰める様に勇気は指先で涙を拭いながら何時もと変わらぬ微笑みを浮かべる

 

「泣かないで…?アリーシャから聖地の場所が記された地図は貰ってるし準備は充分したからきっと数日で戻って来れるよ…ね?」

 

自身の身を案じ涙を流してくれている眼の前の優しい少女に大丈夫、と微笑みを絶やさず元気付る勇気

 

アリーシャも気掛かりではあるが此の数日、師匠の代わりとばかりに槍の稽古を付けてくれていた友人を信頼している為シエルの様に涙を流すという事は無かった

 

「大丈夫さ…ユウキは私よりも強い、それに私も途中迄は一緒だ…シエルは私達を信用出来ないのか?」

 

くすり、と女性らしい微笑みを浮かべ問うアリーシャにシエルは首を振る、自分を救ってくれた二人の強さは間近で見ているがそれでも矢張り大好きな二人を案じる事は止められない

 

 

だからせめてもの代わりとばかりにシエルは三つに分割された星型のペンダントを一つずつ二人に差し出す

 

「…これ…お母さんから貰ったものです…お母さんとお父さん、そして私が三人何時までも一緒に…って…今は二人とも天国に行っちゃったけど…二人に持って行って貰いたいから…必ず返して下さいね…!」

 

ぐしゅぐしゅと鼻を鳴らし乍必ず生きて返して欲しいと涙ながらに訴えるシエルの想いを汲み取り二人はそれぞれ手渡されたペンダントを大事そうに首に掛ける

 

「勿論…!」

 

「無論だ!」

 

二人の意思の強さが如実に現れた覇気のある言葉がシエルを勇気付けた

 

—————

———

 

「…導師の選定…か、僕が戻ってくる頃にはギリギリ間に合うかな?」

 

途中視界に収めた教会では遠方から遥々来たのであろう、明らかに筋力だけが自慢そうな筋骨隆々なゴリラの様な男やそこそこ腕の立ちそうな剣士が彷徨いていた

 

「如何だろう…確かに距離としては其処迄長い旅路には成らないだろうが如何せん天遺見聞録にも乗っていない遺跡の地下だからな…どんな仕掛けや試練が立ち塞がるか…」

 

アリーシャは勇気の問いに答えるも次第に尻込みがちになる、先日の一件で意識はしないようにしていたが友人が危険な目に遭う予想は喩え予想であろうとも気分が良いものでは無い

 

そんなアリーシャの考えを読み取ったかの様に勇気は橋の中心で立ち止まり天に向け右腕を突き出し視覚化出来る程の濃度でサイオン弾を放つ、空中で花火の如く色鮮やかに弾ける飛来物に街中はどよめき立つ

 

「…僕は帰ってきたらもう一度此処に立つ、今のはその誓いと証…証人はアリーシャだよ?シエルとの約束…果たそうね」

 

突飛な行動に呆気に取られていたアリーシャだが不器用なりの優しさに不安は薄れ代わりに期待が募る

 

「…そうだな、尤も…その時は今みたいなのは謹んで欲しい、皆が動揺してしまうから」

 

くすくすと笑い乍頷くアリーシャに勇気は同じくくすりと微笑む

 

暫く穏やかな空気と取り留めの無い談笑に華を咲かせ二人は並び歩く

 

アリーシャはアロンダイトの森の奥にあるというマビノギオ遺跡で混迷の世を救う手立て…即ち導師に関する情報を捜す為に旅立った訳だが女の一人旅は些か危険が付き纏う、途中迄は同行すると言いつつ結局アロンダイトの森入口迄付いて来てしまっていた勇気は苦笑を浮かべる

 

「…じゃあ、またね…くれぐれも無理はしないで…」

 

苦笑も直ぐに薄れ一人で探索する事となるアリーシャに月並みな言葉を掛ける

 

アリーシャも小さく頷いた後

 

「あァ…ユウキも道中気を付けて…」

 

互いに互いを案じる様に視線を絡ませた後背を向け歩き出す、勇気の本来の目的地はアロンダイトの森を逸れた"カノヌシ様の遺跡"である

 

—————

———

 

 

カノヌシ

 

光の勇者の神話と同じく其の名しか神話に出て来ない天族

 

若い天族は彼(彼女?)の事は名しか知らないが永い刻を生きた天族は彼をマオテラスの先代に位置する五大神と認識する程には有名である

 

其れ程の力を持つ存在を奉る遺跡の地下に聖地と呼ばれ気が遠くなる程の永い刻を経て未だに其の全貌を知られていない…某遺跡マニアにとっては夢の様な場ではあったが今代の光の勇者を継ぐ者(勇気)にとっては唯の遺跡でしか無い

 

「…ふぅ…確かに…並の盗掘団じゃ命が幾つあっても足りないだろうね、というか此処に辿り着けもしないでしょ」

 

眼前に飛び交う銃弾の嵐を釵を巧みに扱い防ぎ乍独りごちる

 

思いの外直ぐに遺跡には辿り着きサイオン…所謂MP(マジックポイント)に反応する仕掛けを作動させ隠し階段を発見•其の儘降りたは良いが開けた広間の中心で淡い白き光を放つ紋章を調べた処、勇気は別空間に強制転移させられたと気付いた瞬間超圧縮した空気を以って打ち出された鉛玉を弾くというある意味底意地の悪い罠に嵌められるも冷静に罠に対処する

 

 

(…其れにしても…此の遺跡だけ妙に近代的というか…文化圏が違うな…)

 

時間があれば体力の続く限り銃弾を弾く鍛錬でもしたい処だが少しでも早く帰りたい理由がある勇気は暫くした後数発の銃弾を弾き返し発射口に詰め暴発させるという離れ技を疲れた顔一つ見せずやってみせる

 

 

数秒後、爆発音が立て続けに発生し鉛玉の嵐は砲身であった金属片が辺りに舞った後其の役目を終える

 

「…さ…此れで奥に進めるけど…奥に何か居るね…何処となく精霊に近い気配が為る…力は此方の方が圧倒的に強そうだけど」

 

 

一度精霊を喰らい人成らざる者へと到った勇気だからこそ解るのだろう、元居た世界とは気配は似通っているが其の存在感からより強い力を持った何かが居る事を肌で感じる

 

「ま…進むしかないね、立ち止まッていたら何の為に来たのか解らないし」

 

充分に周囲を警戒して勇気は奥へと進む、途中見えない橋や独りでに動く鎧等の仕掛けもあったが其処は非常識な力と存在が共存する世界"幻想郷"で培われた経験と技術で危なげなく歩を進めていく

 

「よ、ほ…ッと!」

 

何体目か解らぬ鎧が右肩から斬り降ろす為に繰り出す斬撃を舞う様な足運びで躱し空洞と成っている土手っ腹に後ろ回し蹴りを喰らわせ壁に減り込ませ無力化する勇気

 

周囲には彼により無力化された鎧達の山が築かれていたがそんな彼の視界には祭壇らしき開けた空間と其の傍らに静かに佇む白き鎧に身を包みし騎士が此方を見据えていた

 

 

「…強いね、此処に来た時から感じていたのは君の気配かな?」

 

 

先に口火を切ッたのは勇気であった、目の前の騎士から感じる静かだが確かな闘志は彼の戦士としての力量を如実に物語っていたのだ

 

自身を前に臆す事なく近付いてくる勇気に口元を僅かに緩める騎士、其れは漸く自分の意志を継ぐ者に出逢えた喜びか…はたまた無謀な試練に身を投じる者への評価か…勇気は測れずにいた

 

「——其れは私の科白だ…此処迄来れると云う事は相応の力と知恵が備わった者なのだろう…故に、今から試すは意思()の力だ…!」

 

言うや否や、周囲の風景が眩い光に包まれたちどころに変わっていく

 

—————

———

 

(…此処は…)

 

浮遊感を感じる、まるで魂だけが自由に歩ける様な…肉体という楔(くさび)から解放為れた開放感を感じる

 

だが、幾ら開放感を感じ様とも現実味を帯びない光景に首を傾げる勇気…光に包まれたと思いきや彼が眼にしたのは白と黒に別れた大軍

 

(……此処は惑星クレイ。

白き騎士達はロイヤルパラディン…ユナイテッドサンクチュアリの第一正規軍、黒き騎士達はシャドウパラディン…ユナイテッドサンクチュアリの暗部だ…時期にドラゴンエンパイアからかげろうも来るが…感じ取っている様だな、此の場には居ないが三つの軍勢を監視している存在を)

 

何処からともなく騎士の声が為る、その声からは過去を懐かしむような…それでいて憂いに満ちた響きと苛立ちを感じる

 

(……貴殿には今から起きる過去の記録を観て貰う…初めに言っておくが此れは試練、そして遠い過去の出来事だ…)

 

僕は垣間見る事となる…"戦争"というものの本質を。

 

そして思い出す、僕の歪んだ誓いを。

 

 

 




小説進行に加え今年のヴァンガ祭へのデッキ調整もしていた所為かかなり間が空きました、と、久振りに来たらお気に入り登録者様が増えていた事に驚きつつも嬉しいものですね、此の場を借りて感謝の言葉をm(_ _)m

次回はヴァンガードの設定とオリジナルブラスターシリーズの登場がメインになりますが投稿はかなり早い筈です、何せ本来は此の一話で纏めていたものを途中で分割したのd( ! )
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