テイルズオブゼスティリア-破壊神の力を持つ流転者- 作:黒乃 柳
書き溜めてから投稿するという手段を取っているので御理解頂けたら幸いですm(_ _)m
「…お腹空いた…」
ぽつりと呟きながら保存食が入った袋に手を突っ込む青少年
「……情けない事を言うな…それでも君は神族
そんな青少年に呆れた様に溜息を付く白い騎士
彼等は今の今迄互いに鎬を削ッていたがそれも少年が白い騎士の与えし試練を乗り越えた為三日振りの食事を摂っていた
「そんな事言っても減るものは減るんだよ…それに、その神族
簡易ではあるが近隣に生息していた食べられる野草を添え干し肉を食す、勿論白い騎士…ブラスター•ブレードの分も作って
「…それは済まないな…然し、君は本当に器用だな、あり合わせの道具で料理を作ったり…何より優しい、私は此の身に昇華されてからは食事を一切摂ってないのは知っているだろう?」
遠慮していたにも関わらず"一人分作るのも二人分作るのも同じ"と言ってささっと調理してしまう器用さに感服した様子で干し肉を頬張るブラスター•ブレード
「解ってくれたら良いよ。んー…昔から料理とか家事はしてたしね、嫌いじゃないから鍛錬の合間に良く作ってたな…優しいかどうかは解らないけど一人だけ食べるとかあり得ないでしょ?そこ迄図太くも無ければ図々しくも無いよ」
野草を煎じて煎れた茶を啜り乍昔を振り返りつつ優しさ云々については寧ろ当たり前の事でしょう?と首を傾げる、傷の回復を目的としたチョイスである為味は二の次だが
「然うか…君にとってそれは"当たり前"なのだな、…致し方無かった事とはいえ君の心に踏み込んだ事…記憶を垣間見てしまった事を改めて謝罪しよう」
逆に面を食らったのはブラスター•ブレードの方だ、唯でさえ育ち盛りの年頃の青少年だというのに三日も飲まず食わず…腹が減っているのは仕方無いにも関わらず勇気は中々どうして…"騎士"としての立ち振る舞いが自然と出来ていたのだ
なれば、此の若き騎士に誠意を尽くし謝罪するのは同じ騎士として当たり前であろう…ブラスター•ブレードは静かに頭を下げる
「…まァ…確かに後で色々聞いて驚いたけどさ、貴方は試練の前に"心を試す試練"って言ってたし…仕方無いと思うよ?」
ふるふると首を横に振り仕方が無いと笑って許す勇気、事前にどの様な試練か話さなかった非はあれど確かにそれらしい事を言っていた人物を責める様な事はしないという寛容さも持ち合わせていた
(惜しみなく与える心…誠実な姿勢、医学にもある程度知識がある…か、10と6年の歳月で此処迄己を高めるのに何れだけの血を滲ませる努力をした事か…)
実を言うとブラスター•ブレードは自身のもう一つの可能性…即ち勇気が元々住んでいる世界で精霊として彼に付き従う未来を彼の試練の地で識っていた、出生の秘密も…彼の苦悩も
最初はただの夢と思っていたが現に彼が目の前に現れて尚且つ彼の心…記憶を垣間見た事で確信していた、自分と彼は逢うべきして出逢ったのだ、と
「——…今日はもう疲れちゃった、野営は二時間置きの交代で良い?]
暫しの沈黙の間に何時の間にか食器を片付けた勇気は確認する様に問う
「あァ…それで構わない…最初は私が見張っているから休んでくれ」
問われて珍しく慌てた様に頭を振り最初の番を買って出る
「そ…?じゃあ…休ませて貰おうかな…おやすみ」
少しだけ訝しむように首を傾げるが疲労も有り素直に受け入れれば地面に腰を降ろし瞳を閉じる
「…おやすみ…」
そんな勇気を見守るように見詰め頷くブラスター•ブレード…彼はそう遠くない未来で待ち受けているであろう悲惨な未来を振り切るように腰に帯刀した剣を手に取る
想像したくも無い暗い未来に背を向けるようにして
—————
———
「…——。」
周囲の空間を歪ませる程の存在感と屈強な肉体を持つ獅子、かつてヘルダルフと呼ばれた騎士は同盟を組みし異界の龍、ネビュラロード•ドラゴンが貸し与えた水晶により今代の勇者の誕生を見届けていた
「…如何為さいました?随分と思い悩んでいる御様子ですが…」
其処に勇気も面識のある女性、青い戦乙女と名高い女騎士…マルトランが声を掛ける
「……否、彼の異界よりの来訪者…何処と無く我の目的と思想が似ていると思ってな…」
クックッ…と喉を鳴らし笑う災禍の顕主、何処か自嘲気味に笑う其の様にマルトランは押し黙る
「それにしても、あの神具…ブラスター•ハートといったか…あれはどの様なものなのだ?貴様等に所縁有る代物なのであろう?」
ふと時空を跳躍し現れたネビュラロードに問う、歴戦の将であったヘルダルフは卓越した戦闘力を持つ…だからこそ、己が目的を阻む力を持ち更に全く未知の武具を駆る迄に至った勇者を前代の導師以上に警戒するのは無理も無い話だ
「——あれは我等が仇敵、三英雄の生体情報を含め侵略対象である惑星クレイに住まう者全ての記録を記したもの、過去•現在•未来に渡り常に情報を収集し所有者の意思によりありとあらゆる武具に変わる…それこそ汝等が見た事も無い戦術兵器にも、な」
数体の部下と思わしきフードを被った者達を付き従え忌々しげに勇気の手に収まる宝珠を一瞥し乍問いに答えるネビュラ、それに対しヘルダルフは口元を吊り上げる
「ほう…それは厄介此の上無いな…で、其の厄介な兵器を手に為せてどうするつもりだ?そこ迄して彼の者を欲するのか?」
妨害しようとすれば出来たにも関わらず敢えてそれをしなかったネビュラに皮肉を込める、そこ迄する意味があるのか?…と
「……三英雄とは貴様が想像する以上に有用なのだ…此処とは違う次元では三英雄の一人は星を統べる迄に至った、多少の痛手は眼を瞑ろう…其れに貴様もあの場所には直接手を出せなかったのだ、互いに目的は果たせただろう?」
ヘルダルフの皮肉にも動じる事無く勇気を試練の地に送ったのは必要な事であったと語るネビュラ、悪しき者は別の地へと飛ばすという魔法技術もありネビュラもヘルダルフも下手に手を出せなかった
「ふン…まァ良い…此れでマオテラスの力を更に得れると思えば我慢も出来よう…処で、いい加減其処の者達について言及しても構わぬか?」
故に、両者の利害が一致している限りは互いに協力し合う…そういう微妙なバランスで両者の協力関係は成り立っているのだ
「我としては目的が果たせれば他は全て些末事よ…——此の者達は言うなればブラスター•ハートの兄弟のようなもの…勇者の凱旋と初陣を飾るには相応しい相手故其処な女騎士にでも貸し与えようと思ってな、聖剣祭とやらを派手に飾ってやると良い…汝等も奴の力を測りたいのであろう?」
フードで姿を隠した従者達が一歩前へ出る、ガシャンと冷たい金属音からは生命が持つ温もり等一切感じられず人成らざる者である事が言葉を交わさずとも見受けられた
「…喰えぬ者よ…良いだろう、使えるものは使う…マルトラン、作戦指揮は委ねる」
ふ…と鼻で笑うが確かに今後大きな障害となろう者の能力は把握しておきたいと思うのは武士(もののふ)としては当たり前である
——だが、個人としては己と似た様な思想…そして一瞬だけ垣間見せた憂いを帯びた瞳に興味が湧いていた…あわよくば仲間として引き込めぬものか…とも内心考慮している
「御意、御任せ下さい」
そんな主の心の機微を悟ったのかマルトランは恭しく一礼しネビュラから貸し与えられた兵を連れ立ってレディレイクへと戻る
時に聖剣祭前夜の出来事、運命の歯車はゆっくりとだが幾つかのイレギュラーを内包しつつ回り始めた
次話はいよいよ導師選定の儀でもある聖剣祭です、ゲームではわんこを追いかけたり狐男がサイコパスに制裁を加えられたりしましたが…はてさてどうなる事やら
一応レイフォルク迄は書き溜めているのですが直前でほんの少し手直しするかもしれません(苦笑)