私の母はとても気の弱い人だった。
母の実家は名家で姉がその家の今の当主。
歳も一つしか違わないのでとても仲の良い姉妹。
父は異常までの鈍感。
高校時代は「唐変木・オブ・唐変木ズ」とまで呼ばれていた。
そんな二人の間に私は生まれた。
母と父は世界と鬼ごっこしている。理由は簡単だ。
父が世界中の研究者が喉から手が出るほど欲しいからだ。
私が生まれる数十年前に現れたある物のせいで、私たちは世界から逃げている。
インフィニット・ストラトス。ある女性が開発したパワード・スーツ。
当初は宇宙開発の為に作られたんだが、人というものは汚い。
彼女の考えとは別に、「兵器」としてか見ていなかったのだ。
それにこれには大きな欠点があったのだ。
それは、女性にしか扱えない。
これが、父が狙われる理由であった。
母と私はそんな父の人質の材料とされないようにと一緒に逃げている。
そんな日々を何年も過ごしてきた。
あの日がくるまでは……
「お父さん、お母さん」
父と母は人間だ。いつかは死ぬ。
それは、時として残酷だ。
父と母は私を母の実家に預けて、姿をくらました。
公式には死んだことになっているが、私はそうだと思っていない。
私の誕生日には必ず、プレゼントが来る。
そして、16歳の誕生日にとんでもない物が届いた。
「これは……?」
日本刀だった。
父と母は日本人だから特に珍しくもなかったが、その日本刀の刀身が特に珍しかったのだ。
「黒い……」
刀身が黒かったのだ。
伯母様に聞いた所、この刀身は黒刀と言う非常に珍しい刀らしい。
銘には夜桜と刻まれていた。
「黒刀・夜桜」
それだけならよかったのだが、この日本刀にはもう一つ秘密があった。
『指紋認証完了』
「え?」
夜桜から声が発せられ、光が私を飲み込む。
光が晴れると、景色が変わっていた。
そこは、空だった。
そして、私は空を飛んでいた。
「ここは……どこ?」
いつの間にかISを装着しており、意味が解らなかった。
ハイパーセンサーで辺りを探すと一つの孤島を見つけた。
「とりあえず、あそこに行こう」
その孤島には施設が立ち並び、どうやら学校のようだった。
でも、生徒の姿は見受けられない。
『わああああああっ!!』
一箇所だけ騒がしいところがあった。
そこで目にしたのは……
「これで、フィナーレですわっ!!」
「まだだっ!!」
若い父と若いセシリアさんが戦っていた。
「ここって……もしかして」
ある推測を立てる。
ここは、父と母が出会った場所、そして、伯母様の働いている……
「ここは過去? なの……」
私はタイムスリップをしてしまったのだと……
勿論ここには、あの……
「! っ!!」
後ろからいきなりランスで攻撃を仕掛けてきたことにより、私はすぐさま、その場から上空へと回避行動をとった。
そうこの学園の生徒会長は……
「不法侵入です……よ……!?」
私の顔を見るなり、その者は驚きを隠せなかった。
私は顔は母似だったので、この人にとっては驚いても無理はない。
「簪……ちゃん……?」
「いいえ、違います」
私はISを解除する。
このISの待機状態はあの日本刀だった。
勿論、下緒付きなので腰にある。
「この場合は初めましてですね……刀奈伯母様。私は秋葉。織斑秋葉です」
これが私の父と母の最期のプレゼントだった。
そして、同時に私の物語の始まりでもあった。