“逃げるなぁっ!! ……生きることから、逃げるな!!”
これがお父さんがお母さんに言った初めてのプロポーズらしい……
今思い返すと、なんでこんなことを言ったのかは本人も分からないらしい……
でも、何だかその言葉はとても、心に来る言葉だと私は思った。
◇
ここ数日は平和だった……一部を除けば。
その一部と言うのは、ラウラのことだ。
ラウラは私とお父さんを憎んでいる。
お父さんは、千冬伯母さんのモンド・グロッソで二連覇を逃したことへの逆恨み。
私は、自分より強いってことが、気に入らないらしい。
まあ、その程度のことならどうにも出来るけれど、今回は流石の私でもキレた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒィィィ!!!!」
アリーナで専用機持ちの模擬戦をやっていると言う噂を聞いたので、私は行ってみた。
そこでやっていたのは、模擬戦ではなく……ただの一方的な戦い。
SEが尽きた、セシリアと鈴を一方的に痛めつけるラウラ。
その時、私の中で何かが砕けた。
「舞え……夜桜ぁぁぁ!!」
雪片弐型を展開し、アリーナに張られているバリアを切り裂く。
そのまま、スラスターを最大出力まで上げる。
「来たな……織斑秋葉ぁっ!!」
こちらに気付いた、ラウラは2人を無視し、秋葉の方に身体を向ける。
しかし、それは悪手だった。
「『憤怒』のアーカイブに接続。テーマを実行!!」
夜桜の機体色が桜色から紅色へと変わる。
それはまるで血の様に真っ赤な機体の夜桜だった。
「ロード・カートリッジ!!」
白刀・桜から数回リロード音を聞こえる。
それと同時にラウラは吹き飛ばされた。
「なっ!?」
先程自分のいた場所には、秋葉がいた。
しかし、それは可笑しかった。
観客席にも秋葉はいる。
(どうなっている!?)
ラウラは分からなかった。
だが、その正体はすぐにも分かった。
「ぐっ!」
自分が着地すると同時に秋葉が横に現れ、黒刀を振り下ろす。
ラウラは間一髪でレイザーブレイドでガードする。
(なんて、力をしているっ!! しかも、残像を残す程の速さで移動するなど……)
秋葉の黒刀をガードすると同時に地面が陥没する。
だが、それだけでは終わらない。
それは、一瞬の出来事だった。
ラウラは何の音もなく吹き飛ばされ、ISは強制解除された。
その数秒後に物凄い音が響きわたった。
◇
織斑一夏はその光景に凌駕する。
セシリアと鈴がラウラと模擬戦をしていると聞いた時、とても嫌な予感がしたので見に行くと予感通りだった。
そして、白式を展開しようとした時だった。
向かい側の観客席から物凄い音を起てて、赤い機体が姿を現す。
「ラウラ・ボーデヴィッヒィィィ!!!!」
その機体の操縦者は秋葉だった。
夜桜は彼女の心の色を写したように、赤……それすらを超えて、紅の色へと変わっていた。
そこからは、一方的な展開だった。
ラウラは手も足も出ず、一瞬にして終わった。
「まじかよ……」
一夏は初めて、その身に感じた。
恐怖と言う物を……
◇
「ふ……ざ……ける……な……。私は……選ば……れた……人間……なんだぞ……」
光の速さで攻撃を受けてなお、まだ立ち上がるラウラ。
秋葉の目には、光を輝きはなく、ただそこに転がっているゴミを見る目その物の。
「私は……選ばれた人間なんだぁぁぁ!!」
部分展開したレイザーブレイドを抜き取り、ラウラは突っ込む。
しかし、それは届くことは無かった。
ラウラと秋葉の間に入って来た千冬によって止められたのだ。
「そこまでにしとけ……」
「き、教官!?」
ISなど装備せずに、打鉄の装備であるブレイドを軽々と持ち、ラウラのレイザーブレイドを止める。
これ以上の戦闘は無意味と判断した秋葉はISを解除する。
「アリーナのバリアを破る程になると、私も見過ごせない……。決着を付けたければトーナメントでやれ。両方いいな?」
「教官がそう仰るなら……」
「構わないわ……」
「よし。以降をもってトーナメント当日まで、私闘及び模擬戦を禁じる。解散だぁ!!」
千冬の宣言により、全員アリーナを後にする。
秋葉はセシリアと鈴を回収する。