「え? 未来の話ですか?」
クラス騒動から数日が経ち、今日は土曜日。
つまり、IS学園は休み。
丁度12時になると言うことでアリアは食堂で食券を買おうとした時、箒、鈴、セシリア、ラウラから声をかけられた。
「そう。あんた達って、未来から来たんでしょ?」
「ええ。確かに未来から来ましたが、秋葉さんから聞いていないのですか?」
「一応、聞いているが……」
「ふ~ん。分かりましたわ。少しお待ちください」
鈴と箒は曖昧な答え方だったが、それもしょうがない。
未来の話を全て鵜呑み出来る訳がない為、あんまり覚えていなかったのだ。
そう言ってアリアはペペロンチーノを購入する。
◇
「それで、何をお聞きしたいのですか? と言うより自分たちの子のことが聞きたいんでしょ?」
「「「ギクッ!」」」
この情報に関しては秋葉さんはあんまり知らない。
私は家柄の関係の為、知っていた。
「……はぁ。まあ、隠す必要はありませんので話しますが、覚悟した方がいいですよ?」
そう言って、アリアはディスプレイを起動させる。
「まずは、鈴さんからですね。えーと、鈴さんは3歳の娘さんが1人おりますわ」
「へー。名前は?」
「福音……だそうです」
流石に中国語は分からないので漢字の読みだけを鈴に教えた。
「次にラウラさんですね。ラウラさんは先月、元気な男の子を出産したそうです」
「ほう」
「箒さんは……まだ、いませんね」
「なんだと!?」
意外な真実に箒は驚く。
アリアはそんな事はお構いなくディスプレイをスライドさせる。
「本人はいませんが、最後にシャルロットさんですが……5歳の男の子と女の子がいますわ」
「双子なんですか?」
「ええ。双子です」
セシリアの質問に答え、ディスプレイを閉じる。
今回の得た情報で箒は陥落する。
唯一この中で子がいなかったことが、どうも納得出来なかったらしい。
それもその筈、結婚した順番は一夏、セシリア、シャルロット、鈴、ラウラ、箒の順の為、しょうがなかった。
ちなみに一夏とシャルロットは水着を買いに出ている。
秋葉は部屋で専用機の設計に熱中していた。
「それでは、わたくしはこれで失礼させていただきますわ。この後、色々と進めないといけませんので」
流石はセシリアの娘だけのことあって、綺麗なお辞儀をしてその場を立ち去った。
◇
七月に入った為、室内の温度が徐々に上がる中、秋葉は室内に設置されているPCと睨めっこしていた。
画面にはISの設計図が映し出されていた。
「今日はここまでね」
長時間の作業は身体に良くない為、一休みすることにした。
冷蔵庫から飲み物を取ろうと開けるが、あることに気付く。
「……やってしまった」
冷蔵庫には飲み物が無く、軽く食材が入っているだけだった。
麦茶は先程の作業で飲みつくしてしまったのでない。
「しょうがないか……買に行くとしますか」
このまま、自販機で買うよりは商店で買った方がいいと判断し、私服に着替え秋葉はIS学園を出た。
唯一の通行手段であるモノレールに乗り、その先にあるショッピングモールに向かう。
「これだけあればいいかな……」
ショッピングモールで10本近くのペットボトルを購入する。
今後の作業スピードを考える限り、臨海学校には設計が完成する予定。
本格的な制作はその後になる。
しかし、幸いアリアが来たことにより、予定より作業が進んでいた。
アリアが持っていた未来のISデータが役に立ち、第三世代後期までなら設計することが出来ることがわかったのだ。
「帰ったら、PICとハイパーセンサーの設計を……」
帰ったらすることを考えながら歩いてた時だった。
ショッピングモールの中央で何かの宣伝していた。
内容はカラオケ大会だった。
高得点を出すと景品がもらえるらしい。
「ふ~ん。現在のトップは95点か……」
何故かその時、秋葉に電撃が走った。
「時間があるし、やって行こうかな」
秋葉はなぜこんな行動をとったのかは分からなかったが、中央に向かった。
◇
「次ましては、更識秋葉さんです」
司会に呼ばれ秋葉はステージに立つ。
ちなみに織斑だと色々と面倒事になるってことで、母の旧姓である更識を名乗る。
「では歌います。曲名、PHANTOM MINDS」
曲が始まり、秋葉は歌う。
その歌はショッピングモール全体に流れており、全ての人が足を止める。
「これって……」
水着コーナを後にして友人の弾と話をしていた一夏は会話を止める。
その場にいた人は全員、スピーカーに目を向けていた。
「素敵な声ですね。プロの方なんでしょうか?」
弾の妹の蘭はこの歌声に興味を示していた。
何分たったのだろうか、歌が終わっても皆その場から動かなかった。
そして、一つの拍手に続いてまた一つと拍手に包まれた。
「はっ! 得点は……なんと最高得点100!?」
司会者ですら、秋葉の歌に我を忘れていた。
そして、秋葉は満点をたたき出した。
「ゆ、ゆう、優勝賞品です」
「ありがとうございます」
ちなみに優勝賞品は6泊7日のロシア旅行。
司会者は、慌ててながら手渡す。
景品を受け取て、その場を立ち去ろうとした時だった。
「すみません。実はわたくしこう言うもので……」
スカウトマンに捕まったのだ。
一人、二人、三人……と増え続けて行く。
流石にまずいので、必殺の呪文を唱える。
「あっ! お父さん」
全員、手を振った先に目を向け、秋葉はその隙にその場から姿を消した。
「彼女がいないぞ!」
「なに!?」
「探せ! 探せぇ!!」
一時ショッピングモールは騒がしくなるも、結局彼女を見つけることが出来なかった。