インフィニット・ストラトス 黒刀の剣士   作:ぬっく~

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19話

第五回モンド・グロッソはカオスだったそうだ。

決勝戦の試合時間はたったの1分。一撃で終わると言う前代未聞の試合だったらしい。

普通に聞いたならクソゲーだと思うが、その場で見た人はこう答える。

“悪魔だ……”と

そのことから第五回モンド・グロッソの優勝者、準優勝、三位に付いた呼び名が……

“首狩りの天使”“白い悪魔”“白黒兎”

 

 

    ◇◇◇

 

 

臨海学校二日目。今日は午前中から夜までの一日をISの各種装備試験運用とデータ取りに追われていた。

特に専用機持ちは大量の装備が持っているのだから大変である。

 

「それでは予定通り実装試験を行う。候補生は自国の装備を、それ以外の者は山田先生の指示に従え」

 

はーい、と一同が返事する。さすがに一年学年全員がずらりと並んでいるので、かなりの人数だ。

ここに搬入されたISと新型装備のテストが今回の目的。

当然ISの稼働を行うので、全員がISスーツ着用姿だ。

 

「ああ、篠ノ之。お前はちょこっとこっちに来い」

 

「はい」

 

打鉄用の装備を運んでいた箒は、千冬に呼ばれこちらへと向かう。

 

「お前には今日から専用……」

 

「ちーちゃ~~~~~~ん!!!」

 

ずどどど……! と砂煙を上げながら人影が走って来る。

 

「……束」

 

稀代の天才・篠ノ之束が立ち入り禁止もなんのそのと、堂々と臨海学校に乱入して来たのだ。

 

「やあやあ! 会いたかったよ、ちーちゃん! さあ、ハグハグしよう! 愛を確かめ―――ぶへっ」

 

飛びかかって来た束を千冬は片手で掴む。しかも顔面に。思いっきり指が食い込む程に、まったくもって手加減していなかった。

 

「うるさいぞ、束」

 

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦のないアイアンクローだねっ」

 

そしてその拘束から抜け出す束もまた、只者ではない。

よっ、と着地した束は、今度は最愛の妹である箒の方を向く。

 

「やあ!」

 

「……どうも」

 

「箒ちゃんしばらく見ない内に大きくなったねぇ! 特にこのおっぱいが……」

 

ぐぃ

 

「そういうのはやめてください」

 

「いっくん! 箒ちゃんが冷たいよー!!」

 

「た、束さん……。お久しぶりです」

 

涙目になって訴える束。そんなやり取りを、一同はぽかんと眺めていた。

 

「自己紹介くらいはしろ。うちの生徒たちが困っている」

 

「え~、めんどくさいなぁ。私が天才の束さんだよ、ハロー。おわり♪」

 

そう言ってくるりんと回ってみせる。ぽかんとしていた一同も、やっとそこでこの目の前の人物がISの開発者にして天才科学者・篠ノ之束だと気付いた。

 

「あの……。それで、頼んでいた物は……」

 

ややためらいがちに箒がそう尋ねる。

 

「ああ、そうだったね! 勿論準備済みだよ。さあ、大空をご覧あれ!」

 

びしっと直上を指差す束。その言葉に従って箒、そして他の生徒たちも空を見上げる。

 

ズズーンッ!

 

「っ!?」

 

激しい衝撃を伴って、何やら金属の塊が墜落して来る。

とある作品の使徒を模様したそれは、次の瞬間消えてその中身が姿を見せる。

そこにあったのは―――

 

「束さんの最新作。全スペックが現行ISを上回る最高性能機……。これぞ箒ちゃんの専用機、『紅椿』だよ!!」

 

真紅の装甲に身を包んだ機体だった。

 

 

    ◇

 

 

「紅椿……」

 

臨海学校で箒さんが束博士から誕生日プレゼントと言う名の名義で渡されたIS。

世代も現段階では到達していない第四世代。

秋葉は太陽の光を反射する赤い装甲に眩しさを感じながら、箒を眺めていた。

この後に起こる事件の重要危険人物として。

 

「アリアちゃん。そっちの方は大丈夫?」

 

「ノープログレムですわ。いつでも行けますよ」

 

あいつ程度ならどうでもないのだが、私たちと言う異物が入り込んだことによる異変が起こるのは確実だろう。

その時の為にアリアちゃんには、対策として色々と頼んでおいたのだ。

 

「うん。ならいいけど……」

 

「うちの戦闘員を3人も使うのですから、安心していいですよ?」

 

「まあ、アリアちゃんのことだから、凄い人たちなんでしょうけど……」

 

「ええ。白黒兎に白い悪魔、首狩りの天使ですからねぇ……」

 

その呼び名に秋葉は頬に汗を掻く、何故ならその3人は裏の世界で決して敵に回してはいけないと呼ばれる程の人物だったからだ。

もし敵になったらプライドなどとっとと捨てて全力で逃げろ、と言われるぐらいに危険な人物を3人全員を連れて来ていたのだ。

 

「うん。軽く戦争が出来るね……」

 

「うふふふ……。当然ですわ」

 

そんな話をしている内に、『紅椿』の最適化が終わろうとしていた。

そして、束博士はお父さんのISである『白式』のデータを閲覧していた。

 

 

    ◇

 

 

「ん~不思議な成長の仕方をしてるね。いっくんが男の子だからかなあ?」

 

一夏はその事である事を思い出す。

 

「秋葉」

 

「ん? 何?」

 

「俺以外で男性操縦者が現れ……」

 

「ああ。それは一度もないよ。30年近く経っても世界で唯一の男性操縦者だよ、お父さんは」

 

ISが開発されてからお父さん以外に男性操縦者が現れたと言う記事を読んだことがない。

アリアちゃんに一応調べてもらったけど、ノーヒットだった。

 

「私が学校とかに行けなかった原因はそれだったけどね」

 

やれやれ、と秋葉は首を縦に振り、その会話を聞いた束は秋葉に視線を向ける。

その視線に気付いた秋葉は束と視線が合う。

 

「ふ~ん。君があっきーか……。いっくんとは全く似た所がないのね」

 

「まあ……。母似なので」

 

束は「ふ~ん」と受け答え、丁度その時『紅椿』の最適化が完了する。

そして、『紅椿』の試験運用が始まった。

流石は第四世代と言われるだけの事があり、加速スピードから何やらとレベルが違っていた。

その様子を秋葉はアリアちゃんから借りた双眼鏡を使い眺めている。

 

「たっ、た、大変です! お、おお、織斑先生っ!」

 

いきなりの山田先生の声に、千冬は山田先生の方へと向く。

いつも慌てている山田先生だが、それにしても今回はその様子が尋常じゃない。

 

「どうした?」

 

「じ、実は……」

 

渡された小型端末の、その画面を見て千冬の表情が曇る。

それと同時にアリアのプライベート・チャンネルにも何かが入る。

 

「専用機持ちは?」

 

「ひ、ひとり欠席していますが、それ以外は」

 

なにやら、織斑先生と山田先生は小さな声でやりとりをしていた。しかも、数人の生徒の視線に気付いたのか、会話ではなく手話でやりとりを始める。

 

「はい。では、こちらの指示があるまで待機していてください」

 

「始まったのね」

 

「ええ。我々も向かいましょう」

 

どうやら、アリアちゃんの船から連絡らしく、あれが動いたそうだ。

 

「そ、そ、それでは、私は他の生徒たちにも連絡していきますのでっ」

 

「了解した。全員、注目! 現時刻より教員は特殊任務行動に移る! 本日のテスト稼働は中止とする!! 各班ISを片付けて旅館にもどり自室で待機! 許可無く室外に出た者は身柄を拘束する!!」

 

「はっ、はい……!!」

 

全員が慌てて動き始める。

 

「専用機持ちは全員集合しろ!! 篠ノ之、秋葉、アリアもだ」

 

「はい!」

 

妙に気合いの入った返事をしたのは、一夏の隣に下りて来た箒だった。

 

「秋葉、アリア。貴様らこの事を知っていたようだな」

 

「ええ。ですが、ここまで道筋通りに進むとは思いませんでしたが」

 

「それはいい。問題は……」

 

アリアのプライベート・チャンネルでの様子を見ていた千冬はこの任務が起こることを知っていたと考えていた。

 

「ええ。篠ノ之さんには悪いですが、この任務には参加させないでください」

 

「……何が起こるのだ?」

 

「…………小父さまの意識不明の重体に落ちます」

 

それを聞いた千冬は、鋭い目線を箒に向けた。

 

 

    ◇

 

 

「では、状況を説明する」

 

旅館の一番奥に設けられた宴会用の大座敷では、専用機持ち全員と教師陣が集められていた。

証明を落とした薄暗い室内に、ぼうっと大型の空中投影ディスプレイが浮かんでいる。

 

「二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が制御下を離れて暴走。監視空域より離脱したとの連絡があった。その後、衛星による追跡の結果、福音はここから二キロ先の空域を通過することが分かった。時間にして五十分後。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処することとなった」

 

淡々と続ける千冬。

 

「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

 

暴走したISを専用機持ちである私たちで止めろと、千冬は言いうがここでアリアが思いがけないこと言い始める。

 

「織斑先生。本作戦に私たちのクルーの参加を許可してもらいたです」

 

「いいだろう」

 

「ありがとうございます。フラクシナス、許可が下りましたわ」

 

『こちら、フラクシナス。確認しました』

 

大型ディスプレイに見かけないマークが現れ、一人の女性が映し出された。

目の下に隈がある女性はすぐにも寝てしまいそうな顔をしていた。

 

「村雨さん。彼女たちと繋いでください」

 

「わかった」

 

画面が切り替わり、3人の女性が映し出される。

 

「ハロハロー♪ 月見璃兎だよー♡」

 

「こちら、高町なのはです」

 

「ジブリール・フリューゲルです」

 

映し出された3人の女性はどくどくの雰囲気をさらけ出していた

一人は、束に似た雰囲気を出し、ウサギ耳のヘアバンドをした黒髪の女性。

一人は、茶色の髪に黒いリボンを付けた女性。

最後の一人は、頭上に幾何学的な模様を描き廻る光輪と流れるような桃色の髪の女性だった。

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