インフィニット・ストラトス 黒刀の剣士   作:ぬっく~

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23話

『俺達は永遠になれない刹那だ。どれだけ憧れて求めても、幻想にはなれないんだよ』

 

父はそれを残して、私の前から消えた。

 

 

    ◇◇◇

 

 

「ここは……」

 

秋葉は目覚めると知らない部屋で寝かされていた。

服装も一般人が着るような私服ではなく、お嬢様が着るドレスに近いものだった。

 

「そうだ……私」

 

そこで、先程までのことを思い出す。

突如現れた男に連れ去られただと言うことに。

 

「出口を探さなくちゃ」

 

扉の先からは人の気配がないことを確認して出るが、おかしかった。

最善の注意を払いながら進むが、一向と人と出会わないのだ。

それから、奥に進むと外が見える場所へと出る。

そこで、あの男が優雅に紅茶を啜っていた。

 

「やあ、アンジュ。目覚めたようだね」

 

「エンブリヲ……」

 

秋葉は分からなかった。

何故、初対面の相手な筈なのに、この男の名前を知っているのかが。

それ以前にこの男の言うアンジュっと言うのもわからない。

しかし、それはこの後にわかる。

 

「っ!……」

 

突如、頭痛が起こる。

流れて来るのは、誰かの記憶だった。

 

『アンジュ、君は美しい。君の怒りは純粋で、白く、何よりも熱い。理不尽や不条理に立ちむかい、焼き尽くす炎のように。気高く、美しい炎。つまらないものを燃やして、その炎を穢してはいけない。だから私がやろう。君の罪は私が背負う』

 

そして、分かってしまった。

 

「は……はっ……はははははは」

 

そうか、そうだったのね。

なんで、永遠語りを聞いた時に気付くべきだったよ。

 

「久しぶりだね。エンブリヲ!」

 

「ほぉ……どうやら、思い出したようだね」

 

「ええ。全部思い出したわ……。全部」

 

私の魂に刻まれた記憶、宿命、それら全てを。

 

「一つ聞かせて」

 

「私が何故生きているのかだね」

 

「そうよ。あの時……」

 

「確かにあの時、私は死んだよ。しかし、こうして生きている。それは何故かって? 簡単なことだ、平行世界の私と言う存在に上書きしたからさ」

 

「上書き……だと」

 

秋葉はその真実に驚く。

 

 

 

「秋葉は何処に行ったんだぁ!!」

 

一夏たちは無人になった夜の女王を回収して旅館に戻っていた。

しかし、旅館でも秋葉の行方を捜索していたが……

 

「だめです。この近辺にいません」

 

山田先生の言葉で状況が悪化する。

空間転移はまだ開発されていない。

しかし、それが行なわれた。

 

「秋葉は次元の狭間にいます」

 

アリアの一言に、全員目を向ける。

 

「アリア……それは、どう、言うことだ……」

 

「……それはですわね」

 

一夏の質問にアリアが答えようとした瞬間、旅館が揺れた。

 

「なんだ!?」

 

山田先生たちはすぐさま、調べるが……

 

「まさか……」

 

アリアは何か知っていたのか、近くの窓を開け外を見る。

そこに広がっていたのは、荒れた天候だった。

一夏はそれを見て驚く。

 

「何だよこれ……」

 

「次元融合……あいつめぇ」

 

「説明してもらうぞ。アリア」

 

「はい……」

 

千冬はこの状況を知っているアリアに説明を求め、アリアは全てを放す。

その内容に全員が驚く。

アリアの魂に刻まれた記憶は二つの地球を一つにしようとした神様の話だった。

そして、それがこの地球でも起ころうとしたていたのだ。

 

「もし、それが本当なら……」

 

「はい。あと数時間でこの地球上の生物は絶滅し、新たな地球が誕生します」

 

残されたタイムリミットに全員息を飲む。

 

「止める方法は……」

 

「あの場に現れた男を殺す以外ありません。しかし、あの男も次元の狭間にいます」

 

「それじゃ……」

 

シャルロットの質問に答えたアリアの答えに全員、絶望に満ちていた。

しかし、ここである希望が現れる。

 

「束さん。そこにいるんでしょ?」

 

アリアが天井の片隅に問いかけると、そこから姿をくらましていた篠ノ之束が顔を出す。

 

「よく気が付いたね。よっと」

 

スカートに着いた埃を払い、ある事を話す。

 

「ISには実は、搭乗者限定の転送能力があるんです。それを使えばあきはっちのいる世界に行けると言いたいんでしょ? ありあっち?」

 

「ええ、そうです。」

 

それにより、全員の顔に喜びが上がるが……

 

「ですが……」

 

「シンクロ率が高いとそれは出来ない」

 

「はい……」

 

そう簡単に行くはずもない。

そんな事は百々承知。

それでも、諦める訳にはいかない。

 

「ですが、その条件もクリアしています」

 

「え?」

 

アリアは秋葉のIS・夜の女王を一夏に握らす。

急に渡された一夏は驚くが、次の言葉で意味を理解する。

 

「夜の女王には、白式のコアが使われています。つまり、転移に必要なシンクロ率は確報しているのです」

 

「俺が……」

 

「小父様。秋葉をお願いします」

 

アリアは精一杯のお辞儀をする。

一夏は握られた夜の女王の待機状態の剣を再び握りしめる。

 

「ああ……」

 

一夏は覚悟を決め、夜の女王に呼びかける。

 

「頼む……。夜の女王。俺に力を貸してくれ。夜の女王」

 

一夏は願う。

 

 

 

 

「ISは置いてきた」

 

「っ!」

 

秋葉の手には何もない。

エンブリヲに勝つことは出来ない。

だから、秋葉は逃げる。

しかし、エンブリヲはニヤかながら私を追いかけてくる。

外に出るとそこであることに気付いた。

 

「まさか……」

 

「そうさ。ここは次元の狭間……」

 

背後にはすでにエンブリヲがいた。

 

「ついでに言えば、これも始めているのだよ」

 

そう言って、エンブリヲの手には二つの地球が重なろうとしていた場面が映し出されていた。

 

「あんため……」

 

「さあ、見届けようか……新たなる地球の誕生を!!」

 

 

 

 

「お願いだぁ、夜の女王!」

 

一夏は願う。

例え、平行世界の自分の娘だとしても……

 

「俺に力を貸してくれぇえええ!!」

 

一夏は涙を流しながら願った。

その涙に応じるかのように、夜の女王と白式が輝いた。

 

「白式……」

 

その言葉を残して、一夏は旅館から姿を消した。

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