(どうしたらいいの……)
相手は創造主の力を持った存在。
秋葉に勝てる称賛がない。
(お願い……誰でもいい……私に希望を……力を……お父さん!!)
秋葉は最後の希望を願う。
そして、奇跡は起こった。
突如、空間に罅が入り、中から一機のISが突入して来た。
「秋葉ぁああああああ!!」
「何!?」
突然の出来事にエンブリヲはその場から離れる。
秋葉は嬉しかった。
「お、お父さん……」
「助けに来たぞ。秋葉」
「う、うん!」
「そうだ、これを」
一夏は秋葉に夜の女王を渡す。
「あなたが、お父さんを導いてくれたのね。ありがとう」
希望がある限り、私たちは絶望しない。
お母さんがよく言っていた言葉だ。
「貴様、どうやって入って来た」
「秋葉、行こう」
「うん!」
「アンジュから離れろ!」
エンブリヲの体が発行し、一機のIS・ヒステリカへと姿を変えた。
「行こう……夜の女王!」
秋葉もISを展開し、最終決戦へと突入する。
◇
「「はぁああああああ!!」」
一夏と秋葉は雪片でヒステリカに斬りかかる。
「舐めるなぁ!!」
ビームライフルと零式超硬度斬鱗刀「ラツィーエル」で一夏と秋葉の剣撃を受け止め、蹴りを繰り出そうとするが……
「エーデルワイス!!」
『Yes Sir.』
白式から聞こえた機械音と共に、雪片から殻薬筒が2つ排出される。
秋葉の元へと転送される時、白式は夜の女王の情報共有を行なっていた。
その為、白式は第二形態へとランクアップし、雪片にカートリッジシステムが搭載される。
その瞬間、雪片の輝きがまし、ヒステリカのラツィーエルを切り、そのまま腕を切り落とした。
「馬鹿なぁ!? ありえん……この世界の創造主! 神だぞ!!」
「違うわ!」
「!?」
「あなたは盗んだ玉座の上でただ座っただけの泥棒よ」
「…………っ」
秋葉の言葉に図星を突かれる。
「何故わからない。無限の命に無限の愛」
「何が無限の愛よ! キモイ髪型でニヤニヤしてて、服のセンスもなくていつも斜に構えている恥知らずのナルシスト!」
秋葉はディスコード・フェザーを開放する。
「女の扱いも知らない。千年引き籠りの変態親父の遺伝子なんて生理的に絶対無理!!」
ヒステリカもディスコード・フェザーを放つが……
「塵に還れえええええええ!!」
秋葉ので相殺され、上半身の一部だけが残った。
「アンジューーー!!」
ヒステリカは諦めず、秋葉の元に近づくが
「「私(秋葉)をその名で、呼ぶなぁああああああ!!」」
一夏と秋葉の雪片で切り捨てられた。
二人はヒステリカの消滅を確認して、後は脱出するのみだった。
「次元の崩壊が始まっているわ」
空間を留めていたヒステリカが消滅し始めた為、現在いる場所が崩れはじめたのだ。
もし、このまま入れば脱出不可能な無限空間の中をさまようことになる。
「ああ。白式」
『Yes Sir.』
雪片から3発の殻薬筒が排出され、一夏は上段から斬り下ろす。
斬られた空間から蒼い空が見える。
しかし、そこで最悪な事態が起こった。
「ア……ンジュ……」
突如、一夏と秋葉黒い霧に捕まれたのだ。
「返……さぬ」
「思念体となってまで……くっ!」
エンブリヲの思念は思ったより強く、一夏は残りのSEを雪片につぎ込む。
「しつこい男は嫌われるぞ!!」
秋葉に伸びていた霧を切り裂き、空間の外へと蹴り飛ばす。
「お、お父さん……」
「ごめんなぁ……秋葉」
『Close the gate』
白式の機械音により、先程まで開いていた空間の穴が閉じる。
◇
旅館では一夏が消えてから数十分経過していた。
その時、一本のライブ映像が入って来た。
「一夏……」
そこに写っていたのは、一夏と黒い霧だった。
千冬は思わず弟の名前を呟くが、一夏の言葉に何も言えなかった。
「あ、ああ。聞こえているのかな?」
『No problem』
「そうか……先に皆に誤っておくよ。俺、帰れそうねぇわ」
その事に全員が驚く。
一夏が話す中でも戦闘が行なわれているが、そんな事はどうでもよかった。
ただ、一夏が帰れないと言う言葉が全員を驚かせていた。
「鈴。酢豚食べさせてくれるって約束……守れなくてごめんな」
「一夏……嘘だよね」
鈴は現実を受け入れることが出来なかった。
「セシリア。紅茶の入れ方を教えてもらおうかと思っていたんだが……無理そうだな」
「嘘をおっしゃらないでください」
セシリアも鈴と同じだった。
「ラウラ。裸で寝るのはやめろな? 秋葉やアリアがいつも怒っていたから」
「なぁ!? そんな事はどうでもいい!!」
意外な事を指摘されるラウラ。
「シャルロット。せめて子供の名前はロミオとジュリエットはやめろ」
「っちょ!? 何でそれになるの!?」
今までの雰囲気がぶち壊れるが……最後の千冬へのメッセージで回復する。
「千冬姉……いままでありがとうな」
一夏は最後に笑顔を浮かべると画面が砂嵐にまみれる。
「一夏……一夏……嘘だと言え……嘘だよな? 嘘だと言え!!」
◇
「ふう~。少しぐらいは休憩をさせてくれよ」
一夏は近くの建物に背を預けていた。
残りの太地もあと僅かになっており、あと5分もかからずにこの場は無くなる。
しかし、思念体は諦めが悪く未だに「アンジュ」と呟きながら空間を開こうとしていた。
そこを一夏は阻止しする。
「秋葉の元へは行かせねぇよ」
そして、時が来てしまった。
思念体と一夏の足場が崩れ、共に落ちる。
スラスターを起動するが、一向に上昇しない。
「こりゃあ、だめだな……なあ、白式」
『What?』
「こんな俺でがっかりしたか?」
『No. I am proud that it has met with you』
「はは。そうか……もっと、お前と飛びたかったな」
『yes』
それを最後に俺たちが覚えていたことだった。
◇
その後、臨海学校周辺の調査が行なわれ、織斑秋葉が発見される。
しかし、織斑一夏は一向に発見されることは無かった。
10年後
あの臨海学校があってから10年が経ちました。
その後、学園祭やいろいろとありましたが、毎回のように亡国機業が襲撃してくるんです。
なので、私が潰してきました。
勿論、マドカ叔母さんに仕込まれていたナノマシンを排除したうえで、しかし私のいた世界と同様に世界中を回ってしまいました。
皆さんも無事に卒業して社会人になりましたよ。
皆さんは祖国に帰ってそれぞれの道に進みました。
アリアちゃんは元の世界に帰りました。
どうやら、あちらの被害がひどかったそうだそうです。
私と言うと……
「秋葉ちゃ~~~ん!!」
「おっ! 楯無さん」
背後から飛びついて来たのは、大人びた楯無だった。
「まだ、もう終わった?」
「ええ。もう直、終わります」
お父さんが行方不明になってから、10年がたった。
学園では多くの人が悲しました。
一番にショックを受けていたのは、千冬伯母さんでした。
行方不明になってから2年ぐらいになってから、酒におぼれてしまったんで病院送りになってしまったので一段と大変でした。
更識の力を借りてでの自殺阻止。
本当に大変でした。
「そう……結局、見つからなかったね」
「……はい」
そんな時、一本の電話が鳴った。
秋葉は通話ボタンを押し、話を聞く。
「はい。秋葉です」
電話の相手は山田先生だった。
しかし、その内容に秋葉は驚きを隠せなかった。
「そ、それは……本当なんですか!? はい。はい。分かりました」
秋葉は電話を切るとすぐさま走り出す。
「どうしたの!?」
「楯無さん。実は……」
秋葉から放たれた言葉に楯無も驚く。
◇
「みなさん。おはようございます。担任の山田真耶です」
今日は4月。
天候は白い雲が見える立派な晴れ日よりだった。
「え~と。転校生? 転入生? どっちになるのかが分かりませんが、新しいお友達? 色々と複雑な事情がありますが……どうぞ」
「山田先生……丸投げはやめてくださいよ」
教室のドアが開きそこに入って来た人物に全員が驚いていた。
「やっぱり、やんなければいけまんか?」
「勿論です」
「わかりました……」
その者は……
「織斑一夏です」
10年前に行方不明になっていた本人だった。
しかし、見た目は当時のままだった。
その直後、教室のドアが開き、一人の女性教師が入って来た。
「え? 秋葉?」
秋葉は手元に持っていた出席簿を振り落す。
一夏は一瞬の出来事に身体が反応できず、そのまま叩かれる。
「いて!」
「ここでは、織斑先生です」
実は秋葉はあの後、IS学園の教師になったのだ。
「織斑先生、終わったのですね」
「はい。すみませんね」
「いえいえ。私、担任ですから」
やけにうれしそうな山田先生だった。
「さてと、お帰り。お父さん」
一夏は頭を押さえているが、秋葉の言葉に……
「おう! ただいま、秋葉」
お父さんと言う言葉で教室が騒がしくなったのは言うまでもなかった。
校舎の一角の屋上では1組の男女が見ていた。
「まったく、見つけるのに10年もかかってしまうとはな……」
「しょうがないよ……次元の狭間だもの」
黒髪の男と水色の髪の女性は秋葉と一夏のいる教室を眺めていた。
「いいのか? あいつに会わなくて?」
2人の後ろからもう1人が現れる。
「別に大丈夫さ……束さん……いや、ヒルダさん」
「おいおい。その名で呼ばないでくれよ。一夏」
「そうだね。一夏も意地悪な人ね」
「簪もかよ……」
ヒルダと呼ばれた束は一夏と簪の隣に並ぶ。
「そんで、お前らはどうするんだ?」
「そうだな……隠居生活もいいかもな」
「そうかい。そんじゃ、アリアにもよろしくな」
「自分で会いに行けよ」
「分かって言っているのか? あたしは国際指名手配されているんだぞ?」
「そう言って、未だに捕まっていないくせに」
「うふふ。そうだね」
「簪も笑うなよ……まあ、いっか」
束はそう言って姿をくらました。
「そんじゃあ、俺たちも行くか」
「うん」
「「元気でな。秋葉」」
The END