父は鈍感に加えてもう一つ、ある能力を持っていることを忘れていた。
女性とのトラブルが多い……俗に言うラッキースケベと言うやつだ。
それを思い出した頃にはもう手遅れだった。
「バグキャラにもほどがあるだろう……」
海に着陸したことで、怪我することなくすんだが、海水でISスーツは濡れてしまった。
今は5月。この時期に海水浴はマジできつい。
「とりあえず、千冬伯母さんの事だから追ってを放ってくると思うな……」
辛うじて拡張領域から物を取り出すことは可能だった。
近くの茂みでISスーツを脱ぎ、取り出したタオルで体を拭いている時、彼が現れる。
「あ……!」
ラッキースケベ、もしくはエロリストと言われてもおかしくない。
織斑一夏に見つかってしまったのだ。
もちろん私は裸だ。年頃の私にとってこれは物凄く恥ずかしかった。
父だとわかっているつもりだが、これはまずかった。
無意識にハンドガンをぶっ放し、止めに手榴弾を投げ入れる。
「へ?」
「死になさい」
小規模な爆発が起こり一夏が何故かこちらに飛んでくる。
そのまま、私にぶつかる。一夏は私の股に頭を突っ込んでいる体制だ。
「もう一変、死になさい!!」
そのまま、首を絞め気絶させて服を拝借し木の枝に蓑虫状に締め上げた。
そんなことをしている内に先ほどの爆発を聞かれてしまったため、数人こちらに向かっていた。
私はとりあえず、この場を離れ校舎の方へと逃げる。
この騒ぎで校舎は誰もいなかったのは幸いだった。
そのまま、校舎内を駆け巡りISが置かれている倉庫へと入る。
「このまま、夜桜を……」
だが、そううまくはいかないものだ。
背後にとてつもない殺気を感じ、私は上へと飛び避けた。
先ほどいた場所にはISブレイドが通りすぎる。
「そううまくいきませんね……千冬さん」
「逃げるとしたら、ここで待ち伏せする方が効率がいいのでな……織斑秋葉」
「やっぱりばれてましたか……」
夜桜の待機状態は日本刀なので通常戦闘でも使える。
秋葉は夜桜を構え、千冬もISブレイドを構える。
「すべてを話してもらうぞ!」
「お断りします。例えあなただとしても!」
そう言って秋葉は視線を鋭くし、夜桜を振りかぶり、千冬に跳びかかる。
千冬は右手に握った剣の柄に左手を添えると、横薙ぎに襲ってきた秋葉の斬撃を止めた。
が、秋葉の猛攻は止まらなかった。左から、上から、下から、その場に残像を残すような速度で剣撃を繰り出す。
「はああああああっ!!」
千冬はISなど使わず身体能力だけでISブレイドを振っている。
それは普通にありえないことだ。
秋葉はそんなモンスタースペックのバグキャラである千冬と同等の激戦を繰り広げていた。
「千冬さんって、本当に人間なんですか?」
「残念だが、人間だ」
「バグですね……」
早く逃げたいところだが、相手が相手なため時間を稼がれてしまった。
「そこまでですわ!」
ブルー・ティアーズの操縦者、セシリア・オルコットの登場により逃げ場を失ってしまったのだ。
彼女一人ならよかったのだが、その後ろには……
「は~い、そこまで」
生徒会長・更識楯無、男性操縦者・織斑一夏、数名の教員というおまけがついてしまったのだ。
「……こりゃあ、だめね。降参よ」
夜桜を鞘に納め両手を上げた。
クラス代表戦に起きた事件はここで幕を閉じた。