12の時に一度だけ千冬伯母さんに剣術を教えてもらったことがある。
もうじき50になるというのに全く勝てなかったことを今でも覚えている。
まあ、活動限界がつけられてしまったことを千冬伯母さんが一番に悔んでいた。
ちなみに未だにIS学園で働いている。担任ではなく学年主任として。
「さて、これから尋問をはじめるぞ」
「…………」
観戦ついでに私は夜桜の機能テストを兼ねてここに来たのだが、ノープラン過ぎたことに反省した。
まさか、現役の千冬伯母さんがここまでだとは思ってもいなかったのだ……。
「貴様は何者なんだ?」
「織斑秋葉」
「それは知っている。私が知りたいのは……」
「どこにも所属していないわよ……亡国機業にもね」
どうもまだ、私のことがわかっていなかった模様で、千冬伯母さんもあらゆる可能性を探していた。
らちがあかないので父と母が書いたもう一つの手紙を渡すことにした。
「そんじゃあ、ヒントをあげる」
真空パックの袋から未開封の手紙を千冬に渡す。
それを受け取った千冬は仕掛けが無いことを確認し、開封する。
中身の手紙を呼んだ千冬の表情が一瞬だが変わる。
「聞くがこれは真実なのか……?」
「真実よ」
「では、お前は……」
「改めてまして、私の名前は秋葉。織斑秋葉。この場合は初めましてだね、千冬伯母さん」
千冬は人生で初めての伯母さんと呼ばれた時だった。
◇
学園の地下にある研究室では二つのISが並んでいた。
一つは襲撃してきたゴーレムⅠ。そちらの方は解析が終了しており、山田先生が今解析しているのは秋葉の専用機。だが、解析すればするほど山田先生の顔が驚きに変わってくる。
「ありえませんわ……」
夜桜は第四世代のIS。もしこれが外に漏れれば一大事になりかねない。
幸い襲撃の時に観客にはシャッターが下りていたので、彼女のISを見た者は少ない。
「これは、連絡した方がいいですわ……」
世界初の第四世代、そしてその設計者の名前、そのすべてがありえない機体はこのあと、どんな嵐を起こすのだろうか……。
◇
「ああ、わかった。済まないな山田くん」
夜桜の解析が終わったのだろう。それを聞いた千冬の顔には呆れが出ていた。
「その感じだと夜桜の解析が終わったのですね」
「ああ、ますます状況が悪くなったがな」
「表に出せばだけどね」
「それ以前にお前は一夏に会うことすら許されないじゃないのか?」
「ああ、それは大丈夫よ。話によれば、ここは私のいた過去とは別の、平行世界の過去だから改変しても私が消えることはないみたいだから」
「そうなのか……」
「まあ、ちょうど限界が来ていたからここにお世話になるのも悪くないわね」
いくら金があっても彼女の戸籍がないのだ。
限界があるのだ。
それが、ちょうどきていたのだ。
「そうか、なら……」
「それと、後で夜桜は返してくれるよね?」
「ああ、いいだろう」
こうして、秋葉の初めての学園生活がはじまった。
◇
「ちなみに聞くが、あいつは今でもそなのか?」
「そうだね……後ろから刺されても可笑しいぐらい。鈍感だね」
「完全に障害だな」
「それは否定できない……」