ずっと、夜勤だし!
マジで無理!
ようやく、休暇がもらえたけど……
父に纏わりつく敵は多い。
結婚してもなお追いかけてくる女子がいるのだ。
日本、中国、イギリス、フランス、ドイツと世界に追われるだけで疲れるのに本当にしつこかった。
まあ、婚姻届を持ってくるだけなら良いんだが、さすがにISでの登場はお断りしたい。
食事中だろうと押しかけてくるのだから。
◇
「え~とですね。今日から新しく入る生徒を紹介します」
公式チートを超えた存在、千冬伯母さんに捕まって次の日、私は一年一組の教室の前にいます。
山田先生の挨拶から始まって、転入生?が入ることの説明に入った。
教室の中は予想通りに騒がしくなる。
女子の情報網をすり抜けての話なのだから。
「では、入ってきてください」
一同ドアの方に目を向ける。
私は山田先生の合図でドアを開けた。
この中で一番に驚いているのは4人だった。
私に直接会っている一夏、管制室で見ていた箒とセシリア、母の専属メイドであるのほほんさんだ。
「初めまして、織斑秋葉です。皆さんよろしくお願いします」
軽く一礼して、顔を上げると全員口を池にいる鯉のように口をパクパクさせていた。
普通に挨拶したつもりだったのだが?
「今、織斑って言ったよね……」
「うん。て言うことは一夏くんの関係者……?」
ちらほら小声が聴こえてくる。
「多分皆さんも気になっていると思いますが、私は織斑一夏の関係者です」
それを聞いた女子たちは一斉に一夏に目を向ける。
「なぜなら、私は織斑一夏の……」
私は笑顔で特大級の爆弾を落としてやった。
「娘ですから」
一瞬にしてクラス中が騒然となった。
『ええええええええええええーーーーーーっ!!!!!!』
「娘!? 今娘って言った!?」
「ってことは一夏くんはパパ!?」
「じゃあお母さんは……」
「四組の簪さん!?」
「えっ、嘘、簪さん高校生で子持ち……!?」
「いや、でも結婚は16歳からできるし、法律上は……」
「男の方は18からじゃん! 織斑くんアウトじゃん!」
「で、でもそれっておかしくない!? だってどう見ても私たちと同い年だよ!?」
クラスは慌ただしくなり、ついには……
「一夏っ!!」
「一夏さんっ!!」
「いちかっ!!」
箒にセシリア、そんでもって二組の鈴までもが乱入してきてしまった。
「「「どう言うことだか説明(しろ)(してくだいまし)(しなさい)!!!」」」
全員一夏に良い沿って説明を求めていた。
肝心な山田先生はあわあわしてしまって、手のつけようがなかった。
「織斑先生……」
これを沈めることができるのは彼女ぐらいだろう。
「静かにしろっ!! 凰!! お前は元のクラスに戻れ!!」
「えっ!? ちょっ、まだ話が……」
「いいな?」
「はい……」
「お前たちもだっ!!」
「「うっ……」」
箒とセシリアは大人しく引き下がる。
もちろん、他の生徒も大人しく引き下がった。
◇
昼休みになり、食堂のとある一角では途轍もない嫌な空気が出ていた。
その正体は、箒、セシリア、鈴からだった。
勿論、秋葉は気付いているが、原因の元である一夏は付いていない。
「「「…………」」」
そんな中で普通に昼食を取る秋葉は異常とも言えるが、暮らしていた環境が異常だったのでこういう事にはなれていた。
「どうしたの? 早く食べないと冷えちゃうわよ」
「そんなのはどうでもいい!」
「そうですわ!」
「つうか、あんたは何者なのよ!」
3人は同時にテーブルを叩き、立ち上がる。
「HRでも言ったでしょ? 私は織斑一夏の娘よ」
「だから……」
「なによ、これだけ答えを言っているのに解からないの?」
「なに!」
箒と鈴の頭が低能過ぎて話にもならなかった。
少し考えれば解ることなのだが……
そんな中、セシリアはあることに気付いたのだ。
「秋葉さんのお母様は日本代表候補生の方でしょうか?」
「うん。そうだよ」
「じゃあ、もしかして……」
「どう言うことだ?」
未だに解らない箒はセシリアの質問に割り込む。
鈴はセシリアの代表候補生って単語に何かを思い出していた。
「秋葉さんの顔を見て、ようやく思い出しましたのです。秋葉さんのお母様は四組の更識簪さんですわ」
「はあ? どう言うことだ」
「つまりですわ。秋葉さんは未来の一夏さんの娘と言うことですわ」
ここに来てようやく答えにたどり着いたセシリアに秋葉は拍手する。
一夏もそれを聞いてようやく理解する。
「正解。今から10年以上先になるけど、私は一夏と簪の間に生まれた正真正銘の娘よ」
「まじかよ……」
この中で一番に驚いているのは一夏だった。
16歳で子持ちになったことに驚きもあったが、それ以上に驚きは未来から娘が来たことだった。
「ちなみに言っておくけど、ここの軸は私の居た軸の過去じゃないから」
軽く補足を加え、その理由を話す。
そんな事をしている内に休み時間は終わってしまった。
◇
授業は普通に進められ、放課後になる。
丁度その時、織斑先生から寮の鍵を渡された。
荷物は夜桜からまだ下ろしていない。
「荷物を出さないと、いけないね……」
早速、渡された寮の部屋に向かった……1025室へと
「はぁ……」
織斑一夏は今日は特に疲れていた。
クラス代表が終わったことにより、コーチがまた一人加わったのだ。
「全く解らんぞ……」
箒は擬音、セシリアは理論、鈴は感、っと説明になっていなかったのだ。
こんなの上達するかのかよと言いたい位に全く解らない講義に出された上に、理解しないと怒られると言うおまけつきなのだ。
その為、注意力が全くなかったのだ。
「さっさと、シャワーを浴びて寝よ」
ドアを開けると最初に目に入ったのは、タオル一枚でシャワー上がりの秋葉だった。
「「…………」」
お互いに無言になってしまい、いち早く行動したのは秋葉だった。
一夏を回れ右させ、部屋の外へと出した。
一夏はまたやってしまったっとドアの前にしゃがみ手で顔を隠した。
前回は箒の時だった。その後は木刀で攻撃されたが、今回は何故か俺の部屋に秋葉がいたのだ。だけど、なぜか無言で外に出されたのだ。
数分後、ドアが開きジャージ姿の秋葉が出てくる。
「もういいよ……」
「お、おう……」
秋葉は怒っておらず、とりあえず一夏は中に入る。
部屋には数箱の段ボールが置かれていた。
「えーと……これは?」
「先にシャワーを浴びてもらえる? その後に答えてあげるから」
そう言われ、一夏はシャワーを浴びた。
出て来る頃には秋葉は一冊の大きな本を見ていた。
「それで、なんで俺の部屋にいたのだ?」
「今日からここが私の部屋になったからよ」
「へ?」
「つまり、同室になったのよ」
箒の次は実の娘。
千冬姉は一体何を考えているだ!?
「とう言う訳で、よろしくね」
「は~あ……」
「それとは、別で色々と聞きたいでしょ? 未来のあなたの事を」
そう言って持っていた本を渡す。
中には写真が入っていた。
「アルバム?」
「ええ、そうよ。私の世界のアルバムよ」
一夏はペラペラとゆっくりと見る。
丁度真ん中あたりで、一枚だけの写真が貼られていた。
「もしかして、これって……」
「ん? ああ、これは私の誕生の写真だね」
病室のベットにいる母と私。
そこからは色んな所の写真だった。
最後まで見終えたところで、一夏は秋葉に声を掛けようとしたが……
「寝てしまったか……」
秋葉はすやすやと、可愛い寝顔を見せながら寝ていた。
一夏は風を引かないようにと布団をかけて、自分も寝ることにした。