気持ち良いベッド。
家にあるベッドとは違う。
確かめるために目を開けた。
「…………。」
白い白い病室と静かな空。
「おはよう」
声が聞こえた。私の隣の椅子に座っている少年がいた。なんだか懐かしい気がして笑顔が溢れる。
「おはよう!」
私はなるべく大きな声で挨拶をした。
君は少しだけ微笑んだ。
「どうしたの?急に、こんなところにお見舞いって。」
「…久しぶりに会いたくなったんだ」
君は少し寂しそうな顔をした。君はオレンジ色のジャージを着て長ズボンを履いている。
君は近くにあった窓を開けた。風が吹いて私の2つ結びの髪の毛が揺れた。
「私なんで此処にいるの?」
「えーとね、君は昨日倒れちゃったんだ。だからこの病院に来たんだ」
倒れちゃったんだ。
「ごめんね、迷惑かけちゃって。」
「ううん。大丈夫。僕もこの病院に通っているから。」
空は晴れていて、風が気持ちいい。
病室のドアが開いた。
「行きましょう。」
入ってきた人が囁いた。この人は確か、田中のおばさん。そういえば私は、、
「夢、行こう。」
そう、私の名前は夢だ。
君は、悠。
私は何処に行くんだろう。足は前には進まなかったけど君が一緒に居てくれるならどんなに辛いことだって大丈夫な気がした。
私は服に着替えた。肩が見える服とスカート。2つ結びの髪の毛にリボンを付けた。
田中のおばさんは私を何処かに連れていった。
「ここからは貴方だけしか行けないの。」
おばさんは少し苦笑いをした。君も「頑張って」っていってたし、頑張らなくちゃ。少し張り切って、前に進んだ。結構短い廊下を歩いた。少し先には大きな部屋のドアがあった。
「失礼しますー…」
「はい。こんにちは。」
中にはお医者さんみたいなひとがいた。女の人ともう一人の男の人。田中のおばさんの言う通りにして来たけど大丈夫かなぁ。
「ここ、なんですか?」
「ここは君を治す場所だよ。」
私を治す?
「昨日もその前も来たはずだよ。」
そうだっけ?
「すいません。覚えていません。」
「大丈夫。毎日のことだからね。」
なんだか申し訳ない気持ちになった。毎日来て、覚えてないなんて。
「治療を始めるよ。」
え?治療?
「此処にはね、沢山の人形とかおもちゃがあるんだよ。なんでもあるよ。ハサミとか危ないものがあるから注意してね。」
「そんなことしてどうするの?」
「好きなようにしていいよ。君が自由にアレンジしていい。人形と遊んでもいいし絵を描いてもいい。ひどいことをしてもいいしなんでもいいんだ。思いついた事をすぐにしてみて。何も考えなくていいんだ。それを見てふと思いついたことだけをやる。できるかい?」
「あ、、はい?」
よくわからないまま先生(先生みたいな人。次からそう呼ぶことにしよう)は、机の上に色んなものを置いていった。
人形もおもちゃも布も絆創膏もハサミもセロハンテープも、何でもある。
「ほら、好きなようにしていいよ。」
私は机に近づいた。女の子の人形を2つ手に取った。あと男の子の人形も2つも手に取った。4つ並べた。女の子は両方髪の毛が短かった。私は紙に鉛筆で三つ編みを描いた。もうひとつは私と同じ2つ結びとリボンを付けた絵を書いた。一方には三つ編みでもうひとつは2つ結びの髪の毛をセロハンテープでくっつけた。男の子のひとつには耳にピンを二個つけた。
何だか笑顔になって、4つの人形を眺めていた。
だけど、急に胸が苦しくなった。
三つ編みの子を手に取った。その子に包帯を沢山巻いた。その後に縄を首に巻いた。その後には上から落とした。そう、これだ。これだよ。
「あはははははは」
これで君はおわったんだ。後の違う人形に水をかけた。泣いた。泣いて泣いて大泣きして死にたいくらいに傷ついた。痛くて痛くて。辛くて、胸が張り裂けそうになって。
「もう、やめてぇえええ!!」
机の上にあったものを投げた。頭の中がわからなくなって狂ったように色んなものをなげた。何も聞こえなかった。
私の肩に手の感触があった。振り返ると君がいた。なんだか少しだけ落ちついて私はまた眠りに落ちた。
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