艦娘たちと共に ~海洋戦争戦闘録~   作:ヨシ ヒロ

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6 渚の火網

 「見ろよ、すげえ景色だな…。」

 

 末吉が言ったが、既に陣地の中の隊員は目の前で繰り広げられる戦闘に釘付けになっていた。

 あちこちでドコンッドコンと花火大会か、嵐の時の雷のような爆音が途切れる事なく続いていた。

 控え目に言って、地獄のような光景だった。いや、光景だけではない。その音も凄まじいものだった。

 身体の芯から震わされるような砲声がひっきりなしに続き、トトトトッという音と共に曳光弾が煌めき、時々魚雷が命中したのか、爆音と共に敵が木っ端微塵になった。

 

「…おい、あれ!!」

 その時、1発の砲弾がこちら側に向かって飛んでくるのが見えた。

 砲弾は彼らの左側に飛んでいった。そして視界から消えたと思った瞬間、地を揺るがす大爆発が起こったのだ。

 

 

 「うゎ、眩しいっぽい!」

 夕立は突然の閃光に思わず腕で光を遮ろうとした。

 その一瞬の隙をついて駆逐ロ級が射撃体勢を整えていた。

 しかしロ級が砲弾を撃ち込む事は叶わなかった。

 

「おっと危ない。」

 割って入ったのは秋雲だ。素早く砲身と目線を一致させると、次の瞬間には10cm砲弾がロ級を吹き飛ばしていた。

 

「…危なかったっぽい。ありがとうっぽい!」

「そこは“ぽい”じゃない方が正直嬉しかったんだけど…。」

「お喋りしてる場合じゃないよ!!」

 

 川内が二人をどやした。島の状況が気になって仕方ないが、今はそれどころではない。

 あらゆる場所で銃弾と砲弾が飛び交い、海中を魚雷が泳ぎ回る、ヴィンテージ物の鉄火場と化していた。

 爆風のせいか、波がうねって足元もおぼつかない。曳光弾のように砲弾も煌めきながら飛び交った。目がチカチカしておかしくなりそうだった。

 

 「浜風さん、野分さん、私に続いて下さい!!」

「「了解。」」

 神通、浜風、野分の3人は二人のリ級と対峙していた。火力面から見れば神通達に不利な戦いだ。

 

「どうします?神通さん?何か指示を…。」

 野分が前を行く神通に尋ねた。きっと何かしらの良策、奇策を期待しての言だったが…。

 

「お二人の魚雷の残りは?」

「はい?」

 物凄い騒音の中だからすぐそばの者の声も容易に聞こえない。終いには神通は野分と浜風の肩を掴み、二人の耳元で叫んだ。

「残りの魚雷は!!?」

 

「はい、私はまだ半分は残ってます。」

「私も殆ど使っていないので、雷撃ならば十分に…。」

 野分、浜風はそう言った。神通はそれだけ確認すると二人に背を向け、リ級がいる方向に目を向けた。

 

「分かりました。では、このまま全速力で突撃します。」

「はい?」

「時間がありません。行きますよ。」

 

 艦にしろ人にしろ、動きながら射撃をおこない、標的に命中させるのは至難の技だ。

 ましてや高度な電子兵装も持ち合わせていない状況での夜戦の最中ならばもってのほか。

 

(それならば…必中できる距離まで肉薄するのみ!!)

 

 神通は目標を捉えた。暗闇にうっすらとリ級の姿が浮かんでいる。

 向こうも気付いたようで、主砲から副砲から機銃まで、あらゆる火器で猛射を浴びせてきた。

 

 しかし、彼女達も不意の大爆発に気を取られていたのだろうか、神通達を止めるには気付くのに遅すぎた。

 神通が右手を顔の横に挙げ、左右に振った。“左右に展開”の合図だ。

 野分と浜風は一瞬目を合わせると、神通の両隣に前進した。

 

「全周雷撃用意。」

 

 神通は扇形に前方全てに満遍なく魚雷をばらまくように指示した。これならどのようにかわそうとしても魚雷の命中が期待できる。

 欠点としては相手との距離があればある程、ばらまかれた魚雷同士の間隔が開いてしまう事がある。

 しかし、この時にはそんな事を考えるのが無用な程の至近距離まで神通達は肉薄していた。

 

 「魚雷発射用意…!」

 神通は何かを察知したのか、野分と浜風の頭を両手で掴むと、グイッと下げさせた。

 野分と浜風が神通に何かを言う暇もなく重巡の砲弾が彼女達を掠めた。間一髪だ。

 

「…あっ、ありがとうござ…。」

「発射!!」

 

 浜風のお礼の言葉は神通の号令によってお預けになった。

 不意の魚雷の発射命令だったが、日頃の猛特訓の賜物か、恐ろしい事に動揺するより先に反射的に魚雷を放っていた。

 魚雷は狙い通りに満遍なく放たれた。横いっぱいに放射状に進み、そして命中。二つの標的はあっという間に巨大な水柱に消えた。

 水柱が静まるか静まらないかのタイミングで、今度は爆発と共に火柱が立ち上がった。粉々に粉砕された哀れな深海棲艦の破片が飛び散り、海面を泡立てた。

 

 

 「本部小隊あきつ丸、入りまぁす!!」

 そう叫ぶように言うと、あきつ丸がライフルを抱えたまま、司令部のある地下室に崩れるように飛び込んで来た。

 

「どうだったあきつ丸。第2中隊は…。」

「はっ!報告します!!」

 あきつ丸は崩れた姿勢をピンっと直し、同時にブーツをカッ!っとぶつけて音を鳴らして応えた。

 

「2中隊、中隊長は沿岸部の砲台の爆発に巻き込まれ死亡。ほか、隊員にも死傷者多く、特に2中隊第1小隊の消耗は甚大。未だ散発的ながら海上からの砲撃は続き、予断は許しません!」

 

 大河内は顔をしかめた。

「そうか…隊員にも動揺が広がっているか?」

「はっ、暗闇の中とあって多少混乱は広がっています。中隊長はとりあえずは代理の者に代わりました。」

「代理って誰だ?」

「宇垣殿であります。」

「宇垣か…あいつは戦闘は初めてだからな。どうりで連絡が遅い訳だ。」

「現場は混乱しております。どうにかして指揮系統をまとめようとしているのかと。」

「ふぅむ…。」

 大河内はため息のような相槌のような返事をした。

 

「…今来られたら不味いな。あきつ丸!」

「はっ!!」

「小銃に実包を装填。拳銃も弾倉は入れておけ。」

 大河内はそう言うと、自らもサイドアームのM1911に弾倉を差し、トンプソンM1A1サブマシンガンを手に取った。

 あきつ丸もM1903ライフルに7.62mm弾を装填する。5発で1組の実包がまとめてあるクリップをライフルのボルトをオープンさせて機関部に差し、親指で上から押して装填、カチャンッとボルトを前進させて完了だ。

 

「ちょっと見てきます、海将。」

「うん。行ってきなさい。ところで、君の言う“ちょっと”と言うのは…」

「それでは行って参ります!!海将閣下!!」

 あきつが本多の言葉を遮り、大河内はその間にスタスタと行ってしまった。

 

 司令部には本多と大淀だけがポツンと残された。

「…どれ位かかるのかな…。」

 

 

 陸自の隊員達はひたすら狭いタコツボや塹壕の中で待っていた。何故なら、深海棲艦の砲撃は散発的ながらずっと続いていたからだ。

 5inch砲弾が嫌な唸り声をあげて飛んでくる。上からも、横からも。だから彼らは穴の中で縮こまっている他には何も出来ない。

 島の西部の海岸付近は、巻き上げられた土埃と砲弾の硝煙の臭いに包まれていた。空気を吸うだけで火薬の味が舌に染みるようにも感じられた。

 

「戦闘になる前に埋められちまいそうだな。」

「ああ…喉乾いてきたし。しんどいしんどい…。」

 タコツボの穴の中で砂を被った三好と朝倉が喋っていた。かれこれ何時間このままだろうか。穴の外の状況も、物凄い砲撃戦が行われているであろう事以外は殆ど分からなかった。

 

「艦娘達が撃ち合いしてんのかなぁ。三曹はどう思います?」

 三好は一緒にいた浅井三曹に話を振った。三曹はずっと、頭を少しだけ穴から出して外の様子をときたま伺っていた。

「…さっきから照明弾がずっと上がってる。ま、やりあってんだろな。」

「こっちに来ますかね?」

「さぁね、俺に聞かれても何とも言えんな。しかし…」

「何です?」

「嫌な予感ならするな。」

 三曹はM3“グリースガン”をしっかりと握りしめていた。

 左手を弾倉の付け根に、右手はグリップを握りしめ、眉間には深ーいシワが出来ていた。

 

 その時、浅井三曹の顔がパッと青白い光りに照らされた。

 

「また照明弾っすね。」

「…いや、三好。正面から上がったのはこれが初めてだ!」

 珍しく三曹の声が上ずっているように聞こえた。

 

「はい?」

「俺達は西に向かって陣取ってる。北と南の艦娘達が交戦してる方向からはさっきからずっと上がってるが、西から上がるのは初めてだ!…こりゃ来るぞ!!」

 

 それを聞き、三好も朝倉もM1カービンを手に取り、コッキングをして弾丸を装填した。

 恐る恐る三好達は顔を穴から出した。照明弾が合図だったのか、敵の砲弾はもう1発も飛んでこなかった。不気味だ。不自然に静かだ。

 沖の方からは艦娘達の砲撃の音が聞こえてくる。花火大会の花火の音に聞こえる「ボンッボンッ」という音と、雷のように聞こえる「ドガァンッ」という音との二種類が聞き分けられた。

 隣近所の奴らの息遣いも耳を澄ませば聞こえてくる。誰かが「ガッチャン」と大きな音を立てた。重機関銃の弾を装填したのだろう。

 すると、前方の波打ち際に奇妙なものが表れた。と言うより、浮上した。

 

「イ、イ級…?」

 

 暗くてよく見えないが、照明弾の灯りに照らされたそれは、駆逐イ級に見えた。

 

「おいおいおい、何が始まるんだ?」

「…」

 その駆逐イ級のようなものは、次から次へと浮上して、波打ち際に乗り上げた。その様子は、まるで打ち上げられたクジラか…

「上陸用の舟艇みたいな動きだな。」

 三曹が呟いた。

「そういえば、戦争ものでこんな感じで…。」

「なあおい朝倉。」

「ん?」

「撃ってみるか?」

 

 イ級のようなものは打ち上げられてから暫くは動きがなかった。いや、正確にはそれほどでもなかったかもしれないが、三好達にはとてつもなく長く感じた。

 

「おいおい、冗談じゃ…。」

「おい!!」

 朝倉が三好の顔を見て話そうとすると、浅井三曹が呼び止めた。朝倉は反射的に前を見た。

 

「…ヤバくないか?」

 目の前に打ち上げられたイ級のようなものが一斉に口を開いた。まさにその時だ。

 幾つかのイ級が、開いた口の中から砲撃を始めた。再び周囲は轟音が包まれた。

 そして、幾つかの別のイ級の中からは、何かが一気に溢れるように出てきた。それは、恐るべき深海からの刺客…深海棲艦達の上陸部隊だった。

 

「撃ってきたぞぉ!!撃ち返せ!!撃て撃て撃てぇ!!」

 自衛隊も一斉に反撃を開始した。

 

 M1919軽機関銃は軽快な音を出しながら7.62mm弾をシャワーのように浴びせかけた。ベルトリンクで連結された弾丸を四角い機関部が次々と飲み込み、反対側に空の薬莢とベルトリンクの破片を吐き出し、薬莢の山があっという間に出来上がった。

 別の場所ではM2重機関銃が火を吹いた。

 撃ち出すのは、1発1発が手のひらよりも大きい12.7mm“50口径”弾だ。「ボボボボボボッ!!」と、規格外の音をあげながら次々と弾を撃ちだした。

 50口径弾の破壊力は凄まじかった。

 深海棲艦の上陸部隊はヒトの形をしていた。人類側が、リ級やチ級と呼んでいる個体達だ。 

 それらが次々と浜辺へ展開して行こうとしたが、M2はそれらを文字通り“薙ぎ払った”。

 射手がM2の銃口を右から左に撃ちながら移動させると、その射線上にいた深海棲艦達は、まるで見えない大鎌で刈り取られるように身体をズタズタに引き裂かれた。

 

 深海棲艦達もやられっぱなしではない。

 浜に乗り上げたイ級は容赦なく5inch砲を撃ってきた。直撃すれば塹壕やタコツボを中にいた隊員ごと吹き飛ばした。

 しかし、このイ級の砲撃は正確性は欠いた。事前に作った偽物の砲台に向かって砲撃をしていたのだ。

 実はこの戦闘の前に、隊員達はいくつか偽物の砲台を作っておいた。これは実に単純なもので、ヤシの木から葉っぱを取り払ったものを土嚢の山の上にポンと置いたものだけだ。しかし、思いの外効果は抜群なようだった。

 そして銃撃を避ける為に身体を砂浜にくっ付け、匍匐前進で彼女達は迫ってきた。

 彼女達も機関銃を持っているようで、匍匐前進する仲間を援護する為に軽機関銃で援護射撃を始めた。

 

「あいつらも機関銃持ってるのかよ!!」

 三好がM1カービンを撃ちながら叫んだ。

 

「たまげたもんだよなぁ!!いいご時世だ!!」

 朝倉もM1カービンを撃ちながら応えた。

 こんな混沌と爆音の最中では、いつも通りに射撃をするのは難しい。

 

 時々タコツボの淵に積んである土嚢が「パスッパスッ」と音を立てた。相手の機関銃の弾丸が当たっているのだ。嫌な音だ。たまにその着弾した場所から焦げ臭い臭いがした。驚くことに深海棲艦達は曳光弾を撃ってきているのだ。

 そんな周りの状況が彼らをはやし立てた。無我夢中で引き金を引いた。

 

「おい、少し抑えろ。無駄弾が多い。」

 こんな中でも三曹は嫌に冷静だ。見てみると、彼の射撃の仕方も驚くほど落ち着いていた。

 彼の撃っているM3グリースガンはフルオートでしか撃てない。三好達のM1カービンのように狙って撃つのが難しい銃なのだ。

 しかし三曹は、この銃を見事に使いこなしていた。

 「タタタッ。タタタッ。タタタッ。」というように、引き金を絞って、3発づつ弾を撃っていた。

 

 島の西部の渚は凄まじい銃火と砲火に包まれた。

 曳光弾が四方八方からあらゆる方向へ飛び交った。爆発が次から次へと巻き起こり、もはや何が何の音だか聞き分けられない。巻き上げられる砂や海水が、隊員達の目に染みた。潮の臭いと硝煙の臭いがごっちゃになった嫌な臭いが鼻を突いた。

 

 

 「おお…凄いな。小沢、状況はどんなだ?」

 臨時の中隊長を任された宇垣二尉が双眼鏡で外の様子を見ながら言った。

「何とか持ちこたえてますが、敵の火力も中々のものです。こちらも火力がもっと必用です。」

 それを聞いた宇垣は一端目を瞑って独り言を言い始めた。

 

「よし…落ち着け、落ち着け、俺。大丈夫だ、出来る出来る…。よし!小沢!!」

「はい!」

「迫撃砲小隊に砲撃をさせろ!」

「了解。」

 

――迫撃砲小隊、直ちに砲撃を開始しろ。

――了解。

 

 「よぅし、迫撃砲小隊、砲撃開始!!」

 迫撃砲小隊の小隊長は石上三尉だ。彼の元にいる射撃分隊が普通科の隊員達に貴重な火力を提供する。

 

「もう射撃諸元はばっちり測ってあるからな!遠慮せずに撃ちまくれ!!」

 石上は隊員達を鼓舞した。

 

「半装填!!」

 一人の隊員が砲弾を迫撃砲の砲口に少し入れる。

「半装填、良し!!」

「撃て!!」

 その声を合図に砲弾は迫撃砲の中に滑り落ち、底にある撃針によって雷管に点火し、空中に飛び出した。

 迫撃砲の81mm砲弾は大きく湾曲した放物線を描きながら普通科の隊員達の頭の上を飛び越え、次から次へと渚に着弾、炸裂した。

 

 「迫撃砲か!!」

穴の中で三好が叫んだ。

「嬉しいね、恵みの雨だ。」

 朝倉も久し振りに表情を少し明るくした。

 迫撃砲の砲弾は次々と砂浜に爆発を巻き起こした。いくつもの爆発が次々と同時に、そして連続して起こる。それはあまりにも絶え間なく起こるものだから、一つの轟音の塊にも聞こえた。

 

 迫撃砲の射撃は普通科の隊員の協力なサポーターだ。

 小型軽量でフットワークの軽い迫撃砲は、普通科の隊員のそばに常に寄り添うように展開している。

 そして迫撃砲弾は炸薬の量がとても多く、更に凄まじい速射が出来る。重さが何トンもある榴弾砲を上回る豊富な火力を、隊員達が手で持って移動出来るほど軽い迫撃砲が提供してくれるのだ。

 例えば、今隊員が両手を使って迫撃砲の砲身に滑り落としている81mm砲弾は、今まさに波打ち際にいる、巨大なイ級が放っている5inch砲弾に匹敵する威力がある。

 それほどの威力のある砲弾を3~5秒に1発ものペースで、しかも幾つもの迫撃砲が一斉に撃ち込むのだ。そんな猛攻の前に、深海棲艦達がただで済む訳がなかった。

 

 

 「半装填!!」

「半装填、良し!!」

「撃て!!」

 このような掛け声と共にテンポ良く迫撃砲が火を吹く。陣地を越えた渚の方からは、この世のものとは思えないような音が続いていた。

 その迫撃砲のすぐ脇で、大河内とあきつ丸が無線で宇垣と交信をしていた。

 

――今どんな状況だ、宇垣。

――敵戦闘員が上陸、ただいま交戦中!!

――そんな事は分かってる!!他に具体的に!!

――…えー、激しい攻撃を受けています。しかし、状況は…よく分かりません…。

――分からない?お前、今どこにいるんだ!!

――塹壕の中です。

――お前以上に分かる奴がいるか!!

 

 大河内は普段では考えられないほど声を荒げていた。

 

「もういい!…あきつ丸!!」

「はっ!!」

「俺は宇垣の所に行ってくる。お前は俺の代わりに1個小隊をもって右翼側の増援に向かえ。」

「はっ!右翼側でありますか。」

「そうだ、右翼側が一番防御体勢が危うい。戦闘前に色々あったからな。」

「はっ!!了解いたしました!!」

 

 大河内の懸念通り、右翼側の陣地は実際軽い混乱状態の中にあった。

 戦闘の直前に隣接する砲台に敵の放った砲弾が直撃、誘爆を起こし、隊長クラスの自衛官が相次いで死傷。隊員達にも同様が拡がっていた。

 

「じゃあ、行ってくる。あとは頼んだぞ。」

 そう言うと、大河内は3人ほどの隊員と共に闇の奥に消えた。

 

「はっ!では!!…総員集まれ!!」

 あきつ丸の元に50人ほどの隊員達が集まった。

「これより、このあきつ丸が、大隊長殿に代わって指揮を執る!…このあきつ丸が発砲を許可する!!実包を装填せよ!!」

 

 そう言うと共に、隊員達は一斉にコッキングレバーを引いた。これで薬室に弾丸が装填された。いつでも発砲が出来る状態だ。

 ずいぶんと可愛い小隊長なものだ。そう思った隊員も少なくなかった。しかし、そう能天気な事を思っている暇もなかった。

 

「今回の戦闘では敵との接近戦が予想される。よって、総員、着剣せよ!!」

 

 一瞬どよめきが拡がったが、命令は命令だ。

 銃剣を装着したあきつ丸と隊員達も、暗闇の中に消えて行った。しかし、その暗闇の更に先に目を向けると、そこは無数の閃光、炎、轟音が入り交じった修羅場となっていた。

 

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