そして安定の低クオリティ。
すべてはまどろみの中。
この記憶もこの体も、
本来あるべきじゃない偽りの紛い物。
だからまわりを狂わせ、不幸にする。
だがそれでも、
それでも生きたい。
どこかにきっと自分の居場所があると信じて……。
目を覚ます。
カーテンから漏れる強い光に耐えきれずまた目を閉じる。
眠い……もっかい寝よ。
…。
……。
いや嘘ですよ?ちゃんと起きますよ?
だからそんな目で見ないで!!興奮しちゃう!!
失礼。嘘です。ごめんなさい。
まあ冗談はさておきベットから抜け出す。
布団の魔力ってすごいよね。
中にブラックホールでもあるみたい……。
あっそうそう。今俺は25歳。あと4年で前世をこすぜ!!
この6年間は凄かった。
主に高槻先生が……。
最初は殺されるかと思って全力で土下座の体勢に入ろうとしたが、そんなことはなくただあのときの約束を果たしに来ただけだったらしい。ええ子や…。
それから俺は顔を洗い、朝食?というかもう昼食を食べて支度をし家を出る。
ある喫茶店に向かった。
今日は高槻先生との打ち合わせなのさ!
喫茶店に入るともうすでに彼女はいた。
こちらに気付くと
「遅いじゃないか!塩野くん」
などといいながら、早く席に着けと促すように机を叩く。
いや行儀悪いからやめなさい。
「あれ?今日の予定してた時間って1時ですよね?」
時計を確認する。
12時50分。
10分前行動を心がけている俺にぬかりはなかった!!
「うん?そうだけど?私が早く来ただけ」
じゃあ大丈夫じゃん……。
「それはお待たせしてすいません」
6年も担当をやって来たんだ、そろそろこの人の横暴にももうなれた!!
自分が悪くなくても謝る、それが大人のたしなみさ!
「ほうほう。つまり君を待ってた時間に飲んだコーヒー五杯分の料金を要求しても良ろしいという事だね?塩野くん」
などとおどけたように笑いながらそう言ってくる。
なん…だと!?
俺の大人の対応によって築かれた俺優位な状況(なってません)が覆されただと!?
高槻泉、恐ろしい子…。
「はぁ。わかりましたよ。どうぞお好きなように」
そういうと彼女はガッツポーズをして
「店員さ~んコーヒーもう一杯追加で」
なんてのたまいやがった。
いや追加注文まで奢るとはいってないんすけど……。
つーかどんだけ飲むねん。
打ち合わせは何事もなく終わった。
「それでは半月後のサイン会のときはよろしくお願いします」
淡々と仕事を終わらせ帰ろうとすると、不意に彼女に声をかけられる。
「最近なにかあった?」
「ッ!?いや気のせいですよ」
「そう。なら良いけど」
じゃあね。といって去っていく。
ホントに毎度毎度、彼女には驚かされる。
こうも勘が鋭いと一種の超能力かなんかかと思ってしまう。
そう。最近原作が始まろうとしている。
あの悲劇の物語が……。
それから2日後二人の学生が工事現場で鉄骨の落下事故にあったとニュースで報道された。
サイン会の日。
夕方、サイン会も無事終わりやっと一息着けたところで高槻先生はこちらに向かってくる。
「今日のサイン会、一時間半も時間押しちゃいましたね」
「次からはオシャベラーと読んでくれたまえ」
「はぁ。スケジュール組み直す身にもなってくださいよ……」
なんて愚痴をこぼしながらビルを出る。
するとこちらを少しはなれたところから見ている少年を見つける。
黒髪で細身の左目に眼帯をつけている少年だ。
その顔色はとても悪い。
「今日はお疲れ様でした。それでは失礼します」
と一応高槻先生にいってから彼のほうに近付く。
「どうかしましたか?」
「い、いえ。もうサイン会は終わったんですか?」
「残念ながら本日はもう……」
「そうですか。さすがに終わってたか……」
そう言って帰ろうとする少年を引き止める。
「ひとつだけアドバイスをしましょう」
少年は困惑の表情を浮かべながらこちらを見る。
「もう少し視野を広く持ちなさい。そうすれば思わぬところに自分を助けてくれる人がいるかもしれない」
「どうしてそんなことを僕に?」
「とても悩んでいるようでしたので助言をと思いまして。どんなにつらくてもあなたを助け、支えてくれる人は絶対にいる」
それを忘れないでくださいね。
そう言ってその場をあとにした。
さっきの少年は言わずもがな金木研くんだ。
ここで疑問に思う人も多いだろう。
なぜ嘉納の居場所と目的を知っている俺は金木くんを助けなかったのかと。
俺が思うにこの東京喰種という世界は金木研という人物が喰種と人間、二つの環境を知ることによってこの世界の悲劇を救う。
そういう世界だと思うんだよね。
だから金木くんは隻眼になるべきだと思いました。
というのは建前で実際は嘉納先生が怖くて近付けませんでした。
そんな罪悪感にとらわれ彼にアドバイスをしようと思った次第です。はい。
すまぬなカネキ。強く生きよ。
お前なら頑張れるさ。
その夜、コンビニでデザートを買おうと家を出て、今はその帰りだ。
プリンを買いました。プッチンプリンです。
おいしよねあれ。
そうして帰り道は深夜ということもあって人気が全くない。
なんかでそうで怖い。
そんなことを思いながら歩いていると、突然前から何かの塊のようなものが飛んできた。
咄嗟に体質を抑えて、喰種となりその身体能力で横によける。
「誰?」
答えない。
そう。そっちがその気なら無理やり吐かせてやる。
俺は喰種の聴覚を使って相手の息づかいを察知しそこに迷わず突っ込む。
そして再び体質を元に戻す。
すると俺の半径一メートル以内に入った敵が膝をつく。
やっぱり喰種か。
そいつの目は隻眼だった。
大方嘉納の差し金だろう、前にも何回かあった。
どうやらあいつは俺を襲わせることによって何かしらの実験をしているようだ。
俺の体質でも解明するきなんだろうか?
鞄から拳銃形のQバレットをとりだしそいつに銃口を向ける。
慣れた手付きで引き金を引いた……。
数日後、CCG本局。
「篠原さん」
そう言って話しかけてくる彼は、私の昔の教え子であり今期待の新人である亜門鋼太郎だ。
「聞きましたか?また出たそうですよ二十区で"プレゼンス"が」
プレゼンスまたの名を塩野特等の亡霊とも呼ばれている十年前ほどからいるといわれている喰種を狩るものの名称だ。
なぜ塩野特等の亡霊なんて呼ばれているかというとそれはやつの殺し方に由来する。
塩野特等は鎖形のクインケを使って相手を拘束してから額に自分専用に造ったQバレットを撃ち込む。そうやって喰種を狩っていた。
プレゼンスも同じように無抵抗になった喰種の額にQバレットを撃ち込む。驚くべきはその銃弾が他ならない塩野特等のQバレットと同じだったことだ。それにやつは喰種といっても隻眼しか狩らない。それも塩野特等が隻眼の喰種によって殺された数週間後からだ。本局の局員たちはそれを隻眼に殺された塩野特等が亡霊となって隻眼を殺してまわっていると噂している。
「プレゼンス……奴は味方なのでしょうか?」
「もしかすると隻眼に恨みを持つ喰種が塩野特等のQバレットを拾って殺しまくってるのかも知れないよ?」
「それも含めて確かめてきます」
「そうか亜門は二十区に行くんだったな」
「はい!明日から向かわせていただきます。真戸さんと一緒に」
「頑張ってきなよ」
「はい!!」
それにしても隻眼の喰種がこの10年6体も死体となって発見された。
極めて希少と言われている隻眼がこんなにいるもんなんかね?
そんなことを思いながら亜門の背中を見送った。
次、投稿するのはテスト終わってからになるのでまた遅くなりますがこれからもよろしくお願いします!!