集中力を高める。
精神を落ち着かせ、風の音に耳をかたむける。
俺は今、この草木と一体化している。
そうだ。俺はもう人間ではない。
この豊かな自然の一部となったのだ。
東京都第二十区。
そこには看板に"あんていく"と書かれた一軒の喫茶店がある。
その向かいの公園の草木が生い茂った部分に、その喫茶店を覗いている、明らかに不審者な一人の白髪の男性がいた。というか俺だった。
…。
……。
い、一応言い訳させていただくとこれは断じて俺の趣味ではない。そう、断じてだ。
まあこれ必要なことだしぃ?やらなきゃ俺の人生詰むしぃ?
これは決して如何わしいことじゃありません!!
これはあんていくをはりこみ(ストーカーではない)をすることによって原作の進行状況を確認しているのさ!!
カネキくんがここで働いてたらもう西尾先輩事件は終わってるってことだ。
まああのサイン会から数日たってるし多分終わってるだろうけどね。
え?なんで店に入って確認しないのかって?
もしここであんていくという名の喰種の巣窟に入って万が一にも他の喰種どもに目をつけられるのは得策ではない……。
べ、別に怖がってなんかないんだからね!!
まあそこらへんの喰種くらいならこの体質あるしパパッと撃退出来るからいいけど、もしそれでCCGに見つかって変に噂されてめをつけられたらたまんない。(注:もうつけられてます)
つーかはよカネキくん出てきて。
いくら春っていってもさすがに夜は寒い。
あ、あと最近めっちゃ重大なことに気付きました。
俺のこの体質、喰種には効くんだけどクインケには効かないみたいなんだよね。
だってほら体質抑えてないのに普通にQバレットぶっぱなせてたでしょ?
多分この体質ほんとにCRcガスの人間版っぽい。
あれもクインケに効果あんまないから。
ここで白髪ジジイに文句追加。
どうせ特典くれるんなら万能チートくれよ……。
というわけで俺の今後の目標。
捜査官は全無視もしくは出会ったら即退散でいこうと思う。
まあそんな目標、意味ないと思うけど。
「あの、なんか
え?
そんなことを考えていたらいきなり横から声をかけられた。
一瞬びっくりして横を向く。
そこには黒髪でショートカット、前髪で片目が隠れている少女、霧島董香がたっていた。
「お先に失礼します。お疲れ様でした」
そう私は店長に一言挨拶する。
「お疲れ様、トーカちゃん」
と、店長が返してきたので一礼して店を出る。
あぁ~終わった。今日は一段と疲れた。
なんか最近、客がナンパまがいのことをしてくるのが増えた気がする。
それもおっさんが断トツで多い。二十区にはロリコンしかいないのだろうか。
それに一昨日からカネキという奴があんていくで働きだした。
なんかなよなよしててムカつく。
でも誰かににてる気がするんだよな…。
そんなことを考えていると向かいに明らかに不審者らしき男があんていくをずっと見ていた。
一瞬ハトかと思いすこし警戒しながら近づく。
考え事でもしているのだろうか。
まったくこちらに気づかない。
そうして彼の真横までいき、できるだけ平静を装ってこう言った。
「あの、なんか
すると男は一瞬ビクッと反応したが、すぐにこっちを向く。
その顔は無表情で冷静そうだ。
いや違っためっちゃ冷や汗出てる……。
「い、いやぁ。今日は夜空が綺麗だと思ってね」
「今日は曇りで星なんて出てませんけど……」
さらに冷や汗が増した。
怪しい。めちゃくちゃ怪しい。
ジト目で見つめる。
「どうしてこんなところでうちの店をずっと見てたんですか?」
今度はちょっと確信にせまった質問をする。
「もしかしてストーカ「違ぁう!!」……。じゃあ何ですか……」
「俺のこの澄んだ瞳を見てもそんなことが言えるか!?」
眼を見る。
いたって普通の眼だ。
テンパっているみたいで何言ってるかわからない。
さらにジト目になる。
「眼?あっそうだ。俺も実は喰種なんだ。だから怪しくない味方だよ……」
そう言って赫眼をみせてくる。
「ッ!? 隻眼!?」
「し、しまったぁぁぁあああ」
あれからなんとか自分と同じ隻眼の喰種がこの店で働いていると聞いてやって来たということにして無理矢理おさめて逃げ帰ってきました。
ふぅ~危なかったぜ……。
多少というかかなり不審がられたけど気にしない!!
そうポジティブに行くぜ!!
まあこれでカネキくんがここで働いているということがわかった。
西尾先輩事件は終わったのか。
次は笛口親子だな……。
雨。
大粒の滴が大地に降り注ぐ。
そのなかで私はもがく。
顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
身体中ずぶ濡れになりながらそれでも走る。
どうしてこんなことになったんだろう。
今日はあんていくでカネキさんに字をいっぱい教えてもらって前より本を読むのが楽しくなった。
食事をみられるというアクシデントはあったけどそれでも楽しい一日だったはずだ。
帰り道にあのアタッシュケースを持った人達に会うまでは……。
あんていくからの帰り道、私はこっちを追ってくる複数の足音と思わず鼻をつむぎたくなるような大量の血の臭いに気付き、お母さんと早くここから逃げることにした。
でもすぐに見付かり挟み撃ちにあった。
お母さんは私を逃がすため自ら囮になった。
私はなにもできなかった自分の惨めさを突き付けられた。
もしあそこに残ってお母さんと一緒に逃げていればなんて考えてさえいる。
そんなこと出来るはずないのに……。
こんな惨めな自分に嫌気が差しながらそれでも走り続ける。
……だれか……だれか……助けて!!
「ハァ…ハァ…」
全身、打撲や切り傷などでもうボロボロだ。
もう立つ力すら残っていない。
それにこの目の前にいる白髪の捜査官は私に夫が死んだことを見せつけて絶望させながら殺そうというのだ。
もう気力すらつきそうだ。
それにこいつは
「まったく愚かだな…大人しく付いてくればこんな道の真ん中で死ぬことはなかった……ゆっくり"解体"してやったのに」
「せめてもの情けだ。辞世の句でも聞いてやろうか?」
なんて行ってきた。
コイツのことだどうせ最後まで言わせる気はないのだろう。
でも
「ヒナミ……」
それでも私は言ってやる。
私は貴方を愛しているわ。ヒナミ。
だから、
「……生きて!!」
瞬間、辺りに銃声が響きわたった……。
次話は明日投稿します。多分
あとお気に入りが250越えてました!!
ありがとうございます!!