気がつくと、僕は何かドロドロしたような空間の中にいた。でも、ドロドロしてるのに何故か懐かしいような、何か感慨深い気持ち良さに囚われていた。
しばらくそうやってそのドロドロした空間の中で漂っていると、頭の中で誰かが直接語り掛ける様な感覚に襲われた。
(あー、あー、聞こえるかい?ま、聞こえてなくてもいいか。では、定例文で行かせてもらうよ。)
このドロドロした空間で聞こえてきた第一声はそんな言葉だった。
(はじめまして!ーーーー・ーーーのセカイヘようこそ!わたしのなまえは大木戸 青木。みんなからはたんまついちのポケ○ンはかせと慕われているよ。このせかいには、ーーーー・ーーーと呼ばれる兵器が暫くしたらたんじょうするよ!まぁ、その兵器の説明はとてもめんどうだからね。じぶんで調べてね!あ、ワタシは年間7665時間をポケ○ンに費やしているよ!さて、では、ずばりきこうかな?君は女の子?それとも男の子かい?さぁ、どっちかな?)
『まさか、聞こえてきた第一声を放った人物が安心院さんの端末とは』『本当、シャレが効いてるぜ』
寝起きから、安心院さん関連の厄介事とか、ホントついてないぜ。
(まぁ、君が驚いているのは、分かるよ。僕だってこの事がお願いされたのは、つい10分前だからね!さ、そんなことより、君は女の子?それとも男の子?どっちなんだい?)
・・・・どうやらこれは、某モンスター育成ゲームで言うところの性別の選択場面らしい。しかし、さっきの最初の説明的なセリフやたらとひらがな表記が多かったないっt (はい!大人の事情に突っ込まない!)........さて、どうしようか?一応皆に弁解するなら、僕は世間には紳士で通っている。だから、決して女の子を選んで、自分の身体が成長するのを待って、成長したら自分が裸エプロンや手ぶらジーンz(なるほど!!君は男の子なんだね?そうなんだね?うん!男の子か!)
『なっ、勝手に決められた........だと........!?』
(さぁ、もう時間も少ないからさっさと進めようかな!いよいよ、これからきみのものがたりのはじまりがちかづいている。ゆめと、きぼうと、あいと、ゆうきと、たいだと、しっとと、よくぼうと、ぜつぼうがうずまくこのせかい。インフィニット・ストラトスのセカイヘレッツゴー!じゃ、会う機会は無いだろうけど、もし会うことがあったら、一緒にポ○モンについて語りあおうじゃあないか!)
『うん』『僕はそんな機会が訪れない事を』『心の底から祈ってるよ』『んじゃ、また』『今度とか』
(さぁ、楽しむといいよ。この狂った世界でね・・・)
「あ、これも定例文だからね!私にあんな痛いセリフを言う趣味はないんだからね!」
『オギャア!オギャア!』
「おめでとうございます!素敵な赤子さんが生まれになりましたよ!」
えー、まさかとは思ってたけど、赤ちゃんからはじまるのかよ。ま、せっかくの第二の人生だし、有意義に適当にダラダラ過ごすことにするかな。ところで、何か忘れてる気がするんだよね。何だろ?えっと、まずドロドロした空間で漂ってた。そしたら、某モンスター育成ゲームの定例文が聞こえてきた。そして、性別を強制させられた。んで・・・・・・・・・・・・・あっ!
名前入力してなくね?
「ねえ、あんた。この子の名前は決まったの?」
ご都合主義的な展開。やっぱり僕にはこんなのは明らかに明白に合わないぜ
「あぁ、決まったぜ。最初は名字に合わせて、タマって名前にしようかと思ってが........」
「それは私が却下したでしょう。で、それで?」
「それで、俺は、皆の注目を集められる様な名前にしたんだよ。」
「名前は?」
なまえは?
「『多摩川 魅月』昔のカモが月には人を魅了する何かがあるとか、なんとかほざいてたからな。それを思い出して、この名前にしたんだ。まぁ、もしかしたら使えるようになるかもだしな。」
たまがわ、みづき、ね。たまがわみづき。
「あんた!病院で、この話はしないで!全くこれだから、今の時代の男は、ハァ 」
あれ、名前、三文字しか変わってなくない?
『ヒグッ、ヒグゥ』
「あらあら、ぐずっちゃって、可愛いわねー」
「おい、退院はいつなんだ?」
「そうね、二週間後だったかしらね」
「退院したらすぐ次の『仕事』始める手筈だが、大丈夫か?」
「ええ、でも『仕事』って事はもうツバはつけてるのでしょうね?」
「あぁ、お前が退院すれば直ぐにでも始められる」
ハァ、この親達は一体なんの話をしてるんだか?教養の少ない僕にはさっぱりだよ。さて、少し眠ろうかな。赤ちゃんの体だからかは知らないけど、さっきから物凄い眠気に襲われてるんだよね。んじゃ、疲れたし、限界っぽいから眠ろうかな。
『アウ(おやすみ)』
さて、あの出来事から、つまり僕の生まれた年から四年がたってたりする。あっという間に四年が過ぎた気がするけど、やはりこれも気にしたらダメなんだろう。さて、この四年僕は昔の様にダラダラと適当に無気力的に堕落的に過ごすつもりだったんだが、今は、一日のほとんど暇のない暮らしで、ホントのまだ、1歳にすらなってない頃にしかそんな生活を出来た試しがない。おっと!この話をする前に幾つか僕が知る事ができた事を話そうか。
まず、一つ目としては、この世界の年号。生まれてすぐにカレンダーをちらりとみると、2030年1月つまり、僕が亡くなる40年前の年だった。つまり、僕は前の僕よりも未来に生まれてしまった訳だ。ついでに僕は享年78歳だ。
で、二つ目、僕は今現在スキルの発動はすることができない。これは、多分前に安心院さんが言っていた、スキルの遺伝、前世からの引き継ぎはできないって事が証明されたという事だろう。安心院さん曰く、(スキルというのは、魂の成長過程でそいつの魂に刻まれた情報なんだよ。それは、その時点でそいつの物であって、そのスキルが遺伝、前世への引き継ぎ、つまり、他人になる人間に無条件で譲渡される事は無いんだよ。無条件ではね。)っとか言ってたから。『大嘘憑き』や、『却本作り』は他人である僕には使えない訳だ。
3つ目、これは、僕が『球磨川禊』ではなく、『多摩川魅月』であると気づいたこと。理由は二つ目のスキルが使えないって事。使えないって事は僕は『球磨川禊』じゃないという事の証明になった。この事に気づいたのは、3歳の頃だ。
四つ目僕の両親はなかなかに『良い』仕事をしている。括弧良く言うなら『人に夢を魅せる仕事』悪く言うならば、『美人局とかいう、自分を餌として人を騙し、金を巻き上げる一昔前のヤクザ的な仕事』
此処まで話して、やっと何故4歳の僕にゆっくりする暇が無いかって言う事について話す事が出来る。まぁ、何故僕がゆっくり出来ないかというと、単に僕も池袋や秋葉原など、コアでマニアックな人間が多そうな所に連れていかれ、毎日のように、知らない人に。たまにハァハァ言ってくる変態のおっさんやおばさんなど。そんな人達に敢えて捕まり、そして両親がそれをすぐさま助け、慰謝料、賠償金などを半法的にぶんだくる。ついでに上手く捕まらなかった日は、殴られて、昼飯と夕飯を抜かれる。これの繰り返し
いやいやいやいや、全くとんだブラック夫婦の子供に生まれてしまったもんだ。まぁ、おかげさまで2歳後半まで黒かった髪が、何故か脱色して白くなっちまったぜ。しかし、ストレスか何かで髪が抜ける事が有るって言うのは知ってるけど、脱色なんて事もあるなんてね。
「おい、着いたぞ!さっさと降りろ魅月!!」
『はーい、今降りますよ〜』
まぁ、なんでこんな回想していたかというと、単なる次の『仕事場』に着くまでの暇つぶしだった。
「おらァ!布仏、人の女に手出したツケ払わんかい!」
「・・・・・・すみませんでした」
「謝れ言うとんとちゃうわ!慰謝料、賠償金、中絶費用、全部耳揃えて払わんかい!」
「・・・・・・お金はきっちり支払います。ですから、明後日までお待ちいただけないでしょうか?私には、二人の子がいます。ですから、」
「あー、分かった、分かった。俺も鬼って訳じゃない。子供が二人もいるお前が俺の嫁に手を出したのも多分出来心だったんだろう。明後日だ!明後日にはしっかり一円もまけずに払ってもらうからな!」
「はい、・・・・・有難うございます」
「ふっ、今回もちょろかったなー、ククッ」
こいつには、多分、いや、絶対にあの男の末路が読めているのだろう。何せこれくらいなら、僕でも読める。
多分あの男は....................
「あいつ、あの顔。多分あいつら一家は無理心中かな?クハハッ!自分で墓穴ほって結局ツケも返せずに自分等が墓に入るとか、あいつ馬鹿なのか?」
そう、この男はやり慣れている。だから、相手の表情でその相手がこの猶予の間に何をするか?なんて事がほぼ瞬間的に読める。そして、操作する事だって出来る。
まさに過負荷な僕から見ても、クズにしか思えなさそうな人間だ
「おい、きいてるのか?」
ガゴッ!
『・・・・・・・・・・』
単にスマホの角で軽く強く殴られただけだ。これくらい日常てきだし。だから、僕は前のようにただ、空気が肌に触れるように、両親の『悪意』を『受け入れてきた』
救われないと知っているから。
でも、僕は知らなかった、こんな日々に終わりが来ることを。そして、また僕に『過負荷』が生まれていたことを、あの日の4歳の僕は知らなかった。
うわ、改めて読むと、色々酷い(笑)
次回も宜しくです!