オリエンス放浪記   作:kuraisu

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いきなり最終決戦

ファンタジーの世界、SFの世界、ラノベの世界、漫画の世界、アニメの世界。

数えきれぬほどの世界が巨大な世界と激突してごちゃまぜに混ざり合った『世界界』と呼ばれる世界。

 

この世界界で最大シェアを誇る軍需会社の心臓部である巨大工場。

 

工場のあちこちから火の手があがり、所々でいろんな物質に引火して爆発を起こす。

よく見ればあちらこちらに兵器の残骸と死体が転がっている。

 

そんな戦場のような、いや、事実戦場と呼ぶべき場所を一台のロボットが音速で飛び回る。

 

『どこだ!? どこにいる!!?』

 

そのロボットのコクピットで男は吠える。

 

男は燃えるような赤い髪を乱して、その整った顔を怒りで歪めていた。

 

彼の名はリシャール・バラシア。

この会社が所有しているPMCに所属するエースパイロットである。

 

経営者である会長の命令でPMCの精鋭達がこの巨大工場の防衛の任についていたのだ。

だが、不甲斐なくもたった一人の襲撃者にやられて部下の全てを失い、自身はロボットの破損で墜落し、修理している間に襲撃者は工場の奥へ消えてしまったのだ。

 

もう既に会長もやられてしまったのかもしれない……!

自分の所属するPMCで最も偉い人であり、個人的にも慕っているあの好々爺のことを思うと心中穏やかではなかった。

 

工場内を縦横無尽に飛び回り、リシャールはようやく襲撃者の姿を見つけた。

全PMCの隊員の中で最もその襲撃者と交戦経験のあるリシャールがその姿を見違えることなどありなかった。

 

即座に武装の『88cmビーム砲』を襲撃者に向けて発射する。

襲撃者は手に握った聖剣で光線を切り裂き、リシャールの乗機を睨む。

 

「またお前か!!」

『そうだ! くたばれ勇者!!』

 

リシャールはそう叫ぶとロボットについている半自立式補助武装を分離散開させ縦横無尽に操り光線の弾幕を張る。

 

勇者と呼ばれた青年は魔法陣を展開した光線の雨を防ぎ、リシャールの乗機に肉薄する。

 

『ちぃい!!』

 

リシャールは乗機をキリモミ回転で急上昇させ、追尾ミサイルを発射すると、乗機をクモのような形に変形させて、地面に降りる。

 

そして備え付けられている『抗魔法処理済28㎝回転銃』を勇者目掛けて乱射した。

 

勇者はそれでも動じずに自分にバリアを張り、超強力な電撃の雨を降らせて自分の周囲の物をすべて焼き焦がした。

追尾ミサイルも回転銃の弾も跡形もなくなっているところから、その威力を推し量ることができる。

 

リシャールが鋭く舌打ちをすると勇者は瞬間移動してリシャールの乗機の間近で聖剣を構える。

 

『ッ!』

 

リシャールは即座に『完全防護障壁』を最大出力で展開する。

『完全防護障壁』は核ミサイルの直撃でも破ることができない最強の防壁だ。

 

だが、勇者はそんなことなど知らんと聖剣をロボットに向けて振り上げる。

するとロボットはバリアを張ったまま吹っ飛ばされて、50m先の壁に激突した。

 

『があ……』

 

吹っ飛ばされた衝撃で少し気分を悪くしながらリシャールは画面の機体情報を見る。

どうやら装甲の一部にヒビが入ったようだ。

 

あまりの勇者の理不尽性能にリシャールは奥歯を噛みしめる。

 

装甲にヒビがはいったとはいえ、戦闘機動には何の問題もないことを確認すると、再び乗機は浮かせて変形させ、周りに浮いている半自立式補助武装含め200程の砲口を勇者に向けた。

 

勇者は自分に銃口を向けているロボットを睨みつけると叫んだ。

 

「どうしてこれはどの力を持ちながら魔王に従う!?」

 

その叫びにリシャールは思わず殆ど反射で反論した。

 

『お前らが勝手に我が社の会長を魔王呼ばわりしてるだけじゃねぇか!!』

「現にこの会社のせいで戦争がずっと終わらない!」

『前にも突っ込んだが、今の大戦の原因がこの軍需会社の経営者にあるってどんな超理論だ!!? 

どうせ経営争いに負けた他の会社が八つ当たりで我が社を批難してるのを聞いただけだろう!?』

 

リシャールは自分たちの会社によって経営破綻に追い込まれた会社の社員が愚痴ってるのを聞いたことが何度かあった。

だから勇者が自分たちの会社を狙うのは他社の謀略だとリシャールは考えていた。

 

「それは違う!この目で確かめた!

現にネウストリアと呼ばれた世界はお前らに焼き尽くされた!」

『それはネウストリアは我が社に借金をしておきながら踏み倒したからだろう!?

だから、金の支払いのかわりに【世界丸ごと焼き畑農業計画】の対象となる世界になっただけだ』

「上層部が金を払わなかっただけで世界を焼き尽くしたのか!?」

『他にネウストリアが金の代わりになるのなかったんだから仕方ないだろう』

 

勇者はそんな理由で罪もない無辜の民を虐殺したのかと憤る。

 

が、実際のところネウストリアを焼き尽くす前にリシャール達によってあらゆる手段を使って強制的に民衆の世界立ち退きを徹底しており、ネウストリアの民は別の世界の福祉労働施設で健全な労働に従事して幸せに暮らしていてりする。

そもそも【世界丸ごと焼き畑農業計画】の概要は戦争によって汚染されて世界を力技で再生させるための計画なので、再生した世界に住むべき人間を殺したりしたら本末転倒である。

 

……因みにネウストリアの汚染の原因はリシャールらの会社の製品である汚染兵器を魔王陣営が使用した結果だったりする。

 

まあ、そんな感じで盛大に誤解したままな勇者だが、この件についてはこれ以上追及しても意味がないと一番勇者がこの軍需会社を敵視した事柄を糾弾する。

 

「他にもある!!人類の敵である魔王陣営になぜ武器を売った!?」

『客が望めばゆりかごからスーパーロボット、果てはスペースコロニーまで用意する。

そして聖人だろうが魔王だろうが異種族だろうが客を選ばず平等に、が我が社のモットー。

ネウストリアとかと違ってちゃんと金を払うなら誠意をもって対応するのが商人ってものだろ?』

「ふざけるな!!」

『ふざけてなんかいないさ。お前にだって金があるならあらゆる商品を販売するぞ。

もっともお前によって齎された我が社の被害の弁償を済ませてからだが……』

「ふざけるなと言っている!!」

 

勇者はリシャールのロボに向かって極炎魔法を解き放つ。

迫りくる地獄の業火を思わせる炎をリシャールは半自立式補助武装を乗機にくっ付けて『魔法吸収変換式エネルギー充電』を起動させて地獄の業火を吸収して乗機のエネルギーを限界を超えてため込む

 

『勝手にブチ切れた上に不意打ちとは……

勇者が聞いてあきれる! 殺戮者とでも名乗れ外道!!』

 

半自立式補助武装の群れが上空に飛び円を描きながら旋回する。

すると白色に輝く、極太閃光が勇者の頭上を覆った。

 

「おらああああああああ!!!」

 

それをあろうことか勇者は聖剣を構えて上空に飛び上がり、極太閃光を両断してのける。

 

それを見てリシャールはあんぐりと口を開く。

 

『当たり所が良ければアームズフォードを一撃で巨大なスクラップに変えれる閃光を切り裂くとか……』

 

あまりの勇者の理不尽性能にリシャールは戦慄する。

が、さすがに完全に両断できたわけではないのか勇者の右腕を負傷し、頭から血が滴っていた。

 

「【不滅】のリシャール!!今度こそ、ここでお前と決着をつける!!」

『望むところだ! ここでお前を倒し! 私は我が社を守る!!』

 

こうして再び両者の激闘が目にも止まらぬ速さで展開された。

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

わずか10分後に決着はついた。

 

先程まで火の手が上がっているとはいえ、工場としての原型を留めていたこの場所は、この世の物とは思えない姿へと変貌を遂げていた。

 

あちこちで赤く焼けて液体化した灼熱の金属の水たまりができており、地面はここで何度も陥没が起こったように凸凹な地面と化し、奇妙な色の煙が辺りを埋め尽くしていた。

 

勇者は重症を負った左腕を見る。

この程度なら治癒魔法をかければ数分で完治する。

 

そう考え、勇者は目の前で倒れているリシャールを見つめた。

 

既にリシャールが乗っていたロボットは完全に破壊され、それでもなお白兵戦を挑んできたリシャールの胸を勇者は聖剣で一突きしたのである。

 

普通に考えれば死んでいると見て間違いないが……

勇者は5つの戦場で戦ったリシャールの生命力を高く評価していた。

 

勇者は一度直接戦った殆どの敵をその戦場で殺すか戦意喪失させており、5回も戦場を変えて勇者と戦った相手はリシャール以外に思いつかない。

 

それこそがリシャールの【不滅】の二つ名の由来である。

 

故に勇者はあらゆる武装を失い、聖剣で貫かれて血の海に沈んでいるリシャールがまた生きかえるのではないかとあらぬ恐怖を抱いた。

だからこそ、確実に二度と自分の目の前に現れぬようにしようと考えた。

 

勇者は次元魔法を唱え、倒れているリシャールを次元の狭間に弾き飛ばした。

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

次元の狭間。

 

リシャールがいた世界界やその他星の数ほどある世界との間にある謎の空間。

 

そこには理解不能なエネルギーがうねりまくっており、気を失ったリシャールはそのうねりまくった流れに流されるままになっていた。

 

胸を貫かれているため、数分もせぬ内に死ぬ運命であったリシャールの体は何の幸運か次元の狭間の謎エネルギーによって修復され始めた。

なぜかリシャールが着ていた服装とかまで修復されているのも次元の狭間の謎現象故だ。

 

なぜこんな現象がおきるのかは謎である。決してご都合主義などではない。

 

この狭間の住人(某主人公の自称ライバルである某剣豪等)とかであれば説明できずともなんとなく感覚的にわかるのであろうが、次元の狭間の理は人が触れるには早すぎるので説明しない。

説明しないったらしないのである。

 

とにかく完全に修復されたリシャールはただ眠っているだけの状態となり、楽な姿勢をとろうと寝返りをうった。

 

すると謎エネルギーの流れから外れ、変な穴の中に落ちていく……

 

その穴は偶然開いたある世界への入口だった。

なぜそんな穴が開いてしまったのかも謎である。

 

どうしても知りたいなら狭間の住人達(神竜とかオメガとか)に聞いてみるといい。

答えてくれるとはとても思えないが、そこは自己責任で。




>勇者VSリシャール(ロボット有り)
事実上本作における頂上決戦。
たぶん、これ以上激しい戦闘は今後ない。

>次元の狭間
『次元エネルギーは不思議に満ちている。何もおかしなことはない。』byキノコ飼育員様
そう、なにおかしなことはない。ただ詳細がわからないだけなんだ……
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