IS×山崩シ之逸刀 作:エミヤ
もう少し余裕が出来れば、ここか後書きに小話とか入れたいですね。
『東方の国から来た剣士、センゴク』
その名は直ぐに誰もが知るものとなった。
ランカーに登録されてから瞬く間にランクを駆け上がり、その強さは折り紙付き、義を重んじる誇り高き武人。
噂にならぬ筈がなかった。
そして、彼の生涯語り継がれていくことになる二つ名。
『山崩シ之逸刀』
これはあるランカーが、彼の鬼神の如き強さに震えて付けた名である。
センゴクとの戦闘時、そのランカーに油断がなかったといえば嘘になる。
その者は隠密行動を得意とし、トリッキーな戦法で相手を翻弄する女戦士だった。
自分の得意な陣地に誘い込み、有利な状況で戦うことで数段格上の相手にも勝利を収めていた。
彼女は最近名を上げている剣士の噂を聞いて、その鼻っ柱を折ってやろうと勝負をしかけた。
上位のランカーが下位のランカーに勝負を挑むことは負けた場合、ランクを奪われるデメリットがあるのに関わらず勝ったところでこれと言ってメリットがないため、行う者はほとんどいない。
しかし彼女には鍛え上げた戦術がある。
そして最近名を上げているその剣士を倒せば自分の名が逆に上がるかもしれない。
大丈夫、いつものようにやれば必ず勝てる。
そんな思いがあった彼女のことを、誰が責めれようか。
それは誰しもが抱く、小さな野心。しかし彼女の場合は相手が悪かったのだ。
戦いは終始センゴクが圧倒していた。まるで隙がなかった。意表を突こうにも、相手に隙がないなら全く意味がない。
自分の得意な陣地に誘いこんでも、結果は変わらなかった。いや、センゴクは誘いと分かっていながらわざとその誘いに乗っていったのだ。
彼の中にあるのは全力を尽くした勝負。誇り高き勝利。
相手が自分の得意とする戦場で戦うといのなら、それすら叩き斬って勝利を掴み取るまで。
格の違いは明らかだった。
「…ちぃっ!どうなってんだいこりゃあ…!」
彼女のその日何度目かになる苛立ちは闇に消えて往く。
フェイントを掛けようものなら彼の持ち前の剣技でさらに上を行かれ、死角を突いて投合用ナイフを投げようものなら、それを素手で受け止められ逆に攻撃に使われる始末。
遠距離から銃で狙撃しようものなら、弾丸を平気で切り伏せられた。
目眩がするようだった。
こんな筈ではなかった。
そんな想いを抱えながら、逃げるように彼女が次に選んだ戦場は草木の生い茂る森の中だった。
森には所々大きな樹木が生えている、この場所なら得意の刀も満足に振れないだろう、そしてこの場所なら十二分に自分の能力を活かせる。
ここに来て彼女は失いつつあった自信を取り戻していった。
センゴクの得物は太刀一本のみ。
名刀『秋華(しゅうか)』
まるで紅葉のような淡い刀身をもつ秋華をセンゴクは振るう。
確かに彼女の予想は悪くない。並の使い手なら、この状況に苦戦するだろう。
しかし、相手が悪かった。そして更に運が悪かったのは彼が勝負を決めにかかっていることだった。
「出て来ぬならよし、引きずり出すまで…!」
センゴクはまるで流れるように太刀を頭上に構える。
「拙者、不器用にて手加減を知らん。故に手心など期待せぬことだ。」
辺りがまるで水を打ったように静まる。
あれは、受けてはいけない…!彼女の全身が警鐘を鳴らすが、時既に遅し。
もうセンゴクの動きは己が時間を極限まで凝縮することでしか、追えていない。つまりは不可避の斬撃。
まるで走馬灯のよう。
そしてその太刀は振り下ろされた。目の前に流れる一枚の花弁が二つに割れる。
その刹那。
轟音が山を揺らした。
「外したのかい…?」
地震のような揺れが過ぎて少し経ち、彼女は自分の身体に異常がないことを確認し安堵した。
自分の姿は木々に隠れていた。加えて気配も隠していたのだ。
相手に自分の居場所が分かるはずなどなかったのだ。確かに桁外れの斬撃だったが、当たらなければ…
「…あッ…!……!!」
そう思いふと後ろを見た瞬間腰を抜かした。
ここは森だったはずだ。後方には山が続いていた。
それが何故、何故…
「…無くなっているんだい…⁉︎」
そこにはただ更地が広がっているのみだった。
まさか、太刀による斬撃によって山を崩したというのか。
しかしそれ以外では説明がつかない。山はセンゴクからみて扇状に削り取られている。
もうその面影など無く、地形が変わってしまっている。
あれを受けていたらまず間違いなく彼女の命は無かったことだろう。
そして彼女は気付いた、あの男はわざと外したのだと。
彼女は尻餅を付き、眼前に立つ男を見上げた。
「…ははっ…。その太刀で山を崩したってのかい…」
「言ったはずだ。手加減は出来ないと。」
もう戦う意志など湧いてこなかった。土俵が元々違った。自分達が盤上の上で駒を動かそうとすれば、この男はその盤を叩き斬るのだ。
何をしても敵わない。そう思うには十分だった。
「…そら、私のランクさね。」
ランク戦はここに終わった。
「…うむ。また死合えることを楽しみにしている」
負けたのに何故か心は清々しい。
威風堂々と去って往く彼の後ろ姿を見て彼女は天を仰ぐように言った。
「ははっ…!もう、うんざりさね。足の震えが取れないよ」
そして彼の二つ名はこの時から広まり始め、センゴクという名は上位ランカーを震えあがらせた。
こんな感じです(泣)
自分の文才の無さに泣けてきます。
色々と独自解釈入ってます。
このセンゴクさんはセンゴクさんとは別人のセンゴクさんなんです。
なんか自分でいっててよく分かりませんね。
それではまた。