IS×山崩シ之逸刀   作:エミヤ

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ここでセンゴクの転成前編を終わらせるつもりだったのですが、もう1話増えそうです。

話は変わりますが、最近少しずつUA数が増えて、画面の前のニヤッとしている私です。

そんな私が書く、こんな物語ですがどうかよろしくお願いします。

それではどうぞ!




武士の一分

それから程なくしてセンゴクから七騎士以外の全てのランカーに挑戦状が叩きつけられた。

 

 

『七騎士センゴクの一撃を受け止めることが出来た者にはランキング7位を与える。』

 

センゴクが腐敗した現状を打開するために打った一手である。

つまりはこの修練をクリアすれば、例えランキング最下位のものでも七騎士という、ランカーならば誰もが目指す地位に立てるということだ。

 

この報せに多くのランカーが沸いた。

しかし一部の者達は分かっていた。この修練がどれほど困難なものか。

単純ではあれど、決して容易ではないことを。

 

 

そして静かに終わりが始まっていく。

 

 

 

 

 

結果としてセンゴクの企みは失敗に終わる。

 

 

いや、センゴクの一撃を受け止めた者は確かにいた。

その者はランキング8位の男だった。

センゴクの山をも崩す一刀を、己の渾身の一撃で迎え撃つことで受け止めたのだ。

その身に多大な傷を負いながらもその両足で確かに地面に立ち続けていたのだ。

 

その男の強い信念、確かな実力、そして他の者には無い発想。この男ならもしかしたら現状を打開してくれるのではないだろうか。

 

そんな想いがセンゴクの心の中にあったかもしれない。

それはきっと彼の中でのみ語られるべき事なのだろう。

 

 

 

「…センゴク……てめえ…!手加減したんじゃねぇだろうな……!」

男がセンゴクを納得がいかないと言わんばかりに睨みつけるが、

 

「…フッ…。……期待しているぞ。」

センゴクはそう言い残してその場を後にした。

 

しかしその後男と連絡が取れなくなってしまった。正式な七騎士への加入を前にして突如として失踪してしまったのだ。

 

男の所在が明らかになるのとアンチから現体制に対して宣戦布告がされるのはほぼ同時であった。

失踪したと思われた男はアンチへと寝返っていたのだ。そしてランキング1位の男も他の七騎士と戦いたいという理由からアンチへと寝返っていた。

 

 

「…フフフ。馬鹿にされたものですねぇ、センゴクさん?」

 

「…………」

 

ユーリがさぞ面白いものを見るかのように言うが、センゴクは口を一文字に結び、瞳を閉じたまま何も語ろうとはしなかった。

 

 

 

以前までは対した戦力を持たなかったアンチだが、新たにランキング1位と8位の強者を仲間に入れ、加えて実力は七騎士にも及ぶかもしれない若き有望なランカーも数名おり、その戦力は現体制に迫るものがあった。

 

アンチはバザルタが設立された意味を正しく理解していた。バザルタはつまり、いつか起きえる災厄の日を戦い抜くために設立された人類の護り手だったのだ。

七騎士はそれらのトップであり、その武力をもって戦士達を先導する者でなければならない。

しかし現七騎士はどうだろうか。使命を忘れ、自らの欲望の為にその地位を利用するものばかりだ。

アンチと現体制、どちらが正しいのかなど火をみるより明らかであった。

 

 

アンチと現体制の戦いはもはや戦争の域にまで達し、多くの戦死者を出し熾烈を極めていった。

 

現体制に迫る戦力があるとはいえ、ほぼ全てのランカーを敵に回したアンチの勝機は絶望的だった。

しかし戦いが進むにつれアンチへと寝返る者が増え、アンチがどんどん巻き返していった。

そしてとうとう戦局は七騎士が直接アンチ討伐に出張るまでになった。

 

 

決戦の舞台は要塞戦車『ドオウ』

これはランキング4位の男ゼブリラが天文学的な金をつぎ込むことで完成させたものである。

その姿は動く難攻不落の城。まさに現体制の威信の象徴とも言える。まさしくこれがアンチと現体制との最終決戦であった。

 

その中でセンゴクはアンチのリーダー格の男と対峙する。

僅かな間でランキングを駆け上がり、その頭角を表してきた辺境の獅子。その実力は七騎士にも及ぶ男。

 

 

「…センゴク。あんたは話が分かる人だと思っていた。」

 

 

「……言うな。…今の拙者は七騎士。ならば、その使命を果たすのみ」

 

戦いの火蓋は切って落とされた。

 

戦闘は互いに一歩も譲らぬ激戦となった。

センゴクはその剛剣で相手を圧倒するが、相手も多彩な武器を巧みに扱うことでセンゴクと対等に渡り合っていた。

 

「…!ぐ…!」

長く続いた戦闘の果て、男の一撃がとうとうセンゴクをとらえた。センゴクは膝を着き血を吐き出す。

勝負は決したように見えた。

 

しかしセンゴクは倒れそうになる身体を無理矢理力で起こし、剣を構える。まだ終わっていない。

 

 

その闘気は肉眼視できるほどのオーラとなってほとばしる。

 

 

 

 

 

男は確信した。これで本当の勝負が決まると。

 

 

センゴクはその太刀を頭上に構えた。大上段、これこそが彼の必殺の構え。

 

ーそれは山をも崩す逸刀。

 

「…武士道とは…刃下に…!己を省みぬこと…。…その暗闇でこそ、見えるものが…御座る……!」

 

 

そして必殺の太刀が振り下ろされる。

1枚の花弁が二つに割れる、斬撃が地を這う龍となって相手へ襲いかかる。

 

対する男は静かにその斬撃を見据える。轟音が地面を割きながら山を崩さんと迫る。

 

「…ここだッ!」

 

しかし男はセンゴクの逸刀を見切り、その斬撃を跳ね返した。センゴクは自らの斬撃をその身に受ける。

 

 

これが、最後の一撃。

 

 

「…良い勝負だった。……次に死合えるはいつの日か…。」

センゴクの身体が地に伏す。

勝負はここに決したのだ。

 

 

「…武士道か。厄介だったな…。」

男は肩で息をしながらセンゴクに向く。

対するセンゴクは満足そうに瞳を閉じている。

 

「…勝負とはまさしく時の運。この世は常在戦場ということを努忘れぬことだ。」

 

「…なんだよ。勝負に負けたのは運が悪かったて言いたいのか。」

 

「…フッそうだ。しかし拙者ももう七騎士ではない。敗者はただ去るのみ。後は任せたぞ。」

 

そう言ってセンゴクは己の使命の為に、その場を去るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現体制とアンチの戦いはアンチの勝利で終わった。

そしてその後の真の戦い。

イビノスと呼ばれる魔獣。その女王によって起こされる世界の危機。それもアンチのリーダー格の男によって討たれた。

 

女王の討伐へ行ったリーダー格の男達の背中を守る為、センゴクもその戦いに参加する。

視界を埋め尽くす程のイビノスの群れを、傷ついた身体を奮い立たせその太刀で蹴散らしていった。

 

一歩も引かず、イビノスを一匹たりとも自身の後ろへは行かせなかった。

 

 

そして全てが終わったのだ。戦いに参加した七騎士は結局全員が敗れ、ゼブリラとノーマ、ユーリが戦死という完全な敗北となった。

その後アンチが新たにバザルタを統治し、世界はまた新たに動き始めて行った。

 

 

 

 

 

センゴクは己の使命を果たし、自らの探し求める答えを見つけるため、放浪の旅へ出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…本当に、行ってしまわれるのですか…。」

 

月が明るく照らす草原。そこには男女2人がいる。女が男の背中を悲しげな瞳で見つめている。風が2人を撫でるように吹く。

雲は晴れ月明かりが辺りを照らし、夜だというのにお互いの表情がわかる程だった。

 

2人の男女、ロザとセンゴク。

ロザは、戦いの後姿を消し放浪へ出るセンゴクを追いかけこの草原でやっと見つけることができたのだ。

(嫌だ…離れたくない…センゴクさん……。どうか…!)

 

ロザは縋るようにセンゴクの背中を見つめる。

しかしセンゴクはロザに背を向けたまま、その背中は振り返ろうとはしなかった。

 

 

「…済まぬ。この生涯を賭してでも、果たさねばならぬことがあるのだ。」

 

「それって何ですか⁉︎ここで世界の為に戦うことより大事なのですか…⁉︎私は…貴方と……!」

 

ロザは自らの想い吐露する。しかしそれでも彼の心は動かせなかった。

 

「…許せ。」

 

そう言ってセンゴクは歩き出す。ロザは分かっていた、これが彼との今生の別れとなることを。ここで留めなければもう永遠に彼とは会えぬことを。

 

(…どうしてこうなってしまったの…?ただ私は、貴方と一緒にいたいだけなのに。…側にいたいだけなのに…!)

 

(…嫌…嫌!…留める、貴方を例え傷付けても…!)

 

「…どうしても、だめなのですか……?

ロザは瞳に影を落とし、俯いたその表情は夜の闇に紛れて分からない。

 

「…あぁ。お主はここで自らの使命を果たせ。」

センゴクは振り返ることはない。

 

「…分かりました…!なら、力ずくでも貴方を留めます!」

ロザは顔を上げ、その鋭い眼光と共に自らの武器である弓を構えた。

『光弓の天秤』

それが彼女の二つ名。

彼女の放つ矢は数キロ離れた敵の心臓をも貫くと言われ、ランキング3位の彼女をもってして最強の乙女と呼ばれる。

 

彼女にとっては数メートルのこの距離、これは即ち必殺の間合い。それはセンゴクも同じではあるが、彼女はそれより早くセンゴクを射抜く自信があった。

無論、彼女には全くそんなつもりはないが。

 

全てに対し公平であろうとした彼女だが、センゴクだけには公平に接することが出来なかった。

いつも自分のことを支えてくれた人。その誇り高い生き方にどれだけ憧れたことだろう。

そんな想い人に矢を放たんとしていること、その事実にロザの腕はどうしようもなく震える。

 

それでも何も言わず振り返ろうともしないセンゴクに対し、ロザは感情的に叫ぶ。

 

「何故…!こちらを向いてくれないのですか…⁉︎私は…私は!貴方にとって私は…その程度の存在だったのですか!」

 

想いはとうとう涙となって、その両目から溢れ出す。ロザはそれを拭おうともせず、ただただ流れ続ける。

 

「…もう、戻られないというのなら…どうか、私も連れて行って下さい……!私を…ぁ…」

ロザは次の言葉を出せず、口をつぐんでしまう。何故なら

 

 

「…ロザ。」

 

たったひと一言。振り返った彼の瞳を見た瞬間、全てを悟ってしまった。

もう何を言っても無駄なのだと。そして気付いた。

あぁ私は、この瞳と強い意志に心惹かれていたのだと。

 

ロザは弓を静かに降ろした。

もう、これで彼を引き留めることも引き留める理由もない。自分に出来るのはきっと、こうして涙を流すことだけなのだろう。

 

「うぅ…うあぁぁん。」

ロザはまるで子供のように泣いた。はじめての恋だった。初恋は甘酸っぱいとは聞いたけどまるっきり嘘だ。ただただ酸っぱいだけ。

それでもしなければ良かったとは思わなかった。

 

ふと、頭に暖かい感触を感じた。

それは愛しい人の手だった。

センゴクは少しだけ乱暴にロザの頭をわしゃわしゃと撫でていた。

 

「…センゴクさん?…」

嬉しいやら悲しいやらで上手く状況が飲み込めない。きっと自分はとても間抜けな顔をしているのだろう。

 

「ロザ、これをお前に預ける」

そう言ってセンゴクは首から胸の前に掛けていた勾玉のような美しい装飾品を、ロザへ差し出した。

素朴で簡素な服装を好む彼が唯一付けていた装飾品。きっと大事なものだろうと思っていた。それを自分に預けようというのだ。

 

「…!こんな大事なもの受け取れません…!もし、何かあったら…」

 

「…違うのだ。確かにこれは大事な物だ。故にお前に預ける。次に逢うその時まで預かっていてはくれないか。……必ずもう一度逢いにくる。」

 

センゴクは、ロザがそれを受け取ると満足そうに頷き前を向く。

ロザはその輝石を胸に大事そうに抱え、センゴクの背中を泣き腫らした目で見つめ続けていた。

 

「…さらばだ。また逢える日を楽しみにしている。」

 

だんだんと小さくなっていくその背中、見送るロザは微笑んでいた。

「…こんなものを渡されちゃあ、待ち続けるしかないじゃない。」

 

そうしてセンゴクは己の求める答えを探すため、世界を放浪する旅へと出た。




遅くなりました。
皆様気付いていると思いますが、この小説ISとのクロスなのに未だISが出ていません(泣)

次でセンゴク転生前編必ず完結させます!
ISとのクロス楽しみにして下さっている方々本当にごめんなさい。
それではまたお会いしましょう!
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