IS×山崩シ之逸刀   作:エミヤ

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やっとセンゴクさんが転生します。(笑)

ここまで長かったですね。
とにかく皆様の閲覧が私の励みです。感想とか下さったら更に嬉しいです。

安定の駄文ですが…。
それではどうぞ!


この世界の素晴らしさ

それからセンゴクは世界を放浪する旅へ出る。行き先も決めていなければ、旅の終わりも決めていない。

 

あの始まりの日と同じ、その身体と愛刀のみを持ち世界を渡り歩いた。

 

ただ、己の探す答えを得る為に、真の強さを手に入れる為に、その足は前へ進み続けていた。

 

 

 

進み続けた先、そこには世界とそこに生きる人々の輝きがあった。

 

 

 

 

 

人々の悲しみがあった、怒りがあった、苦しみがあった。

人々の喜びがあった、愛があった、安らぎがあった。

 

それはまさに人間賛歌。人が人であることのなんと素晴らしきことか。

良いところも悪いところも、全て引っくるめて人間。

神がこの世にいるのなら、神が人を創造したというのなら、きっと神はこの人間賛歌を心から愛しているのだろう。

 

そうでなければ人という存在が、こんなにも可能性を秘めている生き物である説明がつかない。

 

 

 

 

センゴクは様々な国を周った。その国によって様々な文化があり、生き方があり、様々な人がいた。

そこに違いこそあれど人という本質はどうしようもなく変わらない。

 

何も変わらない、この世界に生きる人々と己は同じ人間なのだ。

人に個性がある。それぞれの違いがある。

だからといって、それに優劣を付けることなど愚かなことなのだ。

その違いこそが、愛すべき人の本質だったのだ。

 

 

 

違いは間違いなどではないのだから。

 

 

 

何を食べて美味いと感じるかに違いはあれど、美味いと感じることに違いがないように。

何を見て美しいと思うかに違いはあれど、美しいと思う心に違いがないように。

 

その誰でも分かるようなほんの小さな事実が、センゴクの心を震わせた。

 

 

 

ある部族と見たあの夕焼けの光景をセンゴクは生涯忘れることはないだろう。

言葉は通じずとも数日をともに過ごし、心を通わせたあの日々を。

 

別れの際、ある場所へ案内された。

その部族は森の中で主に生活しているが、その場所は森の中とは思えぬほど開けた場所であり、何処までも山が続いているのが見えた。

 

時間は夕暮れ時。その山々の間へ沈んでいく太陽。

燃えるような夕陽が架かる雲を紅に染めている。

そして夜が少しづつ近付いている。

 

それは生命の営み、地球の営み。きっと奇跡としか言いようがない結果の上自分たちは生きているのだろう。

その光景にセンゴクは静かに涙を流した。悲しいと思うことも、声を挙げて泣くこともない。

ただこの美しさを言葉も通じぬ人々と共有している事実が、センゴクの瞳から涙を溢れさせるのだ。

 

 

 

 

 

旅の終わりはもうすぐそこまで来ていた。

 

 

旅の終着点。そこはもう帰ることもないと思っていた故郷であった。

長い旅の果て、己の求めた答えに辿り着いたセンゴクは、強さとは何たるかに気付いた。

 

センゴクの求める強さとは『強くなり続けること』だった。

 

 

 

一見、堂々巡りのような気がするが、本質は違う。

強さとは、人によって様々なのだ。

心の強さ、身体の強さ。財力や知識を指して、強さという者もいるだろう。

それはきっと全てが正しい。これはセンゴクが世界を旅して様々な人々を見てきた故の答えだ。

 

ならば本当の強さとは何か。

それは、自分の思う強さを信じ、止まらず走り続けることができること。それこそが強さ。

つまりは『強くなり続けること』だ。

 

 

 

その境地に至ったセンゴクは若い頃、まだバザルタの戦士となる前の頃、己を鍛えた場所へ赴いていた。

 

センゴクが思うに自身の剣技は何処までいっても未熟だった。

ならばこの生涯を賭して剣技を磨こうではないか。自身の取り柄などそんなことくらいしかない。

己を鏡の如くこの愛刀に写し、向かい合い、そして振るおう。

 

その暗闇のようなものの中でこそ見えるものがある。

武士道を今一度歩もう。命尽きるその日まで。

 

 

 

 

 

それからセンゴクはその場所で剣を振り続けた。ただ無心に、己を身体を一振りの刀にして。

剣を一心不乱に振り、そして倒れるように眠りにつき、また眠りから覚めたら刀を振る。

その身は刀。ならば鉄を鍛つが如くその身を錬磨する。

目指すは剣の極致、奥義のその先。その境地へ至るのが先か、命燃え尽きるのが先か。

答えは得た。ならば我が生涯に意味は要らず。

ならばいつか力尽きるその日まで、正しくあり続けよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして長い年月が過ぎ、その日は訪れた。

 

どれくらいの時が過ぎただろう。何度季節が花を咲かせ、花を散らしていっただろう。

十を過ぎてからはもう数えるのをやめた。

狂気ともいえる感情に身を任せ、刀を振り続けた。まさしくそれは彼の業。

 

 

 

 

それもとうとう終わりが来たのだ。いや、やっとというべきだろうか。

「…ガ……ハッ…!」

吐き出された鮮血がセンゴクに否が応でも悟らせた。この長い苦行と自身の命の終わりを。

 

死の恐怖など無く、特に何かを感じることもなかった。そんなものはもう無くしてしまった。

彼は少しづつ長い年月の中で壊れていったのだろう。何が壊れてしまったのかはもう壊れた今では分からない。

でもそれはきっと人が人である上で必要なものだった。

 

何故なら此処に立っているのは人ではなかったからだ。そこにはセンゴクという名の一振りの刀があるのみ。

 

「………あ、が……。」

意識ー、途切れ、気を失いそうに、

耐える。この意志だけは倒れさせない。

刀を自らの頭上へ構える。

込めるは、生まれてきて今までの万感の想い。

何が彼を突き動かすのか、今の彼を支えるのは気力のみ。

人としての機能はもうとうに失った。

自分の名前すらも思いだせない。

 

 

 

 

 

ならばこの逸刀は今までの人生そのもの。

 

名を喪い。

意味を喪い。

意義を喪い。

 

それでも消えない想いがある。

 

 

 

自身の身体には刀を振る力すら残ってはいない。

しかしもうこの身体は刀となっている。

刀とは何かを斬るものだ。

それならば振れぬ道理はない。

だからきっとー

 

「……!…」

 

轟音が駆け抜ける。

そしてその日一つの山が地図から消えた。

 

 

 

 

「…風が、吹いてござるな…」

 

それは誰に向けられた言葉だろうか。

人としてはとうに死んだ筈のセンゴクが何故最期に話すことが出来たのか。

それは誰にもわからない。

季節は春、花が舞い散る中で誰よりも正しくあろうとした漢が地に伏した。

センゴク、否。

仙石叢雲小十郎は誰にも看取られることなくその人生に幕を下ろす。その生涯に例え意味がなかろうと、確かに得た答えはあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

柔らかな暖かみに包まれ、彼は目を開けた。辺りは光に包まれ、そのせいで広いのか狭いのか分からない場所にセンゴクは立っていた。

 

「…馬鹿な、拙者は……」

 

死んだ筈だ。そう思い考えを巡らせる。周りを見渡しても白い世界が広がるだけで何も無い。全く見覚えのない場所だった。

誰かがあの後手当てをしてくれた可能性も考えたが、間違いなくあの時の自分は死に体であり、手の施しようなどなかった筈だ。しかし自身の身体の傷は癒え、どういう訳か少し若返ったように感じる。

ならばここは差し詰め黄泉の国か。

 

 

 

これからどうする、未練など残した覚えなど無いのだが。

 

そんな死んだにも呑気なことを考えるのは彼の豪胆さ故か。

その時、センゴクの目の前が眩しく輝き出した。

それは光の奔流で、やがて集まりだし人の形を為していった。

 

「…なんと……」

 

そしてセンゴクの前に現れたのは浮世離れした容姿を持つ見目麗しい女性だった。

 

その女性は目を開けると静かにセンゴクにお辞儀をした。

 

白。

正にその女性を指すような言葉、透き通るような肌にその肢体は純白の衣服に包まれ髪までもが白かった。

この異様な世界で自分以外の唯一の存在。

この者がどんな思惑があるかは分からないが、センゴクをこの場所へ誘ったと疑うのは自明の理であった。

 

 

「…お主が拙者をここへ連れてきたのか。」

 

返答は予想通りのものであった。

 

「はい、私が貴方をここへお連れしたのです。こうして会うのは初めてですねセンゴク様。」

 

「…?まるで拙者を知っていたかのような口振りだな。」

 

「えぇ。私はいつも貴方を見ていましたよ。どんな時も、貴方のことを見ていました。」

 

「…拙者は死んだのか。」

 

「はい。肉体は消え、今此処にあるのはその魂のみです。だから身体の傷も無いでしょう?」

 

「む、要領を得んな。単刀直入に聞く。お主は何者だ。」

 

そうすると女性は瞳を閉じ決心したかのように頷くと

 

「…信じてもらえるとは思いませんが、嘘はつきません。私は…星の守護者です。」

自分のことを星の守護者と言った。

 

「…星の守護者…」

 

「…はい。この世界は宇宙の中にある一つの小さな世界です。宇宙にはこの世界と同じような世界がいくつも存在しています。可能性の世界、選択の結果、分岐していった数多の世界。私達は平行世界と呼んでいます。」

 

「…ふむ、例えばもし拙者がバザルタの戦士となっていなければ、バザルタの戦士とならなかった拙者が生きる世界が、今の世界とは別に生まれるというのか。」

 

「はい。その通りです。流石センゴク様ですね。」

 

「いい、それではつまりお主の言う平行世界は莫大な数になるのではないか。それらを全て管理しているのか?」

 

「…そうです。ですが私達は管理しているのではなくニュアンスでいえば見守るに近いでしょうか。世界には流れがあります。その流れに逆らわないように世界が回るように」

 

「…理解した。そんな存在であるお主らがこうして姿を表しているということは、何かあったのか。」

 

「…はい。本当に鋭いですね、センゴク様。やはり私の見込みに間違いは無いようです。」

 

「…拙者に何を求める。」

 

「センゴク様。貴方に救って頂いて欲しい世界があるのです。」

彼女の瞳はセンゴクを真っ直ぐに見据えていた。

 

「世界を救うか…。拙者は所詮何の取り柄も無い流浪人、荷が勝ち過ぎるな」

 

「いえ、そんなことはありません!貴方は…!何にも縛られることなく人と世界を見つめ、誰よりも正しくあろうとしました!貴方の歩んで道を私は知っています。…私は貴方以外に考えられません!」

今まで努めて冷静だった女性は語気を荒げ言った。

 

「…買い被り過ぎだ。拙者は自由気ままに生きたに過ぎん。あぁ、思い返せば何と恥の多い人生だったか。」

センゴクは自身の生涯を振り返り、自嘲的に笑う。

 

「…センゴク様…。私は…」

 

「…皆まで言うな。あい分かった。」

 

「ふぇ…?」

 

「何を惚けている。その話受けると言った。この身に何が出来るかは知らんが…」

ーその期待は背負おう。

 

「…センゴク様…。ありがとうございます…。私達守護者は意思の存在です。世界に対し介入することが出来ないのです。ですからセンゴク様に力を託します。どうか…」

 

センゴクの身体が光に包まれていく。

 

「…うむ。任せろと言った。…ではな」

 

最後にそう言い残しセンゴクの姿は光の奔流に消えていった。

 

「…センゴク様。いってらっしゃいませ。貴方ならきっと…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ク!…セン…。……ゴ…!」

 

「…センゴク!」

 

「!」

 

センゴクは自身の名を呼ぶ声に目を覚ました。

…拙者は確か…。

声のした方向に目を向けると真っ直ぐな瞳が眩しい、黒髪の少年がいた。

 

「どうしちゃったんだよ。いきなりボーッとしてさ。」

 

この少年の顔に見憶えは無い。しかし拙者はこの少年の名を知っている。

思わず口にした名前それは

 

「…一夏」

 

そしてセンゴクの新しい戦いが始まる。

 




やっとですね。

更新遅くなってしまい申し訳ありません。これからISの世界で原作キャラと絡んでいきます。

原作開始前を遡りますが、原作開始までは短めにかくつもりです。
それではまた!
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