きんいろモザイク ~THE GOLDEN STORY~   作:legends

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お待たせしました……

最初に若干のオリ展を入り混ぜてみました。ていうかその内容を読み直してみると俺溜まってんのかなぁ……(末期)


Episode6 過去の話を少々……。

「むーん………」

 

 自室のベッドで寝返りを打ちながら健は口元から寝言が漏れる。

 

 締め切られたカーテンが日差しに照らされ、窓の外からチュンチュンと聞こえる小鳥のさえずりに朝を感じさせる。

 

 そんな心地良い朝を感じさせる中、健は寝息を立てていた。

 

 時刻は六時半過ぎ。目覚まし時計は七時に設定しており、大体毎日その時間に起きている。

 

 そして、この気持ちが良い朝を少し寝て過ごそうとしようとした瞬間だった―――。

 

「ケン―――! オハヨウゴジャイマ――ス!」

 

「おぐわぇッ」

 

 バーン! とカレンが勢いよく扉を開き、走りながら寝息を立てながら寝ている健のベッドに向けて大の字になりながらダイブし、のし掛かれたせいで“く”の字になりながら苦悶の声が漏れ出る。

 

 目を飛び出さんとするばかりに見開き、強制的に起こされた健。重い物を落とされたような衝撃に腹部を押さえようとするが、寝起きの彼の上にはカレンが居る事が把握できずに、彼女の背中に手を回し抱き締める形になってしまう。

 

「ケ、ケン!?」

 

 彼の突然な行動にカレンは驚愕の表情を示す。健は単に腹部を押さえようとしていただけの筈が、しがみ付くようにカレンが彼の上に体を預ける形と化してしまう。

 

「ぅうぐ………ってカレン!?」

 

 漸く気付いたのか健も驚愕の表情になる。気付けば金髪の少女が自分の体の上に乗っかっていたなど誰が予想出来ていただろうか。

 

 以前にも姉に何度かこんな目に遭った事があるが、昨日から居候してきた外国人の美少女がこんな事をする等思いもよらなかった。

 

 取りあえず何故か頬を朱に染めているカレンをどかそうとしようと、手を彼女の背中から肩へと移動させる。

 

「か、カレン? 取りあえずそこからどいてくれるとありがたいんだけど……」

 

「け、ケンは大胆デスネ……」

 

「その言い方ヤメテ!? とにかくこの状況を何とかしないと姉さんが……「私が何だって……?」……来ちゃったよぉ」

 

 傍から見ればカレンが健をベッドに押し倒している形。それを自身の姉に見られてしまった。思わずしまった……と言わんばかりに冷や汗を流しながら遠い目をする健。

 

 プルプルと震えている瑠美を見て、怒られるのを覚悟するが―――。

 

「健ずるいわよ! カレンは襲うのになんで私は襲ってくれないの!? でも今からでも遅くないし、私も混ぜてよー!」

 

「何もかもが違うわあぁぁぁ!! 襲ってもねぇし、服脱いでこっちくんなぁぁぁ!!」

 

……勢いで姉弟の範疇を超えようとしたアホな姉と、純粋な金髪少女の行動に朝からカオスな目に遭い、頭を抱える羽目になったのだった。

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

「ケンゴメンナサイデス。私のセイで」

 

「いやカレンは別に悪くないよ。ただ、後から来た姉が予想外過ぎた……」

 

 色々とやばい展開になりそうだったあの後、俺が必死に説得してあの状況をやり過ごした。

 

 しかしカレンをどかせるのには難は無かったが、下着姿にまでなった姉さんを何とかするのは苦労した。思い返してみると冷や汗を掻いてしまう。

 

 今はこうしてカレンと一緒に登校しながら会話している。姉は俺達とは別の学校なので居ない。

 

 朝のあの出来事を有りのままに説明してもらい、現在こうして両手を合わせながら謝ってくるカレンに別に悪くないと言い伝える。

 

 あれは外国人であるカレンなりの行動なため、次第に慣らしていけばいい。それに彼女は一切の悪気はないし、こう言っておかないとカレンが悪いと思い続けるかもしれない。

 

 え? 姉はどうなのかって? 何度も同じ目に遭っているからそこは察して。

 

「あ、忍達だ」

 

 カレンと談笑していると、前方に見知った後ろ姿を見掛けた。その声に気付いたのか、皆が此方を振り向いてくる。

 

「おはよう健。って、ん~? それに……カレンもいる?」

 

「皆サン、オハヨウゴジャイマス!」

 

 陽子が俺とカレンが一緒にいるところを見て怪訝そうな表情だったが、それを遮るようにカレンが間違った挨拶をしてアリスが指摘をする。

 

「カレン! ゴジャイマスじゃなくてゴザイマスだよ」

 

「あー、そうだったデスね」

 

「あれ? アリス知らないんですか?」

 

 恥ずかしさに口元を押さえるカレンだが、忍が何やらのほほんとした様子で言った。

 

「ゴジャイマスの方が正しい日本語なんですよー」

 

「えっあっそうなの!?」

 

「まるでダメな日本人じゃねーか! アリスもあからさまな嘘に乗っかからないで!?」

 

 忍の目に明らかに嘘って字が見えるのに、純粋故かその言葉に信じ込んでしまうとまずいと思い、取りあえず突っ込みを入れる。

 

 ……最近このキャラが定着しているように思えるのは気のせい?

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

 

 学校にて。何事もなく授業を受けて時間は刻一刻と過ぎていき、あっという間に昼休みになった。

 

 その時にカレンも俺達の教室に居た。

 

「クラスの子と仲良くしたいケド、上手く出来ないのデス」

 

「転校生の辛い所だな」

 

 不意にカレンが苦笑いをしながらそんな事を言ってきた。まあその気持ちも分からなくもないかな。

 

「外国の方ってだけで話しかけ辛いのかもです。カレンは外国人オーラがバンバン出てますし」

 

 正確にはハーフだけどな。てか、カレンばかりに意識が向いているためか同じ外国人であるアリスが「あれ……私は?」と手を挙げながら彼女に問う。

 

「動物に例えると鹿の群れにライオンがいるみたいで―――に、逃げなきゃ……」

 

 忍が思考を巡らしたすぐ後、顔面蒼白に成り体を震わせる。その例えは流石に間違えていると思うんだが……。

 

 しかし、忍はすぐに立ち直ると綾に向けて手で差し示す。

 

「そういえば、綾ちゃんは転校経験者なんですよ」

 

「中一の時に引っ越してきたんだよなー」

 

 次いで陽子も言葉を紡ぐとカレンが顔を綻ばせながら綾に質問を求めてきた。

 

「ゼヒ、仲良くなるアドバイスをお願いシマス!」

 

「そ、そうね……一番大切なのは――――空気を読むこと、かしら」

 

 綾は何かを悟ったッ。みたいな表情でカレンに告げる。……まあ彼女らしいっちゃ彼女らしい、か?

 

「つまりカザミドリデスね!」

 

「風じゃないわ空気よ!」

 

 そこを強調されても……とは口には出さなかった。

 

「まあでも、綾は転校してきた当初は本当に話さなかったからなー」

 

 と、そこへうっかりと口に出してしまった自分が居た。皆が此方を見入っているし。まあここまで話したならしゃーない。続きを話すか。

 

「確か最初に話しかけたのが忍だったか? その時はめっちゃぎくしゃくとしててまるでコミュ障と思ったな」

 

「だっ、誰がコミュ障よ! それに古傷を抉らないで!?」」

 

 綾が話し続ける俺に怒声を上げる。しまった、冗談のつもりがつい癖で言ってしまった。

 

「でも実際さぁ、綾が学校に慣れるまでずっと私と健の側に居てさ、何かもう捨てられた子犬状態で!」

 

「嘘よ! デタラメ言わないでっ!」

 

「だって本当の事じゃん。しかも健には引っ付くみたいに甘えてたし」

 

「陽子ぉっ!!」

 

 散々からかう陽子に対し、顔を真っ赤に染めながら声を上げる綾。

 

 …………確かに今思えば一時期、俺の中学時代は結構やんちゃ気味だったからか、綾にしつこいと思われるぐらい質問した記憶がある。

 

 忍が最初に話しかけたすぐ後、無理矢理引っ張っていった陽子とはまた違った方向で攻めていった。

 

 理由は簡単な事。転校して間もなく、周りに馴染めていない綾に少しでも雰囲気に溶け込めるように積極的に俺が話したまでだ。

 

 そして、陽子も同じだ。ちょっと馬鹿だけど彼女のその積極性は大した物だと思う。

 

「そう……だよな」

 

「? 健君、どうかしたんですか?」

 

 口から漏れた呟きが忍に届き、首を傾げながら俺に問う。どうやら素直に思った事が口に出てしまっていたらしい。

 

「ああいや……」

 

 即座に俺は手を振って何でもないという事を示す。

 

「まあ何にしろ、クラスに馴染むには場の雰囲気に慣れるとか、笑顔で接するとか、そういう風に他の人達と気軽に話し掛ければいいんじゃないか? 時間は掛かるけど、そうやって徐々に慣れていく事によって他人と親しい関係を得られると思うし、それに、カレンはカレンなりの対応で他の人達に話し掛ければ友達も作れるのも夢じゃないと俺は思う」

 

 俺が自分が思った事を長々と皆に伝える。事実、俺は俺なりの対応でこうして皆と話してきた。その結果、忍や陽子達と一緒に親しい間柄になる事が出来た。

 

 今言った言葉は長々だったから屁理屈に聞こえるかもしれないけど、他の人と仲良くなる一番の最善策だと思う。

 

「って、何言ってるか分かんなくなったな………あれ皆どうした? そんな面食らったような顔して……」

 

「「「…………」」」

 

 女子勢皆が呆然とした表情で此方を見ている。

 

「いや……健からそんなアドバイスを聞けるとは思わなくてな……」

 

「いやいや! 別にいいだろ、アドバイスくらい」

 

「私も陽子と同意見だわ。健の口から真面目な言葉が出てくるなんて」

 

「綾ぁぁ!? 俺の事を一体何だと思ってたんだよ!?」

 

 何故か陽子と綾の同時攻撃によりSan値が削られる羽目になってしまった。くっそう、男か!? 俺が男だからか!? 世の中不公平だぁぁぁ!

 

 更にはアリス、カレンの金髪コンビは目をキラキラと輝かせて「ケンカッコいい!」なんて呟いてるし、忍に至っては俺の言葉の意図が伝わらなかったのか、小首を傾げているし。もうやだこのカオス空間……

 

 余談だが昼休みが終わり、最後の授業が終わった直後、カレンが居るであろう隣のA組から『みんなと仲良くなりたいデス! お気軽に話してくだサイ!』という大きな声と共に歓声と拍手が聞こえる程、筒抜けだった。

 

 アリス曰く、カレンは昔からハッキリした性格らしい。その事を俺が褒めたら何故か抱き付かれた。その後、嫉妬に駆られたのか忍が怒りながら追いかけ回された。……デジャヴ?

 

 どうやら上手くやっていけそう、かな?




今回は心理描写が多めの回でしたw
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