トリカブトの花   作:インノケ

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新武装の作成

アール、備える


4話

 彼、ゲオルグ・ローレンツもまた、僕らと同じ宇宙側のパイロットであった。ユアンの紹介の通り人のいい、優しげな笑みを浮かべる紳士であったが、彼の親愛の表現は少し特殊であった。

「ちょ、ゲオルグさん髭をこすりつけるのはやめてください! 本当に痛いです」

「大の大人に頬ずりされるなんて、小さいころ父親にされて以来だよ」

「いいじゃない。ほら、ゲオルグさん喜んでるわよ」

彼女らと行動を共にするようになって一週間、すっかり打ち解けたもののゲオルグの強烈なスキンシップには困らされていた。しかし、凄まじい個性の持ち主ではあるが彼の操縦技能も目を見張るものがあった。彼の乗るゲルググJはユアンのように近接戦闘こそ行わないものの、その狙撃の技術によってユアンの死角を的確にフォローし、彼女らの生存に大きく貢献していた。彼もまた、僕が見たい景色にいるエースの一人であったのだ。彼らに少しでも追い付くべく、僕はナナミに新しい武装の開発をもちろん有償で頼んでおり、完成を待っていたのであった。

「でも、銃剣なんて本当に使えるんですか?」

「あら? あたしのこと疑うの?」

暇だからという理由で密着してきていたゲオルグに問いかける。新武装のアイデアを出してくれたのは他でもないこの人だ。僕も彼と同じく射撃戦に寄った戦い方をするため、エキスパートである彼に意見を仰いだのだ。

「そういうわけじゃないですけど……なんか色物っぽくありません?」

「いちいちライフルしまってから応戦するよりこっちのが2ステップも短縮できるのよ。どんな状況でも上手ぬ戦うっていうのは、そういうところから気を付けていくものなの」

口調とは裏腹に歴戦のエースとしての重さを感じさせる言葉であり、僕は素直にうなずく。こと射撃戦において間合いの調節は重要な要素であり、緊急回避用の武装をつけるというのは理に適っているであろう。程なくしてナナミから呼び出され、僕はやっとゲオルグの魔の手から逃れることができたのであった。

「オーダー通り銃身下部に銃剣を一振り、あとは重心全体の強化を施したわ。出力調整と合わせて連射回数と強度を高めたって感じかしら」

彼女から送られてきたデータを自分の端末上で確認する。彼女の言う通り、銃身は長方形の板で両側から挟みこまれたように補強され、その下に短剣サイズの板がぶら下っている。ヒートタイプの武装のようだ。

「じゃ、さっそく試してみるとするよ」

「次の戦闘、決まってるの?」

受け取りが確認できたところで踵を返し、パイロット控室へ向かおうとする。

「勢力戦争も激化してきたせいか働き口が多くなってね。稼がないとまたナナミに改造頼めないから」

「まだアレ蒸し返すのね……。私たちが潤うのはいいことだけど、戦いすぎて消耗激しくなったら本末転倒よ」

「うまく戦うよ。それに今回は一つ楽しみもあるしね」

「楽しみ?」

今回僕たちは宇宙軍の雇われ部隊として、宇宙エリアの基地の一つの制圧に出撃することになっている。なんでも後に控えている侵攻作戦の足掛かりにするそうだ。この一週間、宇宙軍の基地がNPCに襲撃を受けるという事件が発生するようになり、宇宙軍は積極的に地球への侵攻を決めた。こちら側に大きな被害が出る前に勝負を決めてしまおうという作戦である。そのため既存の宇宙軍の勢力だけでは足りず、僕たちのようなフリーも駆り出されてるというわけである。そして彼もまた、この作戦に参加しているという情報を掴んだのであった。戦場で彼とまた会いまみえることを考えると、自然と心が高揚していくのであった。

 

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